ZZRカスタムインプレッション
ポジション・操作系編

O−BIGブラケット&コワースバーハンドル
 オービッグといえば、カワサキビッグマシンをアップハンドル化(バーハン化)するパーツとして超有名だ。STDトップブリッジにボルトオンで装着でき、アップライトで楽々なポジションを実現する。取付位置はトップブリッジ側とハンドル側でそれぞれ2段階に分かれており、合計4つのポジション選択可能。
 コワースネイキッドバーハンドルは強靭な特殊スチールを使用。メッキ処理によるカラーは全8色で、好みのコクピット周りを演出する。



 ’96・2・12、走行距離約1,000kmで交換。これは私にとってとても感慨深いパーツだ。現在も進行する数々のカスタムはここから始まった。もしこの交換をしていなければ、とっくにZZRを降りていたであろう。そういう意味においても、私とZZRとの全ての関係の始まりであったと言っていい。
 ZZRを購入してすぐ、私は背の低いライダーが直面する問題にブチ当たった。ハンドルが遠く、そして低い。故に腕は完全に伸びきり、腕で体重を支えるような事態に陥って、とてもバイクをコントロールできない。具体的な症状としては、上半身が硬直し、極低速時にフラつく(バランスをとれない)、交差点で左折できない(ハンドルを切れない)等だ。これでは怖くてとても普段乗れたものではない。自分にはこのバイクは無理なのか・・・後悔と諦めの念が入り混じった。

ハンドル周り  そんな時、ふと手にした雑誌に、ハンドル周りを改造することによってアップライトなポジションになるカスタムを見た。これであれば自分にも乗れるようにできるか?とはいえ私は今までバイクを改造したことなどなかった。したことがない者としては、やはり改造に抵抗を感じる。いろいろ悩んだ挙句、私は雑誌に載っていたチューナーの一つ、BabyFaceへ相談に行った。BabyFaceは初めて来た私のような者にも親切に応対してくれ、カスタムすることの意味を教えてくれた。
 まさに目からウロコ状態となった私は、その場で交換することを決断し、ついでに自分がかっこいいと思うスタイルに変更しようという欲も加わり、それらを全て発注。ただトップブリッジごと交換には少し抵抗があったので、相談の上オービッグのブラケットを介した上でパイプハンを取りつけることにした。パイプハンは初めミーハーにレンサルを希望したが、ZZRは重量があるので、アルミだと立ちゴケでも曲がることがあるからやめた方がいいと言われ、薦められるままにコワースのスチールパイプを選択。

オービッグブラケット  さて、装着後の感想だが、これが同じバイクなのかと思えるほど乗りやすくなった。手を伸ばせば自然にハンドルがある感じで、上半身がリラックスできてとてもコントロールしやすい。またハンドル周りが軽量化されたので、操舵感も軽くなり、乗っていて重たいバイクを転がしているという感覚がなくなった。人によってはこの軽さが嫌だという方もいるようだが、もともとバイクの前の方に乗っている私のような者にとっては、むしろ前輪荷重が適切になってありがたい。
 結局、カスタムを進めるにあたってポジションをドンドン詰めていってしまい、今では高さ的にはノーマルとかわらない程になってしまったが、この辺の変更が簡単にできるのもパイプハン仕様ならでは。装着にはFブレーキ&クラッチラインの延長を必要とするが、価格的にも手頃であるし、ノーマルのイメージにこだわらない人にはお勧めだ。

 またコワースのハンドルの方だが、これまでに左右に立ちゴケ1回づつ、また98年末に峠で右へ激しく転倒したが、特に曲がった感じはなかった。やはりスチールは強いものだと感心した。仮に曲がったとしても、パイプハンはすぐに交換できるのでメリットは大きいと思う。ただし、スチールの場合カラーは塗装してあるだけ(アルミはアルマイトしている)なので、パーツを組み付けるとそこから塗装がハゲるのでご注意を。

◎ここがグッド(^o^)
・ノーマルトップブリッジのままで簡単パイプハン化。
・ハンドル周りが軽量化されることにより、軽い操舵感覚を実現。
●ここがチョット(TT)
・要ブレーキ/クラッチライン交換。
・一番手前にセットすると、ハンドルによってはタンクと干渉するかも。
・ノーマルのスタイルにこだわる人には不向き?

