<五時の手紙>

 

 

 

 

 

 付き合い始めて半年、これが君に当てる最初で最期の手紙です。手紙で伝えるのも卑怯だと思うけど、今の私には直接君に言う勇気がない。許してくれ。

 

 さて、本題に入ろう。

 実を言うと、私と別れて欲しいんだ。

 私は君を恋愛の対照として見れなくなってしまった。

 何故かというと、君の本意が測れなくなってしまったからだ。

 

 君は本当に私を愛してくれているのか?

 本当に、私という人間を知ろうとしてくれているのか?

 君の目に、私はどう写っている?

 一人の男ではなく、一枚の人生の補償書にしか見えていないんじゃないのか?

 

最近の君の態度から、私はそんな核心を持ってしまった。これについては、わざわざ書かなくても君が一番よく知っているはずだ。

 私がこうして斬り出さなくても、近いうちに君は私の下から消えるつもりだったのだろう。

 そんな辱めを受ける前に私の方から決着を付けようと思い、今日この手紙を書かせてもらった次第だ。

 

 言い訳するつもりもないんだろうが、君の言い分は一切聞くつもりはない。私と君の心の距離は、もはや修復不可能なほどに放れているんだから。

 

 君と付き合った日々に更改はしない。

 それでは、さようなら。

 

 

 

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