平成14年度施政方針大綱(2002.3.1議会報告)
                                                                                               
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編集者よりのコメント(2002.3.2記)

 平成14年度施政方針大綱が公表されました。下記にその全文をタイプして載せます。ピンク色は編集者が重要と思ったところです。構成は昨年度と同様に、前半が総論部分として、予算に表れた今年の施策の特徴を簡潔に述べた部分です。そして、後半は各分野についてやや詳しくその特徴を述べています。

 今年は全体としては、新しい事柄について触れた部分はそう沢山なかったという印象をもちました。昨年度からの継続の事柄が多かった。その中で、新しいことはやはり、中核市に向けた取り組みとして、保健所の設置や産業廃棄物処理条例や屋外広告物条例等について指摘した部分が眼を引きます。

 このあとに具体的な施策と事業予算が載っていますので、それを見ると文章に表れた施策の具体的な内容がわかります。それも機会があれば編集したいと思っています。

 

施政方針大綱の内容

総論部分)
はじめに

平成14年度におけるまちづくりの基本方針
行財政運営の基本的な考え方
むすび

各論部分
第1章 心がかよう共につくるまちづくり
第2章 やさしさとやすらぎのまちづくり
第3章 ひとが輝く育みのまちづくり
第4章 調和のとれた都市環境のまちづくり
第5章 安全で快適なまちづくり
第6章 にぎわいと活力のあるまちづくり
むすび

 


 平成14年第1回市議会定例会の開催に当たりまして、市政運営の基本方針などについて、ご説明申し上げます。

1 はじめに
 平成14年度は、私の市長としての任期の最終年度であり、折しも市制施行60周年の節目の年度を迎えるに当たりまして、改めて初心に立ち返り、わがまち高槻の発展と36万市民の幸せを願い、決意を新たにいたしております。
 さて、今日の我が国は、バブル崩壊後10年以上も政治・経済・社会などあらゆる分野において、疲弊した既存のシステムの改革が叫ばれながら、それらが充分に進まず、また、有効な解決策を見い出せないという
閉塞感に覆われ、混迷のさ中にあります。地方自治体においても、長引く景気の低迷により、税収の大幅な落込みや地方交付税の見直しが予想されるなど、今後においても厳しい財政運営は避けられないところであります。
 このような状況のもと、国におかれては、昨年6月の経済財政諮問会議で「今後の経済運営及び経済社会の構造に関する基本方針」、いわゆる「骨太の方針」を出し、七つの改革プログラムに基づいて改革の実行に努められ、また、地方自治にかかわっては、国と地方との事務事業の見直しや、市町村合併の促進、地方財政制度等を含めた聖域なき構造改革に取り組まれておられます。しかし、今、重要なことは、実際に我が国の構造問題がどう改革され、その先に、責任と自立に基づくパラダイムシフト、すなわち、21世紀における我が国の新しい
社会の枠組みが、どう構築されるのかということであります。
 そして、今、国、地方自治体、国民各層が生活者を基点とした構造改革を実現するために、各々自立し、自ら律することにより、改革のエネルギーを沸き立たせる必要があります。
 私は、平成11年5月に高槻市長に就任して以来この3年間、健全で将来を見据えた
都市経営を進めることが、市民生活を豊かにして、活力あるまち高槻を創造することになり、また、そのことが、より地方自治を推進して、強化することにつながるものであると認識し、市政運営を担ってまいりました。
 このような認識のもと、自主財源の乏しい中にあって、
第四次・第五次の行財政改革を通じて、事務事業の見直しや歳出の抑制・削減、職員定数の適正化等を進め、経常収支比率は府内でも上位に位置し、財政の健全性を維持してまいりました。
 私は、これらの効率的・効果的な行財政運営システムの構築を目指した行政づくりを進めつつ、市政の政策目標として、「安心して暮らせる平和な高槻づくり」、「あたたかさとやすらぎが息づく高槻づくり」、「わがまち高槻と誇れるまちづくり」を掲げて、この間、広範な市民の協力のもと、第四次の
総合計画の策定を始め、環境基本条例の制定や、環境基本計画の策定、「ISO14001」の認証取得等、地球環境に配慮した取組みも進めてきました。
 さらには、長年の懸案でありました、市街地再開発組合が施行する
JR高槻駅北地区市街地再開発事業や、土地区画整理組合の阪急上牧駅北特定土地区画整理事業の促進等、都市の魅力を創出し、良好な市街地を形成する等、人々の快適な暮らしに不可欠な都市基盤の整備や、社会資本の充実等に努めてまいりました。
 これらの取組みにより、今日では、都市の魅力や機能も充実してきており、市民の定住志向や、人と人との交流、ふれあいも高まってきています。
 地方分権が進む中、これからの地方自治体は、住民に身近な行政について、自らの決定と責任において、できる限り担っていくべきであり、そのためには、国と地方との適切な役割分担のもと、地方税財源の充実確保や、受益と負担の関係を明らかにしていく必要があります。
 そこで、本市といたしましては、地域住民のニーズに沿った効率的、効果的な行政を実現し迅速な処理を図る「地域性」や、総合的な政策の立案とその選択が可能な行政の「総合性」、住民への情報公開と責任ある参画を基調に、市民が主役の「住民自治」を基本に、自治体運営を進めていくことが重要であると考えております。
 現在、本市は、
平成15年4月の中核市移行に向け、全庁挙げてその取組みを進めております。
 中核市への移行は、保健所の設置を始めとして、移譲される様々な事務権限を活用して個性的、創造的なまちづくりに向けた施策を展開することが可能であり、そして、そのことが地方自治の拡充につながるものであると存じております。
 私は、このことをしっかりと基本に据え、今後、大阪府へ指定申出をするため、市議会の議決をいただいた後に、政令公布への手続きを進めてまいる所存でございます。
 一方、
市町村合併問題につきましては、市町村の在り方や住民の生活に大きくかかわる重大な問題であり、関係住民や事業者等に様々な機会をとらえて、合併に関する情報等を提供することにより、積極的な議論や検討ができる環境づくりに努めてまいります。また、本市と島本町が行政間の事務レベルで構成する「高槻市・島本町広域行政勉強会」においても、広域行政等の在り方について、調査・研究を進めてまいります。
 こうした中において、本年度は総合計画の2年次に当たり、また、3か年の実施計画の中間年でもあります。そこで、計画の推進に当たっては、市民・事業者・大学等との協働したまちづくりの取組みや、少子高齢社会、情報化社会への対応、環境先進都市を目指す取組みや産業の振興、教育の改革に取り組んでまいります。さらには、JR高槻駅北地区市街地再開発事業を始めとする中心市街地活性化や、第二名神自動車道の整備促進等、活力あるまちづくりに向けた都市基盤の整備等を重点に、財政計画との整合性も図り、不断の行財政改革を進めながら、その実現に努めてまいります。
 さて、私たちは、現在、21世紀の社会にまだ確固たる展望を見い出せずにおりますが、この歴史的転換期において改革の道を歩んでいくには、負担や忍耐も伴いますが、そこには大きく飛躍し前進する可能性も多く存在しております。
 歴史を振り返ってみると、物事を大きく変えてきたきっかけは、自由闊達な創意とひたむきな工夫であります。
 市政運営においても、物事の本質・原点が何であるか、また、施策の目的が何であるかを常に考え、そこから派生する事象に創意・工夫をこらし、的確に対応していくことが重要であると考えております。
 私は、今後におきましても、後の世代に過度な負担を回すことなく、健全で活力のある都市経営を目指して、今日の社会・経済情勢の厳しい現実を直視し、そして、それに立ち向かい、総合計画が目指す「心ふれあう 水とみどりの生活・文化都市」の実現に向け、全力を尽くしてまいる決意であります。