アールズステンメッシュホース(F・Rブレーキライン、クラッチライン)
 アメリカ・アールズパフォーマンスプロダクツ社プロデュースによるステンメッシュホースとフィッティングのセット。剛性の高く膨張率の低いテフロンチューブをステンレスメッシュ被覆し、圧損失の少ないリニアなブレーキタッチを実現する。



 Fブレーキ及びクラッチはハンドル交換と同時に装着。Rブレーキは’96・5・29、マフラー交換と同時。これは特に交換前に思い入れがあった訳ではない。ただアップハン化によりライン延長が必要となるので、ついでにやってもらったという程度でしかなかった。
 ところがどっこい、走り出してすぐに違いがわかった。ブレーキタッチにシッカリ感があるというか、剛性感があるのだ。握った力を無駄なくキャリパーへ伝えているという感覚が手に取るようにわかる。これはブレーキ性能云々よりも安心感に繋がる。つまり、安心してブレーキをかけれるのだ。気分的なこの恩恵は大きい。
 これを知ってしまうと、リアブレーキがプニュプニュしてるのが気持ち悪くなり、半年もたたずしてリアも交換した。ただしクラッチラインについては、残念ながらどう違うのか体感的にわからない。おそらく圧損失の減少により、幾分かはタッチが向上しているのであろうと思う。

 この交換は、ブレーキはノーマルのままでいいと思われている方にもぜひお勧めする。やってみればわかる。必ず違いが体感できるハズだ。メーカーは他にグッドリッジなどがあるが、これはどちらでも違いはないと思う。メーカー名に対する好みで選択すればいい。ただし、フィッティングにアルミを選択した場合、無理な取りつけ及びメンテナンス時に乱暴な取り扱いをすると折れる可能性があるので注意されたし。

◎ここがグッド(^o^)
・ブレーキタッチの向上!これに尽きる!絶対お勧め!!
●ここがチョット(TT)
・クラッチ側はよくわからない。

アクティブハイスロットル
 アクティブ製汎用ハイスロットルキット。スロットル開度を小さくし、クイックなスロットルワークを実現する。アルミ削り出しでカラーバリエーションも8色と豊富にそろっており、自分好みのコクピットを演出できる。スロットルとして独立する為、別途ハイスロ用ライトスイッチ必要。



スロットル周り  これもハンドル交換と同時に装着。この時はキャブを交換していた訳でもなければダイノジェットをつけていた訳でもなく、またノーマルに不満があった訳でもない。ただ着けたかったからついでに交換した。要するにレーサーのような雰囲気にしてみたかっただけ(笑)。交換後の操作感の事などまるで考えていなかった。
 そんな事だから、初めは随分と戸惑った。ちょっとした動きに敏感に反応し、ギクシャクして低速域では不快そのもの。扱いにくくなった、と正直思ったものだ。ところが不思議なもので、慣れてくれば違和感も無くなり、かえって少ない動きで実にコントローラブル。後にダイノジェット装着を行ったが(マフラー交換時)、ハイスロならではのダイレクトな操作感で気持ち良くアクセルワークを行え、スロットルでマシンを操るという感覚が何となくわかったような気がした。

 FCRとなった現在ではさらにダイレクト感を求め、アクセルの遊びなどほとんど無い状態だが、この方が自分の意思に忠実に反応してくれるので楽なくらいだ。当然、街乗りではアクセルを開けているのかいないのかわからない程度(2〜3mmぐらい)しか手首を動かさないが、これも慣れてしまえば問題ない。ただ、遅い車の後ろにつくとイライラ感が募ることは確かだが(笑)。
 キャブチューンするのなら交換は必須、そしてノーマルのままでも結構遊べる。私はカラーバリエーションの豊富さからアクティブを選択したが、メーカーは好みと予算で考えて問題ないと思う。視覚的にもいかにもレーシングっぽく、満足度高し。

