FIP(猫伝染性腹膜炎)について
ワクチンも、根本的な対処法も確立されていないため、一度発病すると、ほとんどが死亡すると言われている恐ろしい病気です。原因はコロナウイルスと呼ばれるウイルスで、このウイルスは猫の体内に入ると血管内を移動して炎症を起こし、その炎症の箇所によって症状が変わることから「ウェットタイプ」と「ドライタイプ」にわけられます。
(※コロナウイルス自体は弱いもので、殆どの動物に存在しています。しかし、他のウイルスに感染したり、激しいストレスを感じる事によって猫の免疫力が低下することにより、体内で突然変異を起こして猫伝染性腹膜炎ウイルスになると言われています)


お腹や胸に水のたまる「ウェットタイプ」
初期には、熱が出る、食欲がなくなる、じっとして動かなくなることが多くなる、痩せて行く、脱水症状、まぶた、鼻、歯茎、パット等に貧血状態が見られるなど。肝障害が強い場合には強い黄疸を起こしたり、嘔吐や下痢や便秘を繰り返すこともあります。
そのうち腹水がたまり始めます。通常は腹部を触診しても痛みは示しません。症状によっては腹部前下方に堅く小さな腫れ物を感じるときもあります。 ウェットタイプの猫の約25%に胸水がたまって、それに伴う呼吸困難が見られます。運動するとすぐに息が切れ、呼吸困難になり、心音および肺音が弱く感じられます。心嚢水が増量してくる場合もあります。


脳神経障害を起こす「ドライタイプ」
特異的な症状が少ないために、FIPであるという診断が難しくなります。 ウェットタイプよりもドライタイプの方がゆっくりと症状が進み、膿汁を含む播種性肉芽腫病変が様々な臓器に生ずるため、それに関連した兆候を伴うことが多いとされています。
慢性的な体重減少、発熱、ぐったりするなどの症状が数週間続いた後、腎臓・肝臓障害、膵臓、中枢神経系、あるいは目に異常が認められることがあります。
また様々な神経症状、例えば、運動能力が落ちたり、後ろ足がきかなくなったり、眼の玉がふるえたり、けいれんの発作を起こしたり、脳神経および末梢神経障害、知覚過敏、頭が前部に傾く、いつもと違う行動をとるようになる(猫の性格が変わった、と思う場合もあるようです)、粗相をする等の症状が見られるようになるかもしれません。
2歳以下の若い猫、10歳以上の年老いた猫、また、他の感染症を患っている猫やストレスを感じている猫がFIPに感染しやすいと言われています。とにかく、ワクチンもなく、感染経路もよくわからないので完治させる有効な治療法が現状では存在しないのですが、症状を緩和・病気の進行を遅らせることはできるので、猫の様子がおかしいと感じたら、一刻も早く動物病院に行く事をオススメします。貧血と衰弱が進んで神経症状が出てくると最悪で、助かる見込みがありません。
多頭飼いなら、一匹が発症すると他の猫に感染する恐れがあるので、早期に隔離して治療する必要があります。


すえきちの場合
誕生日が1999/07/12、永眠したのが2001/07/14、二歳以下の若い猫が感染しやすいと上にあるのですが、まさにそれでした。すえきちは、元々、肝臓の具合が悪く、時折てんかんの発作を起こしていたのですが、投薬と食べ物を変えることで徐々に収まりました。安心してきていたある日、おしっこを漏らすような激しいてんかんの発作を起こし、それ以降、上にある「ウェットタイプ」の初期症状が現れ始めました。徐々に元気がなくなり、ご飯を食べても全部もどしてしまう。
行き付けの動物病院に連れてゆくと、歯茎の色が紫色に変色して貧血状態になっていました。その日は応急処置として点滴を打ってもらって家に連れて帰り、翌日入院させることに。土曜日の午前中、動物病院に向かう車の中で、普段は本当に鳴く事のない猫なのに、やたらと鳴いたのを覚えています。すえきちには自分の死期が近いのが判っていたのかもしれません。その日の昼頃、自宅に動物病院から「吐血しました」と電話が入り、慌てて向かった先で私が見たのは、診察台から力なく垂れ下がったすえきちの尻尾でした。
すえきちの病気が何であったのかを知ったのは、彼が息を引き取った後、数日してから。
死亡後に撮影したレントゲンが、胸水も腹水も溜まった酷い状態だったそうです。そのことからようやく判った病名が「伝染性腹膜炎」でした。私の対処が早ければ、もっと早く病院に連れてゆけば、すえきちは助かったかもしれない。一時的にでも。
ごめんね、すえきち。苦しかっただろうね……。