- 店長のコラム -


ヴィンテージなモーターサイクルのレストア

”Royal Enfield Bullet 350”



画像のオートバイは”ロイアルエンフィールド バレット350”というモデルです。元は古い戦前のイギリスのメーカーで、英国本体は1960年頃に倒産しましたが、インドにあった生産拠点が製造を続けて現在に至る世界的にも、最も古いメーカーです。

当方はオープン当初からスポーツバイクの販売を生業にしておりますが、経験・技術的にもオートバイなどのレストア等も得意な分野です。個人的に縁があり、ベースの車体を手に入れて細部までレストアを施しまして、新規車検でナンバープレートを取得しました。

紹介する車体の原型は1949年に発表され、世界で最初にスイングアーム式サスペンションが装着されたモデルです。十数年前まで変わらず生産されたシーラカンスのようなオートバイで、ここまで古めかしいと珍しい物なので、作業中は色々な方から声を掛けて頂きました。
クランクはフライホイールも兼ねた今では考えられないほど重く大きく、シリンダーはボアは70mmで、ストロークは90mmもあり、コンロッドはアルミの鍛造材で出来ています。大砲や小銃も銃身が長い方が威力のある事から、当時はシリンダー設計をロングストロークにしたのかもしれません。弁機構はOHVで、アルミは当時の最先端の材料だったのでしょうね、プッシュロッドにもアルミ材が使われています。ネジ・ボルト類はインチとウィット(イギリス・インチ)とメトリックが混在しています。
エンジン本体はクランクケース・プライマリー・ミッションと全てが別体になっており、潤滑はドライサンプ方式です。キャブレターは扱い易いミクニ製のVM型になっていますが、ギヤチェンジは右シフトの現在のオートバイとは逆なものです。乗るには少々の慣れが必要なのと、ギアもクラッチを切ったら変速できるような安易なものではなく、エンジン回転数・車速・ギア比が合わないとスムーズに変速が完了しません。自分が思っていたよりも、かなり慣れのいる扱いで、走っている最中にもギアが抜けたりします。
当時の舗装路の少なかった悪い道路環境だった時代の名残りでしょうか、ホイール径は19インチと、現在主流のサイズよりも大きな径です。フレームも悪路の走破性を考慮してか柔軟性を持たせた設計で、操舵部分は寝たキャスター角・大きなフォークオフセット・長いトレールを確保して滑りやすい路面での操作性を重視した設計になっています。
フレームからスモールパーツやボルトナット類の全てにいたるまで、塗装・錆取・研磨(サンドブラスト)・洗浄などの全ての作業を自店で行いました。タンクやサイドカバー類はオリジナルの塗装を残しながら雰囲気を壊さない方法でリペイントしています。レストア作業は、およそ200時間超くらいで完成させました。
190kgも重量がある大柄な車体の割にエンジン出力は18馬力と少なくて、最高速度も100km/hが出るか出ないかと、現在の原付二種並みの性能ですが、モデル名がバレット(弾)と言うように、当時はスーパースポーツとして名を馳せていたのでしょう。レトロなたいへん雰囲気のあるオートバイです。お好きな方で、興味ありましたら店頭にありますのでご覧になられて下さいませ。ブログはコチラ

新規でナンバープレートを取得するために神戸陸運局事務所に持ち込みました。車検ラインでは心配していたブレーキテストは順調に通過したものの、ヘッドライトの光量・光軸で躓きましたが、工夫を凝らして当日中にナンバーを取得しました。このようなレストア作業や知識・経験は、巡り巡ってスポーツバイクにも生かされております。

自転車に関しましても、バイク毎の設計・デザイン・バイクの基本に即したサイズ選びからアフターサービスまで、余すことなくお客様に提供させてい頂いていおりますので、よろしくお願い致します。


カーボンフレームなど、中古のカーボン製品の危険性


画像は損傷したロードレーサーのカーボンフレームです。黄色い丸で示した部分にクラックが入っているのがお判りでしょうか。このフレームはオーナー様の自損事故で損傷してしまった物で、当方が資料にと譲り受けさせて頂きました。

前方から強い力を受けてフォークが曲がりフロントタイヤがダウンチューブに跡を残していました。その結果、ヘッドセットの下側のベアリングを受けている部分が変形してフレームが割れています。内寸法が縦方向で+0.15mm楕円になっています。

最近は「カーボンフレームを修理できる」とする業者様もあって、オーナー様は修理も考えましたが、損傷している部分がヘッドチューブとダウンチューブの接合部で、しかもヘッドセットを受けているデリケートな場所なのと、修理費用とのリスクマネージを考えて今回はフレームを交換されました。
当方は、資料として頂いたこのフレームがこの状況から今後どのような事になっていくのかを知る意味で手を入れてみました。まずはリューターでクラックがどの位まで進んでいるかを削って調べてみました。割れはヘッドセットの受けが変形したであろう部分まで表層から深部に至っていて、カーボン特有の積層割れといった状態ではなくパックリと割れていました。

損傷の大きさを確認したところで、大きく切削して窪んだ部分にエポキシ樹脂を流して埋め、エポキシパテを使って外観を整えました。サンディングした後にエアブラシで仕上げてあります。見た目は綺麗になって分かりませんが、強度的な修理は全く出来ていません。割れた穴を樹脂で埋めただけでです。力が掛かると簡単に割れるでしょう。

実は表面も色見を少々変えて、かなり手を抜いて雑に仕上げてあります。以前に自前の塗装が剥げたフレームの修正は、修正痕が全くわからない位に仕上げてありますが、今回の雑に仕上げてある理由は「後から他人が見たときに修正痕が分かるようにする為」です。画像で判断していただければ、お分り頂けると思いますが、この大きさのクラックであれば外観上は全く分からない状態までに仕上げる事も可能です。

金属フレームではこのように修復する事はできません。このフレームを全く分からないくらいに仕上げてしまうと、このフレームは大変危険な商品にもなってしまいます。これは「カーボンフレームの中古は危険」とも思える証拠の記事になります。敢て記事にしたのは「危険を知っていただくため」です。

フレームだけでなくハンドルバーやステム、シートピラーなども、カーボン製品ならばクリアーをコーティングすれば立ちどころに新品になってしまうでしょう。出所の分からないカーボン製品を入手する場合は十分に注意されて下さい。ご参考まで!


大きな変化の途中にあるマウンテンバイク

ここ数年、日本ではマウンテンバイクの人気は低調なのですが、世界では電動バイクと共に好調な様子で、MTBのフィールドである山の多い日本の状況が不思議なくらいです。しかも、これまでよりもホイール外径が大きくなることで車体のデザインが大幅に変化しています。その様子などを書いてみました。

自転車のホイールサイズは自動車などと違って呼称はタイヤを含めた外径をいいます。イギリスの産業革命をルーツにインチ規格の中で長らく26インチと27インチが主流で26インチはツーリング車などで27インチはスピードを出せるロードレーサーなどです。

ロードバイクで一般的に呼ぶのはフレンチの呼称で650とか700ですが、タイヤが太くなれば、その分だけホイール径が大きくなるので、そうならないようにリムの直径が小さくなっていて、それぞれ太さの違いでAとかBと呼んでいます。
マウンテンバイク(以下MTB)は悪路を走行する事からクッション性の高い空気容量の多い太いタイヤを選択したのでホイールサイズは外径が大きくなりすぎないように26インチを選んだ様です。MTBのタイヤが太いのは原型がビーチークルーザーだったことも理由ですが、同じ時代のロードバイクを選ばなかったのも砂利で荒れたダートを走るには細いタイヤは不向きだったからで、当時はそれを”ファットタイヤ”と呼んでいました。そんな訳でギアやブレーキなどのコンポーネントもツーリング車のもの流用したのでした。

