船 eoさんの旅ノート  

 

   ダイヤモンド・プリンセス号で行った

     アラスカクルーズ  

 

胸わくわくで乗船  バンクーバーのカナダプレイスで


 

 阪急トラピックス のパッケージツアー 「『ダイヤモンド・プリンセス号』で行く大自然の芸術-壮大な氷河アラスカクルーズ11日間」に参加した。2006年6月9日(金)から2006年6月19日(月)までの11日間。添乗員付きのパッケージツアーなので、ツアー参加者は24人。
 30年ほど前にアラスカ旅行をしたことがあるが、その時は陸路だった。今回の旅は海から見るアラスカだ。前とはまた違った印象もあるだろう。それに、なにより、"豪華客船"でのクルーズというものに一度行ってみたかった。だが、行ってみると、"豪華客船"がどうというよりも、海から見た氷河のダイナミックな美しさを堪能した旅となった。

6月9日
 関空発 エア・カナダでバンクーバーへ。日付変更線を越えるので、同日午前10時頃バンクーバー着。
 このツアーには半日のバンクーバー市内観光が付いている。  グランビルアイランド、スタンレーパーク、ガスタウン、チャイナタウン等を観光。  宿泊ホテルはフェアモントホテルバンクーバー Fairmont Hotel Vancouver。
 船の停泊場所であるカナダプレイスは目と鼻の先なので見に行く。私達が乗るはずのダイヤモンド・プリンセスはいないが、他の巨大な客船が停まっていた。

6月10日
 バンクーバーのホテル出発前に添乗員から入船手続きについて説明を受け、書類に必要な署名などする。
 11時過ぎにホテル発、船が出港するカナダプレイスへはあっという間に到着したが、乗船客を乗せた他のバスとの順番待ちで、しばしバスの中で待つ。
 ここでアメリカ入国手続き等、待ち時間もあって2時間ほどもかかる。
 入船手続きでクルーズカードをもらう。この時、顔写真を撮られる。クルーズカードの情報に顔写真のデータもあるらしい。このクルーズカードは、キャビンの入室キー、寄港地での乗下船カード、アルコール料金の支払い等のクレジットカードの機能ももつ、いわばIDカード。船の生活で非常に重要なものである。
 乗船前にダイヤモンド・プリンセス号の全体写真を撮ろうとするが、船が大き過ぎて1コマに入らないので船全体の写真は諦めた。
 指示に従って乗船、すぐにキャビンに入る。 私達のキャビンは10Fの334号室。海側バルコニー付き。折角のクルーズだからと、少し奮発してバルコニー付きのキャビンを選んだ。

 キャビンに入って私達が最初にしたことは、トランクを開けていくつかの衣類を取り出し、アイロン室に急ぎ、それらにアイロンをかけること。
 ドレスコードがあるということはそれなりに楽しみで、普段は着ない種類の衣装をこの際に楽しもうと、通常の海外旅行では絶対持っていかないような一張羅をトランクにぎゅうぎゅうに押し込んできたので、多分、それらには皺ができているに違いない。当然、アイロンをかけねばならない。この船にアイロン室が各客室階に設置されていることは既に確認済みである。
 何故急いだか? アイロン室は各客室階に1つしかない。乗客が2000人を超えることを考えると、アイロン室を使うつもりなら急ぐにこしたことはない。案の定、アイロンを終えて出ると、待っている人達がいた。

 14Fの24時間ブッフェHorizon courtで昼食の後、ツアーグループで再集合して、添乗員が船内案内。
 私達のグループは添乗員付きのパッケージツアーだが、船上では基本的にはグループ行動ではないので、添乗員やツアー仲間と顔を合わせるのは、グループで予約してある夕食の席ぐらい。夕食を自分達だけで摂るのなら、それもない。
 添乗員が『阪急かわら版』と銘うった船内紙を毎日作って配布してくれるのが、添乗員と私達との連絡ルートである。夕食はどのレストランで何時に予約してあるとか、今日のおすすめの船内イベント、寄港地や見所案内、そして今日の添乗員はどこにいる等の情報を知らせてくれる。これとは別に、船の日本人コーディネーター作成の日本人向け船内新聞『Princess Patter』が毎日配布される。これは、イベント内容等が添乗員作成の船内紙よりも詳細に載っている。更に、オリジナル『Princess Patter』、英語で書かれ、全乗船客に配布されるものがある。これには、どこそこを何時に通過等、船の航行に関する詳細も記されている。

