例えば部屋の四隅を見れば、それは簡単に見つかる。
糸の巣をあばく焔を嫌い、闇に潜んで餌をじっと待っている蟲。
まるで死んでいるように、最初から生きてなどいないかのように、じっとりと闇と同化している。
子供はしばしばそれの存在を忘れ、無防備に背を向けるだろう。
蜘蛛はいつまでも、獲物を見つめてたたずんでいるというのに。





子蜘蛛





カツリ カツリ
暗い廊下の石畳が音を立てて、人が近寄ってくることを知らせる。
マリクはそれに気付いたが、足音でその人物は知れていたので、あえて目線は読んでいた本からそらさなかった。
幼い頃に読み込んでいた童話の総集編。久しぶりに読み返すと、何度も読んだはずなのに所々を忘れているので、展開がわからなかったりしてそれなりに楽しかった。
足音は、マリクのいる部屋の前で止まる。
「マリク様、まだ起きていられるのですか」
マリクが顔を上げる。部屋の入り口には仕切りもなく、こちらを向いているリシドの顔が、手にあるろうそくの明かりに照らされてよく見えた。
「夜も遅いですし、どうか寝床に…」
「もう夜中なの?」
マリクが問いかけた。読書に夢中になっていて眠気が来ないのでわからなかった。
それでなくても、マリクが住む場所は閉ざされた地下。いつも暗くて、明かりがなければ何も見えない。
「リシドはよく正確な時間がわかるよね」
生まれてからずっとここにいるマリクだ。一日中の闇には慣れているはずなのに、気を抜くとすぐ体内時計は狂う。
「闇に欺かれてはいけません」
本を棚に戻すマリクに、リシドが語りかける。
「己をしっかりと保ち、静かに時の流れを感じれば、おおかたの時間はすぐにわかります」
「僕にはできないな」
「そんなことありません、簡単なことです」
くそ真面目なお前にはね、リシド。マリクは心の中で毒づいた。
あまり必要性を感じないので、マリクの部屋に時計はなかった。
どうせ、昼も夜も同じだ。
「まっくらだよ」
ぽそりと口からこぼれたのは、とても弱々しい声。
どうしてだろう、昔の本を読んで少し感傷的になっているのかもしれない。
小さな子供の頃は、本に描かれているおとぎばなしに夢をたくしていた。
巨大な魔物を退治したり、美しい姫を助けたり、黄金に輝く宝の山にたどり着いたり。考えるだけでワクワクするような物語。
でも、己の境遇を自覚している今は、むなしいばかりだ。

「マリク様……これを」
リシドが神妙な顔つきで、マリクに燭台を差し出した。
「心が弱くなっておられる……危険です。今夜はろうそくの火を消さずにお眠りください」
コトリと、リシドが燭台をベットのすぐ横に置く。
そのろうそくは夜通し火をつけていてもなくならないほどの長さがある。
明かりは薄ぼんやり、部屋の四隅まで照らしてくれる。
「危険って何」
「闇に、つけいられる隙を与えぬよう、くれぐれも……」
マリクがムッとした表情で言い返す。
「お前、僕を怖がらそうとしてるんだな?幽霊やお化けなんて、僕はもう信じてないぞ」
リシドは困った顔をやや微笑ました。
顔の左側に彫られた象形文字の羅列が、皮膚に引きつられ動いたように見えた。
マリクはリシドの顔の刻印が好きだった。穏やかなオーラをまとっているからだ。
マリクが墓守の儀式を受けた日、背中にナイフを突き立てられ激痛にうめくマリクを支えようと、リシドは自分でそれを顔面に彫った。
それはマリクへの忠誠の証。決して彼を責めない、逆らわない、生涯をかけて従うという、絶対的な服従の象徴。
それを見るだけでも、マリクの機嫌はいくぶん直る。
「おやすみ、リシド」
「おやすみなさいませ」