一部のマニアの間ではMTBの大径のホイールサイズについての話はされていましたが、26インチは長い間不変でした。そこに近年レースの世界で、それまでに無かったロードバイクの700Cのリムに太いタイヤを履いた外径が29インチといったイレギュラーなサイズが登場し、しかもレースで圧倒的に勝ってしまったのですね。それからMTBのタイヤは大径化が始まりました。今主流の27.5インチは29インチじゃさすがに大きすぎると感じて26と29の中間にある650Bのツーリング車のリムを使い、それをインチ呼称に変えて「27.5インチ」と呼んでいます。

そもそも、それまでの自転車は26インチのホイール径を基準としてデザイン(設計)されていましたから、ホイール径が大きくなると、車体そのものを大きく設計変更しないといけないのです。だから自転車のホイール径が大きくなるこいうことは、たいへんな事なのです。自転車の動力は”人力”なので、ホイールの径が大きくなると、それに合わせてギア比の構成など主要な仕様も全て変わってしまいます。

また、ライディングにしても扱う物(車体)の大きさが変わることは今までの感覚を狂わせます。小径車の逆を考えてもらうと分かりやすいかもしれません。小さく軽い物は扱い易いですが、その反対に大きく重くなった物はどうですか?それはそれは扱いにくいでしょう。そんな感じで全てが変わってしまうのです。
画像は左から2019年式のシマノのフロントディレイラーです。リアホイール径が大きくなるとタイヤがBBに近づくのでディレイラーの出っ張りが邪魔になります。対策として取り付けはフレームに直接ボルトで装着し、ワイヤーは前から引くことになりました。専用品なので規格外では汎用性がなくなりました。新しいパーツを古いフレームに装着できません。

画像中はリアブレーキキャリパーですが、フレームの内側に収まっています。整備性は最悪です。ホイール径が大きくなるとフレームの走行中の捻じれも大きくなり、キャリパーを中に収めないと捻じれに対応できません。リアブレーキでリアホイールをロックして横滑りさせるとブレーキローターが曲がってしまうこと想像してみてください。

画像右はステムですが、極端に短くなっています。ホイール径が大きくなったことでフレームの前後長が長くなり、ヘッドパイプが前に付き出してしまいステムが短くなりました。これでは体格に合わせた細かい長さの調整などが出来ません。シートポストとステムの長さや高さは、自動車で例えるなら座席のスライドと背もたれの角度調整です。シートが調整できないと運転しずらくないですか?

こう書くと「MTBの大きな変化など、ぜんぜん良くないのでは?」と思えてしまいます。ところが、ホイール径が大きくなった事で悪路でのバイクの走破性は格段にアップしています。ホイール径が大きくなるとタイヤに充填される空気の量が増えます。荷重を支えるのはタイヤの空気量全体なので量が多いとそれだけクッション性が高くなります。

ホイール径が大きいと凸凹を乗り越える能力が高くなります。ホイール径が大きいと穴に落ちた時の抵抗は小さく、逆に小さいと大きくなります。径が大きいと転がり抵抗が少なくなるので漕いでも良く進みます。また接地する面積も大きく長くなるので砂地や泥濘でもタイヤが埋まりにくくなります。ホイール径が大きいと小さい物より横方向に対する抵抗が大きくなります。これはタイヤのコーナリング時のグリップが大きくなります。また舵が緩やかに切れるので直進性が高くコーナリングの安定感に繋がります。これはタイトなコーナーでホイールの巻き込みが無くなります。

この変化はMTBに初めて前後にサスペンションが付いた事に相当するほどの事態で、もっと早い時期にホイール径が大きくなっていたら、もっと今が変わっていたかもしれません。しかし、その当時の技術では今のように軽量なフレームやパーツを製作することが無理だったので、時代は間違わずに今に至っているのでしょう。

MTBの性能は「悪路での走破性」です。つまり走破性が高ければ高いほどライダーは納得できますしライディングを楽しめます。これはロードレースの世界にトリプルチェーンリングが使われ、それが後にコンパクトになって登坂や峠越が楽になった事例に似ているかもしれません。「軽いギア比があれば押さずに漕いで登れるぞ」ですね。速さを競う競技車輛なのにギア比が小さくなってスピードが出せなくてもいいのです。

初めて乗るMTBが275や29で、昔の26を知らないライダーさんが、山のトレイルで26に乗れば些細な地形に足元を取られて乗り辛く楽しくないと感じると思います。現在のMTBは、それくらい大きな変化の途中なのです。

私は以前に275規格の車体を使って26インチと275インチのホイールを履き比べてみました。その結果は275インチなのど大径ホイールは走破性が高くてスピードが出るけど階段のような地形だとブレーキが効かない。26インチは走破性が悪くて地形にタイヤが引っかかってスピードが出ないけどブレーキは良く効きました。

ゲレンデダウンヒルなどでスピードが出すぎて怖い思いをしているなら、あえて26インチでタイヤを太くして接地面積かせいだタイヤを履くのもイイと思います。慣れれば275に戻せばいいのですから。そんな理由から26インチも選択肢として残ればいいなと思っています。


2019年モデルで大きく変わったカンパニョロのデザイン。

2019年モデルから、12速として発表されたカンパニョロの新しいグループセットは、これまでのデザインを踏襲してデザインされたものではなく、全く新しい造形になったことで驚かれた方も多いはずです。私もその一人で、あまりにもの変化に自転車好き、カンパ好きユーザーとして気持ちがついていけませんでた。

自転車部品といえども、それは工業製品であり、性能はもちろん外観のデザインも重要です。自転車コンポーネントはフレームに装着されて使われることが前提なので、デザインとて独りよがりな押し付けなどは難しい代物です。自転車歴の長い方ならご存知かもしれませんが、シマノも「デュラエースAX」といったエアロデザインで過去に独りよがりして大失敗した経緯があります。それを踏まえて、今回のカンパの大きな変化は賭けのようにも思えます。

ここ最近のロードバイクのフレームはカーボン成型なことから数本のパイプ材を組み合わせて構成される自転車フレームの枠を超えて複雑怪奇な形状にまで変化しました。そうして考えれば従来のデザインに捕らわれるでなく、新しい試みも必然なのかとも思えてきます。
自転車ロードレースの本場であるヨーロッパで開催されるレースには、今やアメリカやアジアから新興のバイクメーカーが数年前から大挙して押し寄せてレースの世界でも市場でも席巻しています。日本でも街中で見かけるバイクはその殆どがアジアンかアメリカンバイクです。ヨーロッパの老舗ブランドも、アジアンやアメリカンの流れに強く影響を受けて基本になるデザインまでもが大きく変わってきているのは周知の通りです。

こうして見ると自転車市場は世界に大きく広がりを見せているのにヨーロッパの従来然としたデザインに固執していては市場でのシェア拡大は見込めません。今までのカンパのグループセットがアメリカンやアジアンデザインにマッチするかといえば、違和感があるもの事実です。トレックやジャイアントのフレームに従来デザインのレコードやスーパーレコードを組付けたら、それはどうでしょうか?コンポとフレームがデザインで喧嘩してしまうように見えます。今もこれからも、カンパというブランドの個性は強烈です。
ところがです。2019年モデルの12速化で大きく変わったレコードやスーパーレコードを、それらアメリカンやアジアンバイクに搭載したらどうでしょう。従来までのカンパデザインよりも十分にマッチするのではないでしょうか。今まで相性の良かったシマノのコンポよりもカッコ良く見えるのではないでしょうか。

50/34Tのコンパクトクランクでトップ11Tからローギアは32Tまであるワイドレシオ。12速化でハイギアは17Tまでクロスレシオです。内容的にもレースからグランフォンドやサイクリングまで、仕様は初心者にも申し分なく、ヨーロピアン、アジアン、アメリカンの全てにマッチする外観デザイン。大きく変化したデザインは従来通りのコンサバティブにもアバンギャルドなニューウェーブにも合うデザインだと思えます。

