登記申請における図面(土地編)

土地の表題登記においては、登記の内容により3種類の図面を提出することがあります。

・土地所在図
土地を新たに表題登記する場合に提出する図面です。登記する土地の形状、隣接地の地番、方位が記載されていなければなりません(不動産登記規則第76条第1項)。また、図面の縮尺はその地域の地図(法第14条地図)の縮尺と同一の縮尺により作成するものとされています(不動産登記規則第76条第2項)。市街地であれば500分の1か250分の1となります。

土地所在図は描くことが少ないので、地積測量図と同じ用紙に記載してしまうことも多いです。また、地積測量図が土地所在図の条件を満たしていれば、地積測量図を土地所在図と兼ねてしまってもいいということになっています。


・地積測量図
登記記録に書かれている情報だけでは、その土地の状況を十分に表わせているとはいえません。土地の形状や、境界の位置、境界標の有無、あるいは境界標の種類といった情報は登記記録だけでは分かりません。それを補完する役割を持っているものが地積測量図です。地積測量図は土地を新たに登記した際に土地所在図と共に提出するのはもちろんのこと、分筆を行った際や、土地の地積を変更もしくは更正した際にも提出します。

地積測量図に記載しなければならない項目は以下のとおりです
(不動産登記規則第77条第1項)
・地番区域の名称...京都市西京区○○○×××、といったものです。
・方位...図面上に北を示す矢印で表現します。
・縮尺...原則として250分の1で図面を記載しますが、その縮尺を明記します。
・地番(隣接地の地番を含む)...図面上に表現します。
・地積及びその求積方法...図面上に求積表を表示して地積の計算がどのように行われたかを示します。最近は座標法を使って地積を算出します。
・筆界点間の距離...図面上の筆界点を結んだ線に沿って、その筆界点間の距離を表示します。
・筆界点の座標値...地積の求積方法で座標法を使うので、そこに記載されることになります。最近は世界測地系の座標値を記載することが求められています。
・境界標があるときは当該境界標の表示...筆界点に境界標を設置した場合は、その境界標の種類(コンクリート杭、金属標、金属鋲、など)を明記します。

地積測量図は筆界点の復元図、という役割も担っているため、その復元に必要な情報は極力記載するほうがよいでしょう。境界標の種類を明記しなければならなかったり、筆界点の座標値を世界測地系で表現することが求められているのもそのためです。場合によってはいくつかの恒久的地物(マンホールなどのように容易に動かないもの)からの距離を記載することもあります。

余談ですが、土地の境界にあたる点(境界線の両端の点)は「筆界点」と表現されることが多いです。なぜか「境界点」とは言いません。筆界点を結ぶ線も「筆界線」と言うことが多いです。でも、「筆界点」を現地にて示す標識は「境界標」と呼ばれることが多いのです。法令もこのように記載されています。不思議ですね^^;
一応の理由はあるのですが、またそれは後日に。。。


・地役権図面
地役権というのは、例えば隣接地の所有者が道路に出やすくするために土地の一部を通行させてもらったりするなど、特定の目的のために他人の土地を自己の土地の便益に供する権利のことです。
地役権の対象地が一筆の全てにわたる場合もありますが、通行するだけであれば一筆の一部だけに地役権設定をすればいいということになりますから、その範囲を図示しなければならないということになります。これが地役権図面です。

そもそも地役権の設定は権利の登記にあたりますので、土地家屋調査士の守備範囲ではないのですが(いや、もちろん図面を作成してくれというご依頼があれば喜んで^^)、土地を分筆したり合筆したりした際に、地役権の範囲が分筆もしくは合筆後における一筆の土地の一部になってしまった場合に提出する必要が出てきます。

地役権図面で記載の必要な内容は、不動産登記規則第79条第1項に、「地役権設定の範囲を明確にし、方位、地番および隣地の地番並びに申請人の氏名又は名称を記録しなければならない」とあります。
図面的には土地所在図に地役権設定の範囲を追加したもの、ということになりますが、土地所在図と違い、地役権図面は縮尺の指定はありません(不動産登記規則第79条第2項)。
また、申請人の記名が必要であるという点については土地所在図や地積測量図と同じなのですが、地役権図面においてはこれに加えて「地役権者の署名もしくは記名押印」が必要となります(不動産登記規則第79条第4項)。そもそも地役権を登記する申請者は土地の所有者、つまり地役権を使ってもらう側ですので、地役権を使う側である地役権者が地役権の範囲を地役権図面にて確認する必要があるためです。

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