*** めちゃ長文です ***

焼印が9合目で止まった金剛杖を持って・・・

 

 2002年7月22日22時20分、富士山に登りたい23人を乗せた
バスが大阪梅田を出発。
 夜行バスそのものが初めてで眠れるか不安だったが、前夜の睡眠不足が
功を奏し?グッスリと眠る。
(とはいっても、2時間ごとのトイレ休憩は目覚めたが・・・)

 朝6時過ぎに河口湖畔に到着。7時まで湖畔を散策したあと朝食を食べ
またバスに乗ってスバルラインをはしり、9時半頃5合目着。
 観光客と登山者でごったがえすなか、登山者休憩所の中にある郵便局で
500円貯金をします。

  500円で1ページ分のスタンプなのだぁ〜

 しばらく休憩したあと昼食。朝食からまだ時間がたってないので、ご飯
はオニギリにしてリュックに入れ、オカズだけ食べる。

 11時に登山ガイドの方と合流、行程説明・諸注意のあと体操をして登
山開始。山肌に咲く花の名前などを聞きながら、ゆっくりゆっくりと進ん
で行くと、下方から自衛隊の野砲の演習音が響いてくる。

 天気は曇り空で直射日光がなく歩き易いのだが、道中ウマのフンが所々
に落ちておりその臭いで一気に気分が悪くなる。
 6合目あたりからは頭痛も始まり。前回(平成10年9合目でダウン)
と同じ症状に不安がよぎる。

   えっちら・おっちら・・・

 6合目途中から同行の義姉がバテはじめ、荷物をガイドさんが背負って
行く。本当は同行者が面倒をみなければいけないのだろうが、そんな余裕
はまったくもってなし・・・(-_-;)
 休憩時、ガイドさんがことあるごとに言う深呼吸をして息を整えるが、
頭痛はますます強くなっていくばかり。ただ、ペースの遅さが救いで足だ
けは進められ、氷砂糖を舐め舐め登って行く。

 1時に7合目花小屋(2700m)に到着。ここからは登山道が岩場となり
勾配も急でキツいのだが、次々と小屋があるので直上の小屋を目標に登っ
て行く。8合目直前、MAMAの疲労がピークに達したので、リュックを
受け取りラストスパート。

7合目〜8合目までの小屋

花小屋−日出館−7合目トモエ館−鎌岩館(2790m)
       −富士一館−鳥居荘−東洋館−8合目太子館(3100m)

 午後4時過ぎに今夜の宿泊場「太子館」に到着、外で入館方法について
説明を受けたあと団体で入館。3階左に案内されると、案内の人が客の一
品(私の場合は帽子でした)を取り上げ、寝る場所に置いていく。

 帽子が置かれた場所は、部屋奥2段になった上段の中央辺りで、幅一人
1mあるかなしか、とりあえず足元の棚のにリュックを置き横になる。
と、疲れが頂点に達したかスーッと眠りにはいる。

 ほんの少し寝ただけだけで目が覚め、夕食(カレーライス)ができたと
のことで1階の食堂に下りる。翌日の予定について説明のあと夕食。量は
小学生でも満腹にならないような量だが、全部を食べるのがやっと。それ
でも翌日のことを考えると食べなければ、という気で全部たいらげる。

 食後、金剛杖に焼印をしてもらい部屋で翌日の準備。思ったより水分を
取らなかったので、重量削減に1リットル分のお茶をガイドさんに渡す。

 カッパ・ヘッドランプを枕もとに置いて横になる。スンナリと寝むれる
と思うのが大間違いで次から次へと団体客が到着し、その都度大きな声で
説明があり、人の出入りで寝るというより横になっているだけ、、、

 気分もどんどん悪くなり、気晴らしに外に出ると雲海の上に西日を受け
た白い雲がドラマチック・・・

  富士山から撮ったという雰囲気はないが・・・

 いっとき気分が和むが、部屋に戻って横になるとまたムカムカ。ガイド
さんが言っていた腹式深呼吸をするとマシになるので、ひたすら深呼吸を
する。

 普通ならあれだけ深呼吸すると頭がクラクラするはずなのに、まったく
そんなことがなく酸素が薄いのを実感していると、山小屋の人が見回りに
やってきて言う言葉、、、

「換気のチェックに来ました。誰か気分の悪い人、いませんかー?」
「酸欠になりますから、窓は閉めないでくださいねーーーー」

って、酸素が薄いのではなくて、酸素が無いんと違うん?これは、、、

 眠ろうと思うが眠れず、明日のことがどんどん不安になっていく。
 ここまでで登った高さは3100m−2305m=795m、
         残りは3776m−3100m=676m、
 数値的には残りの方が少ないが、富士山の形を考えると残りの方はキツ
いんじゃないか?などと、いらないことが頭の中を駆け巡る。

 結局、深呼吸だけでほとんど寝られず、11時に出発の準備を始める。
食欲はないが「食べておかないと・・・」という気持ちで、朝食用に昨晩貰
ったレトルト釜飯1袋を、夫婦で分けて食べる。

