匂い 2003.5月
「匂うのは タダだから・・」と 花好きな母はよく言っていた。
花はよく買ってた方だが 買わない時でも タダで匂わせてもらおうってことだ。
スーパーの片隅の花を 思う存分匂い「しあわせ〜」と満足げだった。
母が亡くなった後 私も自然と真似をしていた。
困ったことに タダのつもりが
「私をつれて帰ってください」と 上目遣いで花が訴えるもんだから
ついつい 負けてしまうこともある。
お給料日前に 高いカサブランカにやられてしまい
その晩は「もやしメニュー」に 変更したこともある。
くんくんしてるうちに 感情がわき上がり
花屋でポロポロ泣いたこともある。
「香り」とゆうよりは「匂い」・・・
それに 携わる思い出。
それはすごいスピードで 脳までやってくる。
インターネットでいうならADSLってやつ?一瞬なのだ。
子供の頃の懐かしい匂い。
姉と毎日家の前で バトミントンをした。
母は道路にホースで水をまく。
もわ〜とした アスファルトの匂い。
夏の夕方の匂いだった。
近所に小さなおまんじゅう屋さんがあった。
めったに買いには行かないが 無口なおじさんが営んでいた。
壁には クリスマスケーキのポスターが一年中貼られていた。
ケーキを取り囲んで 家族が驚いてるポスター。
店の匂いを思い出すと あのポスターも一緒に思い出す。
嫁に出てからは 実家の匂いは格別だったし
春を告げる水仙の匂いも好き。
病院の匂いも きらいじゃないし
主人のおやじくささも なくなったら きっとさみしいだろう。
アルバムには残せない分
自分だけの感覚、大切にしなっくちゃね〜!