<虹>
資格が必須だというのなら、私は持っていないのだろう。
才覚が必要だというのなら、私は恵まれていないのだろう。
愛が大切だというのなら、私は愛していないのだろう。
ならば私には『できない』
これこそが自明の理のはずだ。
しかし、私には一粒の意欲がある。
その米粒のように小さな一滴は心の中で連鎖反応を起こし、僅かひと時なれど心全てを満たす波に成り得るかもしれないのだ。
だから私は悩み続ける。
その一粒がある限り。
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