果樹栽培一口メモ  

 No1  『ももの収穫は難しい』

ももは収穫時期の見極めが難しいですね。赤く色づく品種は赤みの程度である程度判断できますが、ちょうどいいかと思って収穫しても、よく見るとまだ若い(未熟)ことがあります。また、清水白桃など白色の品種は緑色の抜け具合で判断するそうですが、これが実に分かりにくい。果実には虫や病気対策で袋をかぶせているので、しかたなく袋を破り、果実が枝についている側(果梗部分)果皮の緑色の抜け具合で判断します。今のところこれが一番のようです。果実全体をやさしく手で包むようにして果肉の硬さで判断する方法もありますが、今のところ自信なしです。収穫時期の見極めができるようになるのにはもう少し時間がかかりそうです。


 No  『レピガードST』

もものヤガ対策に黄色LEDの「レピガードST」を設置しました。
ヤガは蛾の仲間で、3種類ほどいますが、7月中旬ごろから夜に果樹園に飛来し、熟してきた果実を吸汁します。
去年はもも(清水白桃、つきあかり)や巨峰系のぶどう(サマークイーン、ゴルビー、クイーンニーナなど)に大きな被害が出ました。ヤガに吸汁された果実は吸汁された部分の果肉がカスカスになったり、そこが腐敗することもあり、廃棄せざるを得ません。
<対策>
夜間に被害が出るので、果樹園を明るくしておけば被害を止めることができます。特に黄色の光は少ない照度でも効果が高く、以前は黄色蛍光灯が利用されていましたが、最近はLEDの製品が開発されています。今回設置した「レピガードST」もLEDタイプです。
効果についてはまだわかりませんが、非常に期待しています。
<今年の結果>
残念ながらもも果実へのヤガ類の被害を防ぐことはできませんでした。設置方法に問題があったようなので、来年はそれらを改善して再挑戦してみたいと思います。


No  『梨の花が9月に咲く』

9月下旬ごろから梨の一部の品種(豊水)で花が咲き始めました。これは9月4日に近畿を直撃した台風21号の強風で梨の葉がちぎられたことが原因です。一般に落葉果樹の花芽は8月ごろにできると言われており、梨では9月にはおしべまでできるそうです。でも、それはあくまで来年用で、花が小さく折りたたまれて芽の中でじっとしています。じっとしている理由は葉から分泌されるホルモンによって花芽が動き出さないようになっているからです。
今回台風によって葉がちぎられた結果、花の生長の抑制が解除され、開花に至ったようです。豊水だけが花を咲かせる理由はよくわかりません。ただ、春の花に比べて貧弱です。


No  『落葉果樹の冬芽』

ドキドキファームでは11種類の落葉果樹を栽培しています。12月を過ぎると葉は黄葉(紅葉)し落葉します。落葉後は冬芽の観察のチャンスです。冬芽は春になると発芽し、花が咲き、新梢が伸びてきますが、真冬でもすでに冬芽の中では春に向けた準備が進められています。冬芽には大きく分けて2つの違いがあります。
もも、すもも、うめ、なし、りんごは花になる芽(花芽)と葉になる芽(葉芽)が別々に着きます。花芽の中には花が折りたたまれて収納されており、ふっくらとして大きいのが特徴です。葉芽は発芽すると葉が出てきますが、ほっそりした三角形をしています。
一方、かき、ぶどう、くり、キウイフルーツなどは冬芽の中に葉と花の両方をもった芽が折りたたまれています。発芽するとまず葉をもった枝(新梢)が出て伸び始め、しばらくして新梢の特定の場所に蕾が着き、やがて開花します。ただ、芽によっては花を持たず、新梢だけが伸びてくる場合があります。
いちじくはちょっと特殊で、花芽だけの芽が枝の先端のごく一部につきますが、この部分は通常はせん定で切除してしまうので、残された芽は葉芽だけになります。そして新梢の伸長とともに、新しい葉の付け根に小さな果実(内部に花があります)をつけるようになります。
うめの花芽 うめの葉芽 りんごの花芽 りんごの葉芽
もも花芽(両端)と
葉芽(真ん中)
なしの花芽 なしの葉芽 ぶどう
キウイフルーツ くり ブルーベリー かき
すももは花芽がかたまって着くものが多く、花束状短果枝といいます。
すももの花芽 いちじく

No  『ぶどうの接ぎ木』

 果樹では親と同じ遺伝子をもったクローンを増やします。そのための手段として「挿し木」と「接ぎ木」があります。
「挿し木」で増やすのはいちじくやぶどうです。冬に休眠中の枝を切り取り、3月ごろにそれを土に挿します。初めての方でも簡単にでき、秋には立派な苗が出来上がります。
「接ぎ木」は挿し木ほど簡単ではありませんが、果樹の苗木をつくったり、成木の品種を更新するときに行われます。ドキドキファームではぶどうの接ぎ木方法を色々と研究中です。大きく分けて鞍接ぎ、高接ぎ、緑枝接ぎの3通りです。
・鞍接ぎは苗木を作るときの接ぎ木方法で、台木と穂木のどちらも冬に休眠中の枝を切り取ったものを使います。接ぎ木部分の切り方に特徴があり、これがなかなか難しく、指を切りそうになります。また、接ぎ木後の管理も難しく、現在のところ成功率は50%です。
・高接ぎは1年前から試していますが、台木の切る時期が3月はじめ、冬に休眠中の枝を切り取り冷蔵庫保存した穂木を5月に接ぎます。接ぎ木そのものは比較的簡単で、今のところ100%成功しています。
・緑枝接ぎは台木も穂木も春に発芽した枝を使うため緑枝接ぎと呼ばれています。接ぎ木方法は簡単で成功率も高いのですが、接ぎ木に適した柔らかい穂木を選ぶことと接ぎ木後の台木の副梢除去が必要となります。
鞍接ぎ 高接ぎ 緑枝接ぎ

No  『干し柿の作り方』

1 柿の皮をむく
ヘタを取り除き、包丁で柿の皮をやや厚めにむきます。ピーラーを使ってもよいでしょう。皮はヘタぎりぎりまでむき、残さないようにします。

2 乾燥
皮をむいた柿を吊します。果実のヘタの部分についている軸がT字型に残されている場合はそこにひもをかけて吊しますが、ひもが掛けられない場合は果実に竹串や針金を通してもよいでしょう。また、吊さずにザルなどに並べて干すこともできます。乾燥は干し始めに晴れの天気が続く時期が望ましいです。特に皮をむく日は晴れの日を選んで下さい。乾燥は1ヶ月以上かかるので、雨の当たらない、風通しの良い場所で行います。




3 中もみと種抜き
乾燥を始めて1週間から10日すると表面は乾いてくるので、このころに第1回目の中もみをします。親指と人差し指を使って周りから内の方へ揉み回します。それから5日から1週間したら同じようにして、カキの中心まで揉み切って、作業を終わります。この作業は果実内部の乾燥を促すためです。また、中もみのときに種を抜いても良いでしょう。
1ヶ月ほどすれば、表面が赤茶色から飴色になり、少し弾力のある硬さになればできあがりです。硬めの好きな方はもう少し乾燥させます。
干しあがった柿はポリ袋に入れて冷暗所で保存します。なるべく早めに食べて下さい。ポリ袋に入れておくと果実の表面に白い粉が吹いてくる場合がありますが、これは果実内部の糖分が表面にしみ出してできたものです。