2 平成14年度におけるまちづくりの基本方針

 さて、平成14年度におけるまちづくりの基本方針でありますが、本年度は、先にも述べましたように、
中核市移行に向けた取組みを進める重要な年度であるとともに、総合計画の2年次に当たり、同計画の六つの施策大綱に沿って、具体的な施策を着実に展開してまいります。その基本的な考え方を、簡略に、ご説明いたします。

 まず、「心がかよう共につくるまちづくり」であります。

 今世紀は「人権の世紀」とも言われ、人権尊重の高まりは世界的な潮流となっています。本市においても、市民の一人ひとりが平和を愛し、すべての人の人権が尊重され、自分らしく、いきいきと暮らせる地域社会の実現に向けて、その取組みを進めてまいります。平成13年度未にいわゆる
「地対財特法」が失効することから、同和問題につきましては、一般施策の中で適切な対応を図ってまいります。
 少子高齢化の一層の進展、家族形態の多様化など、社会・経済情勢は大きく変化しております。こうした変化を見据え、男女が性別にとらわれることなく、その個性と能力を十分に発揮できる社会の実現に向けた「
男女共同参画計画」を策定いたします。
 市民と行政との協働による、まちづくりの気運が醸成される中、地域活動の分野で大きな役割を担うコミュニティ活動について、引き続き支援を行うとともに、これからのまちづくりのパートナーとして期待されるボランティア・NPO活動等、市民活動を促進するための「
(仮称)市民活動センター」の整備等、その基盤づくりを進めてまいります。
 さらに、コミュニティの輪を広げ、市民との協働によるまちづくりを図るため、市民、事業者、学生等と直接ふれあい、将来のビジョンなどを語り合う、「
市民と市長とのふれあいトーク」を実施してまいります。
 このような取組みを通じ、心がかよい個性が共に発揮できるまちづくりを推進してまいります。

 次に、「やさしさとやすらぎのまちづくり」であります。

 核家族化が進み、少子高齢社会の中、介護保険制度の導入や社会福祉の基礎構造改革による措置から契約へと福祉全般にわたって、新しい枠組みづくりの動きが進んでいます。
 そして、平成15年度からは、障害者の選択によるサービスの利用が可能となる
支援費制度の導入が予定されており、その導入準備等に適切に対応してまいります。
 一方、地方分権に伴う事務の移譲により、本年度から、精神障害者の手帳交付や相談業務等の
精神障害者福祉業務が、新たに大阪府から市へ移譲されますので、住民に身近な自治体として精神障害者の福祉サービスの向上に努めてまいります。
 また、高齢者や障害者が住み慣れた地域で、安心して暮らせるように「自助・互助・公助」を基本とした自立支援の取組みを、引き続き進めます。
 うの花養護幼稚園については、その発展的解消を目指し、市内の就学前知的障害児が一貫した指導・療育を受けられるよう、
知的障害児通園施設と「(仮称)第2めばえ教室」を建設して、その体制の充実に努めてまいります。
 少子化が進む中、次代を担う子どもたちが健やかに育つよう、親・大人が果たすべき義務や責任を自覚し、家庭、地域、企業、行政が協働して子育ち、子育てを支える地域社会づくりに向けた取組みを進めてまいります。深刻化している児童虐待については、福祉・保健・医療機関、保育・教育機関、地域等が連携して、虐待の早期発見・対応に向けたネットワークづくりを検討してまいります。
 今日、人々の生活状況の変化やニーズの多様化が進む中にあって、民間の活力を活用し、老朽化した
市立東天川保育所の建替え等、市民が多様な支援サービスから選択ができるようにサービスの提供に努めてまいります。
 なお、中核市移行における
保健所の設置・運営が適正に行えるよう、十分な準備を進めてまいります。
 これらの取組みを通じて、保健・医療・福祉の連携による総合的なサービスの提供に努めるとともに、市民一人ひとりが共に支え合い、助け合い、住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。

