表題登記(建物表題登記、区分建物表題登記)

建物を新築すると必ず行わなければならないのが建物表題登記です。
表題登記の中では最も件数の多い登記のひとつではないかと思います。もっとも、分譲住宅やマンションを購入する場合は先に建物表題登記(もしくは区分建物表題登記)が済んでいる状態であることが多いですから、登記というと所有権移転登記だけのことが多いです(これは司法書士さんの守備範囲)。
土地家屋調査士があまりポピュラーな職業になれないのはこういうところで一般の方々の目に付きにくいということがあるからかもしれません^^;

建物の表題登記をするためには、何も無いところから登記をするわけですから、登記記録に必要な情報をひととおり提示する必要があります。すなわち、
・建物の所在
・建物の種類・構造・床面積
・建物の所有者を証明する情報
・所有者の住所を証する情報
が必要になります。

建物の所在と床面積については、登記申請書に文字として記述するだけではなく、建物図面と各階平面図を提出しなければなりません。建物図面によって所在地番上のどの位置に建物が存在するかを示し、各階平面図によって各階の形状を図示して床面積の算出根拠を提示するわけです。

図面を作成するので、建物の測量が必要になります。といっても、土地の測量のようにトータルステーションを持ち出すケースはまれです。建物は設計図面があり、基本的に角(かど)は90°のものが多いですので、辺長を巻尺で測って設計図面と照らし合わせることでたいていは形状や大きさを確認できます。
複雑な形状の建物があって、かつ設計図面が失われていたような場合などではトータルステーションを使うこともありえますが。。。経験ありません^^;

むしろ、建物の測量で気を付けなければならないのは建物内部の構造かもしれません。不動産登記法関連のルールによって床面積に算入すべき箇所とそうでない箇所が細かく規定されています。いくつか例を挙げましょう。
・床から天井までの高さが1.5m未満のところは床面積に算入しない(屋根裏部屋のような部分は床面積に算入されないケースが多いです)。
・吹き抜けがある場合、上階の部分は床面積に算入しない(例えば、2階建てのおうちで玄関部分が吹き抜けになっている場合、その2階部分は床面積に算入しないという意味です。ちなみに、階段部分は吹き抜けと一緒になっている場合は2階部分の床面積に算入しませんが、吹き抜けとは別にある場合は2階部分についても床面積に算入します)。
・出窓がある場合、その下の面が床面と同じ高さであり、かつ高さが1.5m以上ある場合に限り床面積に算入する。
・鉄筋コンクリートのように太い柱の建物の場合、柱が室内に出っ張っている部分は床面積に算入する(外壁を基準にして床面積を算出するという意味です。ちなみに、木造の場合は、柱の中心を結んだ線を基準にします。鉄骨造の場合はちょっと複雑で、外壁が鉄骨の外側にあるか、鉄骨をはさむ形になっているかなどによって算出基準が変わります。)

などなど。まだまだたっくさんあります。建物は土地と違っていろんな形のものがありますから、あれ?これどっち?というケースがどんどん出てくるわけです。それについてルールを決めていくわけですから細かい決まりが次々にできることになります。

最近ではこういうのもありますよ。

福岡ドーム(今はYahooドーム?)など、開閉式屋根を持っている球場などで、屋根が開閉する部分(通常は天井は無いが雨天時は天井がある状態になる)については床面積に算入するか?⇒Yes
(ちなみに、屋根の無い球場であれば少なくともグラウンド部分は床面積には算入しません)

さて、所有者を証する情報ですが、これはもちろん表題部所有者を記録するために必要になります。どういったものがあればいいのでしょうか。
・建築基準法に基づく確認済証・検査済証(建築主=所有者ということになります)
・工事完了引渡証明書(工事の請負業者が建築主様に引渡しました、という証明を発行してもらうものです)
この2点があれば十分ですが、既に建っている建物を登記する場合(本来は新築後1ヶ月以内に登記しなければなりませんが、現実には登記されずにいる建物も結構ありますので...)などでは無い場合もありえます。その場合は以下のものを付けることで証明とします。
・工事代金の領収書
・所有権証明書(建物の敷地の所有者(借地などの場合)、あるいは全くの第三者に、この建物は確かにこの人のもんだぁ、と証明してもらうものです。第三者の場合は2名以上の連名になります)
・上申書(申請人本人が事情を登記官に説明して、この建物は私の所有で間違いありません、と言うものです)

所有権証明書や上申書には実印(印鑑登録証明書も)が必要になります。

住所を証する情報ですが、これは所有者が確かに実在することを証明するために提出するものです。
住民票がまず思いつくところですが、印鑑登録証明書や戸籍の附票でも住所を証する書面になります。

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