土地分筆登記・土地地積更正登記

登記までの作業を作業順に大まかに列挙すると以下のようになります。

(1)申請対象土地の筆界点確定状況などの調査
(2)申請対象土地の未確定部分の筆界点の確定
(3)申請対象土地の測量
(4)境界標の設置
(5)申請用の測量図などの図面作成
(6)登記申請

◎「(2)申請対象土地の未確定部分の筆界点の確定」と見積

地積更正登記や分筆登記の場合は土地の地積(面積)を確定させなければいけないので全ての筆界を確定させなければなりません。「分筆登記の場合は土地を分けるだけだから筆界は確定させなくてもいいじゃないか。」というようにお考えになられるかもしれません(現に数年前までは分筆した土地の部分のみ測量されていればよかったのです)が、この数年前から分筆するには対象地全ての筆界を確定させなければならないというように取り扱いが変わりました。

ですので、対象地について、
・筆界を決めるべき隣接地がどれくらいあるか。
・そのうち、未確定の筆界がどれくらいあるか。
によって全体の費用に大きな影響が出てしまうわけです。

例をあげて説明します。

(ア)は100番の土地、(イ)は200番の土地が筆界を確定させ、地積更正を行う対象の土地です。



筆界を決める作業量は「隣接地の数」によって変わってきます。
(ア)の場合は99番、101番、109番、110番、111番の5筆と、地番のついていない道路との筆界が決まっていないといけません。(イ)の場合は199番、201番、210番の3筆と地番のついていない道路との筆界ということになりますので、単純に考えると(イ)の方が筆界確定の費用は安く済むことになります。

ただし、昔に筆界の確認が済んでいるというケースもあり得ます。例えば、(ア)の場合で、109番〜111番との間に筆界確認の書面が取り交わされており、境界標も設置されているような場合は、残りの土地のみ筆界確認を行えばいいということになります。こうなると(イ)より筆界確認のための費用は安く済むかもしれません。

また、筆界の確認は土地の所有者さんに対して話をするということになりますので、(イ)の199番、201番、210番の土地所有者が同一人物だった場合は費用が抑えられる可能性があります。ところがこの所有者さんがすでにお亡くなりになっており、相続人が奥さんと息子3人、その息子さんの一人が亡くなっていて、その子(孫)が3人いたとすると、合計相続人が6人!なんてことも考えられます。この場合はかえって作業量が増えて見積額が増えるかもしれません。

このように筆界にかかわる様々な要因によって見積費用が変わってきます。

◎「(3)申請対象土地の測量」と見積

測量には、事務所さんによって言い方は微妙に違うことがありますが、
・求積測量(面積を求めるための測量)
・現況測量(土地の様子を図示するための測量)
という2種類の測量があります。

「求積測量」はその名の通り土地の面積を求めるための測量です。面積を求めるためには土地の筆界点全ての座標を測ることによって求めることができますので、土地の大きさや筆界線の折れ方などによって費用が変わってきます。

先ほどの例をもう一度みると、(ア)の場合はまっすぐな長方形、(イ)の場合は筆界線が所々で折れ曲がっています。「筆界点=筆界線の交点+筆界線の折れ点」が多い方が作業量が多くなり、すなわち費用が高くなります。先ほどの例では(イ)のような場合のほうが測量費用は高くなります。土地が大きくなると一般的には測量する点は増えます(筆界線がどこまで行ってもまっすぐなのであれば測量する点は変わりませんが、現実的にずっとまっすぐというのは少ないです)ので、費用は増えることになります。



「現況測量」というのは、土地の状況、たとえば土地の境界付近にあるブロック塀や側溝の位置、建物の位置などを図示した図面を作成するための測量です。
こういう図面は筆界を確認する話し合いの中で、筆界の位置を図面上で確認するために使用することが一般的です。また、官有地(国や地方自治体の所有地)との筆界を確認する際には一部の場合を除いて提出を求められます。

現況測量の費用は主に対象となる土地の面積によって決まります。が、必ずしも対象地全体を測量する必要はない場合がある(例えば、対象地西側の筆界がすでに確定している場合、西側部分の現況測量図は作成する必要が無くなります)ため、実際の費用はケースバイケースでご提案させていただくことになります。

このように、分筆や地積更正の登記費用は条件によってかなり幅が出てしまいます(数十万〜場合によっては数百万という場合も)。
一般的な戸建て用の土地であれば400,000円前後、というのがいちおう(かなり大雑把ですが)の目安です。

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