◎ここがグッド(^o^)
・少ない動きでワイドオープン!
・ダイレクトなスロットルレスポンス。
・削り出しボディがいかにもレーシングの雰囲気。
●ここがチョット(TT)
・極低速時、過敏過ぎて動きがギクシャクするかも。

シートアンコ抜き
 足着き性をもう少し改善したい、という時の定番。ZZRのシート高は他車に比べて低めとはいえ、やはり身長の低い者にとってはツラいことも事実。ノーマルのシートを加工するだけであれば低予算で済み、自分好みの形に製作することも可能。スタイル変更も含めて必須カスタムだ。



アンコ抜きシート  マフラー交換と同時に実施。アップハンドルにしてポジションはかなり改善されたものの、まだ足着きには問題があった。百歩譲ってつま先立ちでいいとしても、ノーマルシートの角が鋭角になってるのはとても邪魔。足の開きがそこで固定されて尻が痛くなり、何より体重移動時にそこに太腿が引っかかる。アンコを抜くだけならそうお金もかからないのでついでにお願いした。
 実施するにおいて出した希望は、座面は丸みを帯びた形にした上で角を取り、流れるようなラインを作ること、座面自体も少し削って低くすることの2点。表皮については純正と同様の黒を選択をした。これはあまりイメージを変えたくなかったからだ。

 仕上がってきた現物はほぼ自分の希望通り。足着き自体は気持ち程度の向上だが、足の出し入れは非常にやりやすくなった。違和感無くスッと足を下ろすことができ、これだけでも気分的に随分違う。そして一番重要視していた左右への体重移動は、角が無くなったことで滑らかに動作できるようになった。これはいい。あの角がどれだけ邪魔だったかがよくわかる。シート1つでも馬鹿にできないものだと痛感した。
 ただし、不具合も1つ発生した。それは尻の痛み。座面を低くするためにクッションを削ったので、はっきり言って前よりも痛い。2時間も連続して走れば休憩したくなってしまう。つくづくシートは馬鹿にできないものだ。今後アンコ抜きをされる方には、もう少し予算をかけてスポンジも薄型でクッション性の高いものへ交換することを薦める。私も機会があれば、再度自分だけのシート造りを行いたいと思う。

◎ここがグッド(^o^)
・足の出し入れがスムーズ。足着き性が向上。
・角を取ることによって左右の動きもしやすくなる。
●ここがチョット(TT)
・クッションが薄くなるので、前にもましてケツが痛くなる。

コワースバックステップ
 コワースZZR用レーシングステップキット。ジュラルミンベースプレートと鍛造ペダルから成り、軽くカチッとしたチェンジフィーリングを実現する。移動量は20mmバック、35mmアップ。逆チェンジ可能。なお、ステップバーは別売り(固定式と可倒式より選択)。



ステップ右周り  ’97・3・8、走行距離約7,300kmで交換。ハンドル、シートときてポジション関係は残すところステップのみとなっていた。STDの位置は前寄りに感じられ、なにより足を出した時に干渉する。特に跨ったまま後ろへ進もうとすると非常に邪魔で、足を後ろへ送る度にピョコタンピョコタンとステップを互い違いに足で跳ね上げ、うっとうしくて仕方がない。ポジションを見直すためにも交換しなければ、と思いつつも、実際にどの程度変更すればいいのか数値がわからず、また社外品のバックステップはほとんどがステップ固定式で、センチ単位で変更しても結局足に干渉するのではないかという疑問がつきまとい、予算もないので1年余りほったらかしにしていた。
 97年になってそろそろ変更しようと思い、本気になって物色したところ、コワースならばステップに可倒式が選択できることを知り、何より別売りステップバーを合わせても4万円を切るという安値に惹かれて購入。販売時点ではパーツ単位のバラバラ状態だが、プラモデル感覚でテレビを見ながら組み立ててエイヤッと装着。多少右側のリアブレーキマスターの取りつけが面倒だが、総じて難しい作業ではなかった。

