Sunday Bird Carving
                                              正田俊夫

◇ 一連の写真は正田サンの木彫作品をできるだけ自然に近い状態で撮影したものです。


No.1 マガモ
                 野山を走っていて鳥の声を道連れにすることがままあります。
                 木片からそんな鳥を彫り出すのがバードカービング。
                 最初はカモばかりを彫っていましたが、平成3年に奈良そごう
                 であった野鳥展を見てびっくり。
                 本格的なものをと教室を見つけ今に至っています。
                 始めに紹介するのは自己流でやっていた頃のカモのデコイです。
                 鳥の顔は案外と丸いものと思いがちですが、昆陽池で出会った
                 カモ達はたて長で薄っぺらな顔で水を切るように出来ていました。
                 この当時は本格的な絵付けがほとんど出来ていず、
                 リアルバードカービングは次回からです。




No.2 スズメ
                 いよいよ教室に参加、手始めに先生から与えられたのは
                 スズメのキットでした。
                 初心者には身の廻りに居て誰もが常に目にしているスズメ
                 を一番目にしているようです。
                 正月のジョギング途中、松飾りの稲穂を軒から軒へへと啄む
                 姿に元気づけられ、脚が軽くなったのを覚えています。
                 顔はふっくらと丸く、嘴は穀類などを啄むため鋭さに欠け、
                 胸元にはエプロンがあるのが特長。
                 地面に降りれば鳩の様に歩くのではなく、ピョンピョンとホッピ
                 ングします。
                 彫刻刀で羽の重なり具合を削り出すのですが、どう
                 しても屋根瓦の様に階段状になってしまいます。
                 しかし「習うより慣れろ」これも数をこなすうちにだんだん上手に
                 なってきます。
                 実物に忠実により正確に仕上げるのがリアルバードカービング
                 なのです。


No.3 ジョウビタキ
                 鳥を彫るようになると自然に身の回りの鳥が目につく様に
                 なって、今まで気に留めなかったものが見えてくる。
                 函館山にスキーに行き、リフト待ちしていた時に雪の絨毯の
                 上で可愛い姿を見つけた。
                 胸がオレンジ色で目が大きく、頭がグレーですぐ見つける
                 事が出来る鳥だ。
                 レンズ付きカメラでゲットしたがキャビネにしても米粒ぐらい
                 でだめだった。
                 脚の作り方だが、導線を組んでヤスリをかけて爪先をとがら
                 せる。
                 こんな事もある。ジョウビタキは縄張り意識が強く、バック
                 ミラーに映った自分の姿に攻撃を加えるのも目撃されている。


No.4 ムクドリ
                 2月のクラブランの折り淀川堤で出会った。で
                 嘴と脚がオレンジ色、大きさといえばハトとスズメの中間くらい。
                 彫る前に図鑑よりも現物と、城北公園へスナック菓子を持って
                 出かけ、餌を撒くと来るわ集まるわ。
                 そんな中で木の枝に停まっている相手にせっせと餌を運んでいる
                 のは彼女の気を引こうとしているボーイフレンドか?
                 彫り上がった鳥の絵付けにはアクリル絵の具を使っている。
                 其の前ににじみを防ぐためにクリアーラッカーを吹くのがポイント。
                 アクリル絵の具は乾くと耐水性がある。折角彫りが良くても塗りで
                 ダメになることも。薄い色から三度、四度と塗り重ねてゆくのであ 
                 る。



No.5 ウグイス
            春先に自転車を走らせていると、ホーホケキョとはならず、
            練習に励んでいるウグイスの声を耳にすることがある。
            声だけではあるが、サイクリストがいちばん親しんでいる鳥
            だろう。俗に梅にウグイスというが、いつも梅林で見かける
            のはメジロのことが多い。
            ウグイスは思ったより色が茶色っぽく、汚れたような色なので
            見つけるのは先ず困難だ。
            メジロにはアイリングといって、目の縁に白く太いくくりがあっ
            て可愛いが、ウグイスにはそれが見られず素っ気ない。
            羽、胸など全体が同じ様な色で変化が無く、色塗りが非常に
            難しく、絵筆を投げ出したくなる。



No.6 ホオジロ
            スズメより一回り大きく顔が白と黒のまだら、頬が
            白一色と思いきやそうでもない。
            繁殖期には主に昆虫を捕食するが、冬は草の実など
            を食べている。
            今回は目玉のことを。彫りで浮かして黒く塗るのが
            基本だが、殆どの人は市販のガラスの目玉を入れて
            いる。が、小生は樹脂を落としその表面張力を利用。
            今年も作品展が「エルオオサカ」であり小生エナガ
            を出品。来年はリニューアルなった「中央公会堂」
            で予定されている。ご案内をお楽しみに。
            そう、ホオジロの聞きなしは「一筆啓上仕り候」、
            「源平つつじ白つつじ」などとも。


