NUTROCKER

P.K.H.103/1a,1b
無人重装甲ホバー戦車ナッツロッカー

イ)HJ82/9 (作)HJ82/9(Kow)

 2884年2月、遅々として進まないX-P.K.A.計画に業を煮やした、シュトラール国防軍軍司令部は、戦時兵器開発局に対し、敵A.F.S.に対する、本来の対抗兵器であるP.K.A.が完成、部隊配備されるまでのつなぎとして何らかの対策を講じることを命じた。敵A.F.S.に対する決定的な兵器を持たないシュトラール軍は、各所で敵A.F.S.部隊による猛攻を受け、敗退を続けていた。事態は急を要するのだ。シュトラール国防軍戦時兵器開発局は、軍司令部からの緊急命令に対する解答として、新型の装甲輸送車輛として就役したばかりの、大型装甲ホバートラックS.p.h.69を改造し、対A.F.S.専用の無人大型ホバー駆逐戦車を製作するという計画を提出した。

 2884年2月14日、シュトラール国防軍軍司令部は、戦時兵器開発局に対し、対A.F.S.用無人大型ホバー駆逐戦車X-P.K.H.103製作に関する正式命令を発した。正式命令を受けた戦時兵器開発局では、その日のうちに設計を開始、一週間後には、X-P.K.H.103に搭載予定の兵装、装甲板、電子兵装などと同重量のバランスウェイトをS.p.h.69に搭載し走行試験を行った。その結果、S.p.h.69に搭載されている機関では、X-P.K.H.103に搭載予定の全兵装を装備した場合、ややアンダーパワーであるという判定が下された。そのため、走行性能の低下を防止するためX-P.K.H.103の機関はより強力なSteyr 850PSに換装し思い切った機関出力の増大を図ることにした。車体関係ではまずS.p.h.69の車体各部の装甲を大幅に強化したうえ、背部大型貨物室、及び操縦室を撤去し、その部分に厚さ100mmのタングステン鋼製大型鋳造砲塔を搭載した。その砲塔に2門のレーザーカノン、そのサイト、及び索敵センサー類を詰め込み、砲塔の内側には熱効果で装甲板を溶解するA.F.S.の中間赤外線レーザーを防ぐため、厚さ50mmの特殊耐熱セラミック装甲がはられ、更にその内側にも20mm厚のタングステン装甲がはられた。

 砲塔に搭載された二門の6cmレーザーカノンP.W.38は、捕獲したA.F.S.の装備する4cmレーザーガンPrg.41の単なるスケールアップコピーであったが、その攻撃力は満足すべきものであった。この高出リィ区の化学レーザーであるCW3.8ミクロン中間赤外線レーザーは、地球磁気などの影響も受けず、宇宙空間であれば、一秒間に38万キロの速度で30万キロ離れた月面までも屈曲することなく直進し、エネルギーの減衰もほとんど無い。しかし、大気圏内で使用する場合には、水蒸気、霧、雲、チャフ(電子妨害のためのアルミ箔)によって勢力が極端に弱められてしまう。但し、A.F.S.、P.K.H.103/1aとも当初は、乾燥し、水蒸気の少ない砂漠地帯で戦闘することが多かったため、デビュー当時はさして問題にされなかったが、その後、赤道附近の高湿度地域にまで戦争が及んだ時、A.F.S.、P.K.H.103/1a等が搭載装備する中間赤外線レーザーはその欠点を露呈し、特に熱帯地域でのスコール時などは全く射撃できない状態となる場合も多かった。大昔の火縄銃でもあるまいに…。そこで、高湿度戦域で使用されるP.K.H.103/1aには吹く武装として3.5cm高初速機関砲Mk.281と、7.92mmMG81がその同軸機銃として取り付けられた。3.5cm機関砲と、7.92mm機銃は、一つの装甲ガンポッドに収められ、砲塔側面の旋回可動レーザーガンの上に取り付けられた。これは後に正式に標準装備化され、このガンポッドを装備したタイプは、P.K.H.103/1bと呼ばれた。当初、P.K.A.がかんせいするまでのつなぎとしてせいさくされたP.K.H.103/1a・bだったが、戦場では予想外の戦果を納め、シュトラール、傭兵側が共にピーナッツと呼ぶA.F.S.を多数破壊したため、敵味方からナッツロッカー(胡桃割り器)と呼ばれるようになった。やがてそれは、正式名称とされ、P.K.H.103/1a・bという呼称と共にナッツロッカー1a・bという呼称も正式のものとして併用されている。

 ナッツロッカー1シリーズのバリエーションとしては、2884年9月に編成されたナッツロッカー四十四輛、ホルニッセ六機、クレーテ(後にはノイスポッタ−)十六機からなる独立重戦車大隊の大隊長、及び中隊長用として、有人タイプで通信能力を強化した指揮用のナッツロッカーが、通常型十二輛に対して一輛の割合で生産された。

(HJ別冊より)

←ナッツロッカー武装強化型、P.K.H.103-G。
 詳細は不明。

NUTROCKER II

P.K.H.103/2
ナッツロッカーII

 2884年12月、ナッツロッカーは戦場で傭兵側の新兵器スーパーA.F.S.と遭遇し、敗北を喫した。スーパーA.F.S.の装備するエクサイマー高出力レーザーは一撃でナッツロッカーの砲塔を粉砕したのである。事態を重く見たシュトラール軍軍司令部は、戦時兵器開発局に対し、戦場でスーパーA.F.S.に対抗可能な装備をナッツロッカーに施すことを命じた。現在、改造作業中のナッツロッカーは、エクサイマー高出力レーザーカノン及び5.5cm高初速機関砲を搭載し、スーパーA.F.S.のエクサイマー高出力レーザーの攻撃に耐え得る装甲防御力を備える予定である。完成後、このナッツロッカーはP.K.H.103/2、ナッツロッカー2型と呼ばれることになるだろう。

(HJ別冊より)

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Maschinen KrigerAll Original Design & Illustration & Modeling by Kow Yokoyama.
Original Text by Hiroshi Ichimura & Kow Yokoyama.