カンパも本気でシェアの拡大に乗り出したのかもしれません。ジャイアントやトレック、スペシャライズドなど、アジアンやアメリカンバイクに乗ってるオーナー様、2019年のカンパニョロのコンポーネントどうでしょうか?新しくなって出しゃばり過ぎなくなったカンパのデザインは、イケるんじゃないかと思います。旧モデルを残したまま新たなラインナップを展開したのは実験なのかどうなのか真相はわかりません。新しい事をしかけてくるカンパはロードバイク界の大御所なのだと感じました。そう思って、ますますカンパが好きになりました。

12速のスーパーレコードを組んでみました。新しくなっているといって組み立てに何か特別なことは必要ありません。従来のカンパ組の基本に沿って組めばパーフェクトです。デュラエースから105まで、新しくなった現行のシマノよりも簡単で、あの複雑な機構のF.ディレイラーみたいに素人さんから見て怪奇な部分は皆無です。

早速、組み上げて50kmほど乗ってみました。コンパクトクランクに11〜32Tなので、むちゃくちゃワイドレシオです。といってもシマノやスラムは以前からですので、やっとカンパもユーザーフレンドリーな方向に向かったのでしょう。

12速のエルゴパワーは10速から11速になった時のように1速付け足しで操作が重くなってしまったものではなく、シフターのワイヤーを巻き取るリールからシフトレバーのレバー比、ディレイラーのステップレシオなど全てにおいて改良されているようです。

シフトレバーはダウンシフトのパドル部分が大きくなっていて、下ハンを握った時に呼び込みやすくなってたり、アップシフトのレバーも大きくなていて乱暴な操作でも確実にシフト出来るようになってます。またブラケットの先が角のような形状で、握った時に指の腹の部分が落ち着きます。今まで「こうして欲しい部分」が全て解消されていて、なおかつ良くなっていました。やはり、新しい物は前進しています。

シフトワイヤーはコーティングされいて操作感は軽くカチッとしていて、全体に良い方向に仕上がっています。ブラケットの形状も改良されていて従来では1カ所しか選べなかったポジションですが、形状を変えてアップとダウンで選べます。アップにした際にブレーキレバーが遠くなるのでレバーリーチをショート(近づける)に調整できるようになっています。

キャリパーブレーキについてはデュアルピボットなのですが、レバー比が握りこんだ後半で緩やかに立つようなセッティングでさらに扱いやすくなってます。最近のワイドになったリムに合わせているようで、ボッテリした見た目はともかく使うには最高です。ブレーキワイヤーはシフトワイヤーのようなコーティングはされてなくて従来通りのステンレスワイヤーです。

クランクは5アームのスーパーレコードから乗り換えてみて、硬くて剛性がアップされていました。踏み込んだらペダルが地面に固定されるような感覚です。12速化のナローチェーンに対応して薄くなったチェーンホイールを補強する目的でクランクアームがブリッジ形状になっているのも分かる気がします。

リアディレイラーは見た目はシマノのようなシャドーじゃなく後方に下がって外に飛び出しています。常に転倒を想定したMTBにはシャドーは良いかもしれませんがシャドーはホイールの脱着時にディレイラーが邪魔になります。そこを分かってかカンパはディレイラーを中に入れていません。大径のローギアに合わせて取付位置から後方に下げているので、下がって広がった分だけホイールの脱着もやり易くなっています。これはレース時のホイール交換においてはプラスでしょう。

レポートすれば以上のような感じで、シフト操作も軽くてブレーキタッチ・効きも悪くなく、大きく変化した外観デザインを除けばイイ方向です。ただ、スプロケットやチェーンリングが薄く固くなっている為か駆動系から出る音がカシャカシャした感じです。実際に乗るとカンパの方向性がハッキリわかりました。ガチなレーシングコンポから、やや離れてシマノやスラムのようにユーザーフレンドリーになっているのだと確信しました。


高機能サイクルコンピューターの役立て方。

2008年頃から普及し始めて、現在では一般的になったGPSナビゲーションなどの機能を持った高機能なサイクルコンピューターですが、当初は価格が10万円代と高価なことからプロ用機材としての認識が強く、一般のサイクリストは敬遠しがちでした。ところが、実際に使うユーザーなどの好印象な使用感の情報などがインターネットのブログなどで広がり、価格も手頃な値段になると爆発的に広く普及するに至っています。しかしながら、機材は手に入れたが上手く使え切れていないユーザーさんが多いのも実情です。そこで利用方法や役立て方などを書いてみたいと思います。

バイクに装着して単に数値をモニタリングするだけなら廉価なサイコンでも十分に可能です。何も高価なGPS付ナビを使う理由はありません。ナビ機能を利用するなら十分発揮させれるようなデータを録る必要があります。ガーミンなどは「ガーミンコネクト」といったクラウドサービスを展開しており使ってるユーザーさんも多いと思いますが、ただ走ったデータをアップロードしているだけなら、それはモニター数値を乗っている時に見ているのか、走った後に見てるのかの違いにすぎません。
重要なのはサイコン本体で得られたログ(記録値)をどう分析して次のサイクリングに生かせるかが大事なのです。このように書くと難しく考える方がいらっしゃいますが、それほど難しいことでは無くて数値を紙などに書き出して目に見える形に変えて横並びで比べればいいのです。この”比べる”が分析においては重要なのです。

「いつ、どこで、どのような結果」をそれぞれ並べて比べれば、その数字の意味がだんだんと分かってきます。具体的には”平地・登坂・下り”それらの複合的な状況の中で、今まで走って体験・経験した状況を思い出して「数値として置き換えられたもの」を比べればいいのです。

たとえば、心拍数ですが最大値と最小値を比べ平均値が145ならば、登坂時などキツイ時にどのくらいの強度(何%)なら維持できるのかを調べます。そうする事で登坂時に「無理して漕いでいるのか、そうでないのか」が分かってきます。あの時はキツかった、あの時は楽だったなど、サイクリングを楽しむなら、省エネ運転できる数値を導き出して、実際の走行時にモニターを観ながらその範囲内で走ればは一番楽に無理せず効率よく走れます。また、その逆もありで、その数字以上に頑張れば実力が付いてくるといった具合です。

具体的に書くと、サイクリングにおいてキツイのは登坂時です。ある方が8%勾配なら心拍数155までなら大丈夫な場合、それ以上の数値にならないようにペダリングします。その際にケイデンスも同時にみながら、ギアが軽くて回し過ぎならギアを1段重くしたり、速度が出過ぎで回してしまっているのなら、そのまま速度を落とすなどして、自分にとって「心拍数とケイデンスの最適なバランス」に合わせます。無理なら一旦足を付いて呼吸を整えてから再スタートすればいいのです。そうしていくうちに理想的なバランスを見つけられます。

ある方が心拍数150でケイデンス65が登坂時に一番楽に登れる事を見つけたなら、そのようになるようにギアや速度を調整すればいいのです。何が一番良いのかは、沢山のデーターから導き出すほど精度が上がりますので、それまで記録したログ(数値)を紙やPCならエクセルに書き出して分析する資料とします。誰でも目の前に数字が並べば難しく考えなくても、見たままで理解ができるでしょう。

スマホやパソコンのモニターでログの数字を見るだけじゃなく、自ら書き出して目に見える形にして比べる事が重要です。グラフに置きかえるなどすれば一目で分かるでしょう。まずは、数値を書き出してください。そして比べてみましょう!


