北海道ツーリング(道央・道東編)

7月13日(木)
 翌日、朝7時起床。本日はいよいよ小樽まで帰る日、なんかあっという間です。それにしても眠い(笑)。寝てないってのはしんどいですねえ、飯もまずいし。でも食べとかないと余計にしんどいから、頑張ってモグモグ。朝食食べながらテレビで天気予報の確認。そういやテレビ見るの久しぶりだ、上陸初か。肝心の天気は下り坂の模様です。これは先を急いだ方がいいな。
 部屋に帰ってサッと荷物をまとめ、出発準備。バイクに荷物をくくりつけていると、宿の人に今日1日働いていかないかと誘われた。今日はお客がいっぱいきて、人手が足りんらしい。今日小樽まで帰る旨伝えると、「なんだ、てっきり学生さんかと思ってた」だって。そんなに若く見えますか、私って。なんか嬉しいような悲しいような。またいつか来ますよ、と別れを告げて出発。眠れなかったけど、きさくな感じに好感が持てました。やっぱり北海道の人っていい人たちですね。

馬事資料館 優駿の門  さて、今日の目的は馬の見学。別に競馬に興味はないけど、競馬ゲームは好きだから(私はウイポ派)、ゲーム上で配合させてる馬を見るのも悪くないだろう、と。帰ってから話の種になりますし。
 R235を海沿いに東へ、幌別で道路沿いに門らしきモノを発見。馬事資料館の入り口らしいです。まだ時間早いし、ちょっくら見学していくか。中には名馬シンザンの父、ヒンドスタン号の剥製など展示してました。他の品々も貴重な物ばかりのようです。ふーんと感心しながら、ついでに周辺の情報収集。おや、近所にシンザンがいるらしいぞ、まだ生きてるのか。すぐ上には調教センターもあるみたいだ、どんなところか見学してみよう。早速バイクに乗って移動。先にシンザンのいる谷川牧場の前を通りすぎたけど、後でまた通るから、とまず調教センターへ。
 施設の前まで行って、受付らしきところへ進む。フランクなおっちゃんが2人いて、丁寧に見学の注意事項を説明してくれ、パンフレットをくれた。立ち入り禁止区域だらけだけど、それでも行ける場所だって十分広い。さすがJRA、金かかってんなあ。おっちゃんと他にもいろいろ雑談してたら、手に火をつけられたような激痛が。あっつ!一瞬隣のタバコ吸ってたおっさんを睨みつける。何すんだよぉ。おっさんはビックリして、「わし違う!アブやアブ!」。足元みたら、1匹アブがひっくり返ってもがいていた。コイツに刺されたのか?痛みを通り越して熱を感じさせるなんて、なんという奴だ。怒りをこめて足でブチッ。それにしても昨日から虫に好かれてるな(笑)。

JRA軽種馬育成調教センター 屋根付ウッドチップ練習路   直線は片道1km 中はこんな感じ

 刺されたところをさすりながら、パンフレットに添って施設内を見学。坂路や砂馬場などいっぱいあるけど、圧巻なのはオール屋根付で1kmもの長さがあるウッドチップ練習路。2階建てぐらいの高さで延々と1kmも真っ直ぐに建物が続く。端に立つと終点が見えないくらいだ。説明に寄れば、これで雨の日も気がねなく練習できるらしい。・・・アホか(笑)。こんな物を作るなんて、部外者の私には全く理解できん。呆れてしまって言葉もないよ。まあ、当事者には必要だったんだろうけど。建設費いくらぐらいかかったのかなあ。

