紀伊半島一周ツーリング

白浜 千畳敷駐車場にて
’97・11・22(土)〜11・24(月)

 ツーリングチーム『チェリーボーイズ』第3弾。1泊だけのツーリングに飽き足らなくなった3人は、いよいよ連休を利用して2泊ツーリングを計画。肝心の目的地は、時期も遅いので寒いことを考慮し、南へ行きたいとのことから白浜方面を考えた。ならついでに紀伊半島一周しちまおう、ってことであっさり決定。ルートは一度伊勢まで行ってから、時計回りに戻ってくるように設定した。なお、今回からK吉は今夏購入したVTR1000Fで参加。私にとっては待望の大型ライダー仲間登場ってわけだ。HBKは相変わらずドノーマルバンディットだが(笑)。とにかく、高速ステージ有り、峠有り、温泉有りの旅へ、3人揃って出発進行!

11月22日(土)
 朝7時半にいつものドライブインに集合。残念ながら天気は雨です。初日が雨ってのは一番最悪の気分だよね。ほんと行く気が失せる。まあ空にガタガタ文句言ってもしょうがないので、とりあえず出発。まず第一目的地の伊勢までは高速移動です。第二神明〜阪神高速神戸線〜環状線〜松原線と経由して西名阪道へ。ここまでは都市高速だから飛ばすも何もあったもんぢゃないです。香芝SAにて1回目の休憩。まだ時間にして1時間ちょっと、走行距離100km足らずだというのにもうしんどい。雨だと気分的に乗ってこないから余計なんでしょうね。こりゃ先が思いやられそうだ。
 30分程休んでから再出発。西名阪を東進して、天理から名阪国道へ。高速道路モドキの道をもくもくと走行。う〜、つまらん。ただでさえ退屈な高速だってのにこの天気だから、ほんとただ移動してるだけ。道は比較的すいてるけど、この道路は舗装状態が悪いし、気分もブルー入ってるしで飛ばす気にもなりません。そのままダラダラと走って伊賀SAで2回目の休憩。やっと伊勢自動車道の近所まで来れたって感じです。ゆとりを持った計画立ててたので(ていうかいい加減なアバウト計算)、時間的にはほぼ予定通り向かってますね。一応順調なのかな。
 再出発後、関Jctから伊勢道へ。同じペースで走行して伊勢西ICで下車し、12時半頃に無事目的地の伊勢神宮(外宮)に到着。はあ、やっと着いたあ。とりあえず燃料補給ってことで『おかげ横丁』に向かいます。名物のてこね寿司を食べたかったので、何軒か適当なとこ探して店の中へ。店に入るときカッパ脱いだら、長時間に渡って濡れたので水滴が中に侵入し、股間の辺りがお漏らし状態になってました(笑)。かっこ悪いなあ、もう。恐る恐る手をズボンの中に入れると、わあ、パ○ツビチョビチョだあ。安物のカッパを着てる自分が悪いとはいえ、なんでこんな事になっちまうの。全く今日はテンション下がりっぱなしだよ、トホホ。テンション低いのは2人も同じみたいで、全員昼飯食い終わっても動こうとしない。

 私:「せっかくだから外宮見に行く?」
 K吉:「近いん?」
 私:「いや、川越えてちょっと歩かなあかん」
 HBK:「俺、カッパ着て歩くん嫌や。お前だけ行ってこい」
 私:「・・・」

 と、こんな感じで1時間以上店でダラダラ〜っと。一体何しにここへ来たんだっての。結局、同じダラダラするなら早いとこ宿に着いちまおうってことで意見がまとまり、観光もそこそこに(してないだろ)志摩方面へ向かうことになりました。いや、なったはずなんだけど、何をしてたか再出発は3時前(笑)。ハッキリ言って何してたか全然覚えてない。う〜ん・・・。
 県道通って志摩方面へ。本来ならば伊勢志摩スカイライン&パールロード経由で向かう予定だったけど、天気を理由にパス(ほとんどヤル気ねえな)。R167磯部バイパス経由して、鵜方から再び県道を走り、4時前に本日の宿『年金保養センターはまじま』に到着。着くなりすぐに風呂入って体をあっためました。今日の収穫は、この風呂が“温泉だった”ということぐらいか(笑)。晩飯食って部屋に戻った後は、酒盛りもそこそこに全員おねむ状態に。ほんと今日は疲れちゃったな。もういいから寝ちまおう。明日はいい天気でありますように。

11月23日(日)
 翌日、天気は快晴!ヒャッホー!能天気3人組は昨日の事もすっかり忘れてルンルン気分(死語)。本日の宿泊地は白浜。3人3様で朝の用事を済ませて、9時半に宿を出発、いざ白浜へ向けてレッツゴー!