 次に、「ひとが輝く育みのまちづくり」であります。

 教育は、今大きな変革期にあります。次代を担う子どもたちを、創造性豊かで人間性と知性にあふれた人材に育てることが、教育改革の大きな課題であります。そのためにも、学校園における教育活動を改革するとともに、家庭や地域との協力連携のもとに、相互の教育力を向上させることが急務であり、これらの取組みを進めている教育委員会を支援してまいります。
 本年度より実施される
完全学校週5日制や、新学習指導要領に対する取組みとしまして、基礎・基本を重視した学力の向上に努めるとともに、学力の習熟度を計るため学力テストを導入してまいります。また、子どもたちが、主体的に考え学習し課題解決していくための「総合的な学習の時間」において、環境教育人の取組みや学習田を活用した体験学習など、人間性豊かな「生きる力」を培ってまいります。さらに、教職員研修の充実により教職員の意識改革や資質向上を図るとともに、学校評議員制度の全校導入による学校運営の改革を進めてまいります。
 一方、完全学校週5日制を踏まえ、地域活動コーディネーター育成講座の開設や学童保育室の充実、また、総合型地域スポーツクラブのモデル事業推進など、家庭及び地域の教育力の向上に努めてまいります。
 また、歴史の息吹くまちづくりとしまして、高槻城三の丸跡地に来春開館する「
(仮称)歴史遺物展示館」での近世歴史遺産等の展示公開を行うとともに、国指定史跡今城塚古墳を始めとする三島古墳群の重要な歴史遺産の調査や整備を推進するなど、本市固有の重要な遺産の活用を図つてまいります。さらには、市民の手で実施される「ジャズストリート」や「わくわくストリート」等が、多くの来訪者を迎え、市民が誇れるまちかど文化として定着するよう、市民の自主性を尊重する中で、引き続き支援をしてまいります。
 このような取組みを通じ、心豊かで創造性に富む育みのまちづくりに努めてまいります。

 次に、「調和のとれた都市環境のまちづくり」であります。

 都市基盤・都市施設の充実は、都市の魅力であり、中心市街地の再生・整備は、人を引き付け、経済活動や交流を盛んにして都市を活性化し、その魅力を一層高めます。本市の中心市街地は北摂で最も活力ある商業地域の一つでありますが、市内及び近隣都市から更に多くの人が訪れる魅力ある街を目指してまいります。
 21年間にわたる関係者のご努力が実を結び、平成16年度の完成に向けて工事が進捗いたします
JR高槻駅北地区市街地再開発事業につきましては、中核市となる本市の北の玄関口として、駅前広場等の公共スペースの提供、ターミナル機能や商業・業務機能の刷新、さらには、都心居住の促進等を図るため支援してまいります。また、鉄道駅及びその周辺のバリアフリー化につきましては、平成16年春の完成を目標に高槻駅構内にエレベーター、エスカレーターを設置するJR西日本と連携を図るとともに、「交通バリアフリー法」に基づく「移動円滑化基本構想」の作成に利用者や関係者との理解と協力のもと着手してまいります。
 
阪急上牧駅北特定土地区画整理事業につきましては、駅前の優良な市街地の形成を図るため、引き続き土地区画整理組合に助成を行ってまいります。
 一方、市内幹線道路の整備につきましては、国道171号の渋滞解消、十三高槻線の整備を国・府に要望してまいります。また、第二名神自動車道等の整備につきましては、国の動きを注視しつつ、関係機関と連携し、積極的に国等に働きかけるとともに、関連する道路の整備や周辺の土地利用等についても検討を進めてまいります。
 公園・緑地につきましては、萩谷総合公園で野球場を完成し本年秋に供用を開始するとともに、
緑が丘公園の拡張整備を完了してまいります。
また、「
(仮称)川添公園」の整備に向け実施設計をしてまいります。
 これらの取組みを通じて、活力のある良好な都市環境のまちづくりに努めてまいります。

 次に、「安全で快適なまちづくり」であります。

 今日、都市型社会等に起因して多発する事件・事故・災害、高齢化の進展や環境への認織の高まる中で、安全・安心な生活環境や環境にやさしい社会の実現は、重要課題になってきております。
 これらに対応する取組みとして、消防情報ネットワークシステムを活用し、迅速・適確な救急活動に努めるとともに、大阪府下では初めての試みとして、三島救命救急センターと連携を図りながら、緊急通報と同時に
医師が同乗した特別救急隊による救護活動を試行し、救命率及び社会復帰率の向上を目指してまいります。さらに、毒物・劇物・放射性物質等による特殊災害に、適切に対応できる体制を整えてまいります。
 環境問題につきましては、「たかつき環境市民会議」を組織し、市民・事業者の環境負荷低減の行動計画である「
たかつきローカルアジェンダ21」の策定に取り組んでまいります。一方、「ISO14001」の運用により、市が率先して環境負荷に対する持続的改善に取り組むとともに、公用車は更新時、原則として軽自動車に切り換えてまいります。中核市移行に伴い移譲される産業廃棄物関連事務については、適切な対応ができるよう条例制定等の準備をしてまいります。
 また、本市において初の国際会議となる「
第10回国際環境複合影響会議」を支援してまいります。
 防犯関係につきましては、警察等と連携を密にしながら犯罪を未然に防ぎ、安全な社会の実現に努めてまいります。
 これらの取組みを通じて、市民と共にいのちと環境を大切にするまちづくりに努めてまいります。

 最後に、「にぎわいと活力のあるまちづくり」であります。

 景気が低迷し、失業率が高まるなど、経済情勢は、引き続き厳しい状況が続いております。昨年から、・市内の企業経営者の方々を直接訪ね、意見交換を行っておりますが、厳しさは、本市においても例外ではありません。このような状況下にあっては、地域の活力を高め、雇用を確保するとともに都市経営を支える産業の振興を図ることが、何より重要であります。そこで21世紀初頭における本市産業の在り方と、展開すべき振興方策を示す
産業振興ビジョンの策定を進めるとともに、高槻商工会議所と協働し、産業情報サイトの拡充、産学連携の推進、起業家育成施設実験事業、並びに、中心市街地活性化推進事業などの事業展開を図ってまいります。また、緊急地域雇用創出特別交付金を最大限有効に活用することにより、雇用就業機会の創出に努めるとともに、就労相談業務の充実を図ってまいります。
 多様な公益的機能を有する森林や農地についても、
森林ボランティア制度の正式発足や農作業の受委託支援、並びに、遊休農地等を活用した学校学習田の普及拡大を図るとともに、地産地消の推進及び教育的観点から、市内すべての小学校の給食に高槻産米ヒノヒカリを本格的に導入するなど、本市の貴重な財産として保全を図りつつ、活用してまいります。
 これらの取組みを通じて、産業の振興と元気で活力あふれるまちづくりに努めてまいります。
 以上六つの施策大綱に沿って、基本的な考えを説明してまいりましたが、平成14年度の主要な施策につきましては、新総合計画の体系に沿って、別紙にまとめておりますので、ご参照いただきますよう、お願いいたします。