シンザン号の銅像  よし、ここはもういいだろう。次はシンザンだな。来た道を引き返して谷川牧場へ。なんかとっても静かな牧場です。最近の競馬ブームで、牧場見学大流行って聞いてたけど、先客は2人ほど。それも私がバイク止めてる間に出発してしまった。また1人か(笑)。いいですよ、もう慣れっこですから。
 まず事務所へ入って見学申込みをっと・・・てアレ?誰もいないぞ。うーん、随分とのんびりしたところだ。誰か出てくるまで待ってようと、待合室の壁に飾ってある写真や成績表などを眺める。へー、この馬連帯率100%なんだ、凄い馬だったんだなあ。それに年齢が凄い。昭和36年生まれ?!ということは今年34歳?人間に例えると何歳になるのかなあ。感心ばかりしていると、テーブルの上にノートが一冊置いてあるのに気付いた。えーっと何々?見学者は記帳して自由にご見学くださいっと。な〜んだ、自由に見学していいのか。早速記帳して中へ。放牧場所の正面にはシンザンの業績を称える銅像があった。調教師であった武田文吾の言葉も刻まれてる。なんか凄い馬に出会えるんだな、それも貸切状態で。なんとなく緊張。
名馬 シンザン号  そこから少し中に入ったところに、少し小さ目のサークルがあり、そこには厩務員のおばさんとジャレ合う小さな馬が1頭。いた!この馬がシンザンか!しばらく私は立ち尽くして2人を見ていた。おばさんは私に気付くと、「この子もう草を食べる力が残ってないからあげないでね、それと右目はもう見えないから」と教えてくれた。
 やがておばさんが奥へ入ると、私のいる方へ歩いてきて、柵に体を寄りそうようにして止まった。私は恐る恐るシンザンの正面へ回る。凄く体が小さい。よく見ると肌もやつれてシワシワだ。これが伝説のシンザン・・・。
 じっと見つめていると、シンザンの方から私に寄って来て、目の前で立ち止まった。体の左側をこちらに向けて、左目で私を見ている。もう柵1枚へだてて英雄が触れ合える場所にいる。私はもう胸いっぱいで、二言三言話しかけてから、「ゴメンな、写真だけ撮らせてな」と2、3歩下がってカメラを構えると、草を食べれないはずなのに、草を食べるポーズをとってくれた。私は3枚ほどファインダーに納め、「ありがとう、もういいよ」と言うと、また私のところへ戻ってくるではないか!私は猛烈に感動した。気付けば目に涙があふれていた。私はいっぺんにこの馬が好きになってしまった。
 それから、どれくらい2人っきりでいただろう、いろんな話をしました。シンザンは優しい目で、黙って聞いてくれてました。今日もう小樽に帰らないといけないので、これ以上長居できない。まるで恋人と別れるかのように後ろ髪ひかれながら、その場を立ち去る。振り返れば、シンザンは柵の一番近いとこまでやってきて、私のことを見送ってくれてました。必ず、また来るから!

 予想外に時間がたってしまったので、遅れを取り戻すべく、多少飛ばし気味に走る。まあでも、これは仕方ないか。シンザンに会えたんだもんな。馬見学にはすっかり満足してしまってたけど、ついでだし、他の馬も見ていこう。
 まず情報を仕入れるために、静内の競走馬の故郷案内所へ。ここには牧場のデータベースがあって、PCに馬の名前を打ちこむと、牧場名と住所、見学時間なんかが検索できるんです。知ってる馬の名前を打ちこんで、牧場名と見学時間の確認。よし、記憶した、いざ出発!
オグリキャップ号  最初に訪れたのは、新冠の優駿スタリオンステーション。ここはオグリキャップのいるところ。駐車場へ進むと、車がいっぱい。さすが有名なだけあって、観光客だらけだ。さあ、肝心のオグリは?
 案内にしたがって歩いていくと、見学しやすいようご丁寧にスタンドまで作ったサークルの中にいらっしゃいました。ご本人は観光客など一向に気にせず、ひたすら草にガッついてる。首だけで草を追いかけてるものだから、何度もこけそうになっていた。え〜、コイツがオグリ?既にシンザンを見た後なので、感動もへったくれもナシ。もういいや、次へ行こう。
 お次は門別のミホノブルボン。受付時間は午後2時から。時間がないぞ、急げや急げ。牧場に着くと、ちょうど見学が始まる直前。グッドタイミングだね。時間になって牧場内へ入場許可が出たので、いそいそとブルボンの前へ。なんだコイツ、一番奥にいてよく見えないぞ。他の見学者達も集まって必死に写真を撮ろうとしてる。いい加減全員集まったところで、こっちへ近づいてきて柵の傍で凛々しくポーズ。おおお、と全員シャッターを切る。2分ぐらいじっとしてたかと思えば、また元いた奥へ戻ってしまった。なんか心得てるよなあ、まるでモデル気取りだ(笑)。賢いのはよくわかったけど、何となくヤな感じです(笑)。
 次は有名な社台ファームへ行ってみよう。その前に鵡川町で遅い昼飯休憩。もう3時前だよ、道理で腹減ってる訳だ(笑)。見学時間のこともあるので、急いで国道沿いの休憩所でラーメン食って再出発。店の外へ出たら、とうとう雨が降りだしてた。負けるものか、カッパを着込んで先へ進む。
 途中で国道離れ、道道21号線を早来町までショートカット。しかしこれがいけなかったのか、道に迷ってしまった。あれえ、一体どこにあるんだろ。目印探しにR234に出て、看板を探す。何度か行ったり来たりして、ようやく矢印を発見。やっとのことで社台ファームへ到着したら、もう門は閉まってた。見学時間・午後3時半まで。時計を見たら、3時30分。くそ、迷ってなければ入れたかもしれない。残念だなあ。