勘違いな対費用効果(コストパフォーマンス)の例です。

「何事も経験です」と考えて小売業の枠を超えた気持ちで、巷で「コスパ最高!」と謳われ人気とされている「中華ジャージ」と呼ばれる安価なサイクリングウェアを入手してみました。これら商品の入手方法はインターネット通販で上下で数千円とたいへん安く販売されています。有名なメーカーのコピーなども存在し、画像のジャージもそのひとつです。これはEROICAブランドで”デマルキ社製”が本物です。注文してから、およそ3週間くらいで製造元らしき住所から”CHINA POST”で直送されてきました。入手された様々な方がインターネット上で色々と評価されていますが、この商品に限って当方の私感レポートを書いてみたいと思います。

注文したのはレトロでクラシカルな半袖ジャージとビブショーツのセットです。送られてきたパッケージはコンパクトにパッキングされ、その姿大きさはパールイズミ製のショーツと同じくらいです。その小ささからパッケージを開ける前に生地やパッドの厚みが相当に薄い事が予想されます。薄い生地の高機能ウェアは沢山出ていますので、薄いからといって粗悪と決めつめるのは良くありませんが、ジャージとビブショーツの上下のセットの価格が数千円という値段からして、大きな期待は持てません。

3種類のパッドを比較してみましたが「幅が少し小さいかな?」と思った以外は触った感じや外観からは、そう悪い印象はありません。まして驚くほど良く出来上がっています。パッドの厚みも10mmソコソコあるようで、パッドの生地には「COOL MAX」のRマーク付きです。手に取った感触は抜群で、この時点では価格の安さで、正直に人に勧めたくなるくらいです。画像の一番上のブルーがそうです。
細かい部分を観察します。ジッパーはYKKではありませんが、自己修復機能に似たジップでロック機構も備えた立派なファスナーです。ジャージ裾部のズレ上がり防止のゴムや生地末端のロックミシンの処理、ミシンの返し止め等は完璧です。フロントの文字の合わせやライン柄の合わせなども1mmのズレなく完璧です。長い時間に下請けとして蓄えられた中国工場の縫製技術の高さを感じられます。見た目はイタリアやカナダ、アメリカ製の縫製よりも圧倒的にハイクウォリティーと感じます。

実際に着てみます・・・・まず、ジャージですが、ウェアのセンターが出てなくジッパーがズレています。パターンもラグラン袖の肩のラインは前にズレていて、左右では生地パターンが5mmも違います。生地パターンの5mmはワンサイズ違います。バックポケットの幅も3つがバラバラです。Sサイズですが、チェストの丈が異様に長いのでウエストラインが下がって胴長短足になってしまいます。縫製されたパターンからプリントの跡が見て取れ、そこから考察すると「生地にプリントした型をそのまま切り抜いて生地パターンとして縫製している」と考えられます。色柄は合っていてもサイズの全てが合っていませんから生地パターンが無茶苦茶みたいです。サイズの大小は身幅だけで丈は共通か適当な長さのような気がします。

ショーツも同じで履くと凄く違和感があります。パターンというよりも生地が伸びることで体に合ってるような感覚です。パッドは位置が正確でなく骨盤の当たる位置はクッション部分の端いっぱいなのでパッドの恩恵は無さそうです。また、パッド自体も触ると厚みのあるものの、座わると潰れてしまい硬くて分厚い布のようになってしまいます。これではパッドとしての役割は皆無です。パッドの位置はショーツを裏返して穿き、硬い板の上に腰掛けるなどすると良し悪しが良くわかります。同時に縫製の出来も分かります。(被服は縫い目が表に出ると着心地が良くなります。)

生地の機能面のテストです。洗濯機に入れて軽く洗った後に脱水して水分を飛ばします。脱水が終わった状態で発汗対応の高機能ウェアの場合は全く濡れた感じはなく、そのまま着れしまいますが、この生地は槽から取り出す時点で水分を多く含んでいて、たいへん重たいです。このことから表示がポリエステルの機能面が全く考えられていない一般的な化繊のシャツです。

あるていどの予想はしていましたが、上下ともに見た目はサイクリングウェアですが、中身は程遠い物です。本物の高機能なスポーツウェアは洗濯機の脱水槽から出した時点の重さは、ドライ時と重量とほぼ変わりません。脱水槽から出した時点で濡れていて重たければそれは生地が水分を含んでいて高機能ウェアでは無いと考えられます。

スポーツバイクを購入した初心者の方が、これらのウェアを入手して、これを「サイクリングウェア」と信じてしまうと残念です。正確には「サイクリングウェアの形状をした化繊の一般被服」です。自転車にはそれぞれ楽しみ方があるので「このウェアは良くありません」とは強く言えませんが、これらを「コスパ最高!」とか言って良い商品として広めて欲しくないのが本音です。昔風に言えば「バッタもん」や「なんちゃって!」です。

本物は各段に違う世界の物なのでこのようなウェアはスーパーマーケットなどで安価で販売されているワゴンセール品の価格ナリの商品と同じと考えて選んでください。パッと見は驚くほどよくできています。高価な物が安いのでなく、元からその価格なりの商品なのです。サイクリングショーツを履いているのにお尻の痛い方はこのようなショーツを履いているのかもしれません。「形整った物を履いていればOK」でないのが高機能なスポーツウェアです。お店にサンプルとして置いておきますので、その違いをご覧くださいませ。


シマノとスラムとカンパニョーロ


現在、数々ある自転車部品メーカーの中で変速機や駆動系、ブレーキ、ホイールなど、量産コンポーネントをラインナップしているのは大きく分けると、シマノ・スラム・カンパニョーロの3社です。

コンポーネントの選択は、完成車を購入したり組立てたりする際にユーザーが選択に悩む一つとしてが上げられますが、これらメーカーのラインアップするモデルの特徴など、私感を交えて書いてみました。参考にしていただければ幸いです。

コンポ―ネントの中で中核をなす変速機は機械的な技術の結晶であるとも思えます。変速の名称が「ディレイラー」と呼ばれる様にギア比を変更する為にチェーンの軌道を逸脱する機構であり、昔に遡れば変速操作はライダーのスキルに頼っておりました。その習熟レベルに応じてスムーズに変速できるか否か、チェーンが外れるなどのトラブルとなるか否かといった熟練を要するような難解な部品で、また、競技中においては、この変速操作やギア比の構成の内容で勝敗が決まる事も多かったのです。職人気質な面からみれば、扱えなければ選手失格のようなものです。

そのような中で登場したのが変速操作を助ける「インディックス」と呼ぶシステムで、ギアの1枚1枚に確実に変速出来る機構です。当初は「オモチャのようだ」と競技の世界では受入られませんでしたが、このインディックスシステムが発展して、現在の様なハンドルから手を離さずに変速操作のできる「シマノSTI」の様なデュアルコントロールレハ゛ーなる手元変速システムが確立されました。これには凸凹なオフロードの路面を走りハンドルから手を離す事が出来ないマウンテンバイクの登場が大きく関係していますが、ここでは割愛いたします。

自転車の変速は、機械的にみて小さいギアから大きいギアにチェーンを掛けかえる事が難しく課題であり、特にフロントチェーンホイールなどは顕著なのは周知の通りです。そのようなことから変速機の役割としては「無理の無いスムーズな変速」が目標であり、機械的技術の目標でもあります。これを最初に確立していったのがシマノと現在は廃業した元サンツアー(前田工業)です。

シマノは”ストレスフリー”という「如何にライダーにストレスなくスムーズな変速操作をもたらすか」を目標にし、例えとして「オートフォーカスカメラの普及」を上げています。このことは広く全般のユーザーに恩恵をもたらしています。シマノの得意とするところは鍛造などの金属加工であり、金属パーツであることから転倒や経年耐久などが一番優れています。ご存知の通り日本製ということも精密で正確な造りです。また、一般自転車からレーシングコンポまで、グレードも多種多様で価格に応じた性能であるとも言えます。シマノの特徴はこんな感じです。

カンパニョロはレースパーツメーカーとしてスタートして自転車部品に”コンポーネント”という概念を作り上げ、現在の自転車部品の基礎を作り上げました。しかしヨーロッパの自転車競技の職人気質な世界において、インディックス・システムやSTIのような変速機構の新機軸になる開発でシマノに遅れを取ります。しかし、自転車競技、特にロードレースにおいては、歴史と経験から「レースにおいて何が必要であるか?」を熟知しています。

自転車競技の勝敗は「スプリント」です。長い距離を走しり、険しい山を登っても、勝敗を決めるのはスプリント力であり、アタックのタイミングです。レースにおいて変速機に求められるのは選手との一体感で、アタックやスプリントのタイミングに「いかに他の選手に気付かれずに素早くギア比を合わせられるか?」が重要です。アタックでは変速操作は大きいギアから小さいギア(トップ側)にチェーンを掛けかえます。

