ZZRカスタムインプレッション
足周り・ブレーキ編

オーリンズリアサスペンション(Type−4)
 スウェーデン・オーリンズ社製リアサスペンション。ワールドGPやスーパーバイクをはじめ数多くのレーサーに採用されており、その確かな性能と実績からアフターマーケットサスの代表的存在である。ZZR用は油圧式プリロードアジャスターと減衰力調整機構を持つフルアジャスタブルタイプで、ライダーの好みに応じた細かいセッティングを可能としている。足周りチューンの必需品。スプリングイニシャル無段階調整、ダンパー伸側40段、圧側20段。自由長338mm。



オーリンズ Type−4  ’97・6・14〜9・3、エンジンO/Hと同時に装着。エンジン関係カスタムは自分の意思とは無関係に進んだ感じが強かったが、これはハッキリとした取付の意志があった。理由は一つ、ノーマルに不満があったからだ。
 自己紹介ページを見てもらえばわかっていただけると思うが、私は背が低く体重が軽い。バイクにもかなり前の方に乗車している。その為リアへの荷重が不足気味で、うまくトラクションをかけることができなかった。ひどい時にはコーナリング中、完全にリアから荷重が抜けたような状態になり(スプリングが伸びる感覚がわかる)、怖くて立ち上がりにアクセルが開けられない。怖いから自然と進入速度が遅くなり、今度はフロントの曲がるきっかけが作れなくなって余計に曲がれないという悪循環。
 何度かセッティングを試みたが、いかんせん調整幅がせまくどうしようもない。つまりセッティング幅の広いサスへの交換が急務だった。
 たまたま1割引で売っていたのを見つけて衝動買いし、しばらく家で眠っていたが、エンジンO/Hで長期入院となった折にBabyFaceへ持ちこんで装着。定石通りプリロードアジャスターは右側マフラーと共締め、リザーバータンクは左側シートレール間に取り付けられた。

プリロードアジャスター右マフラー 取付部と共締め  装着しての感想だが、こんなに感動したことはない。初期セッティング状態(伸側12段/圧側13段/プリロード14mm)で非常によく動き、これが同じバイクなのかと思えるほど。高速の継ぎ目を通過してもスッと衝撃を吸収してくれ、乗り心地は快適そのもの。旋回時もググッと奥で踏ん張り、しっかりとトラクションを維持してくれる。その噂に違わない高性能ぶりに、買って良かった、と正直に喜んだ。
 早速次の日からセッティングにハマった。毎週のように出かけてはフロントと併せて微調整を繰り返す。違いが解るよう、最初は大きく、そして次に細かく。これが最高に楽しい。やればやるほど違いがわかり、自分が何を求めているかに応じて、そこを合わせてやればいい。製品に妥協なし、妥協するのは自分に対してのみ。
 私はノーマルに不満がなくとも装着を薦める。きっと新しいバイクライフがそこに待っているだろう。なお現在は商品名が変更され、46HRCSとなっている。

※主な症状別セッティング法(左から順に試す)
症 状対 策
・トラクションを上げたいR伸強/F伸弱/Rプリロード上
・フロントの接地感を上げたいR伸強/Rプリロード下/F伸弱
・もっとシャープに曲がりたいRプリロード上/R伸弱/F伸強
・シャープすぎて怖いR伸弱/Rプリロード下/F伸弱
・高速コーナーの安定感を高めたいR伸強/F伸強/R圧強
・低速コーナーでフラつくR伸弱/F伸弱/Rプリロード下
・何が何だかわからなくなった全てを元に戻す

◎ここがグッド(^o^)
・抜群の作動性、豊かなセッティング幅、言うこと無し!
・オーバーホール対応でいつまでも性能を維持できる。
・値段に見合った納得のクオリティ。買って絶対に損はしない。
●ここがチョット(TT)
・リザーバータンクの接地場所に困る。
・オーバーホール推奨距離が短い(15000〜20000km)

WPプロラインフォークスプリング
 オランダのサスペンションメーカー、ホワイトパワー社が各機種専用に開発したフロントフォークスプリング。素材にクロームイリジウム鋼を使用することにより無限に近い耐久性を確保し、不等ピッチスプリングによって快適な乗り心地と高いロードホールディング性を両立している。専用オイル1リットル付属。



WP フロントフォークスプリング  オーリンズリアサスと同時に装着。リアサスのみのアップグレードだとバランスがくずれることが予想されたので、ついでに交換してもらった。初めは何を装着するかいろいろ迷ったが、オーリンズにすると単一レートなので乗り心地が犠牲になると思い、ネームバリューからWPを選択。取付にあたってはWP付属オイル(#15)を使用し、油面はWP指定値とした。
 さて感想だが、ノーマルとは明らかに違うスムーズな作動性。初期によく動くので柔らかいのかと感じたが、奥にコシがあってよく踏ん張る。ブレーキング時やコーナリング時など、スッと入ってググッと辛抱してくれる感触が伝わってくる。また街乗りでも十分許容範囲の乗り心地だ。このようにワインディングから街乗りまでオールマイティーにこなし、スプリングのみで実現できる最大限の動きを具現化している。なるほど、プログレッシブとはこういう効果を生み出すものかと感心した。
 フォークスプリングは他社からも多数発売されており、使ったことがないから一概に何ともいえないが、おそらくどれを着けてもノーマルより十分満足できるものだと思う。後は各自の予算と、ブランドに対するこだわりの問題でしかない。もしどれを着けても納得できないようであれば、Fサスユニットごとの交換しかない。あくまでも純正サスの強化方法としてお勧めだ。
◎ここがグッド(^o^)
・柔軟なレスポンス。初期にしなやか、奥にコシがある。
・高いレベルで乗り心地と路面追従性を両立している。
●ここがチョット(TT)
・他社製品よりやや割高(但しオーリンズよりは安いが)