3 行財政運営の基本的な考え方

第一は、健全で持続可能な行財政運営の推進であります。

 先行きの見えない厳しい経済状況の中で、次世代に過度な負担を回すことなく、
都市経営の視点を持って、健全な行財政運営を維持していくことが、今一番大切なことであります。
 今日の社会経済情勢の低迷に伴う大幅な税収の落込みが、財政状況を圧迫する現実を直視し、コスト意識を堅持するとともに、受益と負担の関係を常に念頭において、更なる行財政改革に努めてまいります。
 本年度は、
第五次行財政改革大綱実施計画の最終年でもあり、行政評価システムの本格導入に向けた取組みの強化など、計画に掲げた項目の目標達成に全力をあげてまいります。
 また、次期大綱実施計画につきましては、現在、国で進められている地方分権改革推進会議での審議の動向を見守りながら、21世紀の新しい都市経営の在り方を見据え、自治体経営の質的改革につながるよう具体化に向けて検討してまいります。
 総合計画に基づく3か年の実施計画の遂行に当たりましては、財政計画との整合性を図る中で、市民ニーズや施策の優先度を見極め、必要に応じローリングを加えてまいります。
 また、財政運営の健全性の確保と透明性を高めるため、昨年度から実施しました
事業別予算決算のバランスシートに加え、新たに行政コスト計算書につきましても検討をしてまいります。 さて、この4月から実施されるペイオフ対応につきましては、今日の金融情勢の動向を見ながら、金融機関の財務状況の把握や運用手法の検討など、適切な資金管理に努めてまいります。

第二は、中核市移行に向けた行政運営の展開であります。

 中核市への移行に当たりましては、
保健所準備室を設置するとともに、大阪府から移譲されます権限に伴う関係条例の整備を始めとする必要な事務につきまして、万全の体制で進めてまいります。また、中核市移行後の権能を活かした本市の在り方につきまして、「(仮称)中核市推進計画」の策定に取り組んでまいります。
 さらには、市民が、市政やまちづくりに参加する権利と義務、そして、その手法を規定する.「
(仮称)まちづくり条例」を市民参加のもとで検討するとともに、行政の透明性を確保する観点から、情報公開条例の見直しを行うため、懇話会を設置し、改正に向けて検討してまいります。
 一方、中核市移行に伴い、新たに実施することとなる事務の習熟を図るため、大阪府への
職員の派遣研修を行うとともに、各種の研修をより一層充実させ、行政運営′を担う職員の意欲と能力の向上に努めてまいります。また、組織の活性化につきましては、民間人の登用新たな係長級昇任資格試験制度など、時代の変化に対応した人事制度の導入を図ってまいります。これらの取組みを通じまして、市民の視点に立った行政サービスを実践できる「勇気・元気・やる気」のある職員の育成に努めてまいります。
 以上、ご説明申し上げました基本的な考え方に基づきまして、議員各位を始め、市民各界各層のご意見、ご要望等も勘案しつつ、編成いたしました平成14年度の予算案の総額は、
  一般会計で、  971億 8,123万8千円
  特別会計で、  1,039億 5,234万3千円
  合わせまして、 2,011億 3,358万1千円
とし、一般会計につきましては、対前年度当初予算比で、1.9%減の予算編成といたしております。

4 むすび
 以上、平成14年度におきます市政運営の基本方針について、ご説明申し上げてまいりました。
 冒頭にも申し上げましたように、本市は、平成15年1月1日で
市制施行60周年を迎えます。今日、私たちがこの時代に身を置くことができるのは、時をつなぎ、歴史をつづってきた先人たちの努力の賜物であり、来年は、市民と共に簡素な中にも厳かに60周年を祝い、飛躍の決意を固めたいと存じております。
 さて、時代は、まさに21世紀の新しい日本を創り出すための叡知の結集と、その努力を強く求めております。
 歴史に学べば、時代の変革期にこそ、古きものと新しいものとの葛藤と、そこから産み出される活力により、社会が変化し、進化することを証明しています。
 今日の先行き不透明な状況のもとで、将来にわたって、責任ある市改運営を行っていくためには、市政全般をよく見渡して、市民の皆さんに十分な説明責任を果たしつつ、施策・事業の選択と集中による、最も効果的な行政を進めていくことが、重要ではないかと考えております。
 そのためにも、職員の一人ひとりが時代の変化を見据え、時代に合った新しいものの創造と、変化がもたらすチャンスに果敢に挑戦し、そして、「21世紀に飛躍する魅力あふれる
成熟都市高槻」の実現を目指していくことが大切なことであります。
 私は、「至誠の感ずる所、天地も之が為に動く。」という心構えで、足元を固め、全職員の先頭に立って前へ進んでまいる決意でございます。
 何とぞ、議員各位、並びに、市民の皆様におかれましては、今後の市政の推進に、一層のご支援、ご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、施政方針といたします。

 

 平成14年度の主要施策 

目    次
第1章 心がかよう共につくるまちづくり
第2章 やさしさとやすらぎのまちづくり
第3章 ひとが輝く育みのまちづくり
第4章 調和のとれた都市環境のまちづくり
第5章 安全で快適なまちづくり
第6章 にぎわいと活力のあるまちづくり
むすび

 

