困ったものだ・・・。


取りあえず4人の服装を何とかしようと街中へくり出したはいいが、いい男の集団のわりに ミスマッチな服装で、
すれ違う人すれ違う人の注目の視線を浴びる事となっていた。

気が気じゃない花梨の気持ちなどお構い無しに、イサトは初めて見る異世界の建造物に目を輝かせ、
泰明はブツブツ呟きながらあちこちを清めまくり、幸鷹は懐かしい幾分変わった街並みを堪能し、
泉水は車道をもの凄い勢いで通り過ぎる乗用車やトラックにおどおどしていた・・・。



このままでは精神的にもたないと思った花梨は、四条方面への買い物は諦め、堀川通り沿いの とある商店街を訪れる事にした。


ここも人通りがない訳ではないが四方を若者に囲まれて見世物になるよりは 幾分マシな花梨だったが、
ここにきても下町のおば様達からの熱い視線からは解放されることはなかった。

ただ一番問題なのは彼らに似合う服が売られているかというだけだ・・・。


とにかく洋品店を見つけないことにはお話にならない・・・。


食い入るようにそれぞれの店を眺めながら歩いていた矢先、一件の微妙に小洒落た洋品店を発見した。


ここでも彼らは物珍しく現代の服装を観察していた。


「神子殿!ここは女性のランジェリーまで置いてあります///// 私達男性が入ってよい場所ではないのでは?!」

そういう幸鷹が手にしているのは紫色の花柄で、上に淡いピンク色のレースのかかったキャミソール・・・。

いや・・・、下着っぽいけどこれは下着じゃないのよっと説明しようと思った花梨だったが可愛い服に気を取られ、
思わず買い物籠に押し込んだ。


「なあ、花梨!これが服なのか?!こんなのオレぜってー着たくね〜ぞ!!!」


そういってイサトが花梨の前に突き出したのは横に大きくスリットの入った真っ赤な サテン生地のチャイナドレス・・・。えっと、案外似合うかも・・っと思ったがさすがにそれは口に出せず、元の場所に戻す。


「ああ!!!何故こんなところに熊が(汗)」

そう言って花梨を守るように立ちふさがった泉水だったが、改めてよく見てみると熊の着ぐるみパジャマ を着せられたマネキン・・・・・。


っつ〜か、何だこの店は??? っと思ったが面白いので良しとした。


どうでもいいが、可笑しな服やら有閑マダムに好まれそうな絵柄にスパンコールの入った服やらが異様に目立つ・・・。

でもまあ、よくよく見てみると幾分まともな服も置いてあるのでその中でまずは探すしかない・・・。




実は花梨は前の晩から彼らに似合う服装というものを考えていた。

やはり真っ先に浮かんだのはイサトの服装、彼は下手に飾らず・・・いやむしろジャージや、ストリート っぽいようなものがかっこよく着こなせると思っていた。

幸鷹は元々こちらの人間でもあるので、本人に選ばせるのかいいと思う。
でも、似合うというなら普通の大人っぽい格好だろう・・・。

一番難しいのは泉水・・・。
まあ、パッと見て適当に・・・(笑)

泰継は断然黒!!!誰がなんと言おうと黒!!!!
意味もなくそう思っていた花梨だった。


それぞれのイメージを考え、このふざけた洋品店の中でもまともな部類に属する 服を探し出し、試着させる。現代の服に身を包んだ4人を眺め、「う〜ん、さすが私vvv」っと思わず増長する花梨だった。


イサトにはライトグレーのワークパンツに赤いジップアップのブルゾン。


幸鷹には黒の起毛パンツに薄手のグレーのVネックセーター、濃いグレーのカバーオールを羽織らせる。


泰継には緑系で暗いトーンのチェックパンツにモスグリーンのタートルネック、上から黒の ハーフコートを。


泉水には・・・ワンピース???っと、それではさすがにまずいので、ブルー系のイージーパンツにグレーのTシャツと紺のラガーシャツを重ね着。
寒かったら気の毒なのでファー付きの ジャケットも合わせた。


完璧だ・・・。


彼らを見慣れた花梨でさえ、見惚れるほどに彼らはかっこよかった。

でも微妙に何かが足りないと思った花梨は次に小物を買うべく、怪しげだった洋品店を後にした。



「あの、神子?今度は何処へ行かれるのですか?」

着慣れない服におどおど人目を気にしながら泉水が訊ねる。


「ん〜、何か微妙に足りないって言うか・・・、アクセサリー・・じゃなくって、身に付ける 小物みたいなのがほしいな〜ってvvv」

そんなものはこの際どうでもいい事なのだが、変な所で花梨の完璧主義が露呈される。