アイオリアは12宮の階段をゆっくりと下っていった。 手に持った書類を見やり、小さく溜息を付いたアイオリアの行く先は、遥か下の方に位置する双児宮。 最近体調の芳しくないサガは自宮で療養していたのだが、積りに積もった仕事の山は一向に減る事は 無く、事務処理をテキパキとこなしていたサガの存在の大きさを聖域の面々は改めて思い知ったのだっ た。 風樹の嘆 シオンは書類に囲まれながら渋い顔をし、困ったようにアイオリアに向かって呟いた。 「うむぅ・・・仕方ない、少々気は引けるがサガに手伝ってもらおうとするかのう・・・」 「な・・・しかし教皇、サガは療養中ですが・・・」 「仕方なかろうが、猫の手も借りたいこの状況で、一番の有能人物がおらぬとあっては私もお手上げ じゃ。お前やアイオロスでは時間がかかり過ぎて逆に足を引っ張られるしのぅ」 サラッと棘のある、しかし悲しいまでの事実を言い放たれ、アイオリアはグッと言葉を詰まらす。 確かに自分は腕力には自信があるが、事務作業といった机仕事にはトンと縁がない。 実際に今まで書類の前でどうしたものかと思案し、怒ったように黙りこくったアイオリアを見かねて サガがそっと手助けをしてくれたのも1度や2度では無く。 「ですが、病人にここまで来させるのもどうかと・・・」 「誰がここに来させると言った?何もサガが此方に来る事もあるまい。書類がアチラに行けばよいの だ」 「は?」 「だから、アイオリアが双児宮に行けばいいと言っておるのだ」 ニコリと笑ってシオンはホレ、と書類の束をアイオリアに手渡した。 (しかし・・・何故俺が・・・) アイオリアは普段無表情な端正な顔をやや歪ませ、再度息を吐いた。 傍から見たら声をかけるのも憚られる程その様は怒っているようにも見えるが、馴染みの仲間から見 ればそれは違うという事にスグ気づく事だろう。 ようはアイオリアは子供じみたように窮していただけだった。 聖戦から蘇って久しく、アイオリアは因縁深いサガの事について何度も考えるようになった。 13年間逆賊の弟の汚名を着せられた原因がサガだと分かった時、そしてサガが冥府の犬と成り下がっ て聖域に攻めいってきた時、アイオリアは沸騰するかのような激情に囚われた。 それは猛るような怒りに他ならなったが、その感情の中には複雑な心持が含まれていただろう事に、冷 静になった最近になって気づき始めた。 確かにサガには並並ならぬ思いがあるのは確かだが・・・・・ 思考の波に揺らめいていたアイオリアは、フイに聞こえた見知らぬ声にん?と意識をこちら側に戻し た。 アイオリアの少し下、もうすぐ双児宮に着く途中の階段の付近に、見知らぬ雑兵達が何やら雑談をし ていた。 「しかし何ゆえ教皇様と女神もあんな大罪人に恩赦などをお与えになったのかねぇ?」 「全くだ、よくものうのうと双児宮の守護者ヅラをしていられるものだ」 (なっ・・・!) アイオリアは今自分の鼓膜を揺らした言葉に耳を疑った。 普段黄金聖闘士達を聖域の守護神として崇め奉っているはずの雑兵達は、同じく信仰の対象であるは ずのサガを話題にしていたが、その言葉には信仰とは程遠い下卑た嘲笑と侮蔑の色が滲んでいた。 「おい、お前等」 思わず声を出したアイオリアの声に一瞬雑兵達は、自分達の勤務中のお喋りが見つかっってしまったと でもいう風にビクッと肩を揺らしたが、その声の持ち主がアイオリアだったと認識するやいなや、ホッ としたかのような半笑いを浮かべた。 その卑屈さの浮き出た笑いに、アイオリアは不愉快な林泉をザラリと逆撫でされたかのように不愉快 気に顔を顰めた。 「これはアイオリア様・・・!何故このような所へ・・・?」 「・・・・・・双児宮に届け物だ」 これ以上無いとまでに簡潔に、ワンセンテンスでアイオリアは事項の答えを返す。 「それはまた・・・不愉快なお仕事を任されましたなぁ」 「何・・・?」 