 この船ダイヤモンド・プリンセスは2004年に建造された比較的新しい船。総トン数は116,000トン、全長が290m、全幅は37.5m。屋上のスカイデッキを含むと15階建てのいわゆる巨大客船である。乗客定員は2,670人で乗組員数が1,200人超。乗客定員と乗組員数の比率からみて、プリンセス社の船の中では、まあ、中級クラス。
 

プール
 最上階の甲板を船の先頭部から後方に向かって移動していて、だいぶん歩いて、煙突のようなものを見上げてやっと端まで来たゾと思ったら、そこはまだ船の全長の半分だったのには驚いた。

 さすがに広く、大きい。
 何がどこにあるか覚えたころにはもう下船だろうな。  

← 屋内プール 楽しめそう


 その後、小ホールで日本人向けの避難訓練。船の日本人コーディネーター瀧本さんが説明。美人で感じのいい人。とても頼りになる女性コーディネーターだった。
 救命具を付けて海に飛び込む時は、救命具から身体が抜けないように、救命具を手で押さえながらetc.etc.避難訓練はなかなか詳細なものだった。瀧本さんは言う。もし「アバンダン・シップ abandon ship (船を放棄せよ)」と放送があった時、何も考えずに海にドボンと飛び込んだら先に海に入っている人にぶつかるので、飛び込むのではなく、一歩前に歩を進める感じでこのように、と胸の救命具を両手で押さえながらスッと一歩前に進んだ。こうすれば自然と海に入ってます、と。
 胸の救命具を両手で押さえる様子が十字を切っているようで、妙にリアリティーを感じて変な気がした。タイタニックなどを思い出しながら、「abandon ship 」などと聞いたら、ドボンと飛び込むのではなく…等、そんなことを考えるほど平静でいられるだろうかと思った。

 夕食は、添乗員の案内でレストラン・パシフィックムーンへ。ツアーグループで席を予約してあった。
 船内のレストランは、有料レストラン、24時間オープンのブッフェレストラン、そして3つのレストランがある。基本的にはアルコールを除いて飲食料金は乗船料に含まれているので、有料レストランでなければ、どのレストランで何を食べてもいい。3つのレストランは雰囲気が多少違うだけで、メニューは同じである。 デザート  

 

 基本的にコース料理で、前菜・スープ・メイン・デザートそれぞれに数種類のメニューがあり、各人はそのメニューから好きなものを選ぶ。
 1人でいくつ選んでもよい。甘党のつれあいは、いつもデザートを数種類注文していた。

 バンクーバー出港が午後4時30分予定だったので、出港の様子を見るべく甲板で眺めていたが出港の気配がなく、結局、私達の夕食中にいつの間にか出港したようだ。3時間遅れの出港だったらしい。

6月11日
 今日は終日クルージング。インサイド・パッセージを行く。
 霧が深い。霧以外何も見えない。殆ど一日中、大きな汽笛を鳴らしながら船は進む。ぼおおーっ、ぼおおーっという汽笛が、濡れたような霧に吸い込まれて消えていくのを聞いていると、航海しているんだなあという気持ちになる。

 朝・昼食は24時間ブッフェHorizon courtで。3つのレストランでも朝・昼食はサービスされるが、レストランではブッフェではなくて注文制。ツアー仲間からその評判を聞いたりして、結局、私達の朝・昼食はいつも24時間ブッフェとなった。
 今日は昼食時に寿司バーが出ているが、実は、寿司ではなく、寿司もどき。どぎつい色。味は食べられたものじゃない。始めは笑って済ませるが、冷静になると、アメリカにして日本への理解がこの程度か、と思ってしまう。あまり愉快ではない。
 昼食時に、24時間ブッフェ横のプール側に"ワンタン・スープ"の屋台が毎日出る。これが何とも美味しいのだ。毎日欠かさず食べた。

