いてくれたからこそ 2003.5月
コトが小6の時 市内での駅伝大会があった。
コトは細身体型で 長距離は得意分野の方で、
校内マラソン大会も 一位を保持していた。
その駅伝に 友達からの強いお誘いで走ることになった。
男子の部に出場する、近くの男の子と 毎晩走って鍛えていた。
当日、湧き上がる歓声の下、コトのチームはみごと優勝した。
私は観客席から 大興奮して 5人に拍手を贈った。
・・・コトが泣いていた。
抱き合ったり 飛び跳ねたりして泣いている。
私には見せない泣き顔。
その時、私の手から 一歩離れていった気がした。
この子はこれから 私には言えない秘密ごとや悩みを
友達には語っていくのだろう。
多分、多くの友達に支えられながら
人生を 送るのだろう。
・・・コトは私に気付き 遠くから 笑って手を振ってくれた。
考えてみれば 優勝するには たくさんの友達が
コトのまわりにいた。
「コト!走ろう!」と毎晩FAXで、誘ってくれた友達。
(コトは残念なことに 走ることは好きではないという)
八時になったら チャイムを鳴らしてくれた幼なじみ。
(ふたりは はしゃぐこともなく 夫婦のような空気が流れていた。)
当日 似顔絵入りの旗を持って、駆けつけてくれた友達。
優勝するために それぞれで朝晩練習を 積み重ねてきたメンバーたちが
いてくれたからこそ。
春の卒業と同時に 多くの友達と別れてしまった。
時々 懐かしい名前を聞くと 親の私が、キュンとなる。
そういう私も 友達がいてくれたからこそ
今の私が いる。
日々の私の愚痴や悩みを 彼女らは真剣に聞き、
必ず最後は バクバク食べてくれる。
時がたつと なんてことなくなる(むしろ恥ずかしい)それらは、
彼女らの胸の中で 消化してくれた。
何もなかったかのように。
一年に一度の誕生日に電話をくれる友達も
夏、田舎で待っててくれる友達も
いてくれたからこそ、
私は 元気だ。
これからも、ね。