天の涙 地の哀しみ 〜3





 圧倒的な立海の勝利。
 そのメンバーの中で他(まわり)にひるむことなくいる彼。
 そんな彼を我が事のように手塚は誇りに思った。
「来年こそ上がってこい」
 二回戦で敗退してしまったために出番がこなかった手塚に、真田はそう言った。手塚も負けじと「当然 だ」と言う。
「個人戦でしか活躍できないとは、お前も苦労するな」
 高一である手塚のいる青学高等部男子テニス部は、はっきり言って弱い。そのため全国大会に出ら れただけでも奇跡に近かった。レギュラーのほとんどが手塚を始めとする高一で成り立っている。つまり、 去年中学で全国を制したメンバーでかろうじて青学は全国まできたのだった。
 個人戦では相変わらず手塚は抜きん出ている。真田に言わせれば、団体戦は手塚の足を引っ張る だけで、何ら彼にとって得るものはないと思っている。ただ、去年の中学のメンバーはさすがに良いと思っ てた。
「来年、待っているぞ」
 トンと去り際に真田は手塚の肩を叩いていった。
 彼は知らない。
 その時、手塚の心臓がドクンと鳴ったことを。
 そこで唐突に彼が自分の胸に抱いていたものの正体に気づいたことに。



 この瞬間から、手塚がその叶わぬ想いの辛さに耐えなければいけないことに・・・。



 苦しい      苦しい     苦しい



 胸が・・・心が・・・全身が訴えているにもかかわらず、手塚はそれを表に出すことなく過ごそうとする。



 いつかこの想いも消えるから、と信じ頼りにして。



〜終わり〜「天の雨 地の光」に続く



堪能して頂けましたでしょう。感覚に訴える文章って木島は書けないんで、本当にウラヤマシイ。何たって、あたしのは ナタでぶった斬ったような書き方ですからね。(開き直り)
近頃お宝で潤っている我がサイト。ありがたいことです。
美濃さま本当にありがとう!これからもよろしくね。(懇願)