「だってそうでございましょう?何もアイオリア様があの罪人の元へ行くなど、勿体無い所業でござい ます」 「アイオリア様を逆賊の弟君に仕立て上げたサガ殿に、わざわざアイオリア様が出向くなど・・・」 「普通ならばサガ殿が出向くのが礼儀でしょうに」 本当に何様のつもりなのでしょうかね、あの罪人は・・・・・ そうやって次々と捲くし立てる雑兵の言葉に、アイオリアは更に表情を強張らせてゆく。 こいつ等は一体何を言っているのだ?何故こんなにも嬉しそうにサガを貶める発言をするのだ・・・! いよいよ眠れる獅子の怒りを目覚めさようとしている事にも気づかず、雑兵達は未だサガを口汚く罵っ た。 最初は黄金の戦士への冒涜の言葉を聞かれて慌てた雑兵達だったが、聞いた主がアイオリアだったとい う事実は雑兵達を安心させた。 アイオリアはサガに深い怒りと憎しみを覚えているはず、ならば自分達のさっきの言葉にも賛同こそす れ咎められることは無いだろう。 そう考えた雑兵達は、ここぞとばかりにアイオリアに擦り寄るように媚びた声色でサガへのアイオリア の侮蔑の言葉を代弁する。 「アイオリア様も本当にあの大罪人にはお怒りになられている事でしょうに、我等もサガ殿が堂々とこ の聖域を闊歩しているのにはホトホト呆れていた所なんです」 「ええ、ええ、アイオリア様やアイオロス様の事を考えると、本当に心が痛みます。」 「聞くところによると、サガ殿は1度ならず2度までも女神を手にかけたとか・・・・おぉ恐ろしい、 何故女神はあの者を蘇らせたりしたのでしょう」 そのまま死んでいればよかったものを・・・・ そう言おうとした雑兵達の言葉はプツリと中断する事となった。 激昂したアイオリアは、感情の糸に操られるまま雑兵達の体を薙ぎ倒していた。 ズシャアッ! 「ギャァ!!」 情けない悲鳴を上げてゴロゴロ転がってゆく雑兵達を追うように、アイオリアは数段の階段を降りてゆ く。 あまりの怒りに、一歩一歩が大きな音を鳴らし、それは正に眠れる獅子が怒りに目覚めたような光景だ った。 「貴様等ァ!!」 「ッ!ヒイイイ!!」 事を理解できない雑兵達は、ただただ純粋な死の恐怖に晒され、情けない音声を鳴らした。 「何も知らぬくせによくもそんな事を・・・!!」 そのまま殺してやろうか、アイオリアは本当にそう思った。 黄金聖闘士にあるまじき行為であるが、逆上したアイオリアには考えるより先に体が既に動いていた。 戦う術を持たぬ者に対して、アイオリアは振り上げた腕に小宇宙を込め、そのままブンと振り下ろした 。 パァァーン!! 一瞬何が起きたのかアイオリアには分からなかった。 己の腕が何かによって弾かれ、アイオリアは後ろによろめいた。 小宇宙を跳ね返せるのは、同等の力によってでしか在り得ない。 アイオリアは弾かれた方向に向かって慌てて視線を戻した。この力には覚えがあり過ぎる程あった。 「サガ・・・・・!?」 そこに立っていたのは、この出来事の素因であるサガであった。 いつにまにやって来たのか、サガの身に纏っていた約やかな服装は部屋着らしく、双児宮からそのまま 来たという事が伺えた。 雑兵を庇うかのように立ち塞がっているサガは、先程アイオリアの拳を止めたであろう自分の腕をゆっ くりと下げた。 「やめないかアイオリア、聖闘士でもない者を殺す気か?」 出来事とは裏腹に、静かな湖のような声色でサガはアイオリアを咎めた。 「何を・・・サガ、こいつ等はお前を侮辱したのだぞ?!」 詰め寄ろうとするアイオリアを目線で静止し、サガは後ろに転がっている雑兵達にここから去るように 促した。 「ヒッ・・・・!」 怯えた声を絞り出すと、雑兵達はそそくさと飛び出るようにその場を走り去って行く。 「サガ!」 何でそんな奴等を庇うんだ?! 怒れる瞳のまま疑問符を投げかけるアイオリアに、サガはようよう振り返ると悲しそうに顔を崩した。 