 今日のドレスコードはフォーマル。つれあいはダークスーツ。私はピンク色の緞子(どんす)の中華風ドレスを着る。友人の結婚式等で着ていたが最近は滅多に着る機会がないので、着るとウキウキした気分になる。
 午後4時から、最上階のラウンジで、私達のツアーグループだけの阪急主催のパーティ。皆、盛装をして集まる。カクテル等いただきながら皆で自己紹介。何となく非日常という感じで、クルーズ気分が高まってくる。

夕陽  

 夕食までの時間は、船中央の吹き抜けあたりは賑やかに船長主催のウェルカムパーティー。その場を埋め尽くす人々の殆どが盛装で、場全体が華やかだ。ワインやカクテル等自由にいただく。吹き抜けに面したバルコニーに立つ船長の挨拶を横目で見ながら、レストランに入り、席に着く。

夕陽に送られて →



 夜はシアターでショーを観る。ドレスコードがフォーマルの日は大抵シアターでのショーも華麗で、私のようなショー好きは楽しみだ。
 夜中に時差の調整。時計を1時間戻す。

6月12日

 朝6時過ぎにケチカンに到着。
 小さな町。観光客用に開発されたと思われるが、小さな川を挟んだ瀟洒な街並みがあり、土産物屋が並んでいる。
 馬車での観光等いくつかのオプショナルツアーが用意されているが、今回の旅行では私達はオプショナルツアーを全く利用しなかった。せっかくのクルーズだ。マイぺースでのんびりと旅を楽しもう。
 添乗員がぶらり散歩に案内してくれるそうだが、私達はのんびりと自由に散歩。
 午後2時には出港なので、昼前には船に戻る。昼食の前にジャグジーに浸かる。寄港地に停泊している時間帯は船内に客が少なく、ジャグジーにのんびりと浸かれるのでいい。普通なら大抵ジャグジーはいっぱいで、勿論空きがあれば入れるが、ジャグジーで大勢の人の中で自分達だけだんまりというのも居ずらく、たどたどしい英語で会話に加わるも、通じてるような通じてないような……で極楽という気分にはいかない。自分達だけでジャグジーにのんびりと浸かっていると本当に極楽だ。
 午後3時半からアフタヌーンティー。レストラン・パシフィックムーンで毎日この時間にサービスがある。添乗員に案内されて行ってみた。幾種類かの紅茶と、英国式の三段重ねではないが、スコーン・サンドウィッチ等の典型的なアフタヌーンティー。

6月13日
 朝8時頃、ジュノーに到着。
 街の中心にある繁華街は観光客相手の田舎のショッピングセンターという感じ。何となく楽しくなる。大勢の客の姿がある店があったので入ってみた。Tシャツ等を取り揃えた大きな店だ。割に質が良さそうで、デザインも悪くない。おまけに安い。Tシャツ等数枚を買う。
 ロープウェーでロバート山に上がってみることにした。遊歩道も整備されているという。昇るロープウェーから波止場に停泊する船を見下ろしていたら、あっという間に山頂だ。
ロバート山01
 さすがアラスカ、山には雪があるが、今は夏、山の雪模様が美しい。好天だし、そここに花も咲き、何とも気持ちがいい。
 大勢の人が群がって騒いでいるところがあり、私達も首を突っ込んでみた。「あそこだ!」「いや、こっちだ!」という感じの声が飛び交うので、熊でもいるのかと思ったが、なんだ、マーモットか。(マーモットさんに失礼!)  ここにいる人の殆どはアメリカ人だと思うけど、アメリカ人って、自然のものに対して素直に感情表現しますねえ。普通、日本人観光客はマーモット程度であんなに騒いだりしない。どっちが…いいんだか…。
ロバート山02
 ロープウェーへの戻り道。海峡を挟んだ対岸の方を見れば、雪山を背にした広大な風景が素晴らしい。しばし、足を止めて眺めた。
 2,3時間は山を歩いたかな。

