どみのだおし本御編

071020 本御について本気出して考えてみた

学パラシリーズに本御もくわえたい。一体何がメインになるんだ(一応海バク)
あれだよ 優柔不断本田とゲイゲイな御伽のアブナイ放課後ってどこのAVだ

【こっからいろんな意味でひどい俺設定】
本獏の設定そのままで。本獏はプラトニックな上に悲恋。獏良はバクラとのダークサイドな面が強いから、本田サイドの平穏な日常生活に戻れない。蚊帳の外でも何となくわかってしまう本田。助けの手すら差し出せない自分にいらだちを募らせるころ、御伽登場(16・17巻)。静ちゃん関係で2人ペアの時間が多くなり、城之内や獏良ばかりの本田はわからないけど御伽は彼を淡くそーゆー目で見るようになる。基本ストレートな本田と違って、御伽は真性ゲイ。※あくまで俺設定です(わかってるよ)(てゆか俺設定でゲイにしてる遊戯王キャラ多すぎ…)父親の鬼畜教育のせいでかワンタッチでM属性の淫乱になれる。ごめんなさい許して何でもします、僕の不躾で汚い×××にあなたのおっきぃ×××をめちゃくちゃに×××してください〜的な。父親以外の誰かには犯られてそうだ御伽。こんなところで引き立つイケメン設定。ある日本田となんやかんやでもめたとき(バトルシップの時みたいに肉弾戦のもつれとか)本田の何気ない一言もしくは乱れた服装・男の汗の臭いにこれまたなぜかせっぱ詰まってた御伽、淫乱モードにスイッチ入ってそっからはもう18禁。「純粋で可愛い恋人(獏良)くんには指一本触れてないんでしょ?溜まってるもの吐かせてあげるよ」って舌出して長い指に透明な唾液を絡ませる。本田くん凝固。機能停止。意味がわからない。抵抗しようとした時には(下半身的な意味で)時すでに遅し。仕草のひとつひとつが綺麗でそこらの商売女じゃ相手にならない御伽。アッー…! とにかく本御は一夜の過ちをおかせばいいなぁと。基本は本←御で。本田の思い人が獏良であろうと静であろうとミホであろうと御伽はかまわない。恋人ポジなんて望んでないし、自虐趣味だし。ダイスがひとつずつ積んである、今にも崩れ落ちそうなイメージの御伽を、いつか本田が両腕で支えてあげてほしい。友達としてでもそれ以上でも。そんな感じの俺設定・本御…と、ここまで勢いで書いてみたけど、なんか理想と違うような気がするのはなぜだ。また180度変わった設定にするかもしれません(なぁにそれぇ)【追記】なんでしっくりこないのか晩ごはん中にずっと考えててわかった、もっと余裕ないのがいいんだ。御伽が必死になって本田にすがりつくのがいい。男好きすぎてきもいくらいの御伽。てか、男のちん○が好きとか。一夜の過ちの時は御伽獏良のことすっかり忘れてて、行為中か事後に気付くんだけど「あ、そういえばそうだったね。ごめん。でも体だけだし…利害一致でいいんじゃない?」くらいのノリ。本田ちょっとついていけない。本御はアダルトだけどプラトニック!(…なんか、すいません…頭弱くて…



071216 学パラ どみのだおし(5) 本御編 スマイルピエロ(1)

