テイルズ オブ ファンタジア
第一話「新たなる敵」
青い空が広がる下に青年はいた。
かつて魔王ダオスを倒した六英雄の一人、『妖精弓の射手』の二つ名を持つ『チェスター・バークライト』。
彼は、かつて黒騎士団に襲われ殺された人達の眠る場所、ユグドラシルの森の近くに来ていた。
チェスターと、彼の親友『クレス・アルベイン』が作った墓標。
そこには、真新しい墓標が設置されていた。
「・・・元気か・・・クレス?」
墓の主・・・
それは、チェスターの親友『クレス・アルベイン』と、クレスの妻『ミント・アドネード』のものだった。
それは一年前・・・
クレスの家が謎の大火災にあった。
あとには燃え残った家の破片と、誰か分からない二体の焼死体のみ。
身に着けているものから、クレスとミントの者だと判断し、その事件は終了した。
同時刻・・・
「うおおおぉぉぉぉぉ!!!」
青年が屋敷の中を走り回っている。
青年が走り去ったアトに散らばるのは無数の死体のみ・・・
そして青年は最上階にあるであろう部屋にたどりついた。
開けようとしてもドアに鍵がかかっている。
ザシュ!
青年は持っていた剣で扉を切り捨てた。
そこで青年が見たものは・・・
「おい、早く運べ!間に合わないぞ!!」
今まさに飛び立とうとしている飛空挺だった。
「くっ!」
青年が飛空挺に乗り移るより早く、飛空挺は高度を上げて飛びたっていった。
「残念だったな。もう少しだったのにな!」
不意に後ろから声が聞こえた。
青年が後ろを振り返ると、目の前には十数人の兵士と一人の科学者だった。
「そろそろお前も死んだらどうだ・・・死神よ」
科学者風の男が青年に話しかける。
そして科学者が手をパチンと鳴らすと、構えていた兵士が一斉に飛び掛った。
「・・・・真空・・・破斬!」
遥か間合いの外で、横薙ぎに青年の剣が青く一閃した。もちろん剣は兵士達に届いてない。しかし・・・
どぱぁ、と放射状に兵士の腰の辺りから後ろに向かって血が飛び、兵士達の足は止まり、
ずるり、と上半身が腰のところでずれて、腰から上だけが前のめりになって地面へと落ちた。
置物のように立つ兵士達の下半身の足元に、見る間に血溜りが出来ていく。
「そ、そんな二十人の兵士を一撃で・・」
青年はつかつかと、男のもとに歩み寄る。
「ま、まて!私を殺すとあの飛空挺の場所が分からんぞ!それでも・・・」
男はそれ以上言葉を言うことはできなかった。
青年が、男に剣を突き刺したのである。
そして、青年の周りに光が集まったかと思うと・・・
青年はその屋敷から姿を消したのであった。
「んで・・・・そろそろ出てきてもいいんじゃないかい?」
私は、木陰に男達に話しかけた。
「クラース・F・レスターだな?」
「さぁね、人違いじゃないのかい?」
多分、はぐらかしても無駄だろう・・・
「まぁ・・・いい」
「私達が造る世界のために・・・死んでもらう!」
やれやれ・・・面倒だな。
「・・・この指輪は御身の耳、この指輪は御身の口、この指輪は御身の目・・・
我が名はクラース。指輪の契約の元、この儀式をつかさどるもの・・・・
我伏して御身にこい願わん。来たれ四大精霊の一人・・・
イフリート!!」
巨大な炎の塊が、男達に襲い掛かる。
「意外とあっけなかったな・・・」
私が帰ろうとしたその時・・・・
「フフフフフ・・・・
召喚術か・・・。思ったより強力ではないようだな・・・」
バカな!?殺さない程度にしたといっても動ける程度の傷ではないはずだ・・・
「貴様・・・何者だ!?」
「・・・黒騎士団」
黒騎士団・・・
どこかで聞いた気がする。
まぁいい。それより問題はどうやって倒すかだ・・・
イフリートが効かないとなると・・・逆属性のウィンディーネか最上級のオリジン・プルートを召喚するのが妥当だろう。
「まぁいい。今日はこれで引き上げよう」
どういうことだ・・・・?
「貴様・・・何が目的だ?」
どうにも真意が読めん。何を考えている?
「別に・・・貴様などいつでも倒せる。
まぁ、余生をせいぜい楽しむがいい」
そういうと、男は私の前から姿を消そうとした。
「あ、そうそう。貴様と共にダオスを倒した六英雄。
『クレス・アルベイン』『ミント・アドネード』『チェスター・バークライト』『アーチェ・クライン』 『藤林すず』
この五人にも追っ手を差し向けている。
運がよければ天国であえるかもな・・・」
そういって男は私の前から、文字通り『姿』を消した。
「・・・時空転移?」
何が起こってるんだ・・・・?何が?
「さてと・・・そこの奴!出てくるか立ち去るか、どっちかにしな!」
俺は、墓場から付けてきている男に向かっていった。
「チェスター・バークライト・・・だな?」
「それがどうした!」
「死んでもらう!」
おいおい、死ねっていわれて死ぬ奴がいるかよ。
「弓術奥義!震天!」
俺の矢は、まっすぐ男に向かっているはずだった・・・
それなのに・・・・
「何処を狙っている・・・」
そんな・・・矢の起動が・・・当たる前にそれた!?
「こないのか?ならば・・・こちらから行くぞ!!」
男は手に持っている剣を振りかざし向かってきた。
「くっ!」
この男・・・出来る。
クレスと同じ・・・!?いや、それ以上かもしれない!
「あっ!」
俺は気がつくと壁に追い詰められていた。
「クククク・・・ぬるい。あの六英雄がこの程度とはな・・・
これならば、わざわざ倒す必要もなかろうに・・・」
やられる。俺は直感的にそう思った。
「・・・やめろ」
男の後ろから、聞き覚えのある懐かしい声が聞こえる。
「・・・貴様か?クレス・アルベイン」
「これ以上、誰も傷つかせない!」
クレス・・・
本当にクレスなのか?
なぜ今まで顔を出さなかった。ミントは?今までどうしていたんだ?
様々ば思いが頭の中に思い浮かぶ。
「ふ、さすがに六英雄二人だと分が悪い・・・さらばだ」
男はそういうと光に包まれて消えていった。
「クレス・・・」
「・・・・」
「おい、クレス!」
「・・・」
クレスも同じように光の中を消えていった。
「時空転移か・・・?」
今、どこか俺の知らないところで、何かが動き出してる。
そんな気がする・・・
アーティの感想
クレスがダークっぽいのが嬉しい!
なんか、時空転移も使っていますし、エターナルソードを再び手にしたのでしょうか?
次回に期待です。