第一回 「ウンタマギルー」

監督/高峰剛
脚本/高峰剛
撮影/田村正毅
出演者/小林薫 、戸川純 、青山知可子 、ジョン・セイルズ

感想/    大阪府/のりおさん
個人的に戸川純ファンなので良かったシーンは?と聞かれると純ちゃんがカマジサーの護衛にピストルで狙われびっくりして大股広げて後ろにひっくり返るというシーンが好きだ。
あんな大胆な演技はなかなか出来るものではない。
もちろん歌っている純ちゃんも好きだ。
村人達と沖縄民謡を歌い踊る、その踊りに注目して欲しい。あれは天性の動き、踊りだ。

なぞと戸川純の魅力を列挙したらきりが無いのでここらで止めておく。
私が戸川純のファンであるという偏見を差し引いてもこの映画はどの沖縄映画よりも異質で見るものを非現実的幻想世界へ誘い込む。

高嶺剛は私の学生時代の恩師だ。勝手に恩師だと思わせてもらっている。
ぼんくらな私は正直、恩師が何を言っているのかあまり理解できていなかった。
でも私達の想像を遥かに超えたすごいことを考え発言していたのだということはわかる。神様みたいな人だった。

そんな人が創った映画だ。沖縄映画によくみる癒しや開放感でおさまるわけがない。
ウンタマギルーにはこの幻想世界にずっと埋もれていたいという心地よさと元きたところに戻れるだろうか戻りたくなくなるんじゃないだろうかという不安がある。
それほど神秘的で見るものを深い森へ誘い込む力があるのだ。
酒を盗むシーンがある。単に酒樽を盗むといった凡庸な発想ではない。
師は酒という液体を見たことの無い歪な形で宙に浮かべ酒を盗ませる。
てらてら浮かんだ酒を旨そうに飲むシーンはとても印象深い。

私は次々と飛び込んでくる幻想的な画に引き込まれ運玉森から帰れなくなってしまった。