面白いものを発見した。 特に用もなくリビングに来てみたら、学園都市第一位が幼女と手を仲良くお寝んねしてるのだ。 ある意味ではもう見慣れた姿ではあるが、すっかり平和ボケした一方通行の姿は愉快なものだ。 番外個体の悪戯心が躍る。


「仲睦まじいのも結構だけど、油断大敵ってねー」


 ソファの背もたれから覗き込む番外個体の手には、携帯電話がひとつ。 ちなみにカメラ機能は起動済み。 ありきたりな悪戯ではあるが、悪意の塊である自分が楽しめる材料が手に入るのならば、なんだっていい。 さて、どんな反応を示してくれるのか。 心底愉快そうな彼女は、何も知らない穏やかな寝顔を液晶画面に納めるが、シャッター音は響かなかった。 番外個体の視線の先には、しっかりと絡め合ったふたりの手。


―――今までだって、たくさンあった。


 なぜその一点に意識が集中したのか。 なぜ第一位と手を取り合った時のことを思い出したのか。 自分自身のことなのに、この無自覚な行為の意味が分からない。


「最終信号となら、ねぇ」


 ぽつりと呟くと同時に、携帯電話を構える番外個体は手はそっと下ろされた。 なんだかこのままではくやしくて、八つ当たり同然に一方通行の頬を指で押してやると、その眉間に皺が寄った。 抵抗するかと思ったが、それでも彼の手は打ち止めから離れない。 なにが今までだってだ。 正しくはこれからもずっとじゃないか。 まるで興味をなくした玩具から離れるように、番外個体はその場を後にした。 「つまんないの」

絡まない指先