eoさんの旅ノート

クルーザーで行った    セイシェル諸島クルーズ

セイシェル諸島地図
ワールド航空発行の雑誌「World」2017.4に掲載の図を拝借したもの
 セイシェル諸島を知っていますか? 
 上の図左上の枠の中のように、アフリカ大陸の東側、マダガスカル島の上方で、薄い赤い線に囲まれた部分がセイシェル諸島である。
 赤道より少し南にあり、気候は熱帯性気候。雨季と乾季とがあるが、雨季でも雨はスコールのようにザッと降ってすぐ止むのが普通。
 セイシェルの人口約10万の内の約9割がマヘ島に住んでいる。首都はこのマヘ島のビィクトリアにある。この国の115ある島の多くは無人島のようだ。

 私達(私とツレアイ)は「セイシェル」の名前くらいは知っていたが、普段、その名を聞くことはあまりなかった。だが、最近、旅行パンフレットの中に「セイシェル」の名を見たのだ。その時、若いころ行ってみたいと思ったことを思い出し、そして、そのツアーに申し込んだ。

 この旅行の正式名は「プライベートクルーズでめぐるインド洋の楽園セイシェル諸島の休日」、主催旅行社はワールド航空サービスである。
 日本からセイシェルへの直行の航空機は無く、どこかで乗り換えることになる。このツアーはエティハド航空 Etihad Airways を使っているので、成田発か名古屋発ということになり、関西に住んでいる私達は名古屋発で参加となる。 ツアー日程は2017年3月24日から4月2日まで。申込みが少し遅かった私達については、行きは1日早く、帰りは1日遅くであれば航空機の座席は確保できるし、会社(ワールド航空サービス)は「対応できます」という。そんなことできるの? とにかく対応してくれるのなら参加しましょう。聞いてみると、会社のこの対応は、帰りは私達2人だけだが、行きは私達を入れて5人。遅い申込みがこんなに多いとは。 こんなこと、私達は初めての経験だが、しかし、会社はよくやるね。 このため、私達の場合、実際の旅行日程は3月23日から4月3日まで、となる。
 セイシェルを前後2日間余計に楽しめる、と前向きに考えることにした。とにかく、出発だ。

2017年3月25日

 ちょっと話が複雑だから、とりあえず、船に乗るところから話しましょう。

 先発組5人は、先に船で合流。24日を成田出発の本隊?は到着が少し遅れているようだ。

ふね  
 乗る船の名は「ペガサス号」約700トン。約40名乗り。今回は旅行社ワールド航空サービスのチャーター。
 添乗員2名も入れ乗客全員は30名ほどだが、1人部屋を使う客もいるので、空き部屋は1つだけだそうだ。

 ヨットに毛が生えたくらいの小さな船で、船底はカタラマン(双胴船)になっている。"船"というよりは"クルーザー"という方が似合っている。小さい分、小回りがよく効く。少々狭いところでも入っていける。
キャビン

 客室(キャビン)は大きくないが、小さいとも思えない。これ以上広い必要も感じない。

 バスタブは無く、シャワーだが、まあまあ快適。

 初めて客室に入った時は、即座に、これでOK!と判断。正直、ホッとした。  

布団が乱れているが、写真は数日後に撮ったもの。失礼!


 ついでに、船内の案内を少しだけ…
ロビーロビーの後方の甲板部
ロビー ロビー

 23日に日本を出発した本隊?のメンバーは2時間近く遅れて船に到着。航空機の延着だそうだ。
 この数日、天候が少し怪しいようだ。私達、名古屋から先発した組も、実は、順調にはいかなかったのだ。名古屋を出発した航空機は予定のアブダビに突然の雷雨のために着陸できずドーハに着陸。航空機は数時間後、ドーハからアブダビに戻ったが、乗り継ぎのセイシェル行きには既に遅く……車をとばして隣国ドバイまで行き、ドバイ空港からエミレーツ航空でセイシェルへ行く、という芸当のようなことを行ったのだ。だから、成田発航空機の延着を聞いても驚かなかった。
 しかし、今ここに着いたのは成田発の面々だけ。この旅行コース通りの、23日に名古屋発のメンバーはまだ着いていない。 出発  

