ここでいうIQとは通常のintelligence quotientではなくinformation quotientであることをまず言っておきます。つまり『知的』でなく『情報』をさす『掛詞』ってことです。他人からの情報、自分で蓄積した情報、様々な情報があります。ここでは特に後者の情報についてお話します。
1 なぜ釣れないのか
自分の周囲には「なぜ釣れないのだろう?」と悩んだり、相談してくる仲間が多数居る。自分の釣りをじっくり考えてみればあることに気がつく。自分で情報を十二分に蓄積して釣行を繰り返している東舞鶴湾内に於ける釣果と殆ど情報も無く時間が取れたから出かけるサーフや磯場、河川の小遠征釣行での釣果に大差が実在するのである。確かな情報に基づいた釣行は必然的に釣果率はアップする。行き当たりばったりの釣行では逆に大きくダウンするのは当然の流れであろう。「今日はなぜ釣れないのだろう?」と考えることは確かに大切なことだが、「釣れないのだろうか?」よりも「なぜ釣れたのだろうか?」こそが最重要だと自分は考えている。釣れないときに用いる思考回路を冷静に回想すれば、釣れたときと比べて何が違っているのかを考えていることに気付くだろう。釣れたときに喜んでいるだけでなく、どんな状況で、どのようなメソッドで、どのようなタイミングで釣れたのかを記しておくことが次のヒットにつながると確信している。その日の天候だけでなく、その数日前からの天候の推移・温度なども大切だろう。そんな情報をコツコツと蓄積していると自信の持てるフィールドが一つ、また一つと増えて行くだろう。いろんな場所でいろんな釣りを試したいときにはとりあえずあちこち行ってみればいいし、確実(自分では確立50%以上を指している)にヒットを得たければ確固たる情報に即したポイントへ行く。どちらも大切なことだと思うし、キャッチ&イート主体の自分にとってはこのIQに基づく釣りこそがゲームフィッシングという定義になっている。キャッチ&リリースだけがゲームフィッシングとは考えていない。自分にとってゲーム性のある釣りが自分内のゲームフィッシングであっていいと思う。反論は多々あるのは承知しているが、自分には既述の内容が正直なところである。
2 独自の情報
自分がPCに蓄積している情報の一部をご紹介しよう。笑う人も居るだろうが参考になると言ってくれる人だけに見てもらえれば嬉しい。
釣行の日付、時間、天候、気温(水温も記録すべきだが)、月齢、風、水色、波、使用ルアー、ヒットルアー、潮位、潮時、ヒットタイム、リトリーブの様子、ベイトの状況、他のアングラーの有無や様子、ヒット時の様子、などを釣行の度に記録している。ノーヒットの時もほぼ同様の内容を記録している。これによって年間のパターンがある程度わかる。そして釣れないときはこれらのデータに照らして何がズレているのかを考えるとある程度見通しがつくようになる。とはいえ、100%確実に釣るという神業的なことにはなり得ないのは当然であるので誤解のないように受け止めていただきたい。自宅から3〜10分の港湾部エリアは釣行頻度もそこそこになるのでかなり信用度のあるデータが蓄積できるが、たまにしか行けないポイントはそのデータもとびとびになるのでデータと呼ぶにはあまりにもお粗末なものとなっている。一日でも釣行回数が増すほどデータの信用度も高まるので時間の許す限り釣行せねば・・・と痛感している。
3 情報の逆利用
自分で蓄積したデータに基づいて釣行し、データに極めて近い状況に遭遇して一尾と出逢うことができると、欲深い自分はデータの逆利用・・・つまり、こういう状況ではこうすれば釣れる〜〜〜に逆らって別のパターンを試すのである。それによって新しいパターンを偶発的に発見することがよくあるのだ。数学の問題と同じで解き方は何通りも存在するのだ。別解を発見することはデータが的中する以上に大きな喜びとなる。この一瞬、自分は最高のゲームフィッシングを感じるのである。大ハズレを演じて、はやり素直に情報通りにやるべきだったと項垂れる日もあるが、それもまた楽しみの一つとなっている。
4 最後に
いろいろと分かったようなウンチクを述べてきたが、所詮相手は自然界の魚であり、海は未知の大海ともいうべき神秘であるので、その年々の特異なパターンがたたあるので方程式のようにはいかないが、自分流のデータ蓄積は何らかの産物を与えてくれるはずだ。また蓄積作業もまた楽しい釣りの一部であると自負している。各ポイントで羨ましいような釣果をあげているアングラー諸氏はみんな多かれ少なかれ立派な情報を蓄積しておられるのである。「どこどこで釣れたよ」よりも「どんな状況でどのようにして釣れたか」の情報は他人からの情報であっても蓄積すべきであろう。自分はPC内に独自に蓄えた情報と聞いた情報とを分類して年間集計している。全く何もせずに釣行を繰り返し、釣れなくて悩んでいる人が居るなら一度騙されたと思ってデータの蓄積をしてみてはいかがだろうか。タイドグラフにヒットタイムの印と天気、水色、風を入れるだけでも大きな助っ人となりますよ。潮流の向きや強さも記しておくと更に心強い助っ人となりますね。海でも家でも楽しい釣りを楽しんでください。