 昨日から着ていた長袖Tシャツの上にカッターをはおり、上下レインウ
ェアを着用。帽子も毛糸の耳が隠れるものに替え、順番がきたところで外
に出て出発待ち。気温の低さからかいくぶん気分が良くなる。

 小屋から次々と人が出てくるし、下からもどんどん人が登ってくるので
周辺は異様な雰囲気。義姉がリタイヤしたので、22人が揃ったところで
12時過ぎにヘッドランプを頼りに出発。

 ガイドさんの星の説明で空を見ると、ながれ星がひとつふたつ。下方に
は雲の切れ間に、御殿場の町の灯かりが見え隠れし。真っ暗な雲海には月
明かりでできた影富士の姿。
 登山道は沢山の団体が列をなし、休憩ごとに抜きつ抜かれつ進んで小1
時間で元祖室(3250m)、2時に下からずっと見えていた本8合目(3360
m)に到着。

8合目にある小屋

太子館−蓬莱館−白雲荘−元祖室−本八合目−富士山ホテル
       −8合目江戸屋−8合目トモエ館−御来光館

  8合目元祖室の看板 

 本8合目から上はどんど人が増え、数珠つなぎ状態になってくる。疲れ
た人が立ち止まるからか、ペースもガクンと落ち立ち止まってしまうこと
もしばしば。

 ガイドさんは無線で連絡を取り合い、自分の担当するパーティー以外の
動向も確認しながら、周辺に適切なアドバイスをしていく。ちょっと間が
出来たときに聞くと、「今日は、いつもよりかなり人数が少ない」とのこ
と。じゃ、多いときってどんなんやろ???ひぇ〜〜〜
(元気そうに書いていますが帰ってから書いているからで、その時点で
 はヘロヘロ状態でありました。(~o~))

 9合目の鳥居を過ぎるころから後方の空に色が付きはじめ、明るさを増
していく。疲れている人と元気な人の差がますます顕著になり、御来光ま
でに頂上に行きたい気持ちから、元気な人から不満の声がする。

  夜明けまえ

 カロリー補給にMAMAがチョコウェハーを食べている。食べると気分
が悪くなりそうな気がするが、カロリー不足は確実なので1枚だけ恐る恐
る食べる。このチョコウェハーがよかったのか、しばらくすると足取りが
軽くなり、登頂への自信になっていく・・・
(前回9合目でダウンしたので、ここが正念場という気持ちがあったの
 です。)

 9合5勺あたりから最後の岩場となり、渋滞はますますひどくなってい
く。ガイドさんはコース横の高場から大きな声で全体の交通整理。
「体力のある人は、疲れた人を右側から追い越して登ってください」
という指示で、最後の力を振り絞って登っていく。

 4時15分、岩場を上り詰め、頂上の鳥居の下に到着。デジカメで写真
を撮ろうとしたら見ず知らずの人が「撮ったげるよー」と、、、

  頂上前の鳥居の下で、、、

 鳥居をくぐって頂上に上がり、ガイドさんと握手。感無量の思いに、
来て、よかったぁ〜〜〜

 そのあと「富士山頂上奥宮(久須志神社)」で、金剛杖に焼印をいただ
きお守りを買う。そして、御来光待ち・・・

「富士山に登ろう」と思ってから5年、やっと達成できたことにイロイロ
な思いが太陽を待つ間によぎっていく。

  これが見たさに・・・

 そして太陽が見え始めたとき、デジカメで感動写真を撮ろうとしたら、
バッテリーを充電してください・・・
 ま、私の人生こんなもでしょ、、、あはは・・・グス

 沢山の人々が見守る中、平成14年7月24日の太陽が昇り、神社前に
日の丸が掲揚され万歳三唱。

 朝のセレモニーが終わったところで周辺を散策。休憩所で「豚汁」を飲
んだら(おいおい、気分の悪さはどこいったん???)、もう下山の集合
時間(5:15)。

 ツアー客全員が揃ったところで再度、万歳三唱。お釜を覗いたあと下山
道を一気に降りていく。下山道は登りとは違うコースの広々とした砂礫道
で、人が歩くとホコリが舞うのでタオルで口を被いながらの下山。

 8合目まで降りたところでカッパを脱ぎ、しばし休憩。ここからは山小
屋もなく呆気ない道で、キャタピラの荷物用トレーラーや救護用の車が行
き交うなか、何度か休憩しながら降りていく。

 6合目で登り道に合流し歩いていると、昨日あれほどあったウマのフン
がない?と、途中に車が止まっておりガラスに「馬糞清掃中」との張り紙
が・・・
 そら、天下の富士山や。登山客にゴミの始末を言うくらいやったらウマ
のフンの清掃は当然やわな。ただ、できればもう1日早くしといてほしか
った(~o~)

 9:15、無事5合目に下山。喜びと何故か寂しさの混じったなか、ガ
イドさんとお別れ(ガイドさんは午後からまた登るそうな・・・)、その
あと小1時間走ったところの温泉で汗を流したあと昼食。

 帰りは中央道を通って、21:00に梅田に帰阪でありました。

 富士山に登ったからといって、何も変わるものなし

 ただ、私の人生に思い出がひとつふえただけ、、、

 

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