門司港駅


 

<門司港駅 0キロポスト付近>


門司港駅 さよなら九州 関門橋

●かつての旅行記録より抜粋(1)

 門司港は明治の匂いとありし日の連絡船の面影を偲ばせる駅だ。0キロポストや今では使われていない古いタイプの列車用信号、ホームの片隅に展示してあるSLの動輪、連絡船乗車口の案内板・・・・・。たまたま駅舎の2階で門司港駅などの写真展があった。入場者の名簿記帳を済ませて入る。私の住所を見て説明係の駅員さんは私に話しかけてきた。

『滋賀県というと長浜駅がありますねえ。』
『私はあの近くなんですよ。』
『九州へは旅行で来られたのですか。』
『ええ。』 (あと略)

 話が合ったので私に丁寧に写真の解説をして戴けた。親切な駅員さん有り難う。門司港駅は立派な駅ですよ、中も外も! 丁寧なお礼を述べて1階に降りる。本州に戻るために必要なことは全て駅員さんから聞いた。私は関門トンネルの人道用を通るつもりだったのだが、それをやめて、ありし日を偲んで渡船で渡ることにした。駅の斜め前の渡船乗り場で230円払って浮き橋の上で待つ。係のおじさんは寒いから待ち合い所で待ったらと私に勧めたが、風景を見たいからと言ってあえて外で待ったのだ。瀬戸大橋のことを思うと関門大橋(?)は小さいものであった。まあ、遠くから見ているせいもあるが。

 海は少々波打ち、流れの速さは5ノットだった。係のおじさんが港の標識の見方を私に教えてくれたから判ったのだ。1ノットが約1.8km/時間だから、時速にすると9km位だ。渡船というから、尾道にあるそれを連想したのだが違った。みんな岸壁から20センチ位離れ、しかも上下する舷側からいとも容易に降りてくる。乗船する私は少し怖かった。

 海峡から門司側を見ていると、向島に渡る渡船から見る尾道の風景に似ていた。10分程で下関側に着いた。海峡を渡る風は錦江湾を渡ったときとは違い、冷たく、もう季節が冬であることを認めざるを得なかった。


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