 船は港との契約上、この港にいつまでも停泊しているわけにはいかないそうだ。
 名古屋発のメンバーが乗る航空機はまだセイシェルに到着していないことを確認した後、船は静かに出港、沖合に停泊した。

 この日に限らず夜間は、船は航行するのではなく、必ずどこかの沖合に停泊する。
 ウェルカムドリンクと避難訓練は、勿論、乗船している面々だけで行った。 ヤレヤレ。

 クルーズのコースは、先ずマヘ島ビクトリア港から乗船、次の日はキューリーズ島へ(マングローブの林、ゾウガメなど、昼食は浜でバーベキュー)、次の日はクーザン島(バード・ウォッテイング)からアンス・ラチオ(シュノーケリング等)、次の日はアリッド島(バード・ウォッテイング)からサン・ピエール島(シュノーケリング等)、次の日はモワイヨンヌ島(シュノーケリング等)、そしてマヘ島へ戻る、となっている。これが予定のコースである。

2017年3月26日  キューリーズ島

 今日はキューリーズ島へ。午後には、遅れている名古屋発の本隊?となんとか合流できそうらしい。

キューリーズ島  

 キューリーズ島に上陸する。

 

 セイシェルの殆どの島には、上陸するために船をつける桟橋などが無い。だから上陸のためには、浜に乗り上げた(ソディアック)ゴムボートから足元を濡らして歩いて上陸するのだが、陽が強いので、濡れたものも大抵すぐ乾く。
キューリーズ島  

 

 

 海は美しい。

 しかし、実は、
  セイシェルの島はどこでも、驚くほど岩が多い。

 ここキューリーズ島に限らず、どの島も、島の主人公は岩だと言っていいほどだ。
ゾウガメ  

 この島に入るとすぐにゾウガメがゾロゾロ。そして大勢の外国人観光客がそのゾウガメを取り巻いている。
 ここのゾウガメはアルダブラゾウガメというセイシェルの固有種だそうで、ここから1000kmも離れたアルダブラ環礁(世界遺産)に生息していて絶滅危惧に瀕したので、ここキューリーズ島に連れてこられ、繁殖活動が行われているのだという。
 ゾウガメに触れることができるのは世界でここセイシェルでだけだそうで、外国人観光客はじめ皆がゾウガメの頭や甲羅を撫で回している。ゾウガメも……喜んでいるかもしれないな。
 私達ツアーのグループは、島の中を歩く組と、船に戻って休む組とに分かれた。私は歩く組に入った。
 島の中でここ固有種の鳥をいくつか見たが、いい写真は撮れなかった。

 岩の多い、アップダウンの激しい島の中を歩くのは少しきつかったが、ここで何故岩が多いかの話を少し。
 地質学的には、中生代といわれる時代に、セイシェル諸島がアフリカ大陸から分離した時に、島の基盤岩はアフリカ大陸と共通な花崗岩がそのまま残ったといわれる。つまり、セイシェル諸島を形成する岩は花崗岩である。
 初期の時代、セイシェル諸島に植物は殆ど無く、岩ばかりの島だったそうだ。そして、16から17世紀頃、ヨーロッパ人が来て支配、アフリカから奴隷を連れてきて、ココナッツ、バニラ、シナモンなどの労働集約的な作物のプランテーション農場を作り上げた。青い海を前に、緑の植物に囲まれた岩の島セイシェル諸島ができたのはこの時代だ。
 その後、世界の文明が進むと共に、多く生育している固有種の鳥の保護などの環境保護の意識も高まり、富裕層の所有地に守られながら、ヨーロッパ人のリゾート地として生長したセイシェル諸島の今ができていった、というところだろう。

海"  

 昼食は浜辺でバーベキュー。

 魚はあまりいなかったけれど、海につかるのは気持ちいい。

 遅れていた名古屋発の本隊は1日遅れでセイシェル・マヘ島へ。直ぐに国内線で、プロペラ機で約10分のプララン島へ到着し、タクシーで北側のビーチへ移動し、(ソディアック)ゴムボートで沖合に停泊するペガサス号へ合流。めでたく、ツアーの全員がやっと揃った。
 しかし、旅行会社には、頭の痛い出費だろうね。