そんな視点で部品を見ればシフトレバーの位置や機構に優れた拘りを感じます。カンパニョロのコンポはレーシング色の強い軽量化と高剛性、ライディングポジションの幇助、シフトアップの俊敏さと確実さに重きをおいて設計されているように思います。最近では普及を目的としたポテンザ11のようなローグレードのモデルにはレーシング仕様とは構造から違った仕様(パワーシフト・パワートルク)となっています。

従来通りの機構(ウルトラシフト・ウルトラトルク)を採用したコーラス以上のハイグレードなコンポは、軽量化の目的でカーボン素材を多用しているのでシマノほど経年耐久性は劣りますが、十数年で使えなくなるものではありません。カンパニョロはレーシングスピリット全開な感じです。また、高級パーツの代名詞でもあります。ただ、機械式では圧倒的に有利でありましたが、電動式においてはシマノとの差は少なくなったように感じます。

よくシマノのグレードとカンパのグレードを同列で比べるユーザーさんがいらっしゃいますが、私が思うに全くナンセンスです。そもそも歴史が違いますからカンパがあってシマノなのです。このことは「シマノの本」にも書かれています。カンパニョーロはそれだけハイエンド。一般ユーザーが頑張れば手に届く至高のコンポーネントです。手にするにも使うにもそれなりに覚悟が必要で、手にして使える方はそれだけで十分に思います。

スラムは後発メーカーで、ドイツの自転車パーツメーカーだったザックスを吸収して設立されました。現在における変速機構などの特許関係のその殆どをシマノとカンパに取得されていましたが、ハンドルグリップ部分を回すことで「ハント゛ルから手を離さず操作」ができて、変速できる操作方法が分かり易い”グリップシフト”はマウンテンバイクに受け入れられ一躍有名になりました。後に、このグリッフ゜シフト機構の採用でシマノとパテント裁判を起して勝訴しています。

スラムは新興メーカーらしく今までに無かった機構や斬新なアイデアで既存メーカーに対抗しています。ロードコンポではダブルタップやパワーメーターを内蔵したクランクなど、最近ではフロントディレイラーを廃止した1X化をマウンテンバイク、ロードバイクともに採用してバイクシーン旋風を起しています。極端な軽量化を目的にプラスチック部品の多様で、転倒や経年耐久性などは低いと思われます。全てにおいてスラムはエポックなメーカーです。「シマノもカンパも嫌だ!新しい物が好き!人と違う物が欲しい!」なユーザーさんには最適ではないでしょうか。

以上の様にコンポーネントメーカーは三社三様です。ユーザーさんがコンポに何を求めているかで選択されるのが良いと思います。海外パーツは幾分割高になりますが、日本人には創造できないテイストみたいなものを持っています。使用に際して何のストレスも無く価格やコストパフォーマンスで選べばシマノが最適です。海外製メーカーには「シマノには無い何か!」や「歴史ある本場の道具に教えてもらう」といったことを求める意味で選択されるのが良いと思います。ヨーロッパの物は全てに拘りが強いので造形や雰囲気で選ぶのも良いと思います。ご参考にされて下さい。


ロードバイクの1X化。

”1X”は聞きなれぬ名称ですが「1X11速」と書けば”1X”はフロントチェーンリンク゛が1枚の意味であると分かります。元はファットバイクから始まりMTBへ派生してロードバイクにも伝播しています。ディスクブレーキ化と相まって、その広がりは加速しています。2018年はヨーロッパでプロロードレースのチームが1Xのロードレーサーを採用して本番レースを走るようです。

今までフロントのチェーンリンク゛が複数だったのは、ギア比のワイド化で必要に迫られての理由でした。ロードレーサーは2枚ですが、より低いギア比を必要とするツーリング車やMTBは3枚ありました。しかし昨今はリアのギア段数が最大12枚と増える事で、それらギア比のワイド化が十分に成立するようになった事です。

以下に 現在一番ワイドレシオとなる 50/34 の 2X11速 のコンビネーションを例に SRAM FORCE 1X の 42T の 1X11速 のシングルチェーンリンク゛仕様のギアテーブルと比べてみました。2X11速のギアテーブルの赤字と青字はギア比がほぼ同じ歯数を表しています。表を見て分かる様に12速じゃなくて11速でも十分にカバーできるように思います。

11 12 13 14 16 18 20 22 25 28 32
50T 4.5 4.1 3.8 3.5 3.1 2.7 2.5 2.2 2 1.7 1.5
34T 3 2.8 2.6 2.4 2.1 1.8 1.7 1.5 1.3 1.2 1.06
10 12 14 16 18 21 24 28 32 36 42
42T 4.2 3.5 3.0 2.6 2.3 2.0 1.7 1.5 1.3 1.1 1,05

ちなみに、シマノは14速までの特許を持っていますので、3枚分のギアをワイドにもクロスとしても設定できます。もしプロがレースで使うトップ(53X11)のギア比は4.8でも1Xとした場合のチェーンリンク゛は48Tがあれば確保できます。ローギア側に40Tを含めた3枚を使えればレースでも十分に通用すると思われます。(現在はMTBだとローギアは最大50Tまであります。)

ブレーキは油圧のホース。シフターも電気ケーブルのリアメカのみ。従来のワイアー引きのコントロール系統を廃止したフレームのデザインは自由度が大きくなって、随分と変わっていくでしょう。フロントシングル化で”3T BIKE”のように、フレーム剛性や特性もそれに合わせたものに変化すると思います。ロードバイクの形がどんどんシンプルになって、UCIのルールなんて無視して近未来的な形になってくのを見てみたいものです。






チェーンとスプロケットは変速の要なのです。

お店には、多数の自転車部品のサンプルやカットモデルがあり、そういった部品を単体で見れば、メーカーの考え方や、その構造やデバイスの仕組みなどを理解できます。

また、メーカーの方を唸らせるような想像を絶する壊れ方をした部品や、壊れ方の見本のようなサンプルもあります。

たいへんマニアックな話ですが、自転車にはそういった楽しみ方があったりもします。
その中に歴代チェーンのサンプルがあります。メーカーがイヤーモデルで新機構の変速装置を発表すれば、その主要部品となるディレイラーやシフターに興味は集中します。たしかにシフターやディレイラーを刷新するのも大変なのでしょうが、そもそもチェーンとスプロケットが出来上がらないと変速機構そのものが成り立ちません。それくらい変速機構に重要な部品がチェーンとスプロケットなのです。

シフト段数を1枚増やすために強度を保ちながら薄いチェーンで、いかに安定した接続状態を作るか、形状に留まらず素材や熱処理加工など見えない部分でのトライ&エラーの苦労があるのだと思われます。ちなみにスプロケットの歯厚は摩耗を考慮して10速と11速は同じ厚みです。

現在の”SILTEC”と呼ばれる表面処理もそうではないかと思っています。SILTECはフッ素(PTFE)の表面処理で、テフロン加工(テフロンはデュポン社の商標)されたフライパンが一般的に知られています。フッ素は氷の次に摩擦抵抗が少なく耐腐食性もひじょうに高い特徴があり、チェーンには最適な加工で、水なども良く弾くので汚れの付着もありません。またPTFEは原爆開発(マンハッタン計画)で開発された製品でもあります。

現在のシマノのチェーンはMTBとロードが共通となっていて、スポーツグレードは下から 601、701、901 と3グレードあり、それぞれの違いは表面処理と軽量化です。601は内側のリンクプレートのみSILTECで、701はアウターとリンクプレートがSILTECです。901はプレートに留まらずローラーも全てSILTECで中空ピンで10gの軽量化となっています。

フッ素の表面処理はフライパンでも周知の通りに剥がれやすく、剥がれると全く意味を成しません。そんな事から、チェーンの伸びを無視すれば、この表面処理の耐久性は1レースで無効になるんじゃないか思われます。少しでも長持ちさせたければ、なるべくプレート同士を擦らせないようにアウターXローなどのようなクロスするチェーンラインを控え、シフト時も極力トルクを抜くのが良いでしょう。摩耗してしまうのは全て見えない部分なので外観から判断は出来ないでしょう。

