7 NEWフックシステム

これまでの常識を打破する『完全離脱方式・遊動フックルアー』というものが2002年に開発され、リリースされた。自分がこのルアーに出会ったのは2004年3月のことだった。自分にとっては驚異的な出会いだったので、このフックシステムを搭載したOPCELL社のボーグというルアーについて皆さんにも知って戴きたく思い、書くことにしました。

1 遊動フックルアーとは?
  通常のルアーではフックは2〜3箇所に固定した状態設置されている。ところがこの遊動フックルアーの場合は画期的なアイデアでその常識を覆し、日本、いや世界のルアー界に新旋風を巻き起こしたのだ(世界数カ国に特許申請済)。ボディーヘッド部には離脱システムのための貫通ホール(リリースホール)が施されている。ヒット時にルアー本体から離脱する形状記憶合金のブリッジにはスライド機能を持ったインパクトアンカーセットされている。スライドするインパクトアンカーはフロントフックのアイを兼ねており同ブリッジの末端にはフロントフックに相対する状態でテールフックが配置されている。ベリー部中央には、このブリッジが綺麗に収まるようスリットが作られていて、フックシステムをボディーにセットした状態での外見は全く従来のルアーと同じである。またキャスティングやリトリーブ、またアワセからランディングに至るまで全ての使用方法も従来ルアーと同じである。ターゲット魚は大抵ベイトの頭部(つまりルアーのフロントフック辺り)を目掛けてバイトしてくることは周知の事実である。このときインパクトアンカーによりヒットの衝撃(インパクト)に対してフック先端にボディーの重さをぶつける事ができるためアタリが引き出される。アタリは初期の僅かな針かがリによって引き起こされるがインパクトアンカーがこれを可能にしているのだ(オプセル社によるとフック部をフリーにしただけではアタリを出しにくいとの事である)。フックアップした次の瞬間インパクトアンカーは役目を終えシステムに加えられる引き合いの圧力によってハウジングから離れる。すると形状記憶合金のブリッジがボディーから引き出される状態になり、テールフックと共にユニットは完全に離脱し、同時にボディーはリリースホールからライン上に開放される。直線記憶を施した形状記憶合金のブリッジはテコの力を吸収しながら常に直線に戻ろうとしている。このとき魚体にはフロントフックがセットされているがその位置を目指しながらスライドするブリッジは末端のテールフックを呼び込みながらサッと距離を縮め、ボクシングのクリンチのように2本のフックでガッチリと魚をホールドする。これがクリンチフッキングだ。メーカーでは最近クラッチフィッキングと改名したが自分は敢えてこう呼ばせて貰う。フロントフックがスライドし、魚の動き(反発力)に応じてすでに掛かっている場所を目指しながら2次フッキングするのだ。と言うことは、最近、2フックよりもフッキング率がアップすると考えられ主流になりつつある3フックにも遥かに勝る無限フックシステムと呼んでも過言ではない。クリンチフッキングはテイルフックからヒットした場合でも起こり、逆クリンチフッキングと呼ばれている。