ジリ チリリ…
ろうそくの火が小さくくすぶる。
マリクは寝台に横になっていたが、やはり眠気がないので何度も寝返りをうつ。
いつもと違う、ろうそくの火で明るい部屋にかすかな違和感を持つ。
天上に目をやったまま、マリクはいろいろなことを考えた。とりわけ先ほど見ていた童話を反すうする。
『昼は青い空にさんさんと輝く太陽が照って』――この文章に苦戦したことを思い出す。
青い空?石造りの天井ではなく? それ以上に、輝く太陽とは一体なんなのか。
マリクには理解できなくて、リシドたちに解説を求めた。
一族が住み処にしている地下神殿にはひとつだけ吹きさらしの井戸穴がある。そこからのぞく強烈な光が、太陽の輝き。その後ろにあるのが青い空。地上にはこの光景が限りなく広がっているという。
そうして理解できても、信じることは難しかった。
だって、ここは地下。大地の下の土中だ。光などない。
自分はここで一生を送るのだ。死ぬまで、暗闇の中に。ずっと。
ずきりと、背中に鈍痛を感じた。
「んう…」
マリクはまた寝返りを打つ。今度は横向きの体勢に。
掛け布がするりとマリクの小さな背中を撫でる。
己の身には一族の存在意義である、失われた王の記憶をあかす鍵とされる碑文が刻まれている。
それゆえ、墓守の儀式を受ける前も、受けた後はさらに、腫れ物を扱うように大切に育てられてきた。
それ自体は悪くなかった。なんの不自由もしない。
ただ、本当に何もしなくてよかった。墓守一族の統制はすべて父親がやってくれ、父親のそばにはいつも姉のイシズがいる。
博識な姉は自分よりよっぽど外の世界をよく知っており、墓守の後継人は実質イシズになるのではないかと思う。
肉体労働もすべて従者であるリシドが受け持っているので、マリクにとばっちりはやってこない。
気まぐれにリシドの仕事を手伝おうとしたこともあるが、主従の関係を重んじてリシドは決してマリクに任せようとしなかった。
マリクは依然、既存の古い本を読んで知識を増やすことしかやることがない毎日。

温室育ちとは言い難い、薄暗い密閉空間での隠遁。それはあまりに、成長期の子供の生活としては窮屈すぎた。
厳格な父の手前、決して口には出さないが、できることなら、マリクは地上にのぼりたかった。
マリクにとって、想像上の地上はまるで天国か楽園だ。
まばゆい光は神々の祝福のように人々を癒し、漆黒の闇は夜のつかの間にしか訪れない。
暮らす人々は太陽の下でみな笑顔だ。幸せそうで、想像なのに、切ないほど羨ましい。
地上にはすべてがあるように思えた。少なくとも、この闇の住み処にないものがたくさん。
いつも思うのだ。本当は、読書なんかじゃなく、広い地を走り回りたい。思いきり汗をかきたい。
そうじゃないと――たまってばかりのエネルギーが発散できず、体内で腐ってしまう。
なかなか寝付けないのだって、今日に始まったことじゃない。ここのところずっとだ。
活発に動きたがる体をもてあましている。満足できない。体の中が、はがゆい。

「……? ん…」
マリクが小さくうめいた。
なんだろう、眠気ではないものが全身を生ぬるく覆うような、曖昧すぎて不快な感覚がある。
振り払おうと、マリクは体を寝台に擦りつけるように動いてみる。
「ぁっ…」
動かした途端、急に下半身がうずいた。
驚いたマリクが小さな声をあげる。急いで口に手を当てて声を抑える。
今のは、人に聞かれるのが恥ずかしい変な声だ。
「……んっ」
ゆっくり、もぞもぞと足を小さく動かすと、じっくりとした気持ちよさが下腹部の奥の方からわいてくる。
不快な感覚はなくなって、代わりにやってきたものは今までに感じたことがない快楽。体の奥からむくむくと発芽する何か。
マリクは戸惑いながらも、足を擦り合わせる動きをやめなかった。
ジリジリと、まるであぶられているようで、気持ちがいい。
「あ……はっ……」
体温が上がる。表皮が発熱してくる。脇や首からはじわりと汗が出た。
体が熱くて、掛け布を剥ごうかと思ったが、火照った体を外にさらすのは嫌だった。
掛け布をぎゅっと握りしめて、体を丸めて全身に力を入れる。
体の末端から中心まで、しびれるような感覚が走った。
「んっ、んっ……」
マリクは目をつぶってその感覚を深く感じとろうとする。が、まぶたを閉じても完全に真っ暗にはならなかった。
ろうそくの火が邪魔だ。ぼんやりと明るくて、気が散って集中できない。
消してしまおうか……でもリシドは消すなと言っていた。
でも、今は、おかしくなってる体を隠してくれる闇が必要だった。

