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長岡先生の初期単行本未収録作品について



 Ektachromeさん、くぼやんさん感謝感謝です!
 「天人の羽衣」は文庫に収録されましたね。今後も期待ってとこでしょうか。

Ektachromeさんのレポート

長岡良子先生の初期作品について



 ミステリーボニータ(秋田書店)にて「暁の回廊」を連載中の長岡良子先生
の単行本には、主に秋田書店ボニータ系雑誌に掲載された作品が収録されてい
ます。小学館少女コミック系雑誌に掲載された作品の一部も秋田書店刊行の単
行本に収録されていますが、デビュー作を含む初期作品の多くは未収録となっ
ています。
 長岡先生のプロフィールやデビュー作は、現在入手可能な刊行物にはほとん
ど紹介されていません。しかしまんが専門誌「ぱふ」(84年2月号)の「まんが
家WHO'S WHO」というコーナーで長岡先生が取り上げられ、インタビュー記事と
かデビューの経緯等が紹介されたことがあります。

 謎に包まれた初期作品ですが、商業誌デビュー作品は「ナイルの詩」(30ペー
ジ)という古代エジプト物で、75年の「りぼん10月大増刊」に掲載されました。
「りぼん」では高岡和巳(たかおかかずみ)というペンネームを使われていま
した。ちなみに、長岡良子というのは本名だそうです。
 りぼんデビュー作「ナイルの詩」は「ナイルのほとりの物語」のルーツと言
える作品で、主人公の名前は「アイザック」(イサクと表記する方が一般的で
すよね)という特徴的な表記を使っていました。「ナイルのほとりの物語」で
も「アイザック」は登場していますが、両者を対比させて読むと古代エジプト
物はデビュー当時から構想を温めていた事が良くわかります。

 小学館デビューは「雨が降ると…」(16ページ)という学園ラブコメ物で、
長岡良子ペンネームにて75年の「週刊少女コミック12月増刊 ちゃお」に掲載
されました。「ちゃお」に掲載されたのは当時の流行に沿った「普通の少女ま
んが」で、76年には「週刊少女コミック」本誌にて学園物とかラブコメ路線の
作品を執筆するようになりました。しかし、長岡先生本人は歴史物しか考えて
いなかったので、学園まんがは感覚が合わなかったようです。「ぱふ」のイン
タビュー記事では、デビュー当時の作品はあまり思い出したくないと語られて
いるので、初期作品が単行本に収録されないのはそのせいかもしれませんね。
新人時代はなかなか自分の好きなテーマで描かせてもらえないと聞きますが、
このあたりが小学館から秋田書店に移籍した要因かもしれないと想像していま
す。リアルタイムで小学館時代の作品を読んでファンになった者にとっては、
ちょっと悲しい事です(^_^; ボニータで執筆するようになってからは、ご存じ
のように歴史物オンリーで数多くの名作を描かれていますが、まさに本来の個
性を開花させたわけですね。

 りぼんデビュー作は歴史物でしたが、「りぼん」という雑誌の傾向からすれ
ば大正ロマンとか古代幻想シリーズを描き続けるのは難しかったかもしれませ
ん。「少コミ」ならチャンスがあったような気もしますが、当時は歴史ロマン
というジャンルは確固たる地位を確立していなかったので、編集さんからはウ
ケ狙いの作品を描くように求められたのでしょう。秋田書店は当時の大手商業
誌の中では同人誌的な傾向が強かったので、長岡先生にとっては歴史物を手が
ける良いチャンスだったのでしょう。ボニータで描いた大正ロマンシリーズが
一定の評価を得た当時、「ぱふ」のコラムでは「秋田書店さん、よくぞ拾って
くれました」と評されていたのを読んだ記憶があります。まさに新天地で開花
したと評価されたわけですね。

 小生は当時の秋田書店系雑誌を読んでいたので、今やファンタジー系の大御
所となった中山星香さんとか、今でも根強いファンが多い夭逝した花郁悠紀子
さんの作品に巡り会いました。秋田書店は歴史ロマン、ファンタジーおよびミ
ステリーといったジャンルを確固たるものにした功績が大でしょうね。新書館
とか朝日ソノラマも独特なジャンルに特化した雑誌を刊行していましたが、い
まいちマイナーから抜けきれずに消滅してしまいました。最近はカドカワさん
が各ジャンルの専門誌を出すようになりましたが、隔世の感があります。