 ロープウェーを降りてからは、ロシア教会を訪ね、市役所の広いテラスからジュノーの街の展望を楽しみ、船に戻る。

 夜9時、出港。
6月14日
 朝6時過ぎ、スキャグウェイに到着。
 ゴールド・ラッシュの時代に誕生した町だそうで、街並みもその雰囲気が感じられる。勿論19世紀の街並みそのものでなく、観光客向けに整備したもので、中心街では観光客の多い時間帯になると、2階の窓からバーのおねえちゃんが身を乗り出して「キャー!」と叫び、パンパーン!とピストルの撃ち合いが始まる、というアトラクションのサービスもある。しかし、あのパフォーマンス、ゴールド・ラッシュ時代ではなくて西部劇じゃないかと思うなあ。
 まな板付き三日月型包丁を買う。帰国して使ってみたが、切れ味悪し。がっかり。やっぱりただの土産品か。
 オプショナルツアー「ホワイトパス列車の旅」に参加するツアー仲間が多く、彼等に手を振って別れ、私達は船に戻る。

ケーキブッフェ

 午後のお茶の時間帯に24時間ブッフェを覗いてみると、なんと!ケーキがずらりと並んでいる! イチゴケーキ、チョコレートケーキ、チーズケーキetc.etc.まるでケーキ屋さんのショーウィンドウを見ているようだ。早速、試食。美味!! いくつ食べたろう、これ以上は胃が受け付けないというまで食べた。
 それにしても美味しいケーキだ。甘過ぎず、上品で優雅な味。アメリカの本場のケーキの味ってこんな美味しいものかと感激。しかも、このケーキブッフェ、毎日やってるという。

 以後、午後のお茶の時間には、パシフィックムーンのアフタヌーンティーでなく、こちらのケーキブッフェに通った。

ジャグジー  

 その後は、ジャグジーに浸かる。

 のんびりと雪山を眺めながらのジャグジーは最高。

 夜9時頃、出港。


6月15日
 今日はグレイシャー・ベイへ。 曇り。
 24時間ブッフェの窓は全て天井まであるような大きなガラス窓で、展望が素晴らしい。キャビンのバルコニーからの眺めも悪くないが、ずっとバルコニーに出ていると寒いけれど、ブッフェレストランは当然暖かい。お茶を、そして美味しいケーキを食しながら、窓からの展望をのんびりと眺めているだけで素晴らしい展望が楽しめる。時間を気にせず座っていても追い出されることもないし、景色を見るのに飽きない。私達は、午前そして午後の時間の大部分を、ここで過ごした。

海  
 北に近づくにしたがい、海の波が穏やかになってくる。
 氷山などの氷がまだ眼に見えてあるわけではないが、氷のように冷たい海水が波を消してしまうのだろうか。

 次第に、海面は鏡のように真っ平らになってきた。曇り空で、世界は少し薄暗い。雲間から射す薄日が向こうの山の雪面をうっすらと照らし、鏡のような海面がにぶく光る。静寂が世界を包む。
 じっと眺めていると、厳粛な気持ちになってくる。なにか、敬虔な気持ちにさえなってくる。ちょっと唐突だが、もし天から声が響くとしたら、それはこんな世界でのことだろうな、とフッと思った。
 実はこの旅行の前に、立花隆の『エーゲ 永遠回帰の海』という旅行記を読んだ。プロカメラマンによる写真と立花氏の短文でなっている本だ。その中にこんなことが書かれていた。

 ある時、エーゲ海に 「汎(ぱん)は死んだ!」 という声が、轟いた。
    汎(ぱん)とは、ギリシャ神話の神々の中の原初の神というような意味だったと思う。
 その、ある時とは救世主イエス・キリスト生誕の瞬間であり、それはエーゲ海中心に栄えたギリシャ文明の終焉を告げる、天からの声だった。
 ……というものである。
 私の頭にこれが妙に印象深かったのだろう。このアラスカの静寂の海をじっと見ていると、天から声が響くとしたら、それはこんな世界でのことだろうな、という思いにとらわれた。
 目の前にあるものはまぎれもない自然なのだが、それがかえって超自然を感じさせるような、神秘的な世界がここにある。

