スカッパーの便利な蓋

イケスの排水口

 アカシヨットEK-320の生簀用スカッパーは画像のタイプ(イケダ式)が標準で装備されていました、他社製のミニボートにも同じタイプの物が多用されている様です。
 1穴式は排水専用として取付けられています、要するに船底側の突起部分に依ってボートを走らせた時の水圧差を利用して排水させています、ボートを走らせると排水、停止させると水圧差は無くなりイケスは吃水レベルとなります。
 イケスに2穴口有るタイプは給水用と排水用として突起の方向が反対向きに取付けてあります。
 通常イケスを使用する際、お魚さんが酸欠にならない様に停船中は蓋を開けています、しかし移動でボートを走らせる時には蓋を閉めなければなりません、しかし!これを繰り返すのが手間です!
 1穴タイプは蓋が開いていると走行時に排水してしまうのでイケスの水が無くなりお魚が干上がってしまう、更に水が無い状態で波等でボートが叩かれた時、噴水の様に潮吹きする。2穴タイプも同じ事で給水側、共に開けて走行すると給排水量のバランスが完璧で無い限りイケスが干上がるか、溢れ出すか、どちらかになってしまう様です。

L型のイケス蓋

 そこで、この様な物を作ってみました、エンビ製の水道用管継手エルボを加工。
 ボートを走らせた時にイケス内の水が全部排水されないでエルボの高さのレベルまでが、排水されないで残ってくれる、そして直管ではなくL型なので潮の吹き上げを横方向に抑えてくれる。
 もちろん2穴式のイケスにも適用出来る、排水側にこれをセットすれば良い。つど都度の蓋の開け閉め作業から開放されるのだ。

仕様

 もっとも、エルボを取付けるだけなら純製のスカッパーの蓋に穴を空けてエルボを直接に接着してしまえば簡単に製作出来そうですが、それでは栓が出来なくなる為に純製品をもう一つ購入する事になりますし、すでにエルボ仕様の物が販売されていますので意味が有りません。それと純製品の蓋はどうもゴムパッキンの座り(タッチ?)がいまいちで、ねじ込み方によっては水漏れを起します。
 そこで蓋そのものを製作する事にしました、純製の蓋を使用しないで栓も出来る仕様にしました、栓蓋は市販品で掃除口VP-30にしました、画像右のエルボ20Aサイズ一番小さい物が蓋と兼用のタイプ。中央25Aと左30Aサイズの物は酸欠防止の目的で試作した物で蓋は出来ない。

蓋との兼用タイプ

 兼用タイプは画像中央のベースネジ部分をボートのスカッパーに取付けたままで栓蓋かエルボかを付け替える。
 エルボの給水口には小魚が吸い込まれない様に格子を装備してみました。
 しかし開口径が小さい為に流水量が少なく、酸欠に成りやすいのが大きな欠点です。

L型レベラー(イメージ図)

 さらなる進化形状とは
1.酸欠防止の為の大口径40Aを使用。
2.確実なレベルの確保とレベル調節が出来る様に直管部分を設けた。
3.吹上げ防止のL形状。
4.小魚吸込(落ち込み)防止の格子。
5.イケスを使わない時の確実な水密性能。(漏れない蓋としての機能)
6.パーツを一体化。 ・・・とは・・・

 イケスを使わない時はを、使う時にはレベラーを設置、の別部品ではなく、両者を一体化させる事で、使わない時はレベラーに蓋のまま常時設置しておき、使う時だけは蓋を開ける、の方が便利です。
 ただしイケス全排水する時にはいったんレベラー本体をスカッパーから取り外さなければなりません。

L型レベラー

 上記のイメージより製作したレベラーの現物画像です、これでレベルは約100ミリ有ります。

 使用状況で最適なレベル(高さ)は異なりますが、私のパートナーの一人乗船の場合は少し高すぎる様なので、パイプ部分ををカットして約50ミリで使用しています。
 そして、給水側にも設置しています。こちらは循環性能重視で最短の35ミリとして、潮の吹き上がり防止と、蓋をした時の水密性を確保する為です。

謎のノズル

 更の、さらに、イケスの為のお便利アイテムです、イケス残水の完全排水が出来る、お掃除ノズル。
 適用方法は次項を参照して下さい。

 パートナーのイケスです、左上側が排水側で、右下側が給水側のスカッパーです。
 給水側は蓋を閉め、排水側はレベラーを外した状態でボートを走らせて全排水しようとしてもこれだけは排水しきれません。
 通常スカッパーはイケス最底部分に配置出来ない為に排水口より低い場所には水が残ってしまいます。
 画像では残水が見難いかもしれませんが4〜5リッターは有りそうです。アカ汲みなどでくみ出すには苦労ものです。
 そこで排水スカッパーの吸引力?を利用して残水を処理します。

1.先ずL型レベラーのエルボ部分とベースパイプ部分とを外してベースパイプのみを排水スカッパーにねじ込みます。(画像下・・・レベルの高さはは5センチの物です)
2.次に取り外したたエルボに蓋の代わりに謎のノズルをねじ込んでセットしておきます。
3.ベースパイプに2.の、ノズルをセットしたエルボを押込み、ノズルの口先を残水の気になる部分へ向けます。
4.ボートを走らせると、残水はノズルを通じてスカッパーに排水されます。
 残水はほば全滅!
5.ノズルはフレキシブルなので吸い終ったら上向きにします。口先を喫水より上げてしまえば停船しても逆流しません。
 残水は布で拭き取れる程度しか残りません。
 尚、画像ではゴムキャップを付けているのは滑走時に空気を吸込んで魚探ソナーの妨げに成らない様にする為です。
 各パーツの分解した状態です。
 謎のノズルとは、本来は主に金属等の切削加工時に発生する熱を冷却させる為に水、又はオイルを切削工具に吹付ける為のノズルとして開発された物です。商品名は”クーラントノズル”サイズは最大径の3/4(インチ呼び6分)です。樹脂製で
自由な方向にセットする事が出来ます。
クイック式の蓋

 栓蓋の部分は水密性を確実とする為にねじ込み式なのですが、この、ねじ込み方式その物が面倒(手間)と感じた為に”パッチン”とクイックで開け閉め出来る物を製作してみました。これなら蓋が外れないので何処かへ行ってしまう事も有りません。
 排水側にはお掃除ノズルを使う為に適応出来ませんが給水側には常時設置しておけます。

 水圧に耐えられる様に設計した為にヘビーな物に成ってしまいました。
 蓋部は透明ペット樹脂、アーム部はMCナイロン樹脂、ヒンジピン、ネジ、スプリング部はステンレス素材を適用、製造コストは計り知れない代物。