マリクはのろのろと起きあがると、燭台の載る台に手をつく。
マリクのぼんやりした顔が明かりに照らされる。頬が赤く染まっていたのが、ますます赤みを帯びた。
頭をかがめて、正面にあるろうそくの火に口を近づける。
尖らせた唇から、ふっと息を吹いて、ろうそくの火はあっけなくかき消された。
目の前にぶわっと広がった闇。無となった視界に強調される静寂。
ギャップの激しさからか、いつもより濃い黒がマリクの目を覆い隠す。
その闇はとても深いのに、弱々しいマリクをゆるやかに包み込み、再び寝台のぬくもりへと招き入れた。


暗闇の中。かすかな衣擦れの音と、ぐぐもった小さな声が聞こえる。
「ん、くっ…ふぅ…ふっ…」
人の気配はないけど、マリクは必死で音を立てないようにした。
マリクには自分の体の異常変化がよくわからなかったが、これは恥ずかしいことだと本能的に直感していた。
だから人を呼ぶこともせず、自分でどうにかしようとする。
うつぶせになってじっとしているだけでも気持ちがいい。間に挟まれた性器がぎゅーっとしめつけられる。
少しだけ腰を動かせば、気持ちよさは簡単に倍になった。
「あ、ぁ…」
マリクはそうやって気持ちよさを味わっていたが、次第に苦痛が混じってきた。
変になっているところ――陰部を雑に擦るばかりを繰り返しても、治らない。
次はどうすればいいのかわからない。わからない。頭がどんどん混乱する。
マリクは眉をひそめ、苦しげな顔をひくりひくりと引きつらせた。
かたくつむる目の中がつんとして、じわり、涙がにじんできた。
「……っ」
たすけて、と心の中で訴える。
誰もいないのに、何度も何度も助けを請うた。
すると、頭の中に、自分ではない者の声が響いた。


――こっち……

「あ、あっ…んぁ…」

――そう、もっとこっちへ、おいで…

外からではない、頭の中から自分に呼びかける声。
自分と同じくらいの子供の声だ。でも、自分より低い、地を這うような声。

「たすけて…っ」
マリクはその声に向かって助けを求める。
正体不明の声は得体が知れない恐怖を感じたが、もう自分の体の方が怖くなっていた。
マリクは上半身を起こして、震える体を両腕でぎゅっと抱きしめた。

――はいはい、主人格様のご命令とあれば、喜んで……

するりと、闇の中から知らない者の手が伸びてきて、マリクの下半身に触ってきた。
「ひっ…!?」
突然のことにマリクは驚き、思わず大声で叫ぶところだったのを、もう一本別の手が出てきて口をふさぐことで止める。
口をふさぐ手も、下半身をまさぐる手も、小さな子供の手だ。感触ははっきりしているのに、体温を感じない。