本田がある日、御伽が知らない男につっかかられているのを発見する。これは知り合いとして放っておけない。「やめろ」と暴力的な意味で助太刀する気満々で2人の間に割り込むと、男はチッと舌打ちして逃げた。
「大丈夫か?」
「うん…平気だよ」
やや歯切れの悪い返事だったが、本田は気にしない。
「どうせお前が女に囲まれてるからってヒンシュク買ったんだろ。気をつけろよ?この学校、ワル多いから、お前みたいなひょろいやつ…」
本田の言葉に御伽はムッと顔をしかめる。
「僕はひょろくない」
綺麗な緑の目でにらまれても、全然怖くない。むしろ可愛いとか思ってしまい、本田が自分の思考回路に冷や汗をかく。
「わ、悪い悪い…」
両手をあげて降参のポーズ。
御伽はでも、と本田に尋ねる。
「もう日も暮れたのに、本田くんはどうしてここに?遊戯くん達と帰らなかったの?」
「美化委員の仕事。この時期はいろいろと忙しくてな」
「僕暇だよ。手伝おうか」
「いいのか?助かる」
美化委員の仕事が終わった後、一緒に帰る。
「御伽は今どこに住んでるんだ?」
「ゲーム屋の近くのマンションに、父さんと2人で」
「そうか…その、大丈夫か?」
心配して本田が尋ねると、御伽はにこりと微笑んだ。
「大丈夫だよ。父さんもあれ以来、激しく怒ることもないし…あ、でも少し元気がないかな。それがちょっと心配だけど、平気」
平気。そう言う割に、本田は御伽が辛い表情をしている気がした。どこかで無理をしているのかもしれない。
「またなんかで悩んでるなら、言えよ?俺のこと頼っていいからな」
そう慰めた。友達として当然だから。でも、御伽の返答は意外なものだった。
「……もし、悩んでたとしても、言えないよ。言ったらきっと、僕のこと嫌いになる」
「え?」
本田が御伽を見る。だが、御伽は笑顔のまま。
「でも、僕は何も悩んでないから、大丈夫。じゃあ、また明日」
そう告げると、御伽は去っていった。
***
仲良くなる2人。「本田くん」「おう、御伽」
「最近お前ら仲いいな」と一部始終を見ていた城之内が言う。遊戯も頷く。
2人は以前まで(バトルシティ編あたり)あまり仲が良くなかったので、周囲が少し驚くのも無理はない。
「まぁな、でもよく知れば、案外いいやつだしさ」
本田がはにかみ笑う。やはり知り合いとはいがみ合うより楽しく過ごしたい。
***
放課後。
本田が御伽のところへ行こうとしたら、御伽のそばには女生徒の姿があった。
「ごめんね、今日は先約があるから」 そんなことを言って、御伽が女子を帰す。
「……」本田は声をかけるのをためらったが、本田を見つけた御伽が彼に駆け寄る。
校舎の廊下の掲示板。美化委員の古いポスターをはがし、新しいポスターをはる作業。
「いいのか?女の子の誘い断って、こんなことして…」
「いいんだよ。これがなくても、あんまり乗る気じゃなかったし」
「彼女つくらねぇの?」
「面倒だしね、今はいらない」
「くそお、モテ男のセリフだよ、いっぺん言ってみてえー!」
「あ…嫌味だった?ごめん」
本田がわめいて、おどっとなる御伽。なんだか少しいつもと様子が違う。
「バカ、真に受けんなよ。冗談だって」
本田がフォローすると、御伽はほっとした表情になる。
「よかった」
「……」
その表情と声にドキッとした。
男のくせに女みたいに無駄に色気があるから、うっかり見惚れてしまったりして。
(俺こいつと違ってモテねぇからな…欲求不満なのか?やべー)
男の御伽に悪いと思いつつ、自分を叱咤しつつ、なるたけ普通の顔をして作業を続ける。
「? 本田くん、顔赤いよ?」
「えっ!?そ、そうか!?///」
「……?」

続く。※学パラの本御に本獏要素はなしで。(追記:もしかしたら入れるかも)
遊戯王って学パラっていうか普通に学園ものだよね。デュエルしないサブキャラには普通の生活だった。


080223 学パラ どみのだおし本御編 スマイルピエロ(2)

放課後。人気のない校舎。誰もいないだろう空き教室に、カタンと物音がした。
本田が御伽がまた男につっかかられているのを発見する。前と同じ男だった。
性懲りもなく!と憤慨して、あの時と同じように間に入って止めようとする。
「何やってんだよ!」
「!? 本田、くん」
本田に気付いた御伽が、驚いた表情をした。
御伽の細い腕は男にわしづかみにされ、体勢は明らかに御伽の不利。もし両成敗の喧嘩だとしても、本田は御伽の味方をするつもりだった。
「大丈夫か御伽」 まず友人を気遣い、それから本田が男に向き直る。
「またお前か。いい加減にしろよ。御伽になんか恨みでもあんのか」
2度目だったこともあってか、男は今回は逃げず、本田をギロッと睨んで斜めに構えた。
「またお前だと?それはこっちのセリフだ。なんだよテメェは、イイトコで邪魔しやがって」
自分ばかりが責められるのを理不尽に思ったのか、男はいきなりキレてきた。自分の言い分を大声でまくし立てる。
「なんで俺が悪者なんだよ、こいつから誘ってきたんだぞ。悪ぃなら変な趣味してるこいつだろうがよ!」
「…誘う? 趣味?」
意味がわからず、本田がそのまま返すと、男は意外そうな目で本田を見た。
「へぇ〜?お前、知らなかったのか。ああ、だからこいつと普通のトモダチしてんのか」
男の声には驚きの他に嘲りも含んでいた。本田は眉間に皺を寄せる。
「なんなんだよお前。俺が知らなくて、お前が知ってることって、何だよ」
「こいつ」
男が御伽を指さす。
本田が御伽を見た時、横から男の声が続いた。
「ホモだぜ」
「……なっ……?」
本田の驚いた表情と目があって、御伽は苦しそうに顔をそらせた。
そんな2人をさもおもしろがって、男は言葉を続けた。
「はは!オイ、ちゃんと聞こえたか?だーから、こいつホモなんだよ。それも自分から股広げてくるインラン野郎のな。一部ではもう有名だ。お前、ホントに知らなかったのかよ」
「で、デタラメ言うんじゃねぇよ!」
男の言葉は全部、本田には信じられない内容だった。どこをとっても、本田の見てきた御伽とはまったく当てはまらない。
怒鳴って否定する本田に、今度は男が得意げになった。
「嘘だってんなら、本人に聞いてみろよ。なぁ、御伽?」
男に呼ばれて、背後の御伽がびく、と体を震わせたのがわかった。
「言えよ、変態。さっき俺を誘った言葉は何だった?思いきり酷くしてから犯ってくれって、欲求不満でせっぱ詰まってますって顔ですり寄ってきたじゃねぇか」
御伽は答えない。本田も何も言えなかった。心臓の音が早鐘のようにガンガン鳴っている。
男は興ざめしたのか、ハッと馬鹿にしたように笑ってから、踵を返してこの場から去ろうとする。
「あーあ、こんなホモ野郎に付き合って損したぜ、まったく」
――ブチッ
その言葉に、本田の中で何かが切れた。
「この野郎!!」
男につかみかかり、顔を殴り、反撃しようとした男のみぞおちにこぶしを入れてひるんだところで、もう一度顔を殴る。反対側からも殴った。鈍い音が連続する。
「本田くんやめて!」
止めなければいつまでも殴っているだろう本田を、御伽が止めた。
利き腕を両手で押さえられ、男の首をつかんだまま、本田は立ち往生した。はーはーと自分が荒い息をしているのに気付く。
後ろを振り向けなかった。御伽の顔が見れない。
「……くそっ!」
怒りを吐き捨てるように短く叫んで、本田が男を捨てた。ガタンと机に体を当てた男は、まだかろうじて意識があるようだ。もう向かってくる勢いはないだろう。
教室から出ようとする2人に、男が最悪な捨て台詞を吐いた。
「御伽ぃ…、誰でもいいから男が欲しいってんなら、ちょうどいい、そいつのチンポしゃぶっとけばいいじゃねぇか。お似合いだぜ?お二人さんよぉ!」
頭にカッと血がのぼり、また男に殴りかかろうとする本田を、御伽が必死に止めた。
「お願い、やめて…全部、僕が悪いんだ」
「……」
小さく舌打ちをし、本田が御伽の手をグイッと引くと、男を残して、教室を出た。

