「ゆめ」 ワタシは眠るのが怖い。夢を見るから。 夢の中でのあの人は、本当の笑顔で笑ってしまうから。 ・・・。　 いつも通りの夢を見た君は、目覚めて悟る。 携帯に、あの人からの連絡がない事に。 そもそも、メモリーから消している事に。 あの人から連絡なんてもう来やしない。もう終わったんだ。 と諦めているから。 けど、 メモリーからは消えていても、 君の机の中に入っているメモには、 しっかりとあの人の番号が書いてあるの、私は知ってるんだ。 電話してみれば？ 会う約束でもしてごらん。 きっと 不自然で儀礼的な、 嘘の笑顔を見せてもらえるよ。 君の一番嫌いな 「嘘」の笑顔を。 見たくないんだ？ だったら、いい方法がある。 忘れるんだ。あの人の事は。 ワタシは眠るのが怖い。夢を見るから。 夢の中でのあの人は、本当の笑顔で笑ってしまうから。 夢までがあの人を、忘れさせてくれない。