「アイオリア、あのような行為は感心出来ない。聖闘士としてあるまじき行為だと思うが」 「何を言っている!あの者達こそ聖闘士に仕える兵士達としてあるまじき事をしていたではないか!お 前も聞いただろう・・・ッ」 あの背筋も凍ってしまうかのような下卑た蔑んだ言葉を・・・ そう言おうとしてアイオリアは固まってしまった。 あのような悪口雑言を聞いていたという事は、誰よりも脆く潔癖な精神を持つサガにとってどれ程の苦 痛であるかを思い、アイオリアは胸が詰まったような感覚に襲われた。 しかし、予想に反しサガは比較的落ち着いた様子でフルフルと首を振ると、酷く悲しげな様子で微笑ん だ。 「知っているよ、アイオリア」 「何?」 「何もあの者達だけ言っている話ではないんだ、私を快く思わない者達は聖域に沢山いる」 「馬鹿な!知っているだと?!何故あんな事を言われて黙っているんだ!」 「あの者達が言っているのは全て事実だ。私には反論の余地もない」 「アレが言われて仕方の無い事実だと言うのか!?そんなふざけた話があるか、皆お前が聖域のために 身を費やした事を知っているだろうが!?」 サガに詰め寄ったアイオリアは、今度は違う焦燥感に囚われて気持ちが高ぶってゆくのを感じた。 「俺は納得できない、実際戦ったのは俺達だ、それは誰にも揶揄される事ではないだろう?」 サガはアイオリアの顔を真摯に見つめながら、また悲しみを堪えたかのような笑いを浮かべた。 「ありがとうアイオリア・・・・お前は優しい子だな」 「な、何を・・・・」 突然子ども扱いをされたようで、アイオリアは焦った様子で体を揺らした。 「一番私に言いたい事があるのはお前だろうに、私を気遣ってくれたのだろう?・・・すまないな」 「っ・・・それは、サガ」 違う、と言おうとして近づいてきたアイオリアを制すると、サガは半歩後ろに下がって距離を作る。 「・・・私に用があってきたのだろう?書類はコレで全部か?」 アイオリアが先程雑兵達を殴った時に散らばった書類を拾いに離れてゆくサガの様子に、アイオリアは 再度声を荒げる。 「話を逸らすなサガ」 思わずグイとサガの片腕を手に取り、無理矢理自分の方へと向かせようとする。 不意打ちのようにアイオリアに触れられてサガはビクリと反応した。 「は、離してくれアイオリア」 「嫌だ」 あっさりと返すアイオリアに、サガは心底困ったような焦ったような声を出す。 「こんな所を見たれたらお前の立場が悪くなってしまう、頼む放してくれ」 「何故だ、俺達は立場を同じくした仲間だろう、触れる事に何の障害がある」 「お前はそう思っていても周りはそうは思ってくれない・・・!」 蘇った後、アイオロスもアイオリアも、黄金聖闘士達の誰もがサガを責めなかった。 女神もサガの全てを許し、これから健やか有れと生のやり直しの道を与えてくださった。 しかし、誰もがサガの所業を許したわけでは無く。実際に最前線で戦っていない聖域の住人達は、聖戦 での功績よりも13年間の悪行ばかりが記憶に残っている。 だから、アイオリア達がサガを表立って罰しないのを不満に思い、感情の赴くまま雑兵達などはサガに 対しての雑言を繰り返した。 きっと双子座の戦士は周りを懐柔したに違いない そんなセリフを聞いたのは1度や2度ではないサガは、こんな場面を見られでもしたら、ますます噂に拍 車がかかるであろうという事を想像し、アイオリアから本気で離れようともがく。 自分は何を言われてもいいが、自分のせいで運命を大きく捻じ曲げてしまったアイオリアまで悪く言わ れるのは、サガにとって自身の身を切られるより辛いことだった。 「さぁ、私などに関わるのはもうよしてくれ、私はお前に気遣ってもらう資格など無い人間だ・・・ 私はお前達に優しくされるのが1番辛いんだ、いっそ怒りのまま詰ってくれた方がどれ程楽になれるか ・・・・」 自傷するかのようなサガの様子に、アイオリアは更に激発する。 