更新2024/3/5
NO.301 2024年 1月号
先月号につづき2000年1月号を紹介します。
1999年から2000年に移るこの年は、コンピュータに登録されている年代が下2桁である場合、
いろんな障害が発生するのではないかと言われ2000年問題と言われていました。
アーカイブ2
心配された2000年問題も、大きな混乱もなく無事に収束したようです。
そして、 1900年代は過去のものになってしまいました。その1900年代の前半には大きな世界大戦が
二度あり、 戦中戦後の日本にとっては非常に悲惨な苦しい時代でした。
今の物質的に恵まれた世の中からは理解できないかもしれません。
その後、日本人の勤勉さにより荒廃した国土は奇跡的な復興をとげました。科学技術の爆発的な進展も
あいまって、物質的に豊かな、GNP (国民総生産) が世界一の国にもなりました。
アポロによる人間の月面着陸のニュースなどからも、「2001年宇宙の旅」 も夢ではありませんでした。
世の中が将来に向かってどんどん進んでいき、 人間の知恵は自然を超越できるかのごとく、みんなが挑戦的な
前向きな時代でした。
そのころ私達は何かを忘れていたのではないでしょうか。 夜空から天の川が消え、 都会では星は数えるほど
になりました。 田圃は消え、池にメダカやあめんぼうの姿もなくなりました。1900年代も終わりに近づいて、
やっと自然の異変に気がついてきたのです。
また、民族や宗教の衝突で各地で今もなお絶望的な悲惨な闘いが続いています。
2000年代は、当初から悲観的な難しい時代の予感があります。でも、未来への夢や希望を捨ててはいけません。
宗教や民族の違いはあってもそれぞれに特有なすばらしいもの持っています。 互いの交流のなかで影響を受け
ながらも、それぞれ独自のものを育ててきました。 独自性を過度に強調しすぎると危険ですが、それを互いに尊重し
助け合って、調和共存していくことが大切なのではないでしょうか。
さらにそれは人間と自然との関係においてもそうです。 最近「共生」という言葉をよく耳にしますが、 2000年代は
まさに 「共生」がキーワードとなるでしょう。 般若心経の中のよく知られた 「色即是空、空即是色」 は、 そのことを
いってるのではないかと勝手に解釈しています。
人間は元来煩悩や苦悩をもっています、 それは永久に無くならないでしょう。 しかし、それがあるからこそ宗教や
芸術が生まれ、すばらしいものをつくりあげてきました。
地球の上で人間は決して破壊的な、悲観的な存在ではないと思います。