第1章 心がかよう共につくるまちづくり

 平和・人権への取組みにつきましては、本年度が、「非核平和都市宣言」20周年の節目の年に当たり、従来の「
平和展」に加え「青少年平和のつどい」を開催し、市内各大学生等の参画を得て、次世代を担う若者と共に「平和」の尊さについて考えてまいります。
 また、人権施策推進審議会からの答申を受けて、人権施策を総合的に推進していくための
基本方針の策定に取り組んでまいります。
 同和問題につきましては「同和対策協議会」の答申を踏まえて、人権尊重の視点から、一般施策を活用し適切な取組みに努めてまいります。
 春日ふれあい文化センターにつきましては、
施設の改修を行い、地域住民の交流や、さらなる利用促進に努めてまいります。
 多文化共生社会の実現に向けた取組みといたしましては、文化のふれあいを通じた、相互理解のための交流・啓発事業への支援に努めてまいります。
 男女共同参画社会の実現に向けた取組みでございますが、固定的な性別による役割分担の解消など、あらゆる分野への男女共同参画を一層推進するため、
男女共同参画計画を策定いたしてまいります。また、女性センターは、その実現に向けた活動・交流の拠点であることから、各種講座等への支援を引き続き行ってまいります。
 配偶者らからの暴力(ドメスティック・バイオレンス)への対策につきましては、その防止に向け、関係組織との連携強化を図るとともに、啓発推進に取り組んでまいります。
 生涯学習の環境づくりにつきましては、現代劇場・市民交流センター・生涯学習センターの
3館をネットワーク化し、利用者の利便性の向上と、場の提供の促進を図ります。市民会館については、昭和39年の開館以来、相当年数を経過しており、機能確保の維持のため、音響設備を始めとする設備等の更新を行ってまいります。また、市文化振興事業団が行う各種講座・事業等に対する支援も引き続き行ってまいります。
 コミュニティ推進の取組みといたしましては、市民と行政は互いに良きパートナーであるとの理念のもと、まちづくりハンドブックの利用促進を図るとともに、「高槻市コミュニティ市民会議」との連携を深め、コミュニティリーダー育成等の活動にも支援を行ってまいります。また、コミュニティ施設の整備につきましては、地域での活動の拠点となるよう、公共施設の有効利用も含め検討してまいります。なお、既存のコミュニティセンターにつきましては、昨年に続き
バリアフリー化を進めてまいります。
 ボランティア・NPO等市民活動の促進につきましては、市民と行政がそれぞれの役割分担のもとに、協働のまちづくりを目指して「
(仮称)市民活動センター」の整備を図ってまいります。また、協働事業の促進に向けて、昨年に続き「高槻まちづくり塾」や市民活動促進イベントを開催してまいります。
 「
市民と市長とのふれあいトーク」につきましては、市民・事業者・学生等各層各世代と、地域の在り方、将来のビジョンなどを、直接語り合い、ふれあうことを通じて、コミュニティの輪をより広げ、協働のまちづくりを進める場として、積極的に取り組んでまいります。
 市民が主体となって取り組んでいる「高槻まつり」「
フリーマーケット・たかつきの市」等、手づくりのまちづくりイベントに支援を行い、心がかよう高槻づくりを進めてまいります。

第2章 やさしさとやすらぎのあるまちづくり

 高齢者や障害者などが住み慣れた地域で、共に安心して暮らせるよう、総合的な福祉施策の推進に努めるとともに、市社会福祉協議会が進める「
地域ネットワーク活動」を全地域に広げる取組みを支援します。
 保健医療につきましては、新たに、かかりつけ歯科医機能の普及定着に向けて「
かかりつけ歯科医健康診査推進事業」の実施や、乳幼児の健康診査の場において、子育てに必要な情報を掲載した冊子の配布等をしてまいります。昨年11月から実施しております、高齢者を対象としたインフルエンザを始めとする各種予防接種や、新たにC型肝炎の検診を加えた基本健康診査、各種検診も計画的に実施します。また、大阪府三島救命救急センターに、高度医療機器MRI(磁気共鳴断層撮影装置)を導入し、脳血管障害、心筋梗塞等、急性期疾患に対する検査機能を充実してまいります。
 国民健康保険につきましては、保健事業の推進、保険料の収納率の向上と医療費の適正化に努めます。また、本年度は、中核市移行に向けて
保健所準備室を設置し、保健所設置に関連する条例等の整備や保健婦、薬剤師を始めとする専門職等の職員の計画的採用と、府への派遣研修等を実施するとともに、大阪府と共同で駐車場の整備に取り組むなど、平成15年4月の開設に万全を期してまいります。
 施行されて、2年が経過した介護保険制度につきましては、引き続き、提供するサービスの内容や制度等を広く市民に周知し、制度の円滑な運用に努めます。加えて、介護サービス利用者の疑問や不安の解消を図るとともに、サービスを提供する事業者のサービスの質の向上を図るために「
介護相談員派遣事業」を引き続き実施してまいります。
 老人福祉施設等の整備につきましては、
民間の社会福祉法人が市内に開設する特別養護老人ホーム、ケアハウス、デイサービスセンター等の建設に対し、助成をしてまいります。なお、現行の「老人保健福祉計画・介護保険事業計画」については、見直し計画の策定に向けて、65歳以上の高齢者等を対象に実態調査を実施するとともに、懇話会を設置してその取組みを進めます。介護予防・生活支援事業につきましては、介護保険制度の認定で自立とされた虚弱高齢者などを対象とした、街かどデイハウスや配食サービス等の事業を拡充してまいります。
 障害者施策につきましては、うの花養護幼稚園の発展的解消を目指し、就学前知的障害児が一貫した指導・療育を受けられるよう、
知的障害児通園施設の建設に着手するとともに、併せて、「(仮称)第2めばえ教室」を設置してまいります。さらには、富田障害者(児)いこいの家も、その発展的解消を目指し、旧富田第一保育所跡地を無償貸付して、民間の社会福祉法人が設置・運営する知的障害者通所授産施設の建設に助成をしてまいります。「高槻市第二次障害者長期行動計画」につきましては、平成13年度の見直し作業を踏まえつつ、本年度に見直し計画を策定いたします。一方、本年度から精神障害者福祉業務が大阪府から市町村へ移譲されることに伴い、精神障害者の手帳交付や相談事業、ホームヘルパー派遣等の在宅支援事業を新たに実施し、精神障害者の福祉サービスの向上に努めてまいります。また、障害者を対象に、平成15年度から導入予定の支援費制度につきましては、本年度から電算システムの整備を始め、その準備等の取組みを進めてまいります。
 保育施策につきましては、高槻市児童育成計画を踏まえながら、待機児の解消に向けた定員の弾力化や地域子育て支援センター事業、一時保育事業等に引き続き取り組むとともに、多様な保育ニーズに対応するために、老朽化した
市立東天川保育所を民設民営で建て替え、それに建設補助をしてまいります。なお、保育所の建替え期間中は、北大冠小学校、学校数地内に仮設保育所を設置し、保育に支障のないよう十分な配慮をしてまいります。加えて、保育内容の向上に向け、簡易保育施設を認可保育所として開設するために、建設補助もしてまいります。
 深刻化する児童虐待につきましては、虐待の早期発見・対応に向け、関係機関等と連携してネットワークづくりを検討してまいります。