 時々、海面になにか大きな黒いものが、ぬっと見えたかと思うと消えたりする。遠いのではっきりとは見えないが、周りの客達の声からも、鯨のようである。この静かな海では、鯨の動きも穏やかだ。
ラッコ  
 グレイシャー・ベイに近づくにつれ、海面に氷が散りばめたように浮かぶ。その氷のまわりにゴマのようなものが……ラッコだ。船の近くには決していない。全て遠くなので、ゴマのようにしか見えないが、その仕草からラッコだということはよく分かる。
 1頭だけということはない、どれも数頭の群れだが、群れの大きさは様々で、非常に大きな群れ、数10頭から100頭いるかと思われる群れを見た時は壮観だった。1頭づつはゴマ粒のようでも大群の姿を見ると、ここは野生動物の世界なのだと納得する。

 昼頃にグレイシャー・ベイの最奥、グランドパシフィック氷河を目の前にして船は停泊。
 氷河の末端が海に崩落するのが見られることも多いそうだが、相変わらず曇天で気温も低い。氷河は崩落しそうもない。しかし、目の前いっぱいに拡がり、海に向かってそそり立つ大氷河の姿はなかなかのものだ。

グランドパシフィック氷河  
 このクルーズのガイド本の写真にあるように、晴天であれば、青い空の下、うっすらと青みがさした白い大氷河の、時々、崩落を眺めながら、バルコニーでワイングラスを傾けるのも悪くないだろう、と想像する。

 しかし、今日は曇天。写真は、私達のキャビンのバルコニーでのもの。
 グランドパシフィック氷河を後ろにした不気味な姿の人物は私。寒かった!

 午後、船はゆっくりと回転し、グレイシャー・ベイ国立公園の出口に向かって針路を変えた。
 グランドパシフィック氷河だけがここの見所であるわけではなく、このエリアには、末端が海に流れ落ちるいくつかの氷河もあるが、なにしろ曇天で薄暗い。
 まるで鼠色の海、そこに這い出すようにぞろっと延びる氷河の薄汚れた白、その中にチラチラと見える、氷河のもつ太古の記憶が放つ、薄く青いどんよりとした光。それらがいかにも人間を拒むようで、寒々しく、陰鬱ささえ感じさせる。
 通常であれば探検家や冒険家しか見られないこのような自然の姿を、豪華客船のガラス窓の内側から又は防寒着を着こんで温々と眺められるのも、アラスカクルーズの醍醐味の1つかも知れない。

 今日は2回目で最後のフォーマルの日。このクルーズのハイライトであるグレイシャー・ベイ観光を終え、クルーズの成功を祝ってさあ盛り上がろう、という日。この船のイベントのハイライトであるシャンパンウォーターフォールも行われる。
 真っ白のド派手なロングスカートに、ウン十年前に香港で購入した、レース刺繍をあしらった絹のブラウスを着る。 …着る機会があって良かった。
 夕食の後のシアターでのショーも、今日は特に豪華で満足。23時過ぎから船中央の吹き抜けのホールで、プリンセスクルーズ名物のシャンパンウォーターフォール。船のシアター専属の歌手が time to say goodbye を朗々と歌い上げ、雰囲気が盛り上ったところで、円錐形に積み上げられたシャンパングラスの真上からシャンパンが注がれる。シャンパンは眩いライトをいっぱいに浴びて黄金色に美しくキラキラと輝きながら、円錐の底をなすグラスに向かって滝のように流れ落ちた。ミーハー向けのイベントのように思われるかも知れないが、さすがに美しいものだ。

6月16日
 今日は朝から下船説明会があった。
 今日の見所はカレッジフィヨルド。到着予定は夕方。天候は曇天ではあるが、霧が少ないのだろう、昨日よりは視界がはっきりしている。

