合筆登記

複数筆ある土地を一筆にする、というのが合筆です。どういうときに合筆をするかというと...すっきりしたいから、というのが多いです。^^;

たとえば、おうちを建てるために土地を購入するとします。ちょっと大きい家を建てたいので、2軒分の敷地を買うことにしました。それぞれの敷地にはそれぞれ「12番」と「14番」の地番が付いています。ここに家を建てて住んだ場合、この人の住所はどうなるのでしょうか?

住居表示(建物に「○号○番」などの番号を振るやり方)を使って住所を表示する場合は関係ありませんが、京都市など、地番を使う住所の表記を行っているところもたくさんあります。

実はこの場合の住所は「京都市〜12番」でも「京都市〜14番」でもいいのです...が、
これを「すっきりしたい」という場合は合筆をして一筆にすればいい、というわけです。
こういうケースはお金持ってないとなかなか無いことですが...^^;

買おうとした土地が何らかの事情で細かい複数の土地になっているケースというのは時おり見かけることがあります。こういう場合、住所の表記についてだけでなく、固定資産税の管理など、複数筆であるゆえにちょくちょく面倒なことが起こり得ます。

また、土地を測量してみたら地積が登記記録と大きく違っていたので更正登記したい、となった場合に、各筆の地積をそれぞれ求めるのと合筆後の一筆で求めるのとではとっちが簡単か、というと一筆のほうがはるかに簡単です。
というのも、地積を求めるためには各筆の筆界点を全て明らかにしなければならず、筆数が多いほど筆界点の数が多くなるために作業量が大きくなってしまうためです。また、登記のための図面(地積測量図)は一筆ごとに作らなければなりませんので、登記の費用も割高になってしまうということもあり得ます。

合筆登記を行うと何がどう変わる?

合筆は複数筆の土地をいずれかひとつの土地に統合してしまう登記ですので、統合元になる土地以外の登記記録は全て閉鎖されます。統合元の登記記録は地積が合筆後のものに変更され、改めて「合併による所有権の登記」が登記官の職権によって記録されます。

ちなみに、統合元になるの土地は地番の最も若い土地とするのが原則です。
ただ、特段の事情がある場合は希望する地番を統合元とすることも出来なくはありません。


合筆する際の条件は?(不動産登記法第41条、不動産登記規則第105条)

合筆というのは所有者の意思によって行うものですので、対象地がすべて同じ所有者のものでなければなりません。当たり前ですが...^^;
また、所有者が共有である場合、その持分が完全に一致している必要があります。例えば、「12番」「14番」の土地を合筆しようとした場合、
「12番」の所有者=Aさん(持分3分の2)とBさん(持分3分の1)
「14番」の所有者=Aさん(持分2分の1)とBさん(持分2分の1)
である場合は合筆出来ません。
所有権が登記されていない土地(登記記録に表題部しかない土地)とされている土地の合筆もダメです。所有権の登記がされていなくても、表題部所有者があるわけなので同じ所有者かどうかは分かるような気もするのですが...(・。・)?

また、例外はありますが、所有権以外の権利の登記があるとダメ、という条件もあります。
地上権や地役権(要役地であること)などが設定されている場合は合筆はダメ。
ただし、地役権でも承役地であればOKです。
また、抵当権などの担保権の登記などで、同時に登記されたもの同士の土地であれば合筆できる場合があります。

これ以外には、地目が同じであること、隣接している土地であること、地番区域が同じであることが必要です。
例え土地が隣接していても「A町12番」と「B町19番」は合筆出来ない、ということです。

これについて、京都ならではのお話が...
京都市の中心部の地名は、たとえば「烏丸通四条上る○○町」とか「室町通夷川下る××町」というように通りの名前を使っ
て表現します。こういう表現は登記記録にも使われています。面白いのは、同じ町名であってもどちらの通りに近いかで通り名の使い方が変わることで、同じ町内で「室町通夷川下る××町」や「室町通二条上る××町」という表現が使われます。

では、隣接している「室町通夷川下る××町20番」と「室町通二条上る××町21番」は合筆できるのか...?(地番は架空ですよ〜。。。念のため)

出来ます。同じ町であれば地番区域が同じということで合筆可能なのです。
合筆後の通り名は合筆後の地番にあわせることになる...と思います。私が実務で経験したのはそうでした。


合筆には印鑑証明書が必要・・・なぜ?

合筆の登記を行う場合、印鑑証明書の原本、しかも発行から3ヶ月以内のものを添付資料として提出する必要があります。
土地の表題登記に関しては印鑑証明書が必要になるのは合筆の登記のみです(建物の場合は合併および合体の登記の際に必要になりますがそれはまた別途・・・)。
合筆の登記の際は「合併による所有権の登記」が登記官の職権によって行われます。このように所有権の登記に関する登記が行われるため、申請人が間違いなく申請の意思を有していることを示すために印鑑証明書を添付することになっているのです。
ちなみに、所有権の登記がされていない(表題部しかない)土地同士の合筆も可能(表題部に書かれている所有者が同じでないといけません)ですが、このときは「合併による所有権の登記」はされませんので、印鑑証明書は不要です。

ちなみにですが、「印鑑証明書」というのは法人の実印の証明書に使われる名称で、個人の場合は「印鑑登録証明書」となっています。ついでに言うと、個人の実印は自治体にて登録・管理されていますが、法人の実印は法務局(登記所)に登録・管理されています。

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