『やっと会えたなぁ』
さっきの声が耳元で囁かれた。今度は外から鼓膜をつたって脳に渡る。
「だれ…?」
マリクが声の方に向かって、自分の後ろに手を伸ばす。
けれどもそこにあるはずの他人の体は掴めず、マリクの手は闇に引き込まれるだけ。
これだけ暗闇の中にいれば、いい加減目がきくようになってもいいのに、マリクの視界は真っ黒に塗りつぶされたまま。
マリクは本格的な恐怖を感じた。
『へっへっへ…』
そんなマリクを、闇からの声はせせら笑う。
『それより、ずいぶん苦しそうじゃあないか?ここが…』
下半身にある手が、服の裾をめくってマリクの生殖器をきゅっと握った。
「ああっ! っ…あっ…」
『かわいそうに、こんなに張りつめさせて。なのに解放する術を知らない…』
「ぁ、う…」
怖い。何もかもが怖い。マリクの体が大きく震える。呼吸も不規則に乱れる。
「なに、これ…こわいよ…」
『だいじょうぶ…何も怖がることはない…ほら、こうされると気持ちいいだろう…?』
耳元で囁かれる声はしらじらしいほど優しく、含み笑いをしながら、闇の手はマリクを懐柔していく。
局部を愛撫する手はほどよい強さでサオを擦り、皮が剥けた先端から透明な汁をこぼれさせる。
漏らしているような恥ずかしさで、マリクの顔は火照って赤くなった。
「や…やめて、ぃっ…やだ…っ」
『どぉして…? お前の小さなチンポはもっとしてくれって言ってるぞ…?』
闇の手が動き、先端の割れ目にぐりぐりと指をねじこむ。
敏感な内側の粘膜を掻き回されて、その刺激にマリクの体が大きくはねた。
「あ、あっあっ、あ…!!」
『気持ちいいだろぉ? 正直に言っちまいなぁ』
マリクの陰茎は闇の手に弄ばれるまま、赤く勃ち上がって全体をじゅくじゅくに濡らしている。
ぴくりぴくりと震えるそれはたしかに「もっとしてくれ」と主張して、さらなる手淫をねだっている。
闇に塗り潰される羞恥心や自尊心。
「……うん…、きもち、い…よぉ…っ」
声の主が導くまま、マリクは口からも欲をこぼした。
『ククク…いい子だなぁ、かわいいなぁ…』
べろりと、耳に感じるざらりとした感触。まるで舌で舐められたような、生々しい呼気とべたつくぬるい唾液。
「あ、はっ…ふあ…」
『もっともっと気持ちよくしてやろうな…』
マリクの足が他人の力で大きく開かれる。後ろから同じ足を使われたのか。
掛け布はとっくに消えており、まくり上げられた服の下、あられもなくさらされる己の性器。
闇にすべてはかき消されているのに、まるで闇の膜にいくつもの目がついてるように、前から後ろから痛いほどの視線を感じる。
恥じたマリクは抵抗しようと四肢を動かすが、強く拘束されてびくともしない。それに翻弄される体には、もううまく力が入ってくれない。
小さく暴れるマリクを、闇はそっとたしなめた。
『教えてやるよ…地下にも天国があるってことをなぁ…』

闇からの手は、己の感じる部分を適切に引き当てては、欲しい分だけ刺激を与える。
まるで自分の手が4本あるようだ。
足だって、2本ずつ。4本。
8本の手足。なんて奇形だ。

闇の手に力がこもって、マリクの陰部をむちゃくちゃに押し揉んだ。
「――ッ!?」
急な、過度に与えられる刺激に、とっさに声も出なかった。
幼いマリクには耐えられないほどの快感が体中をめぐって、末端からビリビリとしびれさせる。
「あっ、や…!そんな強く、しっ ひゃあっ!」
マリクの絶え絶えの抗議に、闇の声は応えない。自分の嬌声だけが暗闇に響いている。それもぐちゃぐちゃになった頭にははっきりと聞こえない。何も考えられない。いやらしい闇の膜にすべてから守られている。それは最高に心地よかった。
「ひん、うっ…いあっアッ!!あっ、で、るっ…なんか、でちゃう…!!」
ビクビクと性器は勝手に痙攣を起こして、気持ちよさの絶頂に何かを飛ばそうとしている。
涙をこぼして恐怖におののくマリクに、闇の声は優しかった。
『イッちまいな……そこはこの世の楽園だ…』
「あ、あっ…ぁああっ!!」
びゅくっ じゅくっ
声高に啼き、マリクは生まれて初めて射精した。
男根の中を通る小さな管をいっぱいに広げ、体の中に溜まっていた精を勢いよく撃ち出す。
白い粘液は闇にびちゃりとこびりついて、やがてとろとろと溶けた。

