2007.9.18 やめてあげてよ、そのCM 2007.9.18

ボールドっていう洗濯洗剤ですが、私も使ってますよ。
あの洗剤のCMはずっと、厳ついおっさんがボールドで洗ったタオルの柔らかくっていい匂いに メロメロになるという路線を貫いていますが、今流れているのは末続慎吾編です。
このCMが流れ始めたのは、世界陸上大阪大会で末続が走る少し前でした。 前々回のパリ大会の200mで銅メダルを取った彼には、 地元開催の今大会で期待が高まるのも当然のことです。
パリ大会での銅メダルは日本人でも短距離で世界と勝負できるんだということ以上に、 日本人には日本人の走り方があるということを示した点で画期的な出来事でした。 それまで短距離はカール・ルイスのようにケツで走るものだと思っていた私たちに 難波という日本古来の走法の正しさを突きつけて来たのは末続の師匠高野進です。
高野自身も400mのファイナりストであり今でも日本記録保持者です。 400mを走りきるために省エネ走法として忍者走りに行き着いた彼自身も、 初めはそれが100mや200mに通じる走法だとは思っていなかったのですが、 400mでファイナりストとなった後、100mに挑戦しようとして忍者走りの意味に気付いたそうです。 それがハムストリングと腹筋で走るマスコミの言う難波走法です。 そんな高野の指導に、初めは誰もついて来なかったと言います。 しかし期せずして伊東浩司が同じ理論の走りで、流さなければ9秒台が出ていたのにと 今でも惜しまれる10秒00を出し、高野の理論は間違いではないと分かります。 そして彼自身がスカウトした弟子末続がパリの世界陸上で銅メダルを取ったのです。 高野が初め陸上部員から総スカンを食っていた走法がオリンピック前年の世界陸上で銅メダル。 泣ける話じゃないですか。
大阪大会、期待を背負い、ダイアモンド入りのスパイクを履いて走った末続でしたが、 同い年のアスリートと同様 (醍醐は足がつり、沢野はポールから手を滑らせ、池田は精彩無く) 決勝進出ならず、2次予選で散りました。
しかしその後もボールドのCMは流れ続け今日に至ります。 「柔らかくっていい匂い」と言って、赤い顔をしている情けない末続に、大阪人なら絶対、 「そんなことしとるから負けたんやんけ」と突っ込んでしまいます。
でも、今年は派手なユニフォームやダイヤモンド入りのスパイクが目立つ事で自分を追い込んだ彼なら、 大阪人の突っ込み必至なCMを流し続けることでも自分を追い込んでいるんでいるかも 知れませんね。と期待を込めて。
末続君、あなたは十分に日本人に夢を見させてくれた。でも、あなたがまだ走るのなら 私はいつまでも応援し続けますよ。