トーティス村のある日
「お〜い。こっちの材木がたりないぞ!」
俺は遠くに見える相棒に向かって叫んだ。
「あ、すぐ持って行くよ!」
ここは、新トーティス村予定地だ。
あの黒騎士団に襲われたとき、なんとか生き延びたトーティス村の住民と協力し、どうにか村らしくなってきた。
「お疲れですか?チェスターさん」
「体力ないわね〜」
ふと上を向くとミントとアーチェが上から見下ろしていた。
「うるせぇ!大体朝から働きっぱなしなんだぞ!!」
「でも、クレスは元気そうじゃん!」
「あいつの体は異常なの!周りを見てみろ!」
俺は、周りにグテッとなっている人達を指差した。
「チェスターさん。クレスさんを呼んできてください。そろそろ休憩にしましょう」
ああ、それがいい。
俺もそろそろ限界だ。
「じゃ、ちょっぴり行ってくるか。他の奴らは先に休憩してていいぜ」
辺りから歓声が飛び交う。
俺は、クレスのいる森の中へと急いだ。
「ここにいたのか・・・」
クレスは、あのたびの始まりの場所。世界樹の前にいた。
「ああ、チェスター・・・。どうしたんだい?」
「そろそろ休憩だとよ」
「そうか・・・」
「どうしたんだ。こんなところで?」
「今日、呼びたかったなぁ、ってね」
「クラースの旦那達のことか?」
「うん。元気にしてるかなぁ」
「そうだな・・・。ミラルドさんの尻にしかれてるんじゃないか?」
「ハハハ・・・そうかもね」
「あの旅・・・本当だったんだよな?」
「ああ」
「時々夢だったんじゃないかなぁって思うんだ。でもこのユグドラシルを見てると夢じゃなかったって実感できるんだ」
「そうだな・・・。
さぁ、早く行こうぜ!夜までに完成させないとな」
「ああ」
そうして俺たちはユグドラシルを後にして、トーティスに帰っていった。
−夜−
「おめでとう。ミント!」
「幸せにね!」
俺は、人垣に囲まれてるウエディングドレス姿のミントを見た。
「えらく人気者じゃねーか。お前の奥さんはよ」
「おいおい、からかうなよ」
あ〜あ。真っ赤になっちゃって・・・
見てられないね。
「おらおら、退いた退いた!
花婿様が通れないだろう!!」
今日はクレスとミントの結婚式だった。
「ほらほら。始まるぞ!」
仲人ではなかったのが残念だが、俺は司祭役をすることになった。
大体、司祭って柄じゃねーだろ?
あれだけ騒がしかった式場も今では静かになった。
誓いの言葉。指輪の交換。そして誓いのキス・・・
「ようやく終わったな・・・」
「ああ、ありがとうチェスター。アーチェ」
「気にしない、気にしない。仲間でしょ?」
周りにはもうだれもいない。
帰宅しようとしたその時・・・
「なんだ、もう終わったのか!?」
不意に聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。
「ク、クラースさん!?」
「クラースの旦那!?」
「お久しぶりです。皆さん」
後ろにいたのはかつての六英雄、クラース・F・レスターと藤林すずだった。
「そうしてこんなところに!?」
「いや、匿名希望で今日クレスとミントが結婚式をやるって聞いたもんだからね、すずちゃんと相談して今日だけはってことで飛んできた訳」
「匿名希望って・・・」
言わなくても分かる。
後ろで苦笑いしている赤毛の女だってことは・・・
「いや〜まさか本当に来るなんて(笑)」
「くるなんてね〜(笑)じゃなくて!
一体どうやって?」
「何ってトール使って、パッとすずちゃんとクラースの所に招待状届けたのよ!」
おいおい、確かトールはミッドガルズが管理してるんじゃなかったのか?
「まぁ、いいじゃないかクレス。クラースの旦那も長くはいられないんだし・・・な?」
「・・・そう・・だね」
「よし、じぁあパ〜ッと盛り上がろう!」
お前の頭はいつも盛り上がってるじゃねーか。
「何か言った?」
「別に・・・」
俺たちはいろんなことを話した。精霊達は元気か、今、どう生きてるかなどを・・・・
翌日、クラースの旦那とすずちゃんはもとの時代に帰っていった。
クラースの旦那が帰り際に言ったこと、
(次は会うのはお前達の時だな)
さて、どうしますかね・・・
アーティの感想
赤毛の人、恐るべし。
来るなんて(笑)って言って、自分は? みたいな感じです。
っていうか、赤毛の人ってアーチェでいいんでしょうかね?