祝 聖闘士星矢アニメ化記念SSS
カノンは息を切らしながら双児宮のリビングのドアを乱暴に開けた。 バンッ! 「なぁサガサガ!ビックニュースA!」 「ほぉそれは凄い」 「まだ何にも言ってないだろーがっ;」 ノリツッコミしたカノンは、とりあえず息を整えるため数度酸素を肺に送り込み一気に捲し立てた。 「アニメだよアニメ!聖闘士星矢の冥界編の続きアニメ化されるんだって!」 「ほぉそれは凄い」 「……何でそんな気の無い返事なんだよ…」 恐らくワザとしたのであろう。 先程の受け答えと全く同じ返答をしたサガの表情は、やたらと冷めきっていた。 サガはそのまま手元の書類らしき紙切れに視線を落とし、視線すら上げてはくれない有様だ。 てっきり手放しで喜んでくれると思っていたカノンは拍子抜けしたかのように戸惑いの色を隠せないま ま、無理やり笑ってみせた。 「…ホラ!兄さんの勇姿がまた画面で見れるんだぜっ!?」 よく分からないがサガの機嫌が悪い事だけは確かだという事を悟ったカノンは、焦ってサガのご機嫌を 伺うかのような声色を作る。 「私の出番は‘嘆きの壁’で皆と共に散る時だけだ」 「あ」 即答でにべもない答えを返されたカノンは、確かにそうだったと事実を思い出し言葉につまった。 「…あ…じゃあオレの活躍見てくれよ兄さん!惚れ直す事間違いナシだぜっ!」 「確かに大活躍だったそうだなカノン、何でも三巨頭が一人ラダマンティスをも倒したそうだな。いや はや凄い」 「そーそー!オレあの眉毛ボーン倒したんだぜ!サガにも見せたかったなぁ、オレがアイツを倒した所 !!」 「ほぉ確かに興味深いな、一体どう倒したのだ?」 「そりゃ―サガに聖衣返した後に眉毛捕まえて一緒に……」 ハタ、と初めてそこでカノンはサガの様子がおかしい事に気付いた。 無表情だと思っていた兄の顔は、むしろ低い感情を無理に押さえこんだような、重たい熱を持て余して いるかのような、そんな顔だった。 …要はサガは不機嫌だったのではない。 怒っていたのだ。 「カノン」 「なっ何だサガ?!」 嫌な予感が止まらないカノンはうわずった声で慌てて答えた。 「お前…この兄に、お前がラダマンティスと愛の逃避行をした所を見ろと、そう言うのだな?」 「あ、愛ィィ!?誤解だサガ!オレはあんな極太眉毛なんか好きでもなんでもねぇよ!!!」 「だが、それはもう熱烈なまでの抱擁と告白を絶叫しながら無理心中を計ったらしいではないか。お前 が」 「ハァァア!?だっ誰だよ、んなデマながしたのはぁぁ!?」 かなりの勢いで詰め寄ってきたカノンを、涼やかに見つめながらサガは先程から読んでいた書類らしき ものを「ん」とカノンの前に突き出した。 「冥界のラダマンティスから、私と、お前に宛ててのラブレターだ」 「………はい?」 人間、予想外過ぎる事をやられると固まってしまうらしく。 カノンは意味が分からないと言う風に素頓狂な声をだしてしまった。 サガが読んでいたのは書類などではなく、何とあの宿敵ラダマンティスからの恋文だという。 カノンは慌てて手紙の文字を目で追ってみた。 …追ってみて、眩暈を起こしそうになった。 『(省略)…という事でオレ…いえ私は、貴方の弟カノンの熱い抱擁と愛の言葉と共に冥界の塵となり ました。その際に、私達は敵味方の相容れぬ悲しい恋の始まりと終りを悟ったのは言うまでもありませ ん。 (省略) …その様子はこれから作られるアニメにて確認してくれれば確認できると思います。 (さらに省略) という事でお義兄さん、私とカノンの交際を認めて下さい。 by冥界三巨頭ラダマンティス』 「何だこの手紙は〜〜!!」 カノンはサガの手から手紙を毟り取ると、その勢いのままバリバリと手紙を引き裂いた。 「何が『ということで』だ―!言葉の使い方間違えてんじゃねぇぇぇ!」 青筋たてて怒るカノンを尻目に、サガは相変わらず冷たい目をしたままだ。 「だがお前がラダマンティスと共に抱き合いながら散ったのは本当なんだろう?」 ギクッと肩を揺らしたカノンは、直ぐさま反論の体制に入った。 「サガ!ありゃあ戦闘上の話だって!愛とか恋とか変なニュアンス一切無いし!」 「しかし手紙にはそう書いていたが?」 「アレは嘘っ!アイツ頭ちょっとイカれてんだよ!眉毛に栄養いきすぎて脳ミソ沸いてんだって!!」 「どうだかな」 「〜〜っサガ!オレを信用できないのか!?」 「当たり前だろう」 ドーーーーン。 それからしばらくの間、聖域では『死ぬ程落ち込むカノン』、という世にも珍しい光景が双児宮に て見れたとかそうでないとか。 END ラダカノくさい・・・・(汗;) 基本はカノサガですから!!(汗) |