ステップ左周り  さて、装着後の感想だが、これが結構いい。具体的に何ミリ下がったからどうこうと説明できないが、ただステップが細身になったことでステップワークが軽快になったことはすぐに体感できた。またラバーが無い分マシンの挙動がダイレクトに足の裏に伝わり、いかにもマシンを駆っているという感じ。ストロークも短くカチッと決まり、シフトチェンジも気持ちがいい。心配した足への干渉については、引っかからない訳ではないが気にならない程度となったので合格といえるだろう。
 コワースのステップの二次的な魅力は、購入してから気付いたのだが、社外品中もっともシンプルであることからくるその軽さだろう。正直こんな構造で強度的に大丈夫かという不安もあったが、転倒しても損傷はステップバーのみで本体ベースはなんともなかった。ステップバーは別売りなのですぐリペアできることもありがたい。

 問題点としては、チェンジロッドとペダルのクリアランスが少なすぎ、シフトダウン時にガリガリとロッドを擦る。初めは不快感を感じていたが、そのうち干渉しなくなったので楽になった、と思ったら当たっていたところが削れてなくなっていた(笑)。別に目立つ部分ではないが、安っぽいといえば安っぽいかも。
 余談だが、このステップに変更してからアップライトにしていたハズのハンドル角度がドンドン下がり、ノーマル時とほぼ同じ高さにまで下がってしまった(取りつけ位置はかなり手前だが)。現在のところまだ乗れるが、歳を考えると腰への負担が大きいので(笑)、将来的には見直す予定。

◎ここがグッド(^o^)
・短いストロークでカチッとチェンジできる。
・構造がシンプル。軽量化としても効果あり。
・転倒してもステップバーのみの購入でリペア可能。
●ここがチョット(TT)
・ロッドがチェンジペダルと干渉する。

ブレンボレーシングクラッチマスター(16¢)
 イタリア・ブレンボ社製クラッチマスター。鍛造アルミ削り出し、シリンダーピストン直押しのラジアルポンプタイプ。パワーレバー及びレバーアジャスト機構付で軽い操作感を約束する。別途リザーバータンク等必要。



上から見たクラッチマスター  ’97・3・23、ノロジープラグコード交換と同時に装着。この交換理由はいたって簡単。STDのクラッチは重くてしんどかったから。我慢できる範囲といえばそれまでだが、一度日帰りツーリングに行った時、渋滞に捕まった折に左手がつってしまい、クラッチを切れなくなって長時間1速で走り続けたという苦い想い出があった(笑)。つまり私にとっては必要に迫られて、ということになる。
 装着後の感想は、一言「軽い」。本当に信じられないくらいに軽くなった。クラッチが重いとの不満を持っている方は、ぜひ一度試していただきたい。パーツ自体は非常に高価だが、アルミ削り出しボディがレーシングイメージを彷彿させるし、買って損はないと思う。

ハンドル左周り  問題点としては、レバーがスイッチボックスと干渉するため、完全にクラッチを切れないこと、またSTDマスター部にある、カワサキ特有のサイドスタンド戻し忘れ機構のセンサーがなくなるので、同機構がキャンセルされてしまうこと。
 レバーは標準装着のドッグレッグタイプではなく、ストレートタイプであればいくらか干渉を防げるらしい。私はアジャストにより、奥に半クラッチを持っていくことで対処している。
 またサイドスタンドの戻し忘れなど、自分で気をつけていればどうでもいいことなのでこの際無視した。これらのデメリットなど、操作感の軽さの前では小さなことでしかない(少なくとも私にとっては)。ズバリ、お勧めである。

◎ここがグッド(^o^)
・軽い操作フィーリング。握力が全くいらない。
・アルミ削り出しボディがそそる。
●ここがチョット(TT)
・レーシングパーツのため、レバーがスイッチボックスと干渉する(完全にクラッチを切れない)
・スタンド戻し忘れ機構がキャンセルされてしまう。
・高い!

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