 これで一通り予定個所は終わったので、小樽に向かうことにした。千歳から高速使って一気に小樽まで移動。幸い、小樽に着く頃には雨はやんでくれた。まず宿を探すが、ビジネスホテルはどこもいっぱいで泊まれない。困ったなあ、とりあえず問題先送りで飯でも食うか。小樽と言えば寿司!さあて、どこで食べるかな?
 ガイドを見て、いかにも街のお寿司屋さんって感じの『宝寿司』が気に入り、早速そこへ。期待通り、観光客は来ないようなこじんまりしたお店。カウンターに座って、「大将、お任せお願い!」「そう来ると思ったよ」。うん、大将心得てるねえ!寿司も美味い!大満足です。
 ・・・さてっと、問題は宿だな。大将にターミナル近くのサウナを教えてもらったけど、気が進まなかったので、一度小樽を出てR5を西へ走り出した。もしかしたら民宿ぐらいあるかなと思ったから。時間は既に9時過ぎ。無謀だ(笑)。でも国道沿いにそんなのあるわけなく、おまけにまた雨が振り出したので、諦めてUターン、小樽のサウナへ。ここは風呂としては高いけど、泊まれるということを考えるとリーズナブル。結構気に入っちゃいました。
 ここで大阪から来たライダーさんと出会う。話をしてると、同じく明日帰るらしいが、乗るのは夜11時だという。そんな船あったっけ?時刻表確認すると、ホントにある。舞鶴着は日曜朝6時。日曜は出勤しなきゃいけないけど、飛ばせば始業に間に合うかもしれない。ライダーさんは残れ残れと煽り立てる。うーん、確かにこのまま帰るのも心残りだし、私もそうするか!そうと決まれば明日に備えてサッサと寝なきゃ。本日の走行距離、372.2km。

7月14日(金)
 翌日、予定外の嬉しい日だ。まずターミナルに行ってフェリー予約の変更をし、荷物をコインロッカーへ押し込む。さて、これからどうしようか。ライダーさんに小樽観光を誘われたけど、街に興味はないので、積丹方面に行ってみることにする。待ち合わせの時間を決めて、一路R5を西へ。余市からR229に乗り換えて、海沿いを軽快に走る。今日は嘘みたいにいい天気だ。荷物を下ろしてることもあって、至って快適、気持ちいい!
『なぎさ』のウニ丼!  気分良く快走中、なんか腹減ってきた。朝ゆっくりしたので、時間的にはもう昼飯時。そういえば積丹には美味しいと評判のウニ丼があったよな。美味しいと聞けばグルメな私としては放って置けない。しかしマップを見てそれらしい位置で止まったけど、肝心の店が見当たらない。アレおかしいな、確かこの辺のはずなんだけど。
 何度確認しても場所的には間違いないようだった。しかし目の前には古びた駄菓子屋みたいな建物が1軒だけ。もしかしてコレか?
 恐る恐る戸を開けて、「こんにちわ・・・」「はーい、いらっしゃーい」。なんだ、やっぱりそうか。商売気が全くないからわかんなかった。注文通してしばし待ってると、お目当てのウニ丼登場。おお、これがそうか!好みに応じて醤油かけてと言われたけど、まずはそのままで一口。う、美味い!こんな美味しいウニは初めてだ!ほのかな甘味と潮の香りの絶妙なマッチング、そして舌の上でトロけるような柔らかさ。おぉぉ、う・ま・い・ぞぉ〜!!(ミスター味っ子/味王モード)。結局醤油はかけずに全部ペロリ。