第3章 ひとが輝く育みのまちづくり

 まず、幼児教育についてでありますが、「
子どもふれあいルーム」を活用した子育て支援事業の充実と、幼保一元化を模索しながら幼稚園・保育所の職員間交流研修を進めるとともに、これらの取組みを通じ、課題を整理しながら、今後の就学前教育の在り方・方向性を示す幼児教育振興プログラムの策定に向けて検討してまいります。
 義務教育につきましては、本市の教育改革プログラムに基づき、「ゆとり」の中で「生きる力」を培い、「心の教育」を基底に置いて、
完全学校週5日制新学習指導要領の実施に対応し、着実に進めてまいります。具体的には、基礎学力推進に向けた学力テストの導入、学校図書館を活用した調べ学習や情報教育の充実、循環型社会の構築に向けた環境教育の推進、学校学習田を活用した体験学習の推進など、基礎・基本の確かな学力の向上と、児童生徒の個性を活かした特色ある学習活動の充実に努めてまいります。また、新設の教育会館を活用した各種教職員研修の充実により、教職員の意識変革と資質向上を図るとともに、学校評議員制度の全校導入による学校運営の改革にも取り組んでまいります。さらには、子どもたちが、地域社会の中で、健やかに育ち、安心して学べるよう、地域教育協議会活動の一層の充実を図るとともに、教育効果を高めるための学校規模適正化にも引き続き取り組むなど、教育環境の構築に努めてまいります。施設面における整備といたしましては、老朽化した第三中学校体育館の増改築工事や、統合に伴う玉川小学校の施設改修などに取り組んでまいります。
 社会教育につきましては、家庭や地域の教育力を高めるため、家庭教育学級の充実や、不登校等の課題を抱える家庭への支援策を調査・研究する家庭の
教育機能総合支援モデル事業を実施するとともに、地域活動コーディネーター育成講座を開設し、地域教育協議会等の活動を担う人材を育成してまいります。また、生涯学習社会の進展に伴い、多くの市民に学習機会を提供するため、建設中の図書館分館の来年オープンに向けての準備と、インターネットによる図書予約サービスの稼動に向けた取組みも確実に進めてまいります。さらには、阿武山地区において図書館分館及び公民館の複合施設の建設に向けた設計に着手してまいります。
 青少年の健全育成につきましては、完全学校週5日制に対応して
学童保育事業の充実を図ってまいります。また、青少年育成計画に基づき、自立する心と力を身につけるチャレンジ推進事業や、青年のボランティア精神を育て、実践できる場の提供に努めるほか、青少年が社会の一員として健全に育つ環境の確保に努めてまいります。
 文化につきましては、高槻城三の丸跡地に「
(仮称)歴史遺物展示館」を来春に開館するとともに、多くの市民に歴史文化に触れていただく機会として「歴史ウオーク」を開催してまいります。また、国指定史跡今城塚古墳を始めとする三島古墳群の貴重な歴史遺産の調査や整備を行うなど、本市固有の貴重な遺産を守りながら、悠久の歴史息吹くまちづくりを進めてまいります。一方、市民に参加を呼びかけて、市文化振興事業団が開催する市民合唱への支援を行うとともに、多くの来訪者を迎え、市民が楽しみながら育てている「ジャズストリート」や、「わくわくストリート」などが、わがまちの誇れるまちかど文化として定着・発展するよう、市民の自主性を尊重した中で、引き続き支援してまいります。
 スポーツ・レクリエーションにつきましては、生涯スポーツ社会の実現に向け、市民と協働して地域に根ざした自主運営による
総合型地域スポーツクラブの設立に支援をしてまいります。また、建設中の市民プールにつきましては、来年のオープンに向けて準備を適切に進めるとともに、総合スポーツセンターにつきましても、より快適に利用いただけるよう設備の充実に取り組んでまいります。
 都市交流につきましては、市民団体の協力のもと、常州市及びトウーンバ市の少年サッカーチームを迎え、地元チームとの交流を促進してまいります。また、市内の小・中・高校を始め、市民の自主的な交流専業を側面から支援し、市民各層の幅広い交流の促進に努めてまいります。