「ふざけるな!怒られる方がいいだと?あぁそうだ、俺とて怒っているに決まっているだろう!」 「・・・!」 突然弾かれたように激昂するアイオリアは、そのままサガを腕ごとグイと引いた。 サガは思わずギュと瞳を瞑り、初めて下されるであろう処罰に身構えた。 アイオリアにならば殺されても文句は無い。 そう思ったサガは、しかし一向に衝撃の来ない事を不振に思った。瞬間、その代わりに何かにギュッと 体を包まれる感覚に襲われた。 「っ・・アイオリア!?」 サガは己の身に起こったことを理解し、慌てたように声を発する。 アイオリアは、サガを殴る所か、逞しい腕の中にサガを捕らえていた。 「アイオリア、何を・・・・!」 「サガ、俺は怒っているんだ、お前が全部を背負い込んで俺達に何も語らなかったことが悔しくて堪ら ないんだ!」 「・・・リア?!」 「もう知らない事でこんな思いをするのは沢山だ、俺を・・・・置いていくのはもう止めてくれ・・・ !」 「・・・・リア?」 サガは今まで入れていた力を抜き、不思議そうに自分の肩に顔を埋めているアイオリアを見た。 普段寡黙で雄雄しく威厳を保っているはずのアイオリアが、今は見たことも無いように小さく見えた。 しかし、サガはこのような様子のアイオリアを以前にも見た記憶があった。 幼い頃、まだサガとアイオロスが親代わりのように子供達を世話していた時の頃、アイオリアはまだま だ子供らしい仕草でサガが居なくなるとワンワン泣いてサガを求めた。 今正にその姿がダブって見える。アイオリアはまるで離したらサガが消えてしまうという強迫観念に襲 われているかのようにサガを強く抱きしめている。 「リア・・・」 サガはアイオリアがまだ幼子だった頃のようにそっとアイオリアの頭に手を寄せた。 「アイオリア・・・泣いているのか?」 違う、とアイオリアは頭を振る。 「すまない・・・私がお前を悲しませているのだろう?」 「違う!」 今度は音にしてアイオリアは反論した。お互いの顔を覗き込む形になったが、アイオリアは泣いてはい なかった。 「俺は・・サガが今の生を全うしようとしない事が悔しいだけだ!」 「そんな・・・・私にそんな資格など許されるはずが・・・」 「では、その資格とやらは一体誰が与えるんだ?誰に許されれば満足なんだ?」 「そ・・・れは」 「女神や兄さんだけでは足りないのか?ならば言おう、俺はサガに堂々と生きて欲しい、生きて人並み の幸せとやらを掴んで欲しい」 「・・・リア、しかし」 「俺の言葉では不足か?」 「そんな事あるはずが・・・!」 「ならいいだろう、今言った通りサガは許された。これからは聖域を堂々と生きていくんだ」 「・・・・・は、・・・」 何と、何と強引で優しすぎる言葉なのだろうか、 急な展開に戸惑っていたサガだったが、アイオリアの言葉を頭で反芻すると、やがて泣き笑いのように クシャリと顔を歪めた。 13年間逆賊の弟の汚名を着せてしまったのに、自分を殺してもいいぐらいの恨みがあってしかるべきは ずなのに、アイオリアは自分に生きろと言ってくれる。 ただただ泣き出しそうに申し訳なく、そして嬉しかった。 「・・リア、お前は中々に強引な男に育ったな・・・」 「当然だ、俺は自分の意志を貫くために強くなったんだ、周りに意志を捻じ曲げられるのは大嫌いなの でな」 フン、と息を吐いたアイオリアに、サガはやはりフと小さく笑う。 「・・・本当に・・・いいのだろうか、私はここで生きていいのだろうか」 「当たり前だ、お前はこの聖域を守る黄金聖闘士の双子座のサガだろう?」 余りに簡潔なアイオリアの言葉が今のサガにはひどく大きく響き、サガは少し泣きそうになった。 「・・・・・すまない、いや、ありがとう・・・アイオリア」 「サガ」 やっと笑ったサガにほっとしたかのように、アイオリアも満足そうに微笑んだ。 