廊下を早足で進んでいく。どこへ行っているのか、率先してる本田にもわからなかった。
ただあの空き教室から一刻も早く、一歩でも遠ざかりたかった。
「……本田くん……手、痛いよ……はなして」
後ろから、御伽の弱々しい声がした。
ギリギリと手加減なく御伽の手首を掴んでいたことに気付いて、本田が立ち止まり、無言で手を解いた。
2人は立ち止まったまま、しばらく沈黙していた。
「……ごめん」
先に口を開いたのは御伽だ。
「……なんで、謝るんだよ」
本田が前を向いたまま、御伽に尋ねる。何に関して自分が謝られているのかわからなかった。本田の声にはあからさまに怒気が含んでいた。
本当は、男が言ったことを全否定してほしかった。「あんなの真っ赤な嘘だよ」と言って、笑い飛ばしてほしい。そんな、すべてをあきらめたような謝罪なんて聞きたくなかった。
「僕のこと、軽蔑したでしょ…」
「……」
「ごめんね、ごめんね…もう 友達、やめていいから、さ…」
御伽の声は笑おうとして失敗して、弱々しく震えていた。もしかしたら泣いているのかもしれない。
不意に、今まで自分が見てきた、御伽の怒った顔や笑った顔を思い出す。『悩みを言ったら本田くんは僕のこと嫌いになるよ』――そして、今の状況。
「……!!」
本田がガンッ!と、そばにあったゴミ箱を蹴る。
大きい外見にたいして中身は少なかったが、こまかいゴミが廊下の遠くまで滑るように転がった。
結局、本田は御伽を一度も見ずに、そのまま帰った。
笑う仮面を付けた友達の、その素顔を見ることが、たまらなく怖かった。


080223 学パラ どみのだおし本御編 スマイルピエロ(3)

あの日以来、本田は御伽を避けるようになった。御伽も本田に声をかけることがなくなった。
休み時間、本田は城之内や遊戯と話し、御伽は1人でぼうっとしていても、女生徒が数人寄ってくる。サイコロで手品を見せたり、楽しそうに話が弾んでいる時もある。
傍目には、まったく何もない、普通。(本田と御伽が仲良くいた時の方が、周囲にはおかしく見えていたのかもしれない。)