 まずR260を海沿いに西へ。五ヶ所湾の海がとっても綺麗です。気持ちいいなーと思ってたのも束の間、ドンドン道は細くなってウネウネと山の中へ。山を1つ2つ越えたら海沿いへ、そしてまた山の中へ、何回もこれを繰り返します。全くアクセル開けれないんで少々イライラ。
 ほんとにこれは200番台の国道なのかよー、と思ってるうちにいよいよ道は登り始め、とうとう海なんかまるで見えない場所へ。気付けば辺りには人工の建物など全くなくなって、見渡す限りの緑、緑、緑のオンパレード。本当ならいい景色だと喜ぶところだけど、ここまでの道程ですっかり閉口しちゃってるんであんまり嬉しくない(苦笑)。ちょっと開けたとこで進行方向の景色を一望。真緑の中をニョコニョコと茶色い線が走ってるのを見て、ああ、今からまだあんなとこまで走っていくのかーと思ったら笑ってしまった。もういい加減にしてくれよー(笑)。
 そんな感じでなんとか錦峠を通過し、やっと紀伊長島でちゃんとした国道のR42に合流、ドライブインで一息つきます。マップで位置を確認したら、1時間以上も走ったのにほとんど進んでいやしねえ(笑)。こんな調子で大丈夫なんだろーか?

道の駅七里御浜駐車場にて  30分程休憩とってから再出発。やや遅れ気味なので、R42を一気に南下して先を急ぎます。残念ながらこの辺りは終始山間を走るルートで、雄大な熊野灘を拝むことはできませんでした。その分ペースは上がりましたけどね。
 熊野市辺りでやっと海岸線へ下りてきて、感じのいいシーサイドロードに。ちょうど昼頃だったので七里御浜の道の駅にて休憩。景色眺めついでに昼飯食います。ここまで来たら、本日の第一目的地の那智滝まではもうすぐ。まだまだ先があることを忘れ、それだけですっかり安心しちゃった3人組は、またもやダラダラと時間を食い潰します(笑)。全く何考えてんでしょうかねえ、私たちゃ。

那智滝にて  1時間程休んでからやっと動き出して、今日最初の観光地(そして最後の観光地だ)の那智滝へ向けて出発。那智駅前を右折して県道へ分岐し、2時過ぎに無事到着。道端にバイク路駐して、山道をトコトコと歩いて滝の前へ。私はここに来るのは3度目だけど、何度見ても雄大な滝ですねえ。ちょっと水量が少ないようだったけど、それでも133mの落差は圧巻。しばし自然の美しさを堪能しちゃいました。
 さて、バイクに戻ってきてから残りのルートを確認します。次なる目的地は太地町。といっても太地町のどこといった明確な所があるわけでもなくて、3人の頭には“久し振りに鯨を食いたい”といったアバウトな考えがあるだけ。しかも鯨は鯨でも、小学校の頃に給食で食べた懐かしの味、“鯨のケチャップ煮”が食いたいという無茶なもの。それを探偵よろしく探しにいこうって寸法だった(笑)。
 でも、白浜まではオール下道でまだ100km以上もある。時間は既に3時前。太地町のあとに潮岬観光も計画してたので、これはどう考えても日没までに着けそうもない。間違っても太地町の中をアテもなく探し回るなんて絶対無理。「しょうがない。諦めるか・・・」。渋々2人も同意し、失意の面持ちで峠を下り始めました。
 しかし人間とは不思議なもの、食えないとあったら余計に食いたくってしょうがない。走りも上の空、それこそ頭ん中を鯨が縦横無尽に泳ぎまわってる(笑)。「食いてえ。鯨が食いてえ!」。まるでノイローゼ患者のようにブツブツ言いながら走ってると、道端の旅館の看板がフッと目に入りました。「く、鯨だあ!」。刹那にフルブレーキング!2人に目をやると、さもお前が止まるのを待っていた、てな表情(笑)。こうなったら時間なんて関係ねえ!鯨を食ってやるぞ!

 意を決した3人はバイクを止めて旅館へ。けどこんな時間に食わしてくれるんだろうか。旅館のご主人に話すと、最初はビックリした様子だったけど快くOKしてくれました。「鍋しかできないけどいいですか?」。もちろん!鯨だったら何でも食べさせて頂きます!喜び勇んで食堂へ入ると、既に今夜の宿泊客の為の準備をなさってたご様子。「なんか悪い時に来ちゃったかなあ?」などと話してるうちに、奥から待望の鍋が登場。さらに、「煮立つまで時間がかかるから、これでも食べてなさい」と言って、鯨の刺身をサービスしてくれました。なんて親切なんだ!ありがとう、ご主人!では遠慮なく、いっただっきまあ〜す!
 パクッと一口入れると、あの懐かしい味が、口いっぱいに広がっていきます。おお、これだ!この味だよ、君ィ!(笑)。3人共、まるで1週間飲まず食わずだったかのようにがっつく。そして肝心の鍋。どれ、そろそろ出来たかな?蓋を開けると、水菜と一緒においしそうに煮立った鯨が。おお、まさしくこれだ!小学生の頃、嫌になるほど食った想い出の匂いだ!一口食べて、ジーンと感動。ああ、ガキの頃を思い出すなあ。しばし感傷にふけった後、鬼の勢いで胃袋へ放りこみました。品が無くなっても底をさらうようにほじってると、なにやら黒い塊が。おお、これはコロではないか!(笑)。1つたりとも残すまじと、それこそ鍋をひっくり返すかという程にきれ〜いに平らげちゃいました。あー食った食った!いやー、大満足です!
 満腹になったところで、ふと時計を見るともう4時前。イカン、先を急がないと陽が暮れる。時間的にもう観光は無理そうなので諦め、一直線に白浜へ向かうことにしました。旅館のご主人に丁寧にお礼を言ってから再出発。さあ、急ごう!