未だ腕に抱いたままの状態に、サガはまた少し身じろいだ。 ビクともしない腕の力に、それでも少しのスペースを作り、サガはアイオリアの顔を覗き込んだ。 「しかし・・・・・リア、お前本当に大きくなったのだな、昔は私が抱っこしていたのに・・・」 「な、そんなの何時の話だ・・・!」 突然昔の話を穿り返され、アイオリアは恥ずかしそうに顔を歪めた。 サガとしては、アイオリアを腕に抱いたのは13年前のホンの幼い頃の話で、体の記憶の中のアイオリア はサガの腕の中にスッポリ納まるサイズのままで止まっている。 「力ではもう敵わないんだな・・・少し驚いたが・・・中々悔しいものだな」 本気で抵抗したサガをやすやすと取り押さえた先程の行為を思い出し、サガは苦笑いに似た笑みを浮か べる。 偽教皇時代には触れる事も出来なかったので分からなかったが、子供だと思っていた幼子は、これ程ま でに成長していたのか。 親のような気持ちで擽ったそうに笑うサガの様子を少々不満そうに見ていたアイオリアは、やがてまた フンと寡黙な顔を戻した。 「あぁそうだ、もはや俺の方が腕力は上だぞ、だからこれからサガがまた何か変な事で思い悩んだら、 有無を言わさず力ずくで引き上げるからな」 「それは・・・何とも頼もしい言葉だな」 堂々宣言するアイオリアに、サガは少しだけ罪の贖罪に染まった心が解き解されてゆくのを感じた。 「で、結局私に頼む仕事があったのではないのか?」 「あ・・・」 サガの一言によってシオンに頼まれていた事柄を思い出し、アイオリアは慌てて周りをババッと見渡し た。 無残に散らばっているその書類たちは、先程自分がばら撒いたもので、アイオリアは少々血の気が引い てゆくのを感じた。 「ヤバイかもしれない・・・特に急ぎの仕事らしいのに・・・」 頼みの綱のサガに、シオンは特にややこしい仕事だけを選んでアイオリアに託した。 それ程立て込んでいる仕事の運搬役を任されたのに、結構な時間をロスしてしまった事実を確認し、ア イオリアは本気で焦る。 「リア、シオン様に言われた制限時間は何時だ?」 「・・・2時間で帰ってこいと言われた・・・それ以上掛かるとお前の責任だと・・・」 「あと1時間無いな・・・・」 少し困った顔をしたサガだったが、即座に気持ちを切り替えてクルリと身を翻す。 「アイオリア、とりあえず私の宮に行くのが先決だ。先程カノンがお茶を入れてくれたから、一緒に休 むといい」 「な、カノンと一緒にだと・・・?!」 あの超絶ブラコン弟の顔を思い出し、アイオリアは苦虫を潰したかのような顔をした。 (あのカノンと共にお茶だと!?出来るわけないだろうが!) 恐らく気を抜くとあの弟は、余裕でアイオリアの首を狙ってくるだろう。 冗談抜きでそう思うアイオリアを尻目に、サガは何時もの仕事一直線な真面目な顔を張り付かせて笑っ た。 「大丈夫、そうかからせないようにするから、何、お茶をおかわりする頃には終わらせる」 頼もしい事この上ないセリフも、今はそんな余裕は無く。 (その間に殺されなければいいが・・・・) アイオリアは、サガの笑顔を見やり、とりあえず前を歩き出したサガの後を追うように歩き出した。 その様は、13年前サガをトコトコと無心に追いかけるアイオリアの姿とそっくり同じ構図であって、し かし今は逞しく成長したアイオリアは半歩でサガに追いついた。 (やっと追いつけたみたいだな・・・) アイオリアはサガに気づかれないように薄く笑った。 END リアサガお初。サガ受上位ランクにおさまっているはずなのに、何故か書いていなかったリアサガ( 笑) いや、マジ好きなのに難しいですねリアサガ; 軽く書くつもりが、何時も通り長文レッツゴー(死) もうダメだ・・・・気をつけても長くなってしまう私の文才をどうにかしてくれ(泣) リアサガも他のサイト様で見るべきですね、そうですね。(謎) ・・・・お粗末様でした;;; |