6月14日(日)ガラス工芸展終了しました。
今回のガラス工芸展開催は、慧は以前よりこの時期にガラス展を企画したくて、長浜などガラス作家を探していました。
前出佳与作家は兵庫三田市から来て頂きました、ご縁ですね。
木精庵はこだまと呼ぶようですが、自然あふれる土地に
アトリエを構えています。
もともとはお父様と木工をされていましたが、5年前にガラスの魅力に憑りつかれ、師を持つことなくご自身で独学で始められた。
しかも、その技法は古くメソポタミヤ時代にあったという幻の技法、パートドヴェール。
一般にガラス工芸と聞くとドロドロに熱したガラスに息を吹き込む工程が知られていますが、前出作家の作品は石膏型に細かなガラス粉を細工し750度で焼く
方法だそうです。
その作品はとても繊細で、これこそガラス!!って感じがします。
特に蝶の作品が見事です。
いかがでしょう、 蒼い蝶が印象的ではありませんか?? 展示にはミラーを使い、全体が観賞頂けるようにしました。 細い足や触角は針金です。一番人気は、DMにもあるユリシスという蒼い蝶、照明の柔かな光がきらめきとなり今にも飛びちそうな幻想的な雰囲気です。 ワイングラスの中に入った蝶と花のシリーズは前出作家独特の作品です。 持ち手が木工で中身がガラス・・一人でこれだけの作品を制作できる作家は見たことありませんね。 蝶の他にボンボニエールというお菓子(金平糖など)を入れる器もありましたが、この蝶はそのボンボニエールの中に閉じ込めたような・・・。 これがガラスなんですか??と大勢の方から聞かれました。 実際にみるとその壊れそうなひとすじひとすじがとても綺麗で観ていて飽きません。じっとその中に入り込んでいくような不思議な感覚になります。 作家曰く、このボンボニエールは石膏型から抜く時とても神経を使います、少しでも抜く強さやタイミングがずれると壊れます・・・と。 師を持たず独学でここまで来るのには相当な努力と精神力、それにもまして探究心の賜物でしょうか? お若いのに凄い作家さんです。
光を放ちながら回転するオブジェは、大阪工芸展に出品し入選した‘夢’と題がついています。
一枚一枚をカーブに添って焼き上げた形の異なるパーツを組立てまずは半円球体をつくり、その中に蝶をあしらい、まるで大きな宇宙の楽園のような、題のごと
く夢のある作品です。
光が反射してキラキラすると、うっとりです。

この作品は、前出作家 とお父様、そして仏師の 松原瑞雲作家との3作家コラボ作品です。 まず本体の仏像は仏師の方、そして周りの木工はお父様、では前出 作家は・・ここには拡大鏡が置いてありますが、実は仏像の眉間にある(白毫びゃくごう)という所にガラスの直径0,7の立体、その先を丸くカーブさせて埋め込んであります。 気の遠くなる仕事ですが、いまではその制作ができる作家も少ない様で、今後は前出作家の出番も多くなると、今から楽しみです。
今回は来場のみなさんにガラス作品を知ってもらうために、ワークショップのコーナーを設けました。
作品は30分くらいで造り、あとは前出作家がアトリエで焼きつけて後日渡しとなります。
最初から制作するのは時間がかかるので、型を選び色
ガラスの微粒をデザインしてもらいます。
世界に一つオリジナルなペンダントが出来上がりという仕組みです。
さーーて、皆さんまずは型選びから・・・こういう場
や時間もギャラリーには大切だと、お客様の顔を見ていてわかりました。
皆さんとてもうきうき嬉しそうでした。
今回のガラス工芸展は、慧が企画したいと思い2年で実現で
きて幸せでした。
作品は大阪工芸展や高岡クラフトコンペ、伊丹国際クラフトなどの公募にチャレンジしていて、今後もこの珍しいパートドヴェール作家として活躍されることで
しょう。
兵庫三田という自然あふれた環境で、自然界のほんのささいな動きの中にしか感じられないインプレッション、それでいて力強い存在感や生命力を感じる作品つ
くりに頑張って欲しいと思います。
前出作家は先天的な感性や発想力に恵まれていて、技術は後からついてくるという典型的な作家であると思った。
メソポタミヤ時代から今の時代に語り継ぐ、美術工芸の伝道師としてさらなる活躍を期待しています。
慧はこの二週間、夢と希望に満ちた作家に触発されて、さらなるギャラリー創造意欲にかられました。
ありがとう 前出佳与作家!
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