第4章 調和のとれた都市環境のまちづくり

 JR高槻駅北地区市街地再開発事業につきましては、いよいよ施行者の市街地再開発組合が、平成16年度の完成に向け
本体工事に着手していかれます。本市といたしましては、組合との役割分担を踏まえ、事業に係る費用の一部を助成するとともに、再開発ビル地下駐車・駐輪場を市が取得するなどにより、交通利便性の向上や市街地の活性化に向けて支援してまいります。阪急上牧駅北特定土地区画整理事業につきましては、良好な市街地の形成を図るため、引き続き土地区画整理組合を支援してまいります。また、今日の厳しい経済状況の中で、阪急高槻市駅南地区のまちづくりに取り組んでおられる城北地区市街地再開発準備組合に対しても、その活動に必要な支援をしてまいります。
 本市の将来のまちづくりにとって、重要な意味をもつ第二名神自動車道の整備促進を図るため、5市1町の首長で構成する「
大阪第二名神自動車道建設促進協議会」と連携を図り、国の動向を注視しながら、積極的に国等に対し働きかけるとともに、関連する道路の整備や周辺の土地利用等についても検討を進めてまいります。
 一方、国道171号の渋滞対策として今城町ほか4か所での国の
交差点改良事業の取組みについて、早期に工事着手されるよう働きかけてまいります。「高槻市道路網計画」につきましては、国・府の道路計画や市民等の意見等も勘案し策定してまいります。また、再開発事業に合わせた上田辺芥川線を始め、計15路線の整備等に取り組んでまいります。
 市内の鉄道駅とその周辺のバリアフリー化につきましては、平成16年春の完成を目指し高槻駅構内にエレベーター・エスカレーターを設置するJR西日本と連携を図るとともに、「交通バリアフリー法」に基づき、利用者・関係者が参画する委員会を設置し、「
移動円滑化基本構想」の作成に着手してまいります。また、計画的に進めております歩道の段差解消につきましては、既成歩道の70%で整備が完了するよう進めてまいります。
 市営バス事業につきましては、2月に実施された乗合バス事業の規制緩和により、一層厳しい経営環境にあることを踏まえ、「スルッとKANSAI」や「
環境定期券」制度を導入し、利用者の利便性の向上や環境にやさしい取組みを展開することにより、バスの利用促進を図り、経営の健全化を推進してまいります。
 下水道につきましては、第6次7か年計画に基づき、年度末人口普及率
93.5%を目標に市街化区域の未供用部分の供用開始に努めるとともに、市街化調整区域の整備に向け、取り組んでまいります。雨水対策では、三箇牧ほか2排水分区で引き続き整備に取り組んでまいります。
河川・水路につきましては、桧尾川砂防ダム事業との調整を図りながら、一級河川槍尾川上流の普通河川部分の調査を実施してまいります。また、阪急上牧駅北特定土地区画整理事業と関連して、引き続き下流の普通河川
神森川の整備を行ってまいります。
 上水道事業につきましては、安全・安定給水に向けた取組みとして、中央監視制御システムの更新を完了し、平成14・15年度継続事業として自己水保全のための総合的な
地下水調査や、水道法改正に伴う条例整備を進め、効率的な事業運営を推進してまいります。
 公園・緑地につきましては、萩谷総合公園で野球場を完成し本年秋に供用を開始するとともに、
緑が丘公園を拡張整備し、市街地に憩いと潤いを提供してまいります。また、「(仮称)川添公園」の整備のための実施設計を行い、城跡公園につきましては、市民プール跡地利用等も含め、今後の方向性について検討してまいります。
 中核市移行に関連しては、屋外広告物法に係る事務の移譲に向け、
条例の制定など諸準備を行い、併せて、都市景観の形成にも取り組んでまいります。また、住民等からの地区計画の実施の申し出制度を導入し、市民参加の促進を図るとともに、開発行為等指導要綱による市との事前協議の手続きを明確にするため、それらの条例化に取り組んでまいります。
 経年劣化の進む街区表示板については、本年度からわかりやすい住居表示に更新してまいります。

第5章 安全で快適なまちづくり

 住宅に関する事業につきましては、「川西住宅建替基本計画」に基づいて、引き続き入居者に対して建替えの合意形成を図ってまいります。また、中核市への移行に伴い、特定優良賃貸住宅等の住宅供給計画の基本方針を定めるため、
住宅マスタープランを策定してまいります。
 消防関係につきましては、消防情報ネットワークシステムを活用した、迅速・適確な救急業務に努めるとともに、大阪府下では初めての試みとして、三島救命救急センターとの連携を図りながら、緊急通報と同時に
医師が同乗した特別救急隊による救護活動を試行し、救命率及び社会復帰率の向上を目指してまいります。また、劇物・毒物・放射性物質等による特殊災害にも適切に対応できるよう、警防救助技術の練成及び高度な専門知識の習得に努めてまいります。
 防災関係につきましては、「土砂災害防止法」により、住民と行政が相互に土砂災害関連情報を通報し、災害発生時の早期避難等を図るため、基本計画に基づき「
土砂災害情報システム」の実施設計及びシステム構築に着手してまいります。また、自主防災組織を支援するため資機材の擾供を行い、住民と協働して災害時の初期応急活動を迅速に行うことにより減災に努めてまいります。
 防犯関係につ.きましては、警察等と連携を密にしながら犯罪を未然に防ぎ、安全な社会の実現に努めてまいります。
 ごみ減量化の推進に関する事業につきましては、国の法改正等の状況変化を踏まえ、「
ごみ減量化計画」を市民・事業者・市などで組織する「(仮称)高槻市ごみ減量推進会議」において策定し、循環型社会形成に努めてまいります。また、中核市移行に伴い移譲を受ける産業廃棄物関連事務につきましては、条例制定やデータ整理等の準備をしてまいります。
 環境美化の推進につきましては、「環境美化推進デー」として市内一斉清掃を年2回実施し、美化意識の高揚と活動の定着化を図ってまいります。また、「たかつきエコオフィスプラン」に基づき、本年度も費境にやさしい天然ガス車を導入するとともに、今後、公用車の更新は、原則として
軽自動車とし、環境負荷の低減を図ってまいります。
 葬祭センターの整備につきましては、基本設計に続き、実施設計、造成等土木工事、火葬炉の選定を行ってまいります。また、安満山墓園につきましては、
平成15年度の墓所貸付開始に向け、設備、植栽工事等を行ってまいります。
 次に環境管理計画や環境保全につきましては、環境基本計画に基づき幅広い市民などの参加のもとに「たかつき環境市民会議」を組織し、市民・事業者の行動計画である「
たかつきローカルアジェンダ21」の策定に着手してまいります。また、「ISO14001」の運用により、市の事務事業の環境負荷に対する持続的改善に取り組んでまいります。
 また、本市において初の国際会議となる「
第10回国際環境複合影響会議」を支援するとともに、更に環境への認識を高めてまいります。
 放置自転車対策につきましては、本年度から土曜・日曜日についても、ガードマンによる街頭指導や撤去作業を実施し、いずれの曜日においても放置のない、安全で快適なまちづくりに取り組みます。また、高槻駅南立体駐車場の利用促進につきましては、
ハイル-フ車対策改造等を実施し、利用率の向上を図ってまいります。
IT社会への対応につきましては、国が2003年までに電子政府の実現を目指す中、自治体にあっても電子自治体の構築が求められており、本市も電子市役所の実現に向けて、本年度は専門部会により、電子市役所における業務の在り方について検討を行ってまいります。また、庁内ネットワークのより一層の整備促進を行い、
例規集の検索システムの導入など有用な活用を図ってまいります。
 「地理情報システム」については、
基本地図の継続した開発を、また、「住民基本台帳ネットワークシステム」の構築では、法の規定に基づき住民基本台帳システム開発を引き続き行うとともに、住民票コードの本人通知を行い、第一次サービスとして本人確認情報の提供を行ってまいります。

