TUBE(真空管)&CAP(コンデンサー)

TUBEにまつわるお話

この「真空管」というジャンルには昔から「オーディオマニア」と呼ばれる方々がおられ、
その知識のすごさにはとてもついていけません。
そこで、ここでは主に楽器用のアンプに使われるものに限定して
取り上げてみたいと思います。
ただ、この世界にも、FENDERに代表されるアメリカ系とMARSHALL VOXなど
イギリス系があるのですが、かなりアメリカ寄りの取り上げ方をしていることをお断りしておきます。

楽器屋でも扱っているところは少なく、大阪日本橋でも専門店は数軒を残すのみ。
流通は完全にNET上が主流のようです。オークションや個人サイトなどです。
もちろんNET上のことですから「大丈夫かな?」と思う部分も多いのですが、
オークションサイトなんかで評価の定まった人から買ってるうちは心配ないと思います。
そういう人はSTOCK量も十分ですし、相場もよくご存知ですから無茶な値で落ちるとも思っていません。
ちゃんと複数用意しておいて、この値で落としてくださいという姿勢がはっきりしています。
私の場合はオークションで知り合って、物と相手が信用できる人とは、もうオークションを通さずに
直接やってます。手数料要らないし、他人さんとの絡みも無くなるので気が楽です。

さあ それでは紹介していきましょう
なにぶん素人なものでひょっとしたら正確でない記述があるかもしれません。
気が付かれましたら教えてくださいね。


【パワー管】

   一般的にTUBEといえばこちらを連想することが多い。但し音色自体は下で取り上げるプリ管が
   担っている部分が大きい。
   
6L6GC
      RCAが戦前の1936年に開発したビーム管。
      1936年というと昭和11年!!
      日米がきな臭いムードになって最悪のシナリオがスタートする
      5年も前です。恐るべし 真空管の歴史。

      当初はメタル管(19W)だったが
      ガラス管になり、どんどん出力アップした。
      最終型といっていいのがこの6L6GC。1本あたり30W。
      写真のものはGEとRCAのもの。

      RCAのものは「ブラックプレート」と呼ばれるプレート部分が黒く塗装されているもの。
      一部マニア間では高値で取引されていますが、じゃあ音がどう違うんや!といわれても
      わかりません。???

      まあ宗教みたいなもので、「これが最高!」という人がいるということ。 
      ワタシもたまたま買ったバイブロラックスに挿さっていたのを持っているだけで、新たに買おうとは
      思いません。   
       もっぱら使っているのは下に出てくるphillipsの5881です。これで十分じゃないかと思うのですが。
      

   
6L6GA
      コーク管と呼ばれる(コーラの瓶のこと)形状が特徴的。
      出力は1本あたり19Wです。カーボン処理されていてプレート部分が目隠しされています。
      写真のものはSILVANIAのもの。
      アメリカ系の真空管はバージョンアップするたびにA⇒B⇒Cと記号が変わっていきます。
      6L6ですと 無印⇒GA⇒GB⇒GC となっていきます。   

      JANというのは軍用ということです。いわゆるミニタリースペックで若干耐久性や耐震性に
      優れているといわれていますが。
      そこはやはり真空管。壊れる時は壊れます。
      そこで補修用に軍はメーカーに安定供給を求めます。
      メーカーからは白箱や茶箱といったメーカーの化粧箱とは違って味も素っ気もない
      箱に入れられて大量に出荷されたわけです
      何しろ通信手段はまだまだ無線機だった時代、真空管を初めとするパーツの安定供給が
      戦果や命をも左右する。 立派な軍需産業です。
      しかし戦地での情報機器としての通信機と「ROCK!」と叫びながらつまみを10までまわしきる
      アンプの真空管が全く同じものというのも皮肉なものです。、
      
