香りの脳への働きかけ(嗅覚からのルート) 
             
            -嗅覚のメカニズム- 
             
            空気中に蒸発した精油の成分はは、かぐことによって鼻腔という鼻の奥の深い空洞を通り、その一番上にある嗅上皮に達します。その分子の情報は、嗅細胞で電気信号に変換され、脳へと伝わります。 
            大脳は大脳新皮質と大脳辺縁系に分かれていますが、大脳新皮質が「考える」「判断する」といった知的活動を司るのに対し、大脳辺縁系は感情や記憶、本能的な活動を司っています。大脳辺縁系へ伝えられた情報は、自立神経系や内分泌系、免疫系をコントロールする視床下部に影響を与えています。 
            香りのメッセージが電気信号となって初めに届けられるのは、この大脳辺縁系です。大脳辺縁系→視床下部というルートを伝わり、自律神経系や内分泌系、免疫系に働きかけます。つまり香りは、私達の感情に働きかけ生理反応を起こし、心と体の状態を変えてくれるのです。 
             
            -具体的に言うと- 
             
            職場などでの昼休み後、猛烈に眠くなったりしませんか?仕事が忙しくて、やらなきゃならないことは山ほどあるのに・・・・。お昼ご飯をしっかり食べて、お腹がいっぱいになったから眠くなるんですね。これは、「緊張感をとかずに仕事をするべき」と考える大脳新皮質に対して、大脳辺縁系が心と体をリラックスさせている日常的な例です。これと同じように、例えば鎮静作用のある香りを嗅ぐと、そのメッセージは「緊張すべき」と考えている大脳新皮質を通らずに、直接大脳辺縁系に伝わり、「気持ちが良いのでリラックスできる」と感じさせ、体をリラックスさせます。 
             
            -アロマテラピーの考え方- 
             
            このメカニズムを上手に利用するのがアロマテラピーで、例えば「心配ごと」があってなかなか眠りにつけないときに、ラベンダーなど鎮静作用のある香りがいいというのは、大脳辺縁系に「心地よい」と感じさせ、心と体がリラックスするよう導くからなのです。 
             
             香りの体への働きかけ(その他のルート) 
             
            -嗅覚を通して以外に精油が体に働くプロセス- 
             
            <鼻・肺からのルート-呼吸を通して->  
            空気中を漂う香りの成分は、呼吸と共に鼻の粘膜からわずかながら吸収され、血液に入ります。さらに肺では、肺胞の膜を透過して血液に入ります。吸入しても、呼気(吐く息)でほとんどがまた出て行ってしまうので、効果としては経皮吸収の10分の1ほどになります。アロマバス、芳香浴などがその効果を期待した方法です。 
             
            <皮膚からのルート> 
            キャリアオイルや水で希釈された精油成分は皮脂によく混ざり、表皮に浸透して真皮まで届いて吸収され、血管やリンパ管に入ります。皮膚には皮脂膜や角質層のバリアゾーンがあるため、通常は簡単に物質を通過させませんが、精油は小さな分子構造をしているうえ脂溶性なので、真皮まで届いていくのですアロマバス、トリートメント、スキンケアなどがその効果を期待した方法です。 | 
              
             
              
             
              
             
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