アザラシ  
 昨日私達を迎えてくれた野生動物はラッコだったが、今日はアザラシだ。 船の周りに浮かぶ細かい流氷の上にも沢山いる。

 昨日のラッコは遠くてゴマ粒のようだったが、今日のアザラシは船のすぐ近くだ。だから、午後はキャビンのバルコニーから眺めた。

 手を伸ばせば届きそうなほど近くにいる感じがする。アザラシの顔の表情まで見えるようだ。
 しかし、やはり野生動物。船が近づきそうになると、こちらをひょいと見て、スルッと海に滑りこむ。

 フィヨルドの最奥にあるのはハーバード氷河など、氷河名に大学の名前が付いているのでカレッジ・フィヨルドという。グレイシャー・ベイと同様に、いくつもの氷河群でなっている壮大な氷河エリアだ。私達はこれまで世界の名だたる氷河はそこそこ見てきたので"氷河"というだけで感歎することはないが、しかし、ここの氷河はこれまでと少し違っている。

ガラス戸  
 氷河の末端が海に直接落ち込んでおり、しかもその末端の横幅が非常に広い。
 幅が広いために、海に落ち込んいるというより、氷河が海まで浸食しているようだ。圧倒的な迫力で氷河が海に迫っている感がある。素晴らしくダイナミックな景観だ。

 私達の眼前にある氷河がバルコニーのガラス戸に映っている。スミス氷河か。
 ←キャビンのガラス戸に映る景色を、バルコニー側から撮影したもの。私達はバルコニーにいる
ハーバード氷河  

 フィヨルドへの船の到着が2時間近く遅れたので、予定の夕食時間20時になった時は、まさにフィヨルド最奥部のハーバード氷河を目前にしたところだった。

 暫時の停泊の後、船はゆっくりと旋回してフィヨルド最奥部の氷河の全容のパノラマを私達に見せてくれる筈だ。食事なんかしてられますか! 迷わずツアーグループでの食事をキャンセル。
 思いっきり防寒着に身を包み、船最上部の甲板に陣取った。
 

 正面に見えるハーバード氷原の横に、小山(岩?)で隔てられてもう一つの大氷原が見える。何という氷河かなと思っていたが、船が遠ざかるにつれ分かってきた。小山(岩?)はハーバード氷河の海に面する一部を些か邪魔しているだけで、視界の前面にある氷原は全てがハーバード大氷河なのだ。 ハーバード氷河02  

 息を呑むようなすごい景観だ。

 私達は視界いっぱいに広がる巨大な氷河群が遠ざかり、小さくなり、見えなくなるまで眺めていた。

 ツアーグループでの食事をキャンセルしたが、これは座席のキャンセルだけなので、レストランが開いていれば、空いている席で食事できる。また……私は知っている! レストランのメニューの殆どは24時間ブッフェでも、ほとんど同じものが食べられる。レストランでロブスターが出された日は、24時間ブッフェでも同じロブスターが山盛りで並んでいた。
 もし、ドレスコードがフォーマルの日に、それらしい服装を用意していない、又は、そんな格好したくない、そして、そんな日にレストランに平服で入る勇気はない、又は、レストランになど入りたくない……場合、食事は24時間ブッフェで充分に豪華に楽しめます。

6月17日
 朝早く、ウィッティア到着。各自で朝食をとった後、7時に下船開始。
 アンカレッジからバンクーバーまで飛行機で移動。
 バンクーバー空港の和食レストランで夕食。宿泊は空港ホテルFairmont Vancouver Airport。5つ星ホテル。
 豪華クルーズ船の生活で気持ちがリラックスムードだったので、陸地の宿でも豪華ホテルなのはありがたい。あるツアー仲間から「阪急のトラピックスには初めての参加だが、予想以上の豪華ホテルに驚いてます。トラピックスっていつもこうなんですか?」と聞かれた。私達も実はトラピックスには初参加だ。トラピックスのいつもがこうかは知らないが、とにかく今回は豪華で、大変結構。

6月18日 バンクーバー発 6月19日 関空着
 出発前に期待していたよりも、数倍も素晴らしい旅でした。

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