ピマーイ歴史公園

アンコールワットより、早い時期に完成したと言われるピマーイの寺院はクメール様式でありながら、ヒンドゥーよりも仏教の影響を強く受けている。
アンコール王朝はジャヤバルマン7世(1181〜1219)という仏教徒の王様が即位するまでは、Siva神とVishnu神を信仰していたはずだが、ジャヤバルマン以前に建てられたピマーイの寺院に仏教色が強いのは、それよりもずっと昔の7世紀からこの地ではマハヤナ仏教の信仰があったからだと言われている。そういうこの土地の伝統に、統治者のタントラ信仰が加わって、仏像あり、Siva神あり、壁には大きなガルーダまで彫られているというなんでもありの寺院になってしまったらしい。

中央の塔はほぼ完全に修復されている。ご本尊はNaga(パノム・ルンにもいた大蛇。)の下で瞑想するお釈迦さん。正しい仏教徒、もしくは映画”リトル・ブッダ”を見た人なら分かると思うが、シッダルタ王子が修行のために森に入り瞑想していると大蛇が現れてシッダルタの背後から鎌首を持ち上げて覆い被さった。弟子たちが慌てていると雨が降り出し、大蛇はちょうどシッダルタの傘になっていたという逸話から来ている。それを見る限りは間違いなく仏教寺院なのだが...


パノム・ワン



復元修復中のこの遺跡はほとんど瓦礫の山と言ってよかった。クレーンで石を持ち上げたりしているのに出入り自由というのが恐ろしいところだ。他の3つの遺跡も、今ではなんとか原形に近い姿になっているが、修復以前はこんなもんだったようだ。ピマーイの歴史博物館にあったピマーイの修復前の写真を見たが、あそこまで崩れてしまったものをいったいどうやって今の姿に戻したのか想像もつかない。この写真を撮って2年がたつが、パノム・ワン遺跡はどんな姿に修復されているのだろう。
中には仏像が置かれているが、着せ付けられた衣と、体中に貼り付けられた金箔は今もタイの人びとの信仰が捧げられている証だ。
隣には現在の寺院。 千年の時を共有する不思議な空間だ。


タクシー

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