No.7 カワセミ
                  ルリ色の鳥の宝石と言われる様に、カメラの被写体としてよく
                  愛好家に撮られる鳥だ。
                  ホバリングしていて水中にドボンとダイビングして小魚をねらう
                  こともする。
                  早朝には光の波長のためコバルトブルーに輝いて美しい。   
                  大阪市内でも大阪城や鶴見緑地で観察出来る。
                  今回のは飛んでいるポーズなので広げた羽根を薄く裏表を
                  合わせるべく彫った。
                  あまりの薄さのため、ポキリと折れボンドの世話になったことも。
                  今回、写真撮影のご苦労も城北公園で想像するに
                  リールの先に吊して?なんて。
                  変質者と間違われていないかと心配する。



No.8 オオルリ
                  スズメよりほんの少し大きいかな。
                  瑠璃色というからメタリック調で、といっても実物
                  にはいまだお目に掛かっていない。
                  しかし、最近のテレビCMではよく出会っている。
                  真新しい住宅や、快走する車のメッセージと共に飛
                  びたっている青い鳥がオオルリで、六甲山あたりで
                  もよく見かけるようだ。
                  この鳥、腹は白いが背は殆ど青く、色を塗り分ける
                  のには随分と手間暇がかかった。
                  自然の世界では花には青が少なく、鳥には多いという。
                  そんな不思議を感じさせる。


No.9 ノゴマ
                  野駒、目一杯のお化粧をして、おすましをしているみたい。
                  先日のテレビドラマ、北の国からの中でハマナスの枝にとまる
                  鮮やかな姿が映しだされ、そのことが、教室でひとしきり話題
                  になった。
                  バーダー8月号の表紙に読者投稿のノゴマの写真がお見事。
                  今回、羽を少し広げ、尾を立てているポーズが少し気取って
                  躍動的。
                  ちょっとした弾みで手がすべり、羽根の端を欠けさしてしまった。
                  うまく誤魔化したので写真ではちょっと見えないかも。
                  話はそれるが、クラブランの朝、中之島を行くと工事中であった
                  中央公会堂の覆いが取れ、往時の姿を現し、しばし見とれる。
                  来年5月の発表会はここでやるとの話。餌台に集まる5羽のス
                  ズメ達を只今製作中。
                  さて、どんな作品が出来るのかお楽しみに。


No.10 シジュウカラ
                  四十雀、スズメ位の大きさで活発な小鳥、頬は白く、
                  頭が黒く喉から胸、腹、下尾筒(おしりの羽の付け根
                  の処)まで黒い中央線が見られる。
                  翼にある白い一本の線も特徴の一つ。
                  過ぎし日に金沢に遊びし時、兼六園でこの鳥に出く
                  わし、十羽ほどが茶店の縁の下と木の枝といったり
                  きたり。楽しそうに遊ぶ様を飽かずに眺めていたも
                  のだ。先の下尾筒の部分など図鑑や写真で見え難
                  いところは、剥製や先生の作品を参考にするしかあ
                  るしかありません。




No.11 モズ
                  秋のモズの高鳴きは風物詩となっている。
                  ラジオから気象予報と共に9月26日初霜の便りと
                  リスナーから、モズの高鳴き情報がありましたと報
                  じられた。今では都会で見ることも少なくなった鳥。
                  2月の淀川に鳥を求めたクラブランの折りに、河川敷
                  きでモズにであい、餌を捕ったのか低空飛行で葦に
                  止まった。すぐさま追いかけ確認したことを覚えている。
                  早くからモズのことは彫ってみたかった。
                  スズメよりひとまわり大きく、上嘴が猛禽類のそれの
                  ように下に鋭く曲がっている。
                  トカゲやカエルなどを食べるに適しているのだろう。
                  やっぱり面構えは精かんそのもの。
                  近年、モズの`はやにえ`のことを必ずしも餌の保存
                  とは言わなくなったらしい。ではなぜ?

No.12 ヒレンジャク
             緋連雀、いよいよ連載最後の鳥としてヒレンジャクの 登場。
             スズメより大きく、ムクドリよりは少し小さ目で体長は約18cm。
             数年前に長野県で集団で木から落ちて死んでいたと新聞に
             報じられた事があった。
             死因については明らかではなかったが、好物のピラカンサの
             食べ過ぎ又は中毒とか定かではなかった。
             ピラカンサといえば、この木のことを教えてくれた西本さん
             が思い出される。 この頃晩秋に真っ赤になったピラカンサ
            をよく目にするようになった。
             全身淡い赤みを帯びた灰褐色のとてもきれいな鳥。
             頭には独特の冠羽がある。尾の先が赤いのがヒレンジャク。
             黄色いのがキレンジャク。
            来年5月には中央公会堂にてスズメの作品でお会いしましょう。
           
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