城之内と遊戯が2つの机を重ねてカードゲームをしている。本田は審判サイド。とは言ってもルールは遊戯がエキスパートなので、城之内の凡ミスを指摘して笑うくらいしかできない。
「ははっ、城之内、何そのまま突っ込んでんだよ、自爆じゃねぇか」
「うるせー!ちょっと間違えたんだよ、んなウケるな!」
本田がツボに入って笑うのを、城之内が歯をむき出しにして怒る。
遊戯もくすくす笑いながら、自分のターンにはしっかりと反撃。城之内のライフは0になる。
「あー!くっそー!遊戯、もっかいやろうぜ、もっかい」「うん、いいよ」
2人が互いのデッキをシャッフルしている間、本田はふと、昼休みの教室を見回して、御伽を見つけてさまよっていた視線を固定した。
御伽の机は黒板の前の方にある。最後尾の城之内と遊戯の席にいる自分からは、御伽の背中しか見えない。
今も、御伽は女子と一緒に何かを話している。女子の表情は柔らかく、御伽が軽いジョークでも言ったのだろう、あははと可愛く笑って頬を赤らめている。
御伽は顔もスタイルもいいし、性格も男には嫌味だが女には優しいフェミニストだ。女にモテるのは当たり前だと思う。
本田も何度か女の子を好きになり、告白したこともある。結果は見事にふられた。でも、彼女たちはもし御伽に告白されたら、OKしていたかもしれない。正直、本当に羨ましい。
でも、神様は時に残酷なことをなさる。
御伽はあんなに可愛い女の子たちに囲まれているのに、彼女らにはあまり興味がないらしい。それに、
「……」
本田は数日前の出来事を思い出して、手のひらで顔をゆるく押さえた。
彼は、第三者の言うことが正しいなら、男に媚びていたというのだ。
御伽が同性愛者だなんて、まったく気付かなかった。
偏見はないつもりだ。ただ、突然すぎたし、状況が悪かった。ショックが大きかったとはいえ、その後の自分の態度は最悪で。きっと、御伽は傷ついているだろう。
彼を避けているのは、後悔と罪悪感と、どうやって接すればいいのかわからなくなった自分が情けないからだ。
御伽に嫌悪しているわけじゃない。むしろ自分に嫌悪しすぎて吐きそうなくらいだ。

「どうした〜?本田、元気ねぇな」
2回戦も負けたのか、カードを片づけている城之内が本田を見て声をかける。
本田は自己嫌悪でいっぱいいっぱいだったので、城之内の気まぐれな気遣いすら助け船のように感じた。
「……なぁ、城之内」
「んー?」
「俺が……もしよぉ、例えば、俺の好みの女がすっげー悪趣味だったら、お前、俺の友達やめる?」
「はぁ?」
突拍子もないことを聞かれて、城之内がひょうきんな声を出す。
「何言ってんだ。そんなん関係ねぇだろ、ダチはダチだよ」
「そう、だよなぁ…」
むくり、と本田がイスから立ち上がる。
「そうだよな!」
「うわ!? なんだお前、いきなり」
なんだか自己完結したらしい本田に、事情がよくわからない城之内は「???」だった。

「御伽」
他クラスだった女子が予鈴で帰ったところを見計らい、本田が御伽に声をかけた。
後ろを振り向いた御伽は少し驚いた顔をしているくらいで、前と全然変わったところはない。
緊張していた本田はほっと安心して、肩から余分な力を抜くと、そのままいつも通りに話す。
「今日の放課後、暇か?」
「え…?あ、ああ。何もないよ」
「美化委員のプリントがあんだけど、折るの手伝ってくれねぇかな。ひとりでやるのはちょっとキツいんだよな」
「…うん、いいよ」

放課後。御伽は約束通り残っててくれたし、本田が用意したプリントの手伝いを指示通りこなしてくれた。
ただ、やはり2人の間には気まずい空気と沈黙が流れる。
向かい合わせで、淡々とプリントを折っている2人。
先に耐えられなくなったのは本田だった。
「あの、よぉ」
言おう言おうと、さっきからずっと頭の中で反すうしている言葉を、勇気を出して声に出す。
「この前は、悪かった」
「え…?」
「俺、混乱してて、態度悪くて……最低だった。ごめん」
御伽が何か言う前に(きっと「そんなことない」とか俺をかばうための言葉だ。そんなの聞いても意味がない。)自分が言いたいことを言い切る。
早口だときっと噛んでしまうから、ゆっくりと、噛みしめるように。
「でも、お前のこと嫌になったわけじゃねぇんだ。都合いいこと言ってんのはわかってるけど、俺は、お前の深い部分がどうでも、ダチやめる気はさらさらねぇから」
いや、俺お前傷つけたし、絶交されてもしょうがねぇんだけど……。もごもごと小声で弱気なことを言う本田を見ながら、御伽は何も言えないようだった。
信じられないといった表情をしている。嬉しげでも、どこか悲しげでもある。
「本田くん、君は、それでいいの?」
少し首をかしげ、のぞき込むように御伽が本田を見る。
その仕草と不安げな表情にドキリとした。男なのに、長髪と細いラインのせいか時々か弱い女に見える時がある。なるほど、これは男にもモテるかもしれない。っってそうじゃなくて!!
「だ、だから、いいってんだろ。変に遠慮する必要ねぇから、これからも普通にしてろって」
一瞬変なことを考えた自分にまた自己嫌悪しつつ、本田がぶっきらぼうに御伽にそう諭す。
「……うん」
御伽は、安心したように笑った。その表情は、やはりまだどこか悲しそうであったが、本田はそれに気付かなかった。

