15H$のご馳走

香港旅行の楽しみの一つは「グルメ」ということになっているようだ。 旅をしていて、いつも思うことだが、人間いくら頑張っても1日に食べれる量はたかが知れていて、 普通1日3食。そのうち、朝食はこちらもそうこってりした物は食べられないし、 店でも豪華なメニューを用意していない。4泊の旅ではグルメも7食が限界だろう。 それも胃袋がついていけばの話である。
私は仕事に出ている日は食欲旺盛で、 行きつけの食堂のおばちゃんは、 私の顔を見たら黙って飯を大盛りにしてくれるほどの大食いなのだが、 仕事をしないと腹の減らない質で、休日は家でごろごろしていようが、 旅行で遊びまわっていていようが日頃の半分ぐらいしか食べられない。
贅沢三昧の食事も楽しいだろうが、 一人で気軽に入れる店で大衆的な料理を食べてみるのもまた楽しい。 路地の間口1間、奥行き3間といったところの小さな店で、 ワンタン麺や水餃子なんていう日本でもお馴染みのメニューを食べてみるもよし、 広東語で書かれた品書きの漢字から勝手に料理の内容を想像して注文し、 ワクワクしながら待つもよし。いずれにしても、名も無い店の大衆料理でさえ、 どれも期待を裏切らない、否それ以上の美味しさなのが香港の凄いところなのである。
お節介かも知れないが、広東語も分からないのにどうやって注文をすればいいの? なんて思ってる人のために少し講釈をたれておこう。
店の選び方は特にないが、お客が入っている店の方が良いかもしれない。 とりあえず、私は何も考えず適当に店に入ったが、外れは1軒も無かった。 入り口のあたりに小さな調理場があるのでそこらあたりに立っている店の人に、 壁に張ってある品書きの中から自分が気に入った品書きを指差す。 たまに、自慢のメニューを勧めてくるおばちゃんなんかがいるが、 このアドバイスには従った方がいいかもしれない。 ある店で、私が「わんたんめん」と言っているのに、執拗に餃子を勧めるので頼んでみたら、 これが超旨かった。向こうから何か尋ねてくることがあるが、持ち帰りか、 店で食べるかを聞いているだけなので、とっとと席に着いてしまえばいい。 狭い店なので、机は3つくらいしかない。椅子さえ空いていれば、身振りで相席を申し込めばいい。 本当は何も言わずに座ってしまえばいいのかもしれない。 見知らぬ香港のおじいさんと差し向かいで麺をすするのも、また一興。 食べ終わったら、品書きに書いてある金額を支払って、「トーチェ」と言って帰りましょう。 この一言で愛想の悪いおばちゃんの顔もほころびます。テークアウトの場合は容器代が必要。 ちなみに代金は10〜15H$。高い物でも30H$以下。
それから、胃腸の弱い人や神経質な人にはお勧めできないが、屋台の料理も意味不明で興味深い。 私が気に入ってしまったのは、豚の腸やレバー、魚の切り身、ピータン、 香味野菜なんかを容器に入れ、その上からよく炊けたお粥をぶっかけたシロモノ。 聞いただけでも不気味だろうが、見るともっと不気味。 でも、モツの好きな人なら気に入ってもらえると思う。 私はどうもインディカ米がだめで、香港では普通に炊いた御飯が食べれなかったから、 このお粥には救われた。これも15H$。
そういうB級、いやC級グルメの旅であったが、 それでも舌は満足させられていたというのが、恐るべし香港の実力なのであった。

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