「なあ、やっぱり言ってやった方がよくねえか?」
「で、でも・・・。」
夕闇が迫り、辺りはお互いの顔が、ようやく判別できるくらいの明るさになっていた。
「ぼ、僕、やっぱり見なかったことにします!」
彰紋はそう言うと、くるりと方向転換した。
その首根っこをつかむイサト。
「でもなあ、いくら遠目には顔がよくわからねえとはいえ、ここ、天下の往来だぜ・・・? いいのかなあ・・。」
「ご、ご本人達が気にしていないのですから、いいんじゃないですか!?」
襟元をつかんでいるイサトの手を振りほどき、逆にその腕をつかむと、彰紋はさっさと歩き出した。
「そっかあ〜? でも、気付いてるの、俺たちだけじゃないみたいだけどなあ・・・。」
イサトはブツブツ言っていたが、彰紋に引っ張られて、結局そのまま夕闇の中に消えた。
だが----------。
実に、都合よくその場に居合わせたのは、彼らだけではなかった。
「か、勝真・・・・!? み、神子殿・・!!」
木の陰に半分だけ身を隠し、口から泡を吹かんばかりの長身の武士。
(本人は、とっさに隠れたつもりだったらしい。〜武士団へ戻る途中にて〜)
「おやおや、こんな時間からお盛んだねえ・・・。若いというのは悪いことではないが、時と場所は選ぶべきだね。
彼には今度あったときに、その辺りのことをきちんと伝授してやらねばなるまいね。」
長いストレートの髪をくるくると弄びながら、大路沿いの屋敷の壁にもたれ、可笑しそうに笑う雅な海賊。
「翡翠殿、そういう問題では・・・。」
その横には、ずり落ちかけた眼鏡をあたふたと直している、理知的な雰囲気の青年。
(どうやら、幸鷹が翡翠を捕まえて説教していたらしい。)
「・・・・・・・・。行くぞ、泉水。」
一方こちらは、何事にも動じない陰陽師。
「あ、あの泰継殿・・・。私はどうすればよいのでしょうか・・・?」
対して、今にも泣きださんばかりの優しげな青年。
「どうするとは? 何か問題があるのか?」
「あ、あ、あのような場面、わ、わ、私のような者には、し、し、刺激が強すぎて・・・。」
「では、見なかったことにすれば良い。」
「そ、そう仰られても・・・!」
(まだまだ意思の疎通がうまくいかない玄武組。 〜なぜ一緒にいたのかは不明〜 )
後日。
八葉が一堂に会したときに、皆からいろんな思惑の混じった目で見られた勝真は、
訳がわからず、
「俺が、何かしたかよ!?」
と叫び・・・。
しばらく、皆から総スカンを食らったとか。
〜☆ fin ☆〜
ああ、やってしまった・・・。 ほのぼの&ラブラブで終わらせておけばよいものを・・。 つ、つい・・・/// ごめんなさい〜〜(><) でもでも。前のページで警告しましたよね? ね? (2003.11.18) |