 R42に戻ってから太地町、串本町を抜けて一気に白浜方面へ。ここら辺りはとても気持ちいいシーサイドロードで、舗装状態も良く、適度にワインディングしてるんで走ってて楽しい。交通量が少ないことも手伝って、まさしく快走!ふと景色に目をやれば美しい海岸線、そして水平線にゆっくりと沈んでいく夕陽。ツーリングしててたまらなくなる瞬間。この瞬間に、バイクに乗ってて良かった、そしてすばらしい仲間がいて良かった、と実感します。この一瞬の為に、自分はバイクに乗り続けてるんだろうなあ(しみじみ)。なぜか遠くを見つめちゃったりして(笑)。
宿の駐車場にて  時間も5時を回り、陽も暮れてしまったので一度休憩。白浜まではあと50km弱。さすがにちょっと疲れが出てきましたね。下手に急ぐと危ないので、いつものルーチンで30分体を休めました。
 体力充電後、最後の鞭の一振り。暗くなった国道をひたすら走り、白浜町に入ってから県道に分岐して温泉街へ。宿の位置がわからないので確認の為ストップ。何も考えずに適当に止まったんですけど、運よく観光案内所の前でした。2人は案内所の前だから止まったと思ったみたい。私の勘も捨てたもんぢゃないな(笑)。
 宿の場所を教えてもらい、迷うことなく無事7時に到着。いやー、良かった良かった。先に風呂に入って汗でも流そうと思ったら、「食事の時間は7時半までです。急いで食べてください」とのご挨拶。そんなら仕方がないってんで先に食事。3人共しっかりと食べさせていただきました。後は温泉入ってお決まりのパターン。今日はみんな上機嫌です。久々に充実した1日だったなあ。明日も楽しい1日だったらいいな!

11月24日(月)
 ツーリング最終日。今日は家に帰るだけとはいえ、3日目も一緒に走るってのが妙に嬉しい。やっぱりツーリングってのは最低2泊しないとね。次回からもそうしようや、なんて言いながら出発準備。真っ直ぐ帰るのもなんなんで、白浜周辺をちょこっとだけ観光することにします。では早速行こうか!
千畳敷にて  まず最初に千畳敷へ。ここは平たい岩場が海へ突き出したような所。太平洋の荒波が造り出した自然の造形美ってやつですよ。時間に余裕があるんで、3人共観光客のフリをしてゆっくりと見学。まあ、観光名所としては“並”ってとこですね。その割には結構はしゃいで遊び回っちゃいましたけど。
 お次は三段壁へ。こちらも岩場なんだけど、名前の通り断崖絶壁の場所。名所は名所でも、『自殺の名所』ってやつです。崖から下を覗きこんでみると…うわっ、高っけえ〜!私ゃ別に高所恐怖症ではないつもりなんだけど、ジーっと見てるとまるで吸い込まれそうな感じがします。こっから落ちたら絶対に助からんな。ふと後ろを見てみれば、自殺を思いとどまる旨の看板が。おっかねー(冷汗)。こんなとこにずっと立ってたら、目に見えない何かが足をグイっと引っ張って…って変なこと考えるのよそう。とにかくここには長くいたくないので、とりあえず崖から離れます。
 三段壁には他にも海食洞窟があるそうですけど、そこへ降りるエレベーターが人を馬鹿にしたような高額料金だったのでパス。馬鹿野郎、俺たちを普通の観光客だと思ってナメんぢゃねえぞ(笑)。そんなお金は払いませんよーだ。

三段壁の自然美   三段壁の崖の上にて

 さて、ゆっくりと過ごしてるうちに時間は11時前となりました。ボチボチ家路につくとしましょうか。駐車場近くにあったドライブインの、「ハマブ〜ランカー」という歌に名残を惜しみつつ発進。町中を迂回する為、一度白浜空港へ抜けてスカイラインを走り、田辺からR42へ合流。あとは一気に国道通って北上です。最後のシーサイドラインを楽しみつつ日高町辺りから内陸部へ入り、由良町辺りではみかん畑が広がる中を快走して、広川ICから湯浅御坊道路へ。高速乗っちまったら後はひたすら走るのみ。海南湯浅道〜阪和道〜関空道〜阪神高速湾岸線〜神戸線と経由して、無事夕方5時頃に元のドライブインに到着。
 いやー、なかなかの走りっぷりでしたね、今回は。これだけ距離を走れば満足感もひとしおです。体の疲れもなんとなく心地いい。初日を除けば天気もよかったし、やっぱりツーリングは常にこうありたいもんですね。それぞれの無事を祝って缶コーヒーで乾杯後、解散。ほんとに今回はとっても楽しかった!さあて、来年はどこへ行こうかな!?

おわり


もどる