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拒絶されるのが当たり前だと思っていたから、本当に嬉しかった。
でも、「ありがとう」、感謝の言葉も言えないほど、同じくらい悲しかった。
彼の言葉に嘘偽りはない。本当に、僕を受け入れてくれるつもりだ。嬉しい。でも、
(だけどそれは、自分の身にかからない火の粉だから、)(そう思いこんでいるからだ。)
もし 僕が 君のことをそういう目で見ていると言ったら?
君が殴り飛ばしたあの男と同じようなことをしてほしいと、僕が跪いて頼んだら?
「……」
僕はまた、彼を裏切る爆弾を抱えている。爆発すれば、今度こそ彼は、僕を完全に拒絶するだろう。
それが、悲しくてたまらなかった。



080705 スマイルピエロ(4) ?×御伽

「普段は優しい父さんの『時々の虐待』は、突発で、予測不能で、すごく怖くて。にこにこ笑って頭を撫でられてる時も、いい子だ龍児って僕のことを褒めてくれる時も、いつ怒るんだろう、痛いことをするんだろうって、それが頭から離れなくって、心が重かった。だから、子供なりにがんばったんだ。痛いことをされるのすら、嬉しいと思えばいいのにって、そう思った。背中に鞭を打たれながら、歯を食いしばって、こぶしを握って、必死に耐えた。『痛くない。痛くない』って念じながら。そしたらね、本当に痛くなくなってきたんだ。正確には、痛いけど辛くないっていうか、どんなことをされても平気になった。罵詈雑言も、体罰も、痛くないし、嬉しかった。嘘じゃないよ、本当だよ。僕を責める父さんは、僕を褒める時より、むき出しの本音で接してくれてた。僕を自分好みに育てたくて、うまくできなくて、イライラがつい手に出ちゃう感じ。僕も『ごめんなさい、次はちゃんと父さんの望むとおりにやります』って心から訴える。ちゃんと意思疎通できてるでしょ?それだけは、安心できた」
***
フェミニストのマニュアルでも持ってるのかと言われたこともある。御伽にとって、自分に好意を持っていてもいなくても、女の子に優しくするのは常識で、挨拶のようなものだ。
「中1くらいから普通に女の子と付き合ってたねぇ。マセガキだったから(笑)」
おずおずと腕を組んで、キスしてほしいと甘えた声ですり寄ってくる女の子はとても可愛く、御伽はにっこりと笑って、優しくキスをしてあげる。
大切に扱って、大事に守って、笑顔にさせて、自分も笑顔になって。
でも、自分の笑顔は心の底からのものではなかった。
「やっぱり、どうしても満たされなかった。女の子が僕に求めるものと、自分が求めてるものが全然違うからかな?結局、長く続かない」
***
男友達に、いきなり「好きだから付き合ってほしい」とせっぱ詰まった様子で告げられたのは中2の夏だった。よく考えもしないで「いいよ」と承諾してしまった。その子との友好関係を壊したくなかったし、小心者の彼と付き合うといっても、別に今までと変わらないだろうと思ったからだ。
実際、あまり変化はなかった。恋人というより親友になった感覚。家に遊びに行ったり、外で遊んだり。
でも、ちゃんとキスもしたし、性的なこともした。御伽がされる側で。新鮮だった。
大切だと言われた。お前のためなら何でもすると。そしてお前は何もしなくていいと。
(女の子はいつもこんな気持ちだったのかな…)好かれるのは嬉しい。女の子のように大切にされるのも悪くない。相手も喜んでくれてる。嬉しい。幸せだ。しあわせ……
――本当に? 心の片隅から、自分のよこしまな部分の本音が聞こえる。
相手が笑っているから、自分も笑っているから、本当に嬉しいか?楽しいか?相手の腹の内なんて底が知れない。ごっこ遊びのような付き合いで相手は満足しているか?お前は満足しているのか?本当に?よく考えもしないで、お前は相手を受け入れたが、これから先相手が無理な要求をしてきたら、お前はどうする?
(僕はそれに応えるよ!)必死な自分がそう言えば、暗い部分から聞こえる声は笑った。
そうだな、お前は無理をしてでも相手に応えようとするだろう。相手の望むことを自分も望んでいるように見せかけて。笑って!嘘をついて!そうして相手は勘違いしていくんだ。お前の本音なんて誰も気付かない。自分自身で隠しているからだ。その薄っぺらい笑顔の仮面で簡単に騙されるあの男は、お前を本当に愛していると言えるのか?
あはははと声が笑う。御伽は耳をふさいでその声を拒絶した。聞きたくない。
(違う!僕は、ただ)
相手を困らせたくない。無理をさせたくない。無理をさせて、嫌われて、せっかくの関係が崩れてしまうのは怖かった。仲が悪くなるくらいなら、自分が多少の無理をしてでも相手に合わせたい。それが自分の本音だ。僕は幸せになりたいんだ。
(だって一度だって、僕は幸せだと思ったことがない!)
御伽の育った環境は、異常と言ってもよかった。無償の愛を注ぐ母親はおらず、復讐のためにのみ子供を調教する父親に尽くし、自分自身を見失っていた。
暗闇からの声は一番本心だった。理想と言ってもいい。取り繕って笑う本体とかけ離れすぎたそれは、半ば自暴自棄に自分自身を責めた。
御伽はどうすればいいのかわからない。
徐々に、その男友達にも、女の子に感じる心の重さがあらわれた。
やはり無理だったのだ。好きではない人を特別に思うなんて。
自分の転校を機に、別れを切り出した。場所は、誰もいない放課後の教室。
男にとってはひどく唐突だっただろう。戸惑いながら、必死になって御伽を説得しようとした。
何でもするから、お願いだから、そんな悲しいことを言わないでくれ。俺のことが嫌いになったのか?何が悪かった?全部直すから!
御伽は返答に困る。自分でもよくわからないのだ。自分は一体何が不満なのだろう。どうすれば、偏屈な自分は幸せになれるのだろう。
何も言えないまま、御伽は強引な男から逃れようとする。やんわりとした、けれども初めての拒絶。男は一瞬傷ついた表情になって、次の瞬間、
御伽の顔を殴った。
机やイスがガタンと音を立てる。
本当にいきなりのことで、殴られた頬を痛いと思うより、衝撃で後ろに倒れ、壁に背中がぶつかったことに意識を持っていかれた。
足腰に力が入らず、ずるずるとそのまま床に座り込んだ。呆然と、男を見る。
男はしばらくはぁはぁと荒い息をしていたが、落ち着いてきた途端、これまで以上に弱気になった。
何度も御伽に謝り、涙し、呆けたままの御伽に触れようとして、躊躇してはまた涙をこぼす。しまいには、御伽をそのままにして逃げ出した。
ひとり教室に取り残された御伽は、じんじんと熱を持つ頬を手のひらで撫でながら、ああ、と小さく声をあげた。
(ああ、これだったんだ)
自分の一番ほしいものは、これだったんだ。
御伽は笑った。痛む皮膚にぎりぎりと爪を立てながら、痛みに顔を歪めながら、声を出して笑った。
***
その男とはそれから会っていない。転校するまでも、姿を見ても話しかけることはなかった。男も御伽を避けていたようだ。嫌いになったわけじゃないと思うが。
御伽も、男を嫌いになったわけではなかった。殴られたことも怒っていなかった。
むしろ感謝していた。彼に殴られた時、自分の求めていたものが何か、はっきりとわかったから。
「うん、簡単に言うと、僕は超ド級のマゾなんだよね。気付いてなかっただけで、殴られたり罵声を浴びせられるのが大好き。いつもは普通なのに。優しくされてもちゃんと嬉しいのに。途中から僕、変になっちゃうんだ。痛いことをしてほしくなる。本当のことを言ってほしくなる。だって、じゃないと、お互い気を遣いすぎて、結局関係が終わっちゃうでしょ?そんなの嫌だ。ねぇ、だから、さ。思いきり酷くしてくれていいんだよ?」
御伽が手を伸ばす。その手は小さく震えていた。怯えていた。けれど、その顔は笑っていて、どこか恍惚としていた。
「僕のことめちゃくちゃにして。全然平気だから。それに、何でもするよ?君の望むことを全部してあげる。僕、舐めたりするのも上手いんだ。男の人のおちんちんが好きなの。きっと気持ちよくなれる。ねぇ、だから、おねがい」
わるいこのぼくにいっぱいおしおきしてください。