2017年3月27日  クーザン島

 

 朝、海を見ているとイルカがいる。
 海にイルカがいて不思議ではないけれど、やっぱり、写真を撮る。
 このクルーズ中、船上から3度イルカを見た。

 

 今日はクーザン島へ行く。国際野鳥保護協会の監視下にある島。
 セイシェル固有の鳥が見られるはずだ。
クーザン島  

 セイシェルの島は殆どどこでも同じだが

 捕獲される恐れがないので
 思い思いに自由に飛び回る鳥を見ながら、

 緑の木々の中をゆっくりと歩くことができる、
 素晴らしいところだ。
 クーザン島の木々の間には鳥が沢山いた。どの鳥も、私達が近づいても逃げようとはしなかった。樹木の幹の部分は大抵鳥の巣になっている。幹のくぼみで丸くなっている鳥を私達が覗くように見ていると、「そんなに見るなよ」というような、私達を睨み返すような表情を見せている、ような気がした。
 鳥のほかに、とかげ等も数種類いたようだが、私は苦手なので無視。

ホワイトテイルトロピックバード 空を飛ぶ姿も美しいホワイトテイルトロピックバードの子供
鳥 鳥 鳥
ファエリーターン セイシェル・マグバイ・ロビンヒメクロアジサシ
鳥 鳥 鳥

アンセ・ラジオ
 午後、船はプララン島のアンセ・ラジオへ移動。沖合に停泊し、希望者は(ソディアック)ゴムボートでビーチに上陸し、シュノーケリングを楽しんだ。ツアーメンバーの半数位がこれに参加した。

 ビーチはきれいだったが、魚はあまりいなかったし、海の透明度がイマイチ。
 それに、ビーチに岩が多かった。

2017年3月28日  アリッド島 サン・ピエール島

サン・ピエール島  プララン島沖から自然保護区のアリッド島へ。上陸後は島内の野鳥を見に行った。

 バーベキューの昼食後は船はサン・ピエール島へ移動。ツアーメンバーは、シュノーケルを楽しむ組と船内でセイシェル講座を聴く組とに別れた。
 サン・ピエール島は小さな無人島だが、周りには多くのシュノーケルを楽しむ客(全部、欧米人)の姿があり、さぞかし良いシュノーケル・スポットだろうと期待した。
 海に入ってみると、たしかに魚は色とりどりで、楽しい。しかし、サンゴが全部枯れているのは本当に残念。そして、水の透明度が低い。場所によっては、2メートル先は殆どかすんで見えなかった。

 船での夕食後は、地元のバンドによる生演奏やダンサーの踊りなどがあり、ツアーメンバーも参加したりして楽しんだ。

2017年3月29日  プララン島 フェリシテ島

ブラウン・アイ・デコー  

 午前中、
 バスで世界遺産の「ヴァレ・ド・メ」国立公園へ行き、
 ブラウン・アイ・デコーなど
 双子ヤシ等が生い茂る森を歩いた。
幸運にも、

絶滅危惧種 ブラックパロット

を見ることができた。

鳥

 船内で昼食後、フェリシテの沖合に移動してシュノーケリング。シュノーケリングに興味のない人は船内でセイシェル講座。
鳥  

 海を眺めると、海面の一部が違った色に見える。
鳥  

 

 そこだけ、魚がびっしりと群れて泳いでいるのだ。小さな魚に見えるが、実は、30センチほどもある大きめの魚ばかりだった。
 ナンというものでもないかも知れないが………。
鳥  
 フェリシテ島に、別荘のような建物が散らばっていくつか見える (この写真では見にくいが)
 各建物が超高級ホテルの1つ1つの客室だそうだ。客はヘリコプター等で送迎されるそうな。
 この島自体、エミュレーツ航空のオーナーの持物だそうです。
 私とは関係のない世界のことだけど、このセイシェルをヨーロッパの富裕層が支えている部分もあるというのも確かなことだ。