最近は聞くことが無くなりましたが、昔の自転車マニアの間では「ワンレースしか持たないレース専用部品」ってのは、その割り切った考え方から”究極・至高”のカッコよさの代名詞でした。シマノ”SILTEC”は、そのカッコいいレース専用パーツなのかは定かでありませんが、そうだといいなと心の中で思ってます。


ロードバイクはディープリムなホイールをお勧めします。


サイクリングで遠くまで走れるようになると、必ず出る悩みは登坂です。日本は山の国で、走る距離が30kmを超え始めると必ず登り坂が現れます。私も登り坂は好きではありません。どちらかと言えば平地の、しかもやや下り気味や追い風を高速巡航するのが大好きです。

サイクリストさんが「なんとか楽にならないか?」と調べると、まず分かるのはギア比を軽くする。次に車体を軽くする。そしてホイールを軽くする。サイクルストさんはこの流れを必ず歩みます。

最初から「脚力を鍛えるぞ!」なんて言う体育会系の方なんてのは、ごく僅かですが、それらの方も自身のもつ限界に近づけば誰だって同じです。だって自転車のプロ選手ですらそうなんですから。
まずギア比ですが、これも軽ければ良いといったものではなく軽すぎると余分な負担が増えてよけいに疲れます。登坂で辛いのは脚力ではなく心拍上昇です。体が「これ以上は、もう無理」というのです。なので、心拍を上げなければどの坂も楽に登れます。自転車は心拍(心臓)のスポーツです。心拍上昇の一番穏やかなギア比を選ぶと、そう軽いギアはいらなくなります。

次に車体の軽量化。これは取れる物は全て取り去りましょう。およそですが、皆さん色々と平均2kgは載せています。「タイヤ・チューブ・インフレーター・ボトルケージ・ボトル・サイクルコンピューター・小型の携帯工具」できるだけ軽量な物を選びバイクに載せるのはこれ以外はいりません。体重は別件でなんとかしましょう。(ちなみに糖質ダイエットお勧めです。)

最後にホイールですが、ここで軽量ホイールを選ぶユーザーが大半です。たしかに軽量ホイールにすれば走りは変わります。登りなんか嘘みたいに楽になりますし、その気になれば今までの時分じゃないみたいにビュンビュン登れます。平地のダッシュも気持ちよく進みます。

しかし、よ〜く考えてみて下さい。サイクリングで100km走ったとして登坂は何キロの距離だったのでしょう?20キロも登ってたら、もう皆が嫌がる立派なヒルクライムです。よほど山の中で坂の多い地域でない限り、登坂路は10キロ以内だと思います。獲得標高(登った高さ)で言えば1%くらいです。100km走って1000mの、たった1%です。その10キロの距離で1%に、残りの90キロ99%を犠牲にするのですか?

ホイールをディープリムにしたなら、その10キロの1%を何とかすれば、残り全部はウハウハです。そのディープリムのホイールがヒルクライム用の軽量ホイールに重量が近ければ登りもウハウハです。もう全行程が楽しくなります。ホイールを買うならディープリムがお勧め。それが軽いホイールなら、なお宜しいんではないでしょうか?


同じギア比でも使うチェーンリンク゛の大きさで走りは変わります。

般的にロードバイクではフロントにチェーンリンク゛が2枚ついています。リアのカセットギアが10枚だと2X10で20速な訳ですが、その中にはギア比が重複するか近いものが何枚かあります。その場合は大小どちらのチェーンリンク゛を使うのが効率が良いでしょうか?

52TX21Tのギア比は約2.5です。近いギア比はインナーが39Tならリアは16Tで、36Tならリアは15Tになります。ギア比としてみれば同じに思えますが、クランク側で考えれてみると大きく違ってきます。其々のギアの半径は52Tが110mmです。39Tは85mmで36Tは70mmとなりす。

これをクランク長170mmとしてレバー比を計算すると52Tでは1.5ですが、39Tは2.0になり、36Tは2.4にもなります。52と36を比較すると1.0近くも変わります。この事からライダーが同じ脚力で踏んだ場合は、ギアの半径の小さい方がチェーンリンク゛に伝わる駆動力が高くなることが分かります。
フロントに合わせてリアのスプロケットも小さくなりますが、チェーンホイール径に比べてカセットギア径の差を比べればクランク側の入力の差の方が大きいことが分かります。ロードでは一般的ではありませんが、このことはピストの世界では常識で、スプリントが得意な選手は同じギアでも小さなチェーンリンク゛を選びます。そのほうが掛かりと加速が良いからです。また、若干ですが軽量にもなります。

これをロードバイクに当ててみると、強い向かい風などの時に細かな変速を対応して走る場合など、インナーを使う方が効率が良いという事です。チェーンリンク゛の小さい方がギアを変えてもクロスレシオ(ギア比が近い)になり、脚への負担は減ります。初心者向けバイクのクランクにはコンパクトドライブ(PCD110)の50TX34Tが付いていて、ギア比はワイドレシオですが、平地の向かい風などでは34Tのインナーギアはギア比全体が低すぎて使えないのでアウターの50Tで走らなければなりません。

この事はスタンダードクランクでインナー39Tを使ってる者からすればケッコウ辛いです。バイクに慣れて80km以上も走れるようになってきたなら、アウター52Tにインナーは39Tもしくは36Tをお勧めしています。インナー36Tは最近になって普及してきています。リアに28T付ければ34TX25Tとギア比は変わらないのです。34Tのコンパクトでリア25Tで登れるなら52TX36T+12〜28Tは十分に通用します。

長い距離を走って足を残すには、こういった知識も必要です。自転車は小さなことの積み重ねが功を成します。新しいシマノのクランクならスタンダード・コンパクトの区別なくPCDが共通になっているのでチェーンリンク゛の交換で対応できますからチェーン交換の時などに変えれば良いと思います。


サイクリストへの自動車の幅寄せは故意なのか?

道路の左側を走っていると抜いていった自動車に幅寄せされた。横を走ってる車が自分の方に寄ってきた。信号待ちで前に出ようとしたら幅寄せで進路を不塞がれた。一度はこのような経験をされたサイクリストは多いと思われます。

このような行為を自動車を運転するドライバーはサイクリストに向けて意地悪で故意にやっているのでしょうか?それとも知らずにそうなっているのでしょうか?自動車を運転している人の心理や行動、自動車の性質を分析すると、その原因が見えてきます。

運転免許を持ってるドライバー目線でみると、車輌左側通行の場合は路側帯にそって左に寄るキープレフトや、交差点の左折も左に小さく回るのは法規上の正当な理由です。これが出来ていないと免許試験場の実技試験では減点対象になります。

画像の車は本件と一切関係ありません。
公道上でキープレフトで走っていると左側を走る自転車やオートバイは気になります。追い抜いた際や後ろから来る場合など、自分との位置関係や距離を確認したくなるのは仕方の無い事です。ドライバーが前方を向いて後方を確認する手段はルームミラーなどですが、左側面の後方となれば助手席側にある左ドアミラーになります。ドアミラーを見るには顔を左に大きく向ける必要があります。また眼鏡を掛けていればレンズ越しの視野となるため大きく向けないと見えません。その昔、国内の自動車のミラーがフェンダーにあった時代にドアミラーの認可にむけてこの様な事が議論されました。だからタクシーや教習車はフェンダーミラーのままが多いです。

人間は顔を向けると自然に肩もそちらに向いてしまいます。肩が向けば腕もそれについて動きます。するとハンドルを左に切る動作に繋がります。すなわち「左後方が気になってドアミラーを見ようとすればハンドルが左に切れてしまう。」という事になります。この場合ドライバーは無意識にサイクリストに幅寄せしてることに気が付きません。

