サスペンションでございます
なーんか、こうフレームをシコシコ磨いていたら、ロード仕様なんかにしようかなぁ、なんて思ってしまってたわけですが、よさげなフォークが手ごろに見つからなかったわけですよ。
そこで思わずヤフオクでメーカー不明の謎のサスペンションが出ていたわけです。
謎だけに安い。
買いである。
これ。
んーなんか上品。質も高そう。このカクカク感は削りダシですね。カンチの台座が付いているからそれなりの年代モノ。10年以上は前でしょうね。
よいしょとストロークしてみる。うむ、ジャンクである、ストローク感が左右で違う、その上右のブレース取り付けスリーブの接着が外れている。コリャ駄目っすね。
ばらしましょう。
左はアウター。コラムシャフトとインナーチューブは鉄、他はアルミ、ボトムアウターはフルアルミで見た目よりも軽いですね。片側だけボトムの一部が外れているのが解りますか?
で、右がインナーパーツ、クッションとダンパーの組み合わせです。青と緑の弾性パーツがショックアブソーバーで、真ん中の茶色いのがいわゆるエラストマーというやつでしょう。初めて見ました。
問題はこのエラストマーです。補修部品は皆無です。よくよく見るとTANGEって書いています。
ますます補修は期待できません。エラストマーはコイルスプリング式に比べると軽量で簡素に作れるため廉価なサスペンションとして一世を風靡しましたが、10年たつとこのような欠陥が出ます。
感触はやわらかい密度の高いスポンジのような感触で、ゴムよりやわらかいなんともいえない復元力がサスペンションのばねの代わりによかったようです。
ですが、所詮は樹脂製品、延べて樹脂製品というのは生まれたその日から分解を始め、そのおかれる環境や使用方法によって分解が加速します。モノによって、硬化したり、溶融したり、粉末化して分子間で崩壊してモノの状態を保たなくなります。
要するに、腐るっていう様な状態です。
このエラストマーも例に漏れず、粉末化が起こっています、ボロボロと崩れるような感じがあります。
正確にはこの状態を何とかというらしいですが、まあどうでもいいです、とにかく使えません。
で、どうすんのよ?
一般的に、推奨されるのはコイルスプリング式に交換するそうですが、それも部品があっての話。
モノは丹下、メーカーサポートは望むべくもなし。ここは知恵と勇気で乗り切るしかありませんな。
その前に、左フォークのインナーを取り除かねばなりませぬ。右は最初から外れていたのでインナーを引き抜くだけでよかったのですが、左はボトムアウターのブレースマウントスリーブを外さねばなりません。通常ならばこういうのはエポキシ接着剤で接着していると思います。溶接だったらもちろんアウトですが差込接着なら抜けます。
バーナーであぶります 万力ではさんでグリグリ ズッポー!
バーナーであぶる時はインナーが燃えないように気をつけなくてはいけません。本当は万力側にもバイスグリップ側にも布をかませて本体への傷を避けなければいけないんですが、自分のだからいいです。
左側もたがわず劣化しまくりです。
さて、どうしましょどうしましょ???
!ひらめきました。
これ、ヤマハのパッソルのフロントフォーク。オートバイ用です。
たまたま!転がってたんですよ、スクーター業界ではすでに化石とも言えるほど古ーいスクーター。
えいやっ!とインナーチューブを抜きます。(ホントは簡単には取れない)
おおっ!これは!
見事にエラストマーと長さ、外径、ともにマッチしてます。まるでこのために残していたかのようだ!
ちなみにエラストマー片側で50グラム、もう少し重くなると思ったが意外や意外、パッソルのコイルとスリーブ合わせても80グラムと、30グラムしか変らない。両方で組み込んだら60グラム増量になるがこのくらいならかまわないだろう。
とりあえず、グリスでべたべたなので洗ってみます。もともとグリスダンパー式のサスなので灯油で洗っても大丈夫です。おおおお!イメージはこんな感じかの? 完璧じゃないか!
でも、ちょっとテンション弱いかもしれません。
ちなみに全部でこんな構成
ボトム部
アッパー部
緑と青のダンパー部分はヤワラかーいシリコンみたいな低反発の素材です、よくわかりません初めて触るような感触の素材です。これもエラストマーといってよいのかな? こっちは劣化していないみたいですからこのまま使います。
長くなってきたので、この辺で第一段階は終わりです。次は組みます。
補修用エラストマーがなくて泣く泣くサスを捨てる人は捨てる前に分解してみましょう。何か発見があるかもですよ!
ではではお次へ