 
2 何故バレ難いのか?
  ルアーのボディーはソリッドであるから、例え2本のフックが刺さっているにせよ、魚がクネクネと激しく身をくねらせる際には、どちらかのフックが支点となり他方のフックを魚体から引き出そうとする力が加わるわけである。より多くのフックが用意されている方が様々な部位において魚体を捕捉できるわけでありよって2フックよりも3フックがバレ難いとされているのだ。ボーグシステムならばフロントフックがスライドし、もっとも適切な位置までテイルフックとの距離を自動的にせばめてくれる。これにより非常に幸運な刺さり方をした状態が偶然ではなくアクティブに作り出されるのでありこれがバレ率の驚異的な低減につながるというわけだ。更にこの時ルアーのボディーはリーダー側にスライドして全くフックに干渉しない。ボーグの完全遊動システムならば魚が抵抗して力が加わるにつれ、ブリッジのしなりによって2本のフックが更に接近しクリンチパワーは増大し、一層ガッチリとクリンチするわけだからバラシに頭を抱えていた自分には感動モノであった。今のところ、幸運にもこのシステムの恩恵でヒットしたシーバスは100%キャッチしている。勿論バレルことは必ずあると思う。刺さりが浅かったり、刺さり場所がシーバスの硬い口蓋部や鰓蓋だったりすれば当然だろう。それにしてもキャッチ率は驚異的にアップした。(オプセル社によると針が刺さりにくい位置でも氷はさみの原理で魚体を捕捉しランディングできるという。この場合ランディング直後にフックは外れるが魚体は既にアングラーの支配下にあるので問題はないとのこと。ターゲットの重さと関節の構造を利用して爪を自動的に打ち込む猛禽類の鈎爪の原理だとのこと。)


              これがクリンチフッキングだ!


3 欠点はないのか?
  どんなルアーにも完全なものはあり得ないだろう。このルアーにも欠点はある。テトラに乗って際を攻めていたときに一つの欠点と思われる現象に遭遇した。そこは昆布のようなウィードが密生していたため何度もルアーがそのウィードに引っ掛かった。いつものように多少こぜるようにして外しながらトレースを続けたのだが、先程までとロッドを伝わるルアーの動きに異変を感じたのだ。ルアーを回収して点検してみると、システムがボディーから離脱してしまっていたのだ。(但しこの離脱現象を起こす瞬間の妙な操作が魚にバイトチャンスを与え、裏技になる可能性も感じている)
  同様にシャローでボトムノッキングをする攻め方も有効なメソッドの一つであるが、お分かりのようにこのシステムでは昆布の場合と同様、あまり頻繁にボトムをノックするとユニットが離脱する場合があり不向きである。やはり適材適所ということになると言えよう。
  更にリップの大きいLBタイプを超高速でジャークすると水の抵抗でヘッドアイの位置が僅かに変化し(すぐに戻るが)通常ルアーにはないパワースライド現象が起こることがある(但しリトリーブでユニットが離脱することはない)。強力なロッドによる強いジャーク時にのみ起こる特殊な動きだ。これは必ずしも欠点ではなく使い方によっては新しいアクションにもなり得る。それがお好みではない場合にはあらゆる高速ジャークにおいて浅い位置で俊敏に応答する小さなリップのSBタイプがあるのだから、こちらをチョイスすれば良いだろう。各々のタイプの特性を活かすも殺すもユーザー次第ではなかろうか。


4 ラインナップは・・・
  大きく分けて2種類ある。128mmのファルコン90mmのオスプレイがリリースされている。更に、ファルコンは17gのフローティングタイプのアイアンと21gの超遠投可能でシンキングタイプのスカイパス。また、12gの水面直下攻略のエンプティーに細分され、その全てにLB(ラージリップのスローコンタクト)とSB(スモールリップのファストコンタクト)がある。
一方のオスプレイは完全サイレント超シンキング16gのスカイパス。タングステンボール内蔵のシンキングタイプである11gのリトルジョン。鉛ウェートで水面直下攻略のフェアリー9gに細分されている。このルアーはボディーのみ、フックシステムのみでの購入が可能な上、フックの種類はは自由にオーダーできることが挙げられる。(ショップ販売に関してはカルティバフックが標準設定となっている。)
 同様に釣行に際してもボディーのみを好みに応じてポケットに詰め込み、フックシステムは2つもあれば十分なので非常にコンパクトで有難い。購入はOPCELLのHPのオンラインショッピングコーナー、または栗田の五輪堂さんで出来る。一度試してみて欲しい。ボーグの真髄は使用してみてはじめて実感できる。ここだけでは筆舌に尽くし難い。


☆オンラインショッピングはオプセルHPでどうぞ。実物を手にしてという方は五輪堂さんでどうぞ!