      そうこうしているうちにベトナム戦争も終わり、70年代に入ってくると時代はトランジスタへ。
      このメンテ不要、交換不要の部品の台頭で、ありとあらゆる機器から真空管は駆逐されていきます。
      そして大量に備蓄されていた真空管は不要のものとなり、定期的に市場に放出されていきます。
      これがNOS(NEW  OLD STOCK)  これらを有難がったのがオーディオマニアやギタリスト。
      真空管を喜ぶ人種はこの2種類しかいないと言っても過言ではないでしょう。
      特に極端なのがマーシャルをはじめとするアンプで大量にTUBEを消費するハードロック系ギタリスト
      常にパワー管でオーバードライブさせないと気がすまない彼らは常にアンプの性能の限界でTUBEを
      酷使します。火を吹くアンプもしばしばだったとか?
       このマーシャルで主に使われていたのが、ヨーロッパ系のEL-34で
      イギリスのムラードのものが最高といわれていますが、悲劇だったのは
      オーディオマニアもマーシャルマニアも同じものを欲しがった事です。
      あっという間に値段はつりあがり、物自体もあまり目にすることが無くなってきました。
      
      いまやNOSも少なくなってきました。 一部銘柄にはプレミア的価格がつけられて高値取引されています。
      しかし、軍から放出された時には一山なんぼでとんでもなく安く買っている人がいたことをお忘れなく。
      当時から現在までの中間に存在する「誰か」がかなり儲けているわけで・・・・・・。
      相場以上の極端な値段のものには絶対手を出すべきではありません。
      所詮 ギター弾きにとっては消耗品ですから。
      
      ちなみにこの6L6GA(GAYというのもある)は6L6系のアンプに挿し換えることで
      デラックスリバーブのような6V6フィーリングに変更することができるようです。



   
5932
      もとは軍用に開発された高信頼管。(らしい)
      ベース部分が大きくて茶色(いわゆるマイカノールベース)
      写真のものはSYLVANIAのもの。  21W。
      ブラックプレート。写真のタイプは後期のものだそうで、放熱用の丸い穴が特徴。

   
5881(6L6WGB)
      ちょっと小型の6L6。 TANGSOLが開発元だがNOSで買うことは難しい。
      現在手に入るのはPHLLIPSの軍用管やロシア製。
      写真はphillipsのもの。 JAN6L6WGBの表示ですが、5881と同じです。
      TWEEDのBASSMANやマーシャルのJTM−45はこのパワー管でした。
      1本あたり23W 上記のアンプは2本使用ということで約45Wですね。
      
       いま6L6系のアンプを使っている人でパワー管の挿し換えを検討しているなら、
      これを薦めたいです。 出力も6L6GCより低めで早めに歪み始めるし、
      結構ブルージーな印象です。ちょっとお安く流通してるのも良し。
      普通の6L6GCは独特のクオーンという感じのコンプレッションがかかったような音になるのですが、
      そこから歪ませようとするとまだまだVOLを上げないといけません。 
 

   
6V6
      このパワー管が使われているもので最も有名なのは、FENDERのデラリバこと
      DELUX REVERBでしょう。  このアンプ実は最高の歪みを持つアンプとして
      有名で、VOLつまみ6ぐらいからもう歪みはじめます。
        
      FENDERのアンプがクリーン専門のように言われているのは間違い。
      同じ6V6を使っているプリンストンもチャンプもギンギン歪みます。   
      ちなみにブラックパネルは歪むがシルバーパネルは歪まないと言うのも嘘。
      試しに70年代のデラリバをVOL8〜9〜10ぐらいまで上げて弾いてみてください。
      
       塩次伸二さんがライブ用に車で持って回っているアンプもデラリバでした。
      和歌山に来られたときにちゃっかりアンプの裏を覗かせてもらいましたが、
      ちゃんとTANGSOLの6V6でした。 さすが。  


   
EL-34
      上で書いてしまいましたがヨーロッパ系を代表するパワー管。
      真空管としての成り立ちは6L6とよく似ています。
      イギリスではムラード ドイツではテレフンケン シーメンスといったところが代表的。
      形も角ばっていたり丸かったりメーカーの個性が出ている球です。 
      
      我が家には1台真空管式のオーディオアンプがあるのですが、こいつはEL-34のA級動作。
      2本ですが1CHにつき1本なので、出力的には出ていません。15W+15Wぐらいでしょうか?
      家でレコードやCDを聞くのには十分な音量です。
      一体街で売ってる200W+200Wなんてアンプをどうやって家で鳴らすのでしょう?謎だ。
      写真はテレフンケンとシーメンスです。