第6章 にぎわいと活力のあるまちづくり

 農業施策におきましては、新鮮な農作物の供給という本来の機能に加え、環境保全、緑地空間の確保や自然とのふれあいの場の提供など、多様な機能を有している農地の保全を図りつつ、都市と農村との共生を考えた都市農業への取組みが重要であります。このため、地産地消の推進及び教育的観点から市内すべての小学校の給食に、
高槻産米ヒノヒカリを本格的に導入するとともに、地場産野菜についても導入を検討してまいります。また、教育面での高い効果も期待できる遊休農地等を活用した学校学習田につきましては、学校関係者や農業関係者等と協働で取り組むシステムづくりを行い、普及拡大を図ってまいります。さらに、農家の高齢化や後継者不足に対応するため、高槻市農業協同組合が実施する農作業受委託事業に助成し、都市農業の持続的発展を支援してまいります。
 近年、地球環境等に対する関心が高まるにつれ、森林の持つ温暖化防止等公益的機能の重要性が、特に評価されております。このことから、本市域のおよそ半分を占める森林は、都市近郊林として豊かな自然と景観を有する貴重な財産であります。しかしながら、林業経営の停滞や担い手不足など林業を取り巻く環境は、厳しい状況にあります。そこで、市民と協働で森林の保全を行うとともに、山村と都市住民の交流を進めるため、これまでの取組みをもとに
森林ボランティア制度を正式に発足してまいります。また、林道等の廃棄物撤去や清掃等を実施し、林道の美化や安全確保に努めてまいります。
 景気が低迷し、産業構造が大きく変化する中、地域の経済活力を高め、雇用を確保するとともに都市経営を支える財政基盤を確立するために、産業の振興は、重要なテーマであります。そこで、21世紀初頭における本市産業の在り方と展開すべき振興方策を示し、総合的、体系的に実施するため、
産業振興ビジョンの策定に取り組んでまいります。そして、高槻商工会議所との協働により、産学連携事業の推進や起業家育成施設実験事業を実施し、既存企業の活性化と新たなニーズに対応したベンチャー企業や新規ビジネスの立ち上げを支援してまいります。また、産業振興の重要なツールとして、本年1月25日に本格稼動した高槻市産業情報サイトについては、インターネットを活用したビジネスにつながる情報の流通基盤を目指して拡充事業を実施し、登録事業者の拡大と活用の促進に取り組んでまいります。中心市街地の活性化につきましては、高槻商工会議所が昨年度に実施した関係者のコンセンサス形成事業の成果を踏まえ、本年度にTMO構想(中小売商業高度化事業構想)の策定に取り組む事業を支援してまいります。
 雇用を取り巻く厳しい状況に対しましては、障害者等の雇用促進事業などを実施してまいりましたが、さらに、これまでの労働相談に加え、失業者の生活就労総合相談事業を実施し、失業者の生活再建を支援してまいります。また、緊急地域雇用創出特別交付金については、「雇用創出効果の高いもの」、「新しい産業の振興につながるもの」、「高齢者等就職困難層の就業促進が図れるもの」等の視点で最大限有効に活用し、更なる
雇用就業機会の創出に努めてまいります。
 消費生活につきましては、昨年度に導入した
PIO−NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)を活用し、消費者苦情相談処理体制のより一層の充実を図ってまいります。また、中核市移行に伴い大阪府から権限移譲される計量事務につきましては、業務に必要な検査器具等をそろえるとともに、必要な知識等の習得を図るなど円滑な実施に備えてまいります。
 産・官・学協働のまちづくりの取組みにつきましては、まちづくりにかかわる学生たちの地域研究活動との連携、大学との将来人口推計システムの共同研究開発、さらには、大学事務連絡協議会を通じての共同事業への模索など、大学と地域、行政が、それぞれの理解と協力のもとに、良きパートナーとしての取組みを深めてまいります。

むすび

 以上、平成14年度におきます市政運営の基本方針について、ご説明申し上げてまいりました。
 冒頭にも申し上げましたように、本市は、平成15年1月1日で市制施行60周年を迎えます。今日、私たちがこの時代に身を置くことができるのは、時をつなぎ、歴史をつづってきた先人たちの努力の賜物であり、来年は、市民と共に簡素な中にも厳かに60周年を祝い、飛躍の決意を固めたいと存じております。
 さて、時代は、まさに21世紀の新しい日本を創り出すための叡知の結集と、その努力を強く求めております。
 歴史に学べば、時代の変革期にこそ、古きものと新しいものとの葛藤と、そこから産み出される活力により、社会が変化し、進化することを証明しています。
 今日の先行き不透明な状況のもとで、将来にわたって、責任ある市政運営を行っていくためには、市政全般をよく見渡して、市民の皆さんに十分な説明責任を果たしつつ、施策・事業の選択と集中による、最も効果的な行政を進めていくことが、重要ではないかと考えております。
 そのためにも、職員の一人ひとりが時代の変化を見据え、時代に合った新しいものの創造と、変化がもたらすチャンスに果敢に挑戦し、そして、「21世紀に飛躍する魅力あふれる成熟都市高槻」の実現を目指していくことが大切なことであります。
 私は、「至誠の感ずる所、天地も之が為に動く。」という心構えで、足元を固め、全職員の先頭に立って前へ進んでまいる決意でございます。
 何とぞ、議員各位、並びに、市民の皆様におかれましては、今後の市政の推進に、一層のご支援、ご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、施政方針といたします。