連載 平成11年度決算を読む   (8回連載の予定)

★「市労組ニュース」で財政分析の連載を始めました。以下に内容を転載してお知らせします。

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(第1回) 積極財政に転換した高槻市財政 (9/11掲載)
  歳入総額 歳出総額 標準財政規模 実質収支 市債現在高 積立金現在高
1999年度 102,635,772 102,101,695 65,280,434 360,382 73,133,260 27,512,087
1998年度 95,070,206 93,107,226 64,613,343 390941 77,454,829 23,532,433
比較 7,565,566 8,994,469 667,091 -30,559 -4321,569 3,979,654

 高槻市の1999年度(平成11年度)決算が公表されました。9月議会で審議されます。
 「財政は行政を写す鏡」といわれます。細かい数値ばかりの表の中に高槻市の行財政の特徴が見え隠れしています。
そこで、1999年度決算の数値を追いながらそこに表れた高槻市の財政の現状と課題を明らかにしていきたいと思います。
 1999年度決算をどう見るかは過去の決算の中に位置付けすることが必要です。80年度以降、3回の画期があります。
第一は1984年度です。江村市政2年目でそれまでの財政危機が克服され基盤が立ち直った時期です。第二は1993年度。財政規模が最も拡大する一方財政危機の兆候が現れた時期です。第三は1998年度。2年間の緊縮財政を終え新たな動きが始まった時期です。1999決算はそうした第三の画期の延長にあります。
 1999年度決算は歳入総額1,026.35億円、歳出総額1,021,01億円で前年比較8%、9.7%増となっており、積極財政に転換しています(過去最高だった93年度決算を抜く)。
 実質収支は3.6億円の黒字で、1984年度以降黒字決算が続いています。市債現在高は昨年度より43.21億円減少し、逆に積立金現在高は39.79億円増えています。

(第2回) 財政危機の高槻的「解決」   (9/13掲載)
  85年度 93年度 96年度 97年度 98年度 99年度
財政力指数 0.913 0.977 0.958 0.936 0.915 0.878
経常収支比率 92.0% 88.1% 96.7% 91.5% 93.9% 89.3%
公債費比率 18.2% 12.8% 13.6% 13.5% 13.4% 12.9%

 次に、一般に使用されている財政指標から財政状況を見ていきます。
 先ず、財政力指数は、1999年度が 0.878 と1998年度の 0.915 と比較して 0.037ポイント低下しています。その結果、地方交付税は57.48億円から88.25億円へ30億円余増加しました。基準財政収入額の減少が主な要因です。財政力指数(単年度)が一を超えると地方交付税の不交付団体となります(茨木市、吹田市、豊中市など)。全国都市の平均が0.70といわれていますから高槻市を含め大阪府下の財政力水準は極めて高いといえます。      
 次に、経常収支比率ですが、1999年度は 89.3 %と1998年度の 93.9 から 4.6 ポイント改善し 80 %台に回復してきています。大阪府下ではこの経常収支比率が 100 を超える市が 14 市(19 98 決算)もあり平均で 99.3 (同)まで上昇して、現在進行している大都市圏財政危機の大きな特徴をなしています。
 あとで詳しく考察するように低下要因の 59 %は職員給が占めています。「義務的経費=人員・給与の縮減によって経常収支を改善する」という市当局の財政危機「解決」の構図がはっきりと数値に表れたといえます。

(第3回) 税収入の減少と構造変化   (9/18掲載)     
                                    
市税収入の変化                                                            ( 単位 億円)

  85年度 93年度 96年度 97年度 98年度 99年度
個人市民税 160.70 253.67 221.33 244.48 221.27 210.39
法人市民税 49.14 45.51 42.76 37.05 31.03 31.88
固定資産税 115.25 181.97 212.07 213.13 219.83 224.86

 今度は歳入全体の55.6%を占め最も重要な市税の動きを見ます。
  先ず、個人市民税です。政府の特別減税などの影響が直接出ているのも確かですが、1999年度は210.39億円と昨年に続いて二年連続して前年比マイナスになっています。全体として1993年度の253.67億円をピークとする頭打ち感が強くなっています。
  同様に、法人市民税は1999年度で31.88億円でした。これは最高だった1989年度の75.50億円からは58%減の大幅減少となっています。落ち込み率は府下でも大きい方です。その結果、市税に占める割合が15.4%から5.8%へと小さくなっています。
  次に固定資産税です。1980年以降一貫して増収となっています。1999年度で212.07億円と、前年度に続き個人市民税の所得割を抜いています。
  これらの市税全体としては、1999年度で550.47億円となっており、これも二年連続してマイナスでした。
  1990年代不況と高槻の街の成熟化(人口横ばい・高齢化)によって税収構造が変化し、個人・法人市民税の増収が見込めず固定資産によって賄うものの、市税全体としては550億円前後で推移しているといえそうです。

(第4回) 大阪府下で赤字団体が増える   (9/20掲載)
                              
99決算の府下43市町村比較
項目 高槻市 大阪府下平均