ブレンボ4POTキャリパー(キャスティング)
 イタリア・ブレンボ社製キャリパー。ブレンボといえば、イギリス・APレーシングと双璧をなすブレーキングシステムのトップブランドだ。ピストン径34¢+30¢の異径対向4ポットタイプで、キャスティングモデルはダストシール、バックプレート等を持つ鋳造ボディの同社一般公道仕様。取付ピッチは40mmで、装着には別途キャリパーサポートが必要。単体重量690g。



ブレンボ4Pキャリパー  ’98・1・28〜4・15、FCR等と同時に装着。交換理由は、『ただブレンボを着けてみたかったから』(笑)。レプリカ全盛時に育った私は、ワールドGP等の写真を見ては、ブレンボという響きに憧れていた。
 これもオーリンズと同様、安売り(1個19800円)していたのを見つけて衝動買いし、FCR交換の為の入院時にBabyFaceに持ちこんで着けてもらった。キャリパーサポートはベビーさんにお任せだったので、どこのメーカーのが着いてるのかさえ知らない(笑)。ただ色はキャリパーより目立たない様、ブラックアルマイトに仕上げてもらった。
 肝心のフィーリングの方だが、マスターと同時交換だったので、キャリパー単体としてはよくわからない。キャリパー交換の効能といえば、高剛性化によるカチッとした操作性なので、そういう意味では効果があったのだと思う。しかしこれも感覚としては曖昧だ(笑)。
 キャスティングタイプを選んだ理由は、レーシングだとダストシールがないので手入れが面倒だから。実際数少ない休みの日にサッと跨ってサッと乗りたい私としては、1回乗る度に一々メンテナンスのことを考えなければならないレーシングでは実用的でない。そもそも純正キャリパーにステンメッシュホース&カーボンパッドチューンで不満のなかった私には、むしろこれで十分だ。私のお気に入りパーツの一つである。
◎ここがグッド(^o^)
・何と言ってもブランドネーム。着いてるだけで嬉しい(笑)
・美しいデザイン。惚れ惚れする。
・高剛性による操作感の向上、強力なストッピングパワー。
・純正よりも軽いので、軽量化としても効果あり。
●ここがチョット(TT)
・当たり前だがサポートとがないと装着できない。
・パッドピンが抜けにくい。
・同じくバックプレートが取りにくい。
・固定アルミボルトが安っぽく見える。

ブレンボレーシングブレーキマスター(19¢)
 同じくブレンボ社製のフロントブレーキマスター。パワーレバー及びレバーアジャスト機構付で、レーシングは縦置きシリンダーのラジアルポンプタイプ。シリンダーピストン直押しでレバー比が大きく、フィーリングとコントロール性に優れる。タンク別体式のため、別途リザーバータンク等必要。またレーシングであるため、当然ブレーキスイッチには対応していない。単体重量270g。



ブレンボレーシングマスター  キャリパー交換と同時に装着。ブレンボに憧れていた私は、雑誌紙面を賑わす『ブレンボタッチ』というものに非常に興味があった。ブレーキコントロール性能を一番左右するのがマスターならば、憧れだの何だの言わずに手に入れてしまおうぢゃないか、と勢いで購入。
 選択はもちろんレーシング。ストリート用だとシリンダーが純正と同じ横置き配置で、値段が高いだけで効果など体感できないのではと感じたからだ。レーシングはブレーキスイッチ接続ができないので、アクティブの機械式ブレーキスイッチを別途購入して装着。リザーバータンクとホースはBabyFaceがタダでくれた。

ハンドル右周りの装着状態  さて装着した感想だが、最初はかなり慌てた。というのも、長らく国産の『握ってガツン』フィーリングに慣れてしまっていた為、『握れば握るだけ効く』というブレンボタッチに違和感があったからだ。
 慣れというのは恐ろしいもので、つい今までと同様にチョンとブレーキをかけ、思った以上のスピードでコーナーへ突入してしまうという失敗を何度も繰り返した。
 操作感は軽いタッチでしっかりとした剛性感があり、握力など全くといっていいほど必要としないのだが、いつまでたっても握り代が足りない。正直嫌になりかけたこともあった。
 何度か練習しているうち、やっとその操作感覚を掴みかけてきた。要するにレバーを引けば引いただけ効くのだ。強くかけたければ多く引き、弱くであれば少しだけ引けばいい。握力はいらない、どれだけ引くかによってストッピングパワーがかかる。操作感も非常にダイレクトで、指1本掛けで軽く引いた時からタイムラグ無しに効きだしているのがわかる。
 なるほど、確かにこんなコントロール性に優れたブレーキならば、上級者にとってはヨダレモノだろう。但し私のようなヘタクソには宝の持ち腐れであることは事実。もっと練習します(笑)。

◎ここがグッド(^o^)
・優れたコントロール性。握ったら握っただけ効く。
・軽いタッチでそれでいてシッカリ。
・すばらしいダイレクト感。
●ここがチョット(TT)
・ブレーキスイッチに対応していない(レース用だから当たり前だが)
・非常に高い!

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