花淡雪
徒に 過ぎ行く日々の中
音もなく舞い落ちた
ひとひらの桜
微かな波紋を起こす
湖面を渡る風が
走らせる さざなみ
花びらを包みこもうと
乱れ揺れては 消えてゆく
ふと見上げれば 花吹雪
共に舞い散る 光の雫
柔らかな香のベールを
一枚一枚めくりながら
樹々の間を抜けていこう
その向こうで佇み
待っているのは
・・・誰?
斜めに差し込む光の中
手をかざし あなたを探す
柔らかな桜の絨毯
そっと踏みながら
湖水ごと掬い取った
一片の花びら
この手の中で ゆらゆら揺れる
まだ見ぬ人の 面影のように
この道を抜けたら蒼い風
秘めた想いをそっと運ぶ
あたたかな風のベールを
一枚一枚たどってゆこう
最後の一枚をめくったとき
その向こうで振り向き
微笑むのは
・・・誰?
( 2004.1.9)