次に後方から進路を変えて自転車を追い越した場合。自動車はハンドルを切って進路を変えるとその進路を維持するためにハンドルを切り戻さないといけません。これは自転車も同じで、前を走る人を抜いてみればわかります。追い越すときに自車の進路をゆっくりかえれば大きくズレずに戻れますが、急に大きくハンドルを切った時などは大きく振られ、意識していないとS字に蛇行すると思います。

自動車が自転車を追い抜く場合を考えると、対向車が接近する前に追い越しを完了させたい心情です。すると追い抜きは急で派手な大きなアクションになりがちです。自転車を追い抜いた後、進路を車線に戻すには大きなハンドル操作が必要になるので追い抜いた自転車の前で左に蛇行してしまい、その結果幅寄せする形になってしまいます。私が見ていて、ほとんどはこの様なケースが多いです。ちなみに法規上の追い越す・追い抜きの場合は1m以上の間を開けるか徐行(直ぐ止まれる速度)です。

走ってる自動車が道路沿いになるコンビニなどに入ろうとして一旦右にハンドルを切ってから左に曲がるのも同じ。知らずに前が開いたと思って突っ込むと急にハンドルを切られてビックリします。また交差点の左折で左に寄ってくるのも同じで、内輪差で後輪がよってしまいます。一般ドライバーは無意識な運転操作でこのような状況になっていて、自転車はその隙間に挟まれてしまう形になっています。

これとは反対に実際に故意で意地悪してくる車もあります。トラックやバスなど大きな車は急に大きく進路を変えることが苦手です。にも関わらず、自転車の進路を塞ぐような運転をします。この時大きなサイドミラーを見るとドライバーと目があいます。彼らは左を走る自転車が邪魔で自車の前に出させたくないので進路を塞ぎます。業界用語では「左を閉める」と言います。主に路側をフラフラ遅い速度で走る原付や自転車にはイライラすると聞きましたし、実際そう思います。

バスもトラックも揺らしたくない荷物や乗客を乗せています。なので「むやみな加減速は避けたい。」という心情もあります。仕事で走ってる大きなトラックやバスは待っても先に行かせるほうが賢明でしょう。サイクリストも危なくなくて済みます。シェアは相手との思いやりで成り立ちます。お互いの理解がないと成立しないので譲り合いの精神でお互い気持ちの良い時間を過ごすのが良いと思います。


ロードバイクのタイヤが太くなった真相は?


いつの間にか太くなったロードバイクのタイヤ幅。どんどん太くなってどこまで太くなるのやら。私が不思議に思うのは太いタイヤは以前からあったにも関わらず、最近になって太いタイヤの方が転がりが良いという事をメーカーが言い出した事です。「じゃあ、今の今まで、メーカーはその様な研究やテストをしていなかったのでしょうか?」真相は分かりません。何時から太い方が良いと言い出したのかを記憶を辿ると「トニー・マルティンが個人TTで使い始めて連覇しはじめたから・・・」だったと思います。

チューブ入りタイヤは発明されて太い物から先に市場に普及しはじめ、後に技術革新で細くなっていきました。それらは製造技術や、使用する上での障害をクリアしながらより軽く、そしてより細くなり、一番細かったものはミシュランが開発したクリンチャーの15mmで「ハイライトコンプ」といったモデル名だったことを記憶しています。細くなる理由はチューブラータイヤに対抗する為の軽量化だったはず。
また、それだけでなく空気抵抗の軽減=前面投影面積の減少もありました。タイヤに充填する空気圧は10kg/cuにもなり、これは細くなることによる空気量の減少によるもので、細くなって体積が減った分だけ空気圧が上がることが理由です。MAVICなどのリムメーカーもこれに応える様に高圧対応の高強度のWOのリムを開発していきました。

トニー・マルティン自身がTTで使い始めた理由を公開することはありませんでしたが、タイヤメーカーは「23Cよりも25Cの方が転がり抵抗が少ないのが理由である」と公表しました。ちなみに「ホイールの100gの軽量化でで車体1kg相当の軽量化と同等である」といったこともよく言われています。ホントにタイヤが太くなって重くなるデメリットより転がり抵抗の軽減が優先なのでしょうか?

私はコレに疑問を持ちました。現実として今まで太いタイヤの方が転がり抵抗が大きい事を実感していたからです。ロードバイクに限らずMTBもそうでした。タイヤを細くした方が圧倒的に転がり、速度も増しました。ただ、言えることは細いタイヤでこれを実現するには空気圧が高かった事です。MTBに至っては空気容量を増やすために、より太いリムに装着して空気圧で調整していました。

この事を逆に考えると、「同じ空気圧なら太いタイヤの方が変形する体積が少なくなる。すなわち接地面積が小さくなる」と言えます。ただ単に太い方が転がりが良いというだけでなく「同じ空気圧なら」という条件を付けくわえなければ説明が不十分です。空気圧の上限を決めるならより太い方が有利です。なんなら28Cに10気圧入れればパンパンになり、25Cよりも転がるでしょう。

また、TTバイクに太いタイヤを装着していたのは転がり抵抗軽減だけでは無いと考えました。ナゼなら、昔から「時速15kmを超えれば速度を出すのに邪魔になる抵抗は空気抵抗がそのほとんどである」といったことが知られていたからです。となると無理にタイヤを太くする意味は何なのか?という疑問が立ちます。

タイヤが太くなって変わることが他にもあります。それは23Cで設計されたTTバイクの場合、タイヤを太くする事でフレームとタイヤの隙間が埋まり若干でもCD値が小さくなるように思えます。また、GD比が大きくなる事で、単純に計算すると23Cから25Cに変えるとタイヤ1周で周長が9mm違います。たった9mmは僅かと思われますが、長い距離を走るとなれば大きな違いが出てきます。

仮にTTバイクがトップギア(56X11だとギア比5.09です。)で走っていたとします。クランク1回転で23Cから25Cに変えると46mm多く進みます。ケイデンス90rpmなら1分間に進む距離は4140mmも違ってきます。これをレースのゴールまでの距離で考えればゴールが近くなることと同じで、クランクを回す回数も少なくなります。同じケイデンスで走れれば速度は増します。このことを周りが知らないウチは一発勝負に出れば勝てる確率が高くなります。私はトニー・マルティンが太いタイヤをTTで使ったのはこういった事が理由ではないかと考えています。


スポーツ型電動アシスト車のこれからを考えてみる。







ついにシマノが国内向けに電動アシストユニットを発表しました。パナソニックもMTBモデルの市販型アシスト車を公開しています。海外の、とくにヨーロッパではアシスト車が大きな盛り上がりを見せています。今後、日本ではどうなるのか予想も尽きませんが、商品のデータは欲しいので先手を打って色々と調べています。

先に発売されているメーカーが販売しているスポーツタイプの電動アシスト車にも試乗しましたが、パーフォーマンスはスポーツな風ではなく、一般的な電動アシスト車そのもので、スポーツの軽快な感覚はありません。それは車体の形が変わったダケのモデルで、変速機のギア比が低い分だけ急勾配の坂が漕いで登れるといった感じでした。

画像のバイクは、やる気満々の形相ですが、ベースは一般車のヤマハのお買い物PASです。当方で手を入れた試作段階の試乗車を高校生やサイクリングしているユーザーさん、レースに出てるサイクリストさんなど数人の常連の方に乗ってもらい評価を聞きました。どの方も加速の良さと登坂能力にビックリされる程の出来だったのと、2.9ahで10kmの航続距離だったのが2km燃費(電費?))が伸びて結果は良かったのですけど、内容的にはマダマダ未完成で現在メーカーが作ってるモデルと比べて大きく違わないパフォーマンスでした。

狙っていたのは「トルク・パワーの必要な加速は電動アシストで補い、巡航速度の向上は空力特性と軽量化などで補って速度走行を実現できたらいいのになぁ〜」だったのですが、机上と実際では全く違っていて、思うような嬉しい効果は得られませんでした。ただ、違うデーターが取れたので実験は面白かったです。現行の電動アシストバイクのアシストユニットの造りや制御技術は完成されています。しかし、電動ユニットを載せる車体、いわゆるフレームや車体のタイプによって走らせられる能力が大きく違ってくるようです。