 上述したような背景から小学館時代の初期作品は学園物とかラブコメが多か
ったわけです。しかし歴史物でなくても長岡作品は長岡作品であって、物語の
組み立てとかキャラの内面を巧みに描いた心理描写といった作風には惹きつけ
られるものを感じたのです。小生は初期作品をリアルタイムで読んでファンに
なりましたから、何とか単行本未収録の作品をもう一度読みたいと思っていま
した。新しい単行本が発行されるたびに初期作品が収録されないかと期待した
のですが、とうとう今まで収録されることはありませんでした。つい最近、ネ
ットオークションにてデビュー作が掲載された雑誌バックナンバーを入手でき
たので、幻の初期作品リストを作成することにしました。週刊少女コミック掲
載分についてはおそらく全作品を網羅していると思いますが、「コロネット」
掲載作品とデビュー作以外の「りぼん」掲載作品については情報が欠落してい
ます。秋田書店系で掲載されたものにも単行本未収録作品が存在しますが、こ
のあたりも追い切れていません。


長岡良子 初期作品リスト
(○所有,●なし)

1975年
高岡和巳デビュー作
○「ナイルの詩」(30p,りぼん10月大増刊)
その他の「りぼん」掲載作については不明。

長岡良子デビュー作
○「雨が降ると…」(16p,週刊少女コミック増刊 ちゃお12月10日)

1976年
○「ふりかえってごらん」(別冊少女コミック1月号増刊ちゃお)
○「白い雨の中で」(週刊少女コミック 24号)
○「さらさら笹の葉」(週間少女コミック 29〜32号)29-32
○「秋のまんなか」(週刊少女コミック 39〜45号)39-45
○「トモの一週間」(週刊少女コミック 46号)

1977年
○「こな雪とけた」(週刊少女コミック 4/5合併号)
○「春の風が吹いてきたら」(週刊少女コミック 12〜13号)
○「思い出をとじて」(週刊少女コミック 24号)
○「ふりかえる夏に」(週刊少女コミック 35号)
○「丸姫さま参上!」(週刊少女コミック 43〜49号 46=19p)
○「薫もいくさに出かけます」(別冊少女コミック 8月号)

1978年
○「ホップ!ステップ!恋」(週刊少女コミック 13,14/15〜22号)
○「みずいろの街」(週刊少女コミック 39〜41号)

1979年
○「気まぐれ宇宙船」(週刊少女コミック 4号)
○「ブルーグレードリーム」(100p,週刊少女コミック 10号)
○「サマーレイン」(40p,週刊少女コミック 14号)
○「グリーングラス序曲」(60p,週刊少女コミック 18号)
※「シリーズ旅立ち その4 長岡良子先生の道東縦断旅行記」
  3p,長岡先生の写真が掲載されています(知る限り唯一の写真公開)
○「木の葉の船」(40p,週刊少女コミック 23号)

1980年
○「17歳の季節」(31p,週刊少女コミック 16号)
○「ピンポン球遊技」(週間少女コミック増刊 5月30日号、コロネット創刊号)
○「影を撃つ時」(コロネット 夏の号6月)

1981年
○「片道書簡」(40p,コロネット夏の号8月)

1984年
○「インシャラー」(Big Comic for lady 6月号)
○「あさがほの花」(31p,Big Comic for lady 10月号)

1985年
○「東風吹かば」(Big Comic for lady 2月号)
○「スクランブル・ラブ」(Big Comic for lady 6月号)
●「夏色交差点」(Big Comic for lady 7月号)

 他にも80年以降に小学館コロネット等に掲載された作品が存在すると思われますが、詳細は不明。(コロネット掲載作品の一部は単行本に収録されている。)

 「断章」の単行本未収録分 約80p キャンドル No15,16に収録







くぼやんさんが掲示板に書かれたレポート(2001.6月頃?)

☆1988年
『夜の天子』(ボニータ3〜8月号 秋田書店 258p)
☆1989年
『ミッドナイトコール』(FORLADY12月号 小学館 41p)
『天人の羽衣』(ボニータ9月号 秋田書店 100p)
☆1990年
『第十四皇女−川島芳子異聞−』(ヤングチャンピオン2〜6号 秋田書店 135p)
『遠い声』(Eve Special for Mrs. 25号 秋田書店 46p)
『セイレーン』(Eveミステリー 3月増刊号 秋田書店 40p)
☆1991年
『凍った時間』(Eve Special for Mrs. 26号 秋田書店 45p)
『ミスティー・グレイの森』(Eve Special for Mrs. 28号 秋田書店 60p)
『冬の朝・12月の空』(Eve Special for Mrs. 31号 秋田書店 60p)
☆1992年
『夢みるアンモナイト』(Eve Special for Mrs. 33号 秋田書店 60p)

(◎女性誌、●青年誌)

です。全然読んだこと無いのばっかりですー。ただ、川島芳子のは軍服着てる
おかっぱの女の人がでてた記憶があるような、無いような…(いいかげんだなあ^^;)



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