4 上達法

シーバスを始めたばかりの人から「どうすれば上手くなりますか?」という質問を受けることが多々あるのだが、その答えは自分が教えて欲しいのが正直なところである。いろいろと分かってくればくるほど奥深さを痛感し、トンネルの出口は見つからない。見えてきても暫くするとまた見えなくなるのだ。
 そこで自分の始めたばかりの頃の反省をふまえて少しだけ感じていることをお話しよう。

1 雑誌やビデオの利用
  自分がシーバシングに初めて足を踏み込んだ1985年頃は今とは状況が大きく異なり、専門雑誌は殆ど存在しなかった。しかし1995年辺りから急激にSWLFブームに火がつき、雑誌やビデオも溢れんばかりに世に出現してきた。その中でラインシステム、ルアーのあれこれ、フィールドの攻略パターン、タックルのウンチク等など情報過多気味に供給される時代へと突入した。
 ラインシステムに関しては非常に役立つので是非活用していただきたいと思う。各ルアーの基本性能の紹介記事もある程度参考になる。が、これに関しては使い手が記事を担当したテスターと全く同じ条件(流れやリトリーブ速度、ラインの違い、リールの種類やサイズなど)で使用することはまず皆無であるので、ある程度の参考に留めるのがいいと感じている。ポイント別攻略法、例えばシャローの攻略・河川の攻略・サーフの攻略・磯の攻略などについてもおおよその参考にするべきだと思う。100%コピーは間違いだと断定してもいいだろう。
自分の狙うフィールドの形状、季節、潮位、潮流、水色、天気や気温などによってかなりな差が生じるからだ。 とは言え、知識や経験が余りないうちは参考になることがたくさんあるので情報を選りすぐって、且つアレンジを加えて上手く利用すれば大変有益であることは言うまでもない。
 
2 最初の1〜2年
  人それぞれ考え方は異なるが、自分的には最初の1〜2年は同じポイントに通い詰めて年間を通してのシーズナブルパターンを自己流でいいから経験することが非常に大切だと反省している。自分は思いつきであちこち釣り歩き、いや投げ歩き、ルアー歴3日で103センチに偶然恵まれてからかなりの期間マルボウズ記録更新街道を歩むはめになったのだ。たまに釣れても続かない。理由は簡単。釣れたことに感激するだけで何故釣れたのか、どうしていてヒットに至ったのかをじっくりと自分の中で整理していなかったのだ。挙句の果てにルアーは釣れねぇ〜〜〜!なんて言って餌での高確率な釣りへ走ることが増えた時期があった。幸運にもそんな或る日、いつものように餌でチヌ釣りを満喫したあと全くの気まぐれで実に軽〜い気持ちで車からルアータックルを持ち出してラパラのバイブレーションを冗談みたいにポチャ〜ンと投げ込み、着底後グリグリっと巻いていたら根掛かりのようにリーリングの手が止まった。次の瞬間ギュイーンと凄い勢いで走られドラグがジージー悲鳴を上げ始めたのだ。ネットでランディングしてみると楽々80UPのランカーシーバスだった。うひょうひょと喜び勇んでキャストを続けると7ヒット4キャッチ。すべてが80UP。しかも一時間弱の束の間の爆釣だった。それまではシーバスは由良周辺へ行かないと釣れないものととんでもない誤解をしていたのだ。かくしてベイエリアのシーバスに開眼し、以降一年半ほどその場所ばかりに通い、失敗や試行錯誤を繰り返しながら我流ではあるがそのポイントにおけるシーズナブルパターンを掴んだ。(つもり) で、次は他の場所でも釣ってみたいといろんな場所へと釣行エリアが拡大。ベイエリア(河口がらみ)での経験を駆使してアレンジを試みながら失敗や大成功を繰り返しつつ年間数十箇所のポイントへ釣行する現在に至っている。

3 その後
  各地を釣り歩くようになってから数多くの凄腕アングラー諸氏に出会い、自分には未知であった攻め方やポイントの読み方などを見せて貰うことができた。本当に上手いアングラーは初めの1〜2年の内容の濃さ、その後の釣行頻度が生半可な自分とは大きく異なっていることを痛感している。何でも基礎と情熱が本当に大切なのだ。自分は自分の持っているパターンにハマッタ日やポイントでは結果を出せても、どこでもほぼ確実に結果を出せるようなアングラーには程遠い現状である。しかし、であったアングラーの中には本当にどこへ行っても何投かしているうちに確実にそのポイントを読み切って結果を出す、例え出なくてもその人の言った通りにすればその場所で必ず結果が出るような気になるほどの的確な分析をされる方が何人かいらっしゃるのだ。まさに生き字引か聖書(ちょっと違うかな?)のような方々で、ただただ尊敬の眼差しで見上げるばかりだ。彼らは口々に言う。「一定のポイントばかりで自分の釣りを熟成するのも釣り、毎年数十箇所の多彩なポイントへ出向いて多彩な釣技を研鑽するのもまた釣り・・・。結局は自分のスタイルをハッキリさせればいいんだ。自分のスタイルができるまでは全くのビギナーだ。キャリアよりも内容だ!そして自他共に楽しめる釣りをするのが本当に上手いアングラーだ!!」と。
 まさしくその通り。返す言葉もない。カッコイイ!に尽きる。仕事も趣味も徹してする人って本当に素晴らしいですよね。自分もそんなアングラーになれるように精進したいとつくずく感じる今日この頃である。

4 最後に
  所詮、釣りは自分にとっては遊び。しかし遊びであるなら最後まで楽しくなければ・・・。自他共に楽しめる・・・そんな遊び上手になりたいな。まだまだだが・・・・。そんな遊びができれば単なる時間つぶしの遊びでなく、人生の糧となる有益な遊びになるだろう。彼らの人として、釣り師としての引き出しの多さを少しでも自分も身に付けたいと心から願っている。自分は本当にまだまだ未熟だが、未熟なりにも釣りを通してそんな素晴らしい人たちに出会えたことは最高の喜びであり、釣りをしていて良かった!と心の底から思っている。彼らに心から感謝している。この場であえて言わせていただきたい、「ありがとう!」