射精の余韻にひたって、だらしなく口を開けたまま、いつの間にかマリクは寝台にうつぶせにされていた。
『まぁだだよ…』
上から降ってきた声は、ずっと笑っている。
マリクは埋もれた顔を横にやって後ろを振り向こうとしたが、後頭部を手で押さえられる。少しの痛み。
「んう、やぁ…」
汗だくの体の汗を下に敷いているシーツがじわりと吸い取る。

濡れた指がマリクの背中をなぞる。刻まれた碑文の凹凸に、自身が放った精液をぬりたくられる。
「やめて…」
マリクは自由にならない体を必死に動かそうとしたが、叶わなかった。
ゆっくり、指は腰に降り、双丘の割れ目に侵入する。
そして肛の入り口にたどり着くと、つぷりと中に指を挿れた。
「ふぁっ、あ…」
さほど強くない異物感が、不快とも快ともとれない微妙な感覚となってマリクを犯す。
ぬるぬるの指は奥へ奥へと歩を進め、徐々にぐるりと手首を回して刺激したり、くいと関節を曲げて一点を押し擦ったりした。
それは明らかな快楽として、マリクを再び闇の巣窟に引き入れる。
ひくひくと、萎えていた性器が反応しだす。
「あっ、あん…きもち、いっ…!」
我を忘れて快感に浸るマリクを、上から冷たく見下ろすのは闇の声。
『ククッ…なんていやらしい、主人格様…』
肩にもう片方の手を置いて、身をかがめ、闇の声は耳元で囁く。
『その体を、さあぁ、俺にも分け与えてくださいなぁ…?』





はっきりと覚醒した視界に、急に飛び込んできた光。マリクはせっかく開いた目を細める。
闇に慣れた目には、燭台の小さな明かりですらまぶしかった。

「マリク様」
「……リシド…?」
現れたリシドの顔は心配そうにマリクを見ている。
「お休み中、申し訳ありません。ひどくうなされておいででしたので…つい…」
マリクは自分の体を見た。
たいして何もないだろうと思っていたので、目を見開いて驚いた。
「これ……」
白いものが自分の太股と、自分の手にこびりついている。
こんなことは初めてで、何が起きたのかわからなかった。
「これ、何…?僕…どうしちゃったの…?」
「マリク様、怯えることはありません」
マリクの異変にリシドも気付いて、パニックを起こす彼を必死で落ち着かせようとする。
「それは、その…生理現象です。誰でも経験することです。『大丈夫、何も怖がることはありません』」
「え…」
リシドの言葉が、耳に残る声と重なった。
徐々に思い出してくるのは、闇の中で誰かの手に翻弄されていた記憶。
「でも、僕じゃ…」
やったのは、自分じゃない。
マリクはそう言おうとするが、リシドは聞く前にむくりと立ち上がる。
「今、水をお持ちします。待っててください」
リシドも少なからず動揺しているのだろう、マリクの訴えに気付かないで部屋を出て行ってしまった。

「……」
マリクはおそるおそる両手をひろげてみる。
手足は、ちゃんと4本ある。
蜘蛛のように8本の手足があったあの時の出来事は、全部夢だった?
マリクにはよくわからなかった。
顔を横に向けて、燭台のろうそくの火をぼんやりと見つめる。

ジリ チリリ…

マリクの後ろ、ろうそくの火につくられた壁の影が、声を殺して笑ったように見えた。

















END/070731(加筆修正/070812)


幼少期の闇マリマリ妄想でした。マリクがショタ風味なのは管理人の趣味です(どきぱ)
なんで闇マがこんなませとんねんとかそーゆー適切なツッコミはこんな勢いで書いた小説にはナンセンスなので遠慮しときます。
大人になったマリクで見せ自慰バクマリとか考えてました。闇マリクの変態プレイをちょくちょく受けていろいろ目覚めちゃえばいいよマリク。相変わらず乱交。
この話はテスト前夜にテンパったいきおいで書いたんですが(間違った一夜漬けのやり方)落ち着いてよく考えると、マリクってほんと不憫な境遇なんだ…マリクにとってラーはただのモンスターカードじゃなくて、神のカードってだけでもなくて、自分を照らす太陽そのものだったんだなぁ とか 思ったら ちょっとマジ泣きしそうになった。