080823 スマイルピエロ(5−1) 本田と御伽と獏良

早朝。マンションから出るついでに玄関に連なっているポストをチェックする。
新聞にはさまっているチラシの中に、近所のケーキ屋の割引券があった。500円お買い物につき当店自慢のシュークリームがつくというもの。
でも父さんは甘いもの好きじゃないしなぁ…と思いつつ、何となく券をカバンの中に入れて、学校へ急ぐ。
+++
「あ」
「ん?」
教室にはいって、獏良の顔を見て、御伽は思い当たるものがあった。
「どうかした?」
「獏良くんってさ、たしかシュークリーム好きだよね」
「うん、大好きだよ」
御伽は今朝ポストに入っていたチラシを取り出す。
「これさ、割引券になってるから、よかったら獏良くんどう?」
「あっ、ここ、おいしいよね」
獏良がチラシを見て目を輝かす。
「じゃあさ、御伽くんも、今日学校の帰りに、行かない?」
あげるつもりの券を一緒にと誘われて、御伽は少し驚いた。
「もちろん嬉しいけど、ケーキ屋に男2人ってのも、どうかな」
「? そうかな。じゃあ…」
獏良がキョロキョロと教室を見回す。
その時「ちーっす」と教室に入って来たのは本田だった。
「あっ」
獏良が本田を見て顔をほころばす。
「本田くん、おはよう」
「おお、獏良。おはよ」
「今日の放課後、暇?」
「ん? 別に、用事はねぇけど?」
「じゃあ決定〜」
「? 何が」
「僕と御伽くんと本田くんでケーキ屋さんに行くこと」
「へ?」
突然すぎて、本田は状況が理解できない。
獏良の意外な強引さに苦笑しながら、御伽が本田にかくかくしかじか説明する。
「まぁ、別に、いいけどさ。男3人でケーキ屋かー」
微妙な気分になっている本田に、先ほど同じようなことを言った御伽はあははと笑った。