 夕刻、ラディーグ島沖に移動して停泊。

2017年3月30日  ラディーグ島

農園主の屋敷  

 午前、ラディーグ島に上陸し、2台のトラックに分乗して、かつてのココナツ農園へ行った。

 ヤシの実のオイルの作り方や、農園主の屋敷等を見た。
 それなりの雰囲気のある屋敷だが、これは現在使われているのではなく、観光用に保存されているもの。
 ここままずっと歩いて行くとビーチに出る。ビーチの名はアンス・スース・ジャルダーン、世界のベストビーチ100選で4位だったところだそうだ。 4位?、ちょっと期待。
 ビーチに沿ってずんすん歩いて行っても、岩ばかり。海は、当然見えるけれど(それほど、岩が多い)水位が低い。海に浸かっても、海水に浸かるのは膝までくらい。
 しかし、考えてみると、干満の差というものがあり、今は干潮の時間。午後遅く、満潮になると、この海は、泳げるようになるだろうな。そうなれば、この岩の光景も変わったようになるだろう。満潮が昼という時期にここに来れば、ここの光景はどんなだろう。満潮の時間帯にここに来てみたい。
 とにかく、ここアンス・スース・ジャルダーンの光景をスライドショーにしてみました。たしかに、美しいところではあります。

    (写真9枚)
 
アンス・スース・ジャルダーン

 明後日は下船の日。そろそろという感じで、夕食前にはカクテルパーティーがあり、船スタッフの挨拶や紹介、そしてスタッフから歌の披露などあった。

 船はモワイヨンヌ島沖で停泊。

2017年3月31日  モワイヨンヌ島 マヘ島

マダガスカルフォーディー  

 モワイヨンヌ島に上陸。
 島内を歩く(登る)組とシュノーケリングの組に分かれる。

 歩く途中、マダガスカルフォーディーを沢山見た。
 オレンジ色が雄、黄色っぽいのが雌だそうです。
 午後も、シュノーケリングの組と船内での講座を聴く組に分かれる。

 モワイヨンヌ沖でのシュノーケリングでは、魚はいろいろ見れたが、海水の透明度が少し低く、また、潮の流れが速かった。海水の透明度とか潮の流れの問題は、ここ数日の天候が関係していたかも知れないし、ことに海水の透明度の問題は町に近いせいもあるかも知れない。

 船での最後の夕食。好きな飲物のサービスがあり、全員で乾杯。バンドの生演奏も。
 船も、出港したマヘ島に戻り、沖で停泊した。

2017年4月1日  マヘ島

 朝食後、下船。バスで首都ビクトリアへ。ツアーメンバーと共に簡単なビクトリア市内見学。

ビクトリア  予想外に綺麗な市内に、ちょっと、驚いた。

 決して高級ではないが、街全体に清潔感がある。ゴミの類が殆ど落ちていない。
 なにか落ちてる、と思って見れば、落ち葉だ。

 後進国、とは思えない。
 誰も後進国とは言っていないのに、ここが後進国と思い込んでいた自分がおかしい、気がする。
ビクトリア  
 これは国立図書館。ガラス張りで立派。

 街を歩いている人々(白人は1人もいない)は皆、何か用がありそうで、さっさっと歩いている。ぼんやりとたたずんでいるだけ、という人はいない。
 実は、いろんな国でよく見るのだが、街角にぼんやりとした顔でたたずんでいる人々がいるのだが、彼等はただ立っているだけではなく、実は、職を探しているのだ。こういう国では、政治に、何かしら不安定がある。

 ここは、平和なのだ。
 平和な国なのだ。
 マーケットを見た後、私達2人はツアーのメンバーと別れた。皆、今日セイシェルを出るが、航空機の座席の問題で、私達だけ明日の出発になる。

 私達は、予約しておいたホテル・メリディアン・フィシャーマンズ・コープにタクシーで向かった。

虹  

 ホテルのバルコニーから海の方を見ると、虹が、それも2重にでている。

 ここはいいところだったなあ。

 こんなに遠くなければ、何度でも来たいところだ。
eoさんの旅ノート