神威岬の道  冗談はこれくらいにして(笑)、腹一杯になったので先へ進もう。ここまで来たら神威岬へ行っとかないと、ということで早速現地へ。なんでもここはアイヌの聖地だったらしい。到着してみると、さすがに神々しい雰囲気。歩いて先まで行けるらしいので、食後の運動も兼ねて散歩することにしました。
 まず丘の上まで登ると、『女人禁制』の門があった。いかにも聖地っぽいです。そこから山の稜線沿いに延々と岬まで道が続いてます。綺麗な景色!結構距離ありそうな感じだったけど、景色に見とれて先へ先へ。
神威岬のローソク岩  歩きながら観察してると、ここは岩盤質ぢゃなくて全体が砂の塊みたいな感じ。しかもきめ細かい。へーなどと感心してると、落書きがいっぱいしてるところがあった。チッ、全く日本人て奴は!
 聖地ということは、神として崇めていたということだ。そこへ落書きするなんて、アイヌの人を冒涜する行為以外の何物でもないだろう。そんなこともわからないなんて、なんと情けない奴らだ。ここに限らず、自然や文化財を汚す連中って、いったい何を考えてんだろうか。腹が立つと同時に、ちょっと悲しくなった。
 ブツブツ嘆いているうちに、岬の先端へ到着。やあ、海が美しい!曇った気分を晴らすような景色が広がる。岬の沖合いにローソクのような形をした岩なんかもある。ほんと綺麗なところですねえ。つくづく落書きが憎い!

 十分景色を堪能して駐車場へ。ここから先は行き止まりだし、そろそろ戻るか。ライダーさんとの待ち合わせ時間もあったので、名残惜しいけど引き返す。またいつかここへ来よう。
 小樽には3時頃戻った。彼の先導でお土産ツアーに付き合わされる。気が進まないけど、まあいいか。それにしてもあっちウロウロ、こっちウロウロ、よくそんなに買うものがあるもんだ。バイク乗ってるより疲れるよ、全く。エ?俺も買えって?何を?オルゴォル?!いらないってば、そんなの(笑)。
 さて、買い物も終わり、『海物語』で晩飯食って(トドステーキ!)、後はフェリーの出航を待つばかり。初めて来た割には十分楽しめたな、満足です。フェリーに乗船したら、死んだように眠る。本日の走行距離、168.3km。

7月15日(土)〜16日(日)
 翌日は1日中船の中、例によって退屈です。デッキへ上がると、どこを見渡しても海ばかり。ああ、もう北海道ぢゃないんだな。なんとなく悲しい。いい、もう寝る・・・。
 そしてさらに翌日。朝5時頃放送で起こされた。とうとう帰ってきてしまったか。しかも今日は直接職場へ出勤しなきゃいけないんだったな。始業は9時半だから、高速使えば余裕だろ。ふと財布をみると、残金千円。金が足りん!こうなったら仕方ない、下道ふっ飛ばそう。日曜の朝だから道も空いてるだろう。
 下船して、大阪のライダーさんに別れを告げる。世話になったね、帰り道転倒してオルゴール割らないようにね(笑)。またいつか会いましょう。「では!」と同時に猛ダッシュ。オール下道だったらギリギリか。
 走りながら、なんか走りにくいなあと感じる。なんだろう、と考えてみると、路面状態が悪いことに気付いた。北海道は道も綺麗だったんだなあ。道理でどこ走ってても気持ちいいはずだよ。それともう一つ、車のスピードレンジが遅い。北海道では地元の人もスピード出して走ってた。こっち帰ってきたら、全然スピード感覚が合わない。くそう、邪魔だ!焦って事故りそうになった。マズイな、大丈夫か。
 気持ちを押さえながら、なんとか神戸の北区までたどり着く。時間は9時を回った。アカン、もう下道ぢゃ間に合わない。仕方がない、無け無しのお金払って新神戸トンネル利用。その甲斐あって職場には9時半ジャストに到着!ふう、なんとか間に合った。この日は久しぶりに仕事をして、夕方やっと家路につく。残ったお金で高速乗って(残金0!)、久々の我が家へ。ああ、帰ってきたか。いろいろあって楽しかったなあ。これから北海道が病みつきになりそうだ(^o^)。また来年も行きたい。いや、絶対行くぞ!

おわり


3ページ目にもどる 4/4 ツーリングメニューにもどる