2008年7月1日。三者併用療法を行った部位(頤部以外)は跡形もなく治癒

 2008年6月11日。頬骨部、側頭部に発赤を認める

 2008年7月1日。約2週間でここまで治癒

 2008年6月11日。湿潤治療とDiathermyで膿疱形成はなく、大部分の痂皮は自然融解

帯状疱疹

一般的症状
 三叉神経節、脊髄後根神経節(胸や背中)に水痘ウイルスが遺伝子の形で潜んでいる。この遺伝子がウイルスを作り出し、増殖したウイルスが神経を伝わって皮膚にたどり着いて、発疹や水疱を起こす。
激しい針で刺すような痛みが現れてから、2~3日後に赤い皮疹を作り、その場が帯状に赤くなり、その後、小さな発疹や水疱、膿疱ができる。発疹は10日~2週間ほどで痂皮になり治癒するが、多くは水疱が破れて糜爛や潰瘍となって痕を残す。
痛みは風が吹いても痛みを感じたり、服がすれても痛い。時には帯状疱疹が治っても帯状疱疹後神経痛が残ることがある。

原因:
 帯状疱疹は、水痘を引き起こすのと同じ水痘帯状疱疹ウィルスが引き起こす、続発疹(二期疹)である。発症の誘因は風邪、疲労、紫外線、打撲傷、悪性腫瘍(癌)、急激なダイエット、膠原病でステロイド内服中など、免疫力の低下した場合に多く発症すると考えられている。

2008年7月1日。約3週間で治癒

 2008年6月11日。痛みを感じてから4日目。初発部位(右頤部)

 2008年7月1日。Diathermy治療の開始が遅れた部分のみ少し色素沈着が残っている

 2008年6月11日。初発部位はすでに痂皮形成が見られる

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 本症例の場合は、三者併用療法(内科的Diathermy、Moist wound treatmentとHSP)を始めてからは、刺すような激痛は即座に消退し、就寝前に鎮痛剤を一錠服用しただけである。従来言われてきた神経損傷による疼痛も、結果としての傷の乾燥による痛みも大いに関与しているようである。今回は前医が用いた抗ウイルス剤(内服)を用いたのみで、一般臨床で行われている治療法(薬剤)はまったく使用せず、約3週間で完治した。帯状疱疹後神経痛の症状を発症させずに、合併症の危険を減らすことができた。

       帯状疱疹好発部位
特に顔面の帯状疱疹は重症化しやすい

従来治療法:
 抗Virus剤(ゾビラックス、バルトレックス:帯状発疹水痘Virusと単純性疱疹Virusは、異なるVirusだが同じヘルペス属なので、同じ薬が効く)を服用する。軽症のものは消炎鎮痛剤の内服と消炎外用薬、抗Virus剤軟膏(ゾビラックス 、アラセナ-A)、重症のものは入院し抗Virus剤の点滴をする。メチコバール(ビタミンB12)を補助的に痛みが取れるまで続ける場合もある。疼痛がひどい時には鎮痛剤と胃薬の併用。それでも痛みが取れなければ経口のキシロカイン、三環系抗うつ剤(トリプタノール)などが処方されている。帯状疱疹後神経痛が残ればペインクリニック的治療に入り、神経ブロック、低反応レベルLaser照射、脊髄電気刺激療法などが一般に行われている。



 Diathermyで治療すると、針で刺すような激痛は即座に消退し、最初に抗ウイルス薬を用いたのみで、一般臨床で行われている治療法(薬剤)はまったく使用せず、入院、点滴も不要で、外来通院約3週間で完治した。顔面には水疱跡や傷跡は残らない。Post-herpetic neuralgia帯状疱疹後神経痛症状を発症させずに、合併症の危険を減らす最良の方法である。