国内の法規格・仕様に合わせてとなると、脚力のないユーザーがアシスト車に乗って脚力のあるライダーさんと同じペースでサイクリングできるには、克服しないとならない問題が沢山あります。現在のところ、電動 VS 人力では、圧倒的に人力が強くて、電動で有利な部分は全くありません。パフォーマンスの高いレースバイクの能力は、電動アシスト車を優に超えています。

日本においてアシスト車は時速24km/hでアシストがOFFされます。走って楽しく気持ちの良い風を切る感覚から見れば、アシストが切れた24km/hから先のスピード感そのものが重要になってきます。「トルクやパワーの必要な部分だけ最大250Wのアシストを行い、巡航走行のような大きなトルクやパワーを必要としない走行はフレームが受け持つ」みたいなものです。

フレームの能力が高ければ250Wものアシスト出力は必要ないかもしれません。速度で規制せずに出力に絞った方が航続距離も延ばせて良い方向に向かうような気がします。現在はMTBが最も最適に思いますが、ロードでも良い方向に進化すればいいなと思います。


電動アシスト車の流行りの小径ホイールは良いのか?




画像の電動アシスト自転車は、巷でよく見かける前後に子供乗せの装着された3人乗り仕様として開発されたモデルです。特徴はホイール径が小径であり、フレームが低床で、お子さんを乗せる際に高く抱っこしなくても載せられるのが利点。それに重心が低く、ロングホイールベースなので直進安定性が非常に良くて、見た目にも可愛くて人気があります。

こうしてみると良い点ばかりに思えますが、ホイルベースが長く舵角の少ないステアリングで小回りは利きません。しかも3人乗りの重さを支える為にタイヤが極太で、マンションや公設の自転車ラックに乗らないのです。これは放置自転車禁止に指定されている地域では指定のラックに入れられず駐輪にたいへん困ります。

また、大人一人で持ち上げるのが無理なほど重量が重いです。体重10kg前後の子供を前後の高い位置に二人も乗せることを考えれば30kgを超えそうな車体重量でバランスをとっているのかもしれませんが、その仕様諸元の真相は分かりません。ネットの評判などで購買意欲をそそられ、通販で買っては見たものの使い勝手も悪く、困ったことはこれだけではありません。

小径ホイールの電動アシスト車に限っては、リアスポークとニップルが頻繁に折れます。換えても替えても折れていまいます。メーカーの対策を見ていると折れる原因に気が付いていないのかもしれません。このような理由から当店では小径ホイールの電動アシスト車は販売していません。

従来の26インチ車をお勧めしていますが、26インチを選ばれる方はごく少数です。どうしても販売せざるを得ない場合は、お客様に納得して頂いて、予防対策でリアホイールを組み直すなど大変な手間と余分なコストが掛かります。
通販や大手量販店で購入されたユーザー様が困って来店されるのですが、他店や通販で買われた商品ゆえに手の施しようがありません。当方もお店を構えているビジネスですので、奉仕のようなボランティアの仕事が出来ないのが実情です。

折れる理由を問屋さんの営業に話してもメーカーまで声は届いていません。「スポークを太くする、本数を多くする」といった対策ばかり講じているのが現状で、消費者センターからのクレームでリコールが出ていないのが不思議に思っています。

ホイールのスポークは引っ張りに対して抗力を発揮します。ニップルも含めてせん断方向には対応できません。ワイアーホイールの構造が十分に理解できていないために、このような状況になってしまうと考えられます。オートバイの業界では40年以上も前から当たり前で、今ではワイアーホイールは影を潜めてキャストホイールに変わりました。自動車などは、もっと古い時代にホイールの構造が変わっています。このような基本的なことが乗り物の開発現場で引継ぎされていないのだと思います。

ちなみにカンパニョロのボーラのリアスポークは18本、このうち駆動を受け持つのは6本だけです。カンパに限らすシマノやマビックのホイールも似たようなもので、ヨーロッパのプロ選手のFTPは電動アシストモーターの出力を超える250W以上で、トッププロにもなると300W超ですが、スポークやニップルは折れません。ちなみに26インチホイールの電動アシスト車は15年も乗ってますが何ともありません。

私なら小径低床フレームに拘るとしたら鋼板プレス構造のホイールにします。デザインはディッシュでもリブを持たせたスポークでも構いません。50ccの原付に採用されているあの構造です。タイヤはラックに入るくらいの幅1.5インチにします。チューブ式は止めてフォームを入れたソリッド構造にすることでノーパンクタイヤとします。トレッドが減ると色の違う中のフォーム部分が露出してユーザーに交換時期を知らせます。メーカーの方、これを採用されては如何でしょうか?


自転車は小さい事の積み重ねなのです。

自転車を選ぶ時、踏むと進む自転車と、進まない自転車があれば、ほぼ全ての方は進む自転車の方を選ばれます。これは電動アシスト車の普及を見れば明らかです。電動アシスト車は家族で使っていますが踏めば進むを一番感じられる新しい自転車です。

巷には、様々な形の自転車がありますが、自転車によって漕いで進む自転車と、漕いでも進まない自転車があります。ごくあたり前な疑問であり、あたり前なことなのですが、この訳を分かり易く説明してみましょう。

ある人が自転車に跨りペダルを力強く踏みます。踏んだ力はペダルを通して自転車を前へ進める後輪へと伝わる訳ですが、その間にはフレームを含めて、いくつかのパーツが存在します。それらは力強く踏まれた力に100%耐えなければ後輪には自転車を進める100%の力(駆動力)は伝わりません。
ペタ゛ルを力強く踏み下ろすとフレームとフォークは、グッとその力を湾曲しながらも支えます。軋むペダルはクランクを捻じ曲げようとし、クランクに繋がれたBBはそれに身を捩らせて抗います。その無理やりな力にチェーンリンク゛が歪みながらチェーンは引かれて延ばされます。チェーンに引かれたギアはハブに力を伝えると同時にチェーンステーがそれを湾曲しながらも支えます。ハブフランジに通されたスポークはリムを引っ張ってホイールを無理やり回そうとします。リムに嵌められたタイヤは自らを弾ませながら路面を蹴り、フレームのチェーーンステーがそれを前へ押し出して自転車が走り出します。この感じがペダルを踏む度に繰り返されています。

これをサイクリストさん達が、よく気にするケイデンス90回転なら1分間に90回も繰り返されていることになります。10キロの距離を走るのに20分かかったとして繰り返された回数は左右クランクで3600回にもなり、2時間も走れば21600回という回数です。ちなみに52Tのチェーンリンク゛だとチェーンはチェーンリンク゛とギアの上を745mも巡る事になります。

ペタ゛ルを踏む力の100%のうち、それを支えるフレームや部品のキシム・歪む・湾曲する・支える・伸びるなどで力のロスが発生し、タイヤが地面を蹴る力は50%も伝わっていないといわれています。これに空気抵抗まで加えれば実際に進むことに使われる力は2〜30%くらいでしょうか?この力のロスを如何に少なくするかが自転車の性能を決めています。

このことから、全てはペタ゛ルを踏む力を支えるバランスで成り立っています。パーツを変えて自転車がより走る様にするには、このバランスの一番弱い部分から手を加え、全体のバランスを整えるようにしていけば、良い結果が得られるでしょう。

部品だけでなくチェーンに使うオイル、ベアリングに封入されたグリスの硬さも重要です。潤滑油が硬ければそれだけ抵抗になります。それらの少しずつを減らしていけば自転車はより走る様になります。走らない・進まない自転車はその対極と考えてよく、小さなロスは漕げば漕ぐほど積もり積もって大きくなり、それは長い距離を走る自転車の邪魔をすることになります。すなわち”走らない・進まない自転車は、自転車がサイクリストの邪魔をしている”事と同じなのです。

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