   EL-84
      これなくしてVOX〜マッチレス〜BADCATの流れはなかったであろう、小さいけど偉大な真空管。
      オーディオマニアの間でもこの球への愛着は強い。
      形状としてはプリ管を少し大型化したような感じ。  ベース部分無し。

   
6550
      一時マーシャルで使われ 後にブギーでも使われた大きなタイプ。なぜかハードロックご用達みたいな
      扱いを受けていますが、パワー管としては決してそんな極端な性格ではないはずです。
      あくまでイメージ的なもの。 




【プリ管】

   ちっちゃいけどアンプの心臓部。初段のプリ管が出音の印象を決めているといってもよい。

   
12AX7
      楽器関係では最もなじみの深いプリ管。
      最近 宅録関係の人に人気のTUBEを使ったマイクプリアンプにも1CHにつき1本
      これが使われています。
      また、これまた最近流行のTUBE式のペダル式エフェクターにもいかにもTUBEがありますよと
      外に露出するように配置されてたりしてます。
      イギリスではECC83と呼ばれます。最も初段の増幅回路に使われることが多いTUBE。
      歪み過ぎるときは、下の5771なんかを使って少しゲインを下げたりします。
      写真はいろいろなメーカーのものです。中のプレートの形が微妙に違うのがわかりますか?      
       

   
12AT7
      ギターアンプではAX7に次いで結構使うことの多い球。 
      フェイズインバータ−用として、またリバーブのドライブ管として。
      CV4004なんて番号のものも同じものです。 


   
12AU7
      オーディオの世界でプリ管といえばこれを使うことが多い。
      ゲインは低く歪みにくい。
      これを利用してすぐ歪んでしまうアンプの初段にあえて差し換えてクリーン志向のアンプに変身
      なんてことも可能です。
   
12AY7
  5771

      結構重宝するプリ管です。 歪みをあまりアンプ自体で追求しない場合はかえって初段のゲインは
      ノイズ対策の上で困った存在です。  そこで5771。 こいつに換えることでゲインは3割引き。
      ついでにちょっとだけノイズも減るというわけ。
      SRVは初段にGEの5771を使っていたらしいのですが、これは多分クリーン用の
      バイブロバーブに使ったと思われます。ダンブルは絶対12AX7。
      写真はGEの5771です。
   
   
   
【整流管】
   
5U4GB  5U4G
       一応写真ではRCAの5U4GBとロシアのスベトラーナの5U4GをUPしておきますが、
       この辺は音にはどう関係が出てくるのでしょうか?わかりません。
       この辺 詳しい方がおられたら教えて欲しいのですが・・・。
       ものとしてはスベトラーナ社のもののほうが凝った造りをしていて高級に見えます。
       プレートを上下からスプリングで吊り下げたような構造をしています。  
   
   
GZ34
   
 CAPにまつわるお話  
   CAPとはキャパシターつまりコンデンサーのこと
   コンデンサーは一時的に電流を蓄えて、それをちょっとづつ
   放電していく働きをします。
   詳しいことはその筋の方に聞くとして、その性質を利用して
   ギターやアンプではTONE回路の中でハイカットフィルターとして
   一定以上の周波数帯をカットするのに使われています。
   これまたいろんなメーカーがいろんな構造のものを作ってまして
   それぞれに、数値が有るもんですから、諸説紛々。
   あれが良いこれが良いと、色々言われても結局は音というのは
   好みの問題なので、最終は自分の意見が絶対です。
   但し、知っておいても、損はないかな(得も別に無いけど)
   と思って、新しいのから古いのまでいくつか仕入れてきました。
   安いものですしね。【日本橋秋葉原では楽器業界ルートの
   半値以下で売っています】

   ヤフオクなんかですとスプラグのバンブルビー50年代!とかで
   とんでもない値段がついていますが、絶対そんな値段で買っちゃ
   だめでっす。いくら50年代のギブソンに使われていたからって、
   たかが消耗部品に大枚はたくなんて・・・・
   ちなみにコンデンサーは劣化します。使ってようが使ってまいが。
   野菜みたいなもんです。 
   腐りかけの食い物がうまいという人もまれにいるのですが、
   実際電子部品というのはどうなんでしょう?
   果たしてビンテージやNOSには価値があるのか?
   そんな実験をしてみようというわけです。