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スマイルピエロに本獏要素いれちゃいます。でも友情の域を出ない。
竜蛾のアンビシャス!並みに長い話になるかもしれない。ひいっ楽しい〜♪(パンドラ)


090718 スマイルピエロ(5−2) 本田と御伽と獏良

+++
放課後。
好物のシュークリームを食べに行くことに嬉しそうな獏良。笑いかける御伽。2人を斜め後ろから見ていた本田は、周囲の女子の視線が気になって仕方なかった。
獏良と御伽は学校でも美形で人気だ。モテる男が2人だと、女子も倍になる。廊下を歩けば女子が振り返ったり、下駄箱の向こうからヒソヒソされたり、校庭では遠巻きにキャーキャーされた。
本田は、(俺だけ場違いだ…)と居心地の悪さを味わう。しかし、
「本田くん、どうしたの?」
「具合悪い? もしかして甘いもの嫌いだった?」
と左右から獏良と御伽が本田の横に並ぶ。
「えっ!? いやっ別に、そんなことねぇぜ!」
2人は男なのに、本田の脳内に『両手に花』という言葉が思い浮かんだ。(バカか俺は!)と思考をかき消し、挙動不審気味に2人に受け答える。
+++
ケーキ屋にて。
「おいしいー!」とケーキやシュークリームを食べる獏良と御伽は、やはり男友達というより女友達の図に近かった。
(変に女々しいわけでもないのになぁ)
本田が同じ仕草をして「おいしいー☆」なんて言えばオカマ疑惑である。2人だからこそ許される。
「御伽くんのケーキも食べていい?」
「いいよ。はい、あーん」
御伽がフォークでケーキを一口サイズに切り、獏良の口へ持っていく。
そこで御伽が本田の方に向き直った。
「ねぇ、本田くんのパフェも一口ちょうだい?」
「あ、ああ。いいぞ。ほれ」
入れ物ごと渡そうとする本田に、御伽は首を振った。
「あーん」
「?」
御伽が口を開けてそのままでいるので、ようやく本田はそういうことに気がついた。
「た、食べさせろってか!?」
御伽が口を開けたまま目で笑う。獏良もくすくす笑っていた。
本田は恥ずかしがりながらも、スプーンでパフェをすくい、それを御伽の口元へ運んだ。
「……ほ、ほれっ」
「んー。おいしい」
「……///」
まったく、御伽だから許されるものである。
「じゃあ本田くんには僕があげなきゃね」
と獏良が言い出したのを、本田はますます真っ赤になって止めた。
「でえっ!いいって! だいだい獏良お前、シュークリームは分けられんだろっ」
「あ、そうか」
+++
食べ終わり、店を出る時に、獏良がお土産にシュークリームを10個買っていた。
「多すぎねぇ?」
「うーん、でもまぁ、このくらいでちょうどいいんだ。なんか勝手に減ってたりするんだよね」
「……」
獏良は笑って言うが、本田の表情が徐々に真剣なものに変わった。
「…あいつか?」
「うーん、多分、そうなんじゃないかな」
「大丈夫か」
「平気だよ。…ふふっ、『バクラ』が、夜中に起きて、勝手にシュークリーム食べてるのとか、想像してみるとおかしいね」
御伽もうっすらと状況を把握した。
本田は納得できない表情をしていたが、獏良はもう一度「大丈夫だよ」と言った。
「自分の中の問題は、できれば自分で解決したい。それにこれ以上バクラのことで本田くんたちに迷惑かけたくないよ」
そう言われてしまえば、何も言えなくなる。
本田は「また何かあったら、すぐ言えよ」と言い、それきり別れるまでその話題は避けた。
+++
帰り道の違う獏良と別れ、本田と御伽が並んで歩く。
本田は少し無口になってしまった。なので、御伽はわざと核心に迫る話題を上げる。
「獏良くんのこと、心配?」
「……あいつは」
本田が小さな声で胸の中を吐露する。
「俺たちのこと、仲間だ友達だって言うくせに、一番大事なとこ、隠そうとしやがる」
すべてひとりで背負う。弱みや辛さを決して人に見せない。苦しいのに、痛いのに、我慢をして、表面は何でもないように笑う。
けれど、獏良が今背負っているのは、とてもひとりで解決できることではない。それなのに、獏良は人に頼ることをしない。できないのかもしれない。
もうひとりの人格が友に危害を加えれば、それは自分のせいだと自身を責める。自分を犠牲にしてでも他人を守ろうとする。
「そーゆーとこが心配だっつーのに…」
御伽は少しの間沈黙していたが、本田が不審がる前に口を開いた。
「……僕、本田くんの気持ちもわかるけど、獏良くんの気持ちも、少しわかっちゃうな。本当のことを言って、相手を傷つけたり、苦しめたりするくらいなら、自分が我慢する方を選ぶ」
本田には考えにくい発想だった。自分なら、友達には何も隠さない。すべてをさらけ出して、それでも笑い合えるのが、友達というものではないのか。しかし、御伽も獏良もそうではないらしい。
「それが普通なのか? 俺、あんま悩みねぇから、わかんねぇ。でも俺は、ダチが苦しんでるの、どうしてもほっとけねぇしよ」
なんとかなんねーかな、と悩む本田を、御伽はくすりと笑ってみせた。
「本田くんは優しいね。それとも、獏良くんにだけ優しいの?」
「へ?」
「獏良くんのこと、好きだったりして」
「なっ……!」
御伽の言い方は明らかに含みがあり、『好き』という言葉が友情ではなく愛情の意味だということが知れた。途端に、本田の顔が真っ赤になる。
「バカ、何言ってんだよ!そ、そんなわけねぇ!」
「あ、照れてる。図星?」
「ちげーよ!これは、ちょっ…見んなっつーの!」
本田が顔を隠して後ずさる。耳まで赤い。可笑しい、むしろ可愛い。
「あはは」
「御伽っ、からかうのやめろよ。俺そーゆーの慣れてねぇんだから」
「ごめんごめん。でも、獏良くんのこと本当に好きなら、アドバイスしようか」
「だから、そんなんじゃねーって。あいつは…変なん憑いてるから、放っておいたらどうにかなっちまいそーで、目が離せないっていうか…」
本田が顔を隠すのをやめる。本田の表情は、何とも言えない、憂いを帯びたものだった。
「どっか連れて行かれるんじゃねぇかって。消えちまったら、どうしようかって…俺には何もできないかもしれねぇけど、できることなら何でもしてやりたい」
本田の真剣な心情が伝わってきて、御伽もそこでからかうのをやめた。
「……そうだね」
友情か愛情かはともかく、本田は獏良のことがとても大切で、好きなのだ。
そこにきっと、自分の入る余地はない。そう思ったら、御伽は胸がくっと締め付けられるようだった。
「獏良くんにも、面と向かってそれ言ってあげなよ。そういう気遣いの積み重ねがきっかけでいつか本音を言ってくれるかもしれない」
「や…、そうなら嬉しいけど、本人に面と向かっては、かなりはずい」
また顔を赤らめる本田に、御伽は苦笑する。
「本田くんって、男らしいのからしくないのかわからないね」
「うるへー。ほっとけ」


090718 スマイルピエロ(6)

回収したアンケート用紙が人数分あることを確認し、顧問にプリントを渡す。
失礼しましたーと職員室の扉を閉めて、本田は後ろにいた御伽に向き直った。
「ん。これで今学期の美化委員活動はしまいだ。手伝ってくれてありがとな、御伽」
「どういたしまして」
「ひとりじゃなかなか面倒でよ、ホント助かった。なんか礼しねぇとな」
「そんな、いいよ別に。僕も暇潰しになったし」
それでも何か礼をしたいと言う本田に、御伽は少し考える。
「じゃあ、今から、僕の買い物についてきてくれる?醤油が安いの2本買いたいんだ」
「おやすい御用だ」
本田が笑顔で承諾する。歩きながらの会話だったから、校門を過ぎて、スーパーの方向へ歩く。
「つか、意外に庶民的なんだなー御伽。外食してるイメージがあった」
「料理は好きだよ。そりゃ時たま出前や出来合いに頼るけど、外食はないなー」
「え?……あ、そうか」
御伽の父は顔に大火傷をしていて、いつも常にピエロの仮面をつけている。
ゲーム屋をやっていた頃なら通用したが、ファミレスに入る格好ではないだろう。
「すまん。考えなしに俺…」
「え? 何、平気だよ? もーやだなぁ、変に気にしないでよ」
御伽は本田のすまなさそうな顔を見て、困ったように笑ってみせた。
「外食しないのは好きじゃないから。それだけ。そりゃ、父さんは面をつけなきゃ外に出ないけど、今は遊園地のアルバイトとかしてくれてるし、別に問題はないよ」
「そ、そうか?」
「うん」
「なら、いい。うん」
「あはは、本田くん、変な顔ー♪」
「おまっ……そんな笑うなよ!///」

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何でもない2人の日常。しあわせ。